見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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え、携帯電話?値段で選びましたが何か?

 レジアスさんたち陸の方をなんとか抑えてから数日後、守護騎士や仮面共に動きはなく、すっかり貧血も改善した俺はなんとなく家のあった場所に戻って来ていた。

 

「………………」

 

 見事に全焼、俺の研究結果や買い溜めていたデバイスの材料。そして5年しか住んでいなかったとはいえ、思い出までぜーんぶ燃えて無くなってしまった。

 そして一番痛いのは通帳類も燃えてしまったことだ。親戚名義で毎月百万ずつ邪神から支給されていたが、今回のことで引き出せなくなり、そしてミッドの銀行に預けていた数億を入れた通帳も灰になった。

 ミッドの件はリンディさんやミゼットさんが手を回してくれるらしいから、また引き出せるようになるけど……日本円に両替できればなぁ。

 

「……レオ君」

 

「ああ羽鳥さん。俺は学校は当分休んでますよ。制服とかも燃えちまったんでね」

 

 ただ何も考えずに家を見つめていると、羽鳥さんがやって来た。

 

「お家の件、残念だったわね」

 

「……何気に怪我よりも家なくなったほうが堪えてるかもですね。当分は本局暮らしだから良いとしても、この事件終わった後どうしようか」

 

 こう言う時のために火災保険に入っていたから、また建て直すこと自体は出来そうだけど……

 建て直すまでの数ヶ月間はどうするか。海鳴市での生活のための資金はどうするか……うーむ。

 

「いっそのことミッドチルダに引っ越すか? ……いやでも管理局が幅を利かせてる以上生活はしにくいだろうし…………」

 

「当分はウチに来る? レオ君なら大歓迎よ?」

 

 なんとも嬉しいことを言ってくださる羽鳥さん。

 ならばお言葉に甘えさせてもらおうかな。

 

「せっかくだし学校も行って来ればいいわ。学校で友達に会えば少しは気も紛れるはずよ」

 

「でも制服燃えましたよ?」

 

「大丈夫、ひなのを貸すから」

 

「ひなちゃんに悪いですよ……待ってください羽鳥さん。アンタ今なんて言いました?」

 

「ひなのを貸すわよ♡」

 

「ゑ?」

 

 

 〜一時間後〜

 

「レオ君大丈夫かな?」

 

「まぁ、最悪俺の家に泊めれば……いや最悪ホームシェアも視野に入れておくか」

 

「あー! ヤマト君ずるい、れお君はひなのお家に呼ぶつもりなのに!!」

 

「えぇ、当分の間ひなちゃん家にお世話になることになりました」

 

「そう? まぁそれなら安心だけど……待ちなさい、なんでレオがいるの!?」

 

「し、しかもそれ女の子の制服なの!!」

 

 いやー、みんな驚いてる驚いてる。いるはずのない俺がいるってのと、女装してるのに二重に驚いてるよ。

 結局ひなちゃんのを借りて学校に来たわけだが、事前に羽鳥さんが担任と校長には電話で話を通してくれたようで、暖かく受け入れられた。女子の制服でいいのかよ。ランドセルなくていいのかよ。……ま、いいや(達観)

 

「じゃあこれひなの制服なんだね」

 

「勝手に使っちゃってごめんね」

 

「いーよ。気にしないで」

 

「にしてもレオすっごい可愛い! レオって女の子だったっけ?」

 

「うん、なんだか女の子っぽく見えるよ」

 

「似合いすぎて悔しいわ。もう女として生きていきなさいよ」

 

 そして長髪で女顔だから、女子の制服が似合ってしまうのが悔しい。ここは似合わなくて男子とかに笑われたりしたら、やっぱ似合わないよなー! って感じで笑い合えたと言うのに。

 一部の男子なんか俺を見て顔真っ赤に染めてやがる。やめろ、俺で発情すんな!!

 

「レオ……お前可愛いな。なんだか初恋の子を思い出す……」

 

「ブフ!?」

 

「にゃ!? や、ヤマト君はレオ君がタイプだったの!?」

 

「ヤマトは男色だったの!? わ、私たち勝てるわけないじゃ無い!!」

 

「お、思わぬ伏兵がいた……」

 

「そんな……」

 

「やめろやめろ気持ち悪りぃ!! ちょっとの間俺のそばに近寄るなぁあああああ!!」

 

「れ、れお君はひなとシアちゃんのだよ!」

 

「そーだそーだ! ヤマトの席ないから!!」

 

「冗談だよ」

 

 なんだ冗談か。たまにヤマトは分からずらい冗談を言ってくるから本当に困る。……本当に冗談なんだよな? 俺信じてもいいんだよな?

 俺がヤマトから数歩下がっていたとき、フェイトちゃんの机の上に置いてあった一冊のカタログが目に入った。

 

「えっと、これって携帯電話?」

 

「う、うん。地球で生活するんだから持ってた方が良いって言われて、母さんとリンディさんに渡されたんだけど……いっぱいあって何にすれば良いのか分からなくて」

 

 あー、あるあるだよなぁ。俺も初めて携帯を持ったときはそうだった。

 でも一度買ってしまうと、次買うときは今までのと同じタイプの機種を探すから、探すのも苦労しないんだけどな。

 

「最近はどれも同じような性能だし、見た目で選んでも良いんじゃ無い?」

 

「でもやっぱりメール性能が良いやつがいいよねぇ」

 

「カメラが綺麗だと色々楽しいんだよ?」

 

「うーん……」

 

「ほぇー、やっぱり機種ごとに違うんだ〜」

 

 真剣にカタログを見つめるテスタロッサ姉妹。

 

「でもやっぱ、色とデザインが大事でしょ〜?」

 

「操作性も大事だよ〜」

 

「外部メモリついてると色々と便利で良いんだけど……写真とか音楽とかたくさん入れておけるし、メールに添付してお友達に送ることもできるの」

 

 凄え語りますやん機械オタクのすずかさん。

 テスタロッサ姉妹はしばらくうーんと悩んでいたが、やがて転生者組の方を見る。え、俺たちの携帯?

 

「ひなはパソコンに繋げられる機種だよ。携帯で撮った写真を印刷出来るんだー」

 

「丈夫さが重要じゃないか? 魔導師やってる以上壊れる可能性だってあるし……」

 

「ふむふむ、それじゃレオは?」

 

「安さで選んだ。性能自体は改造すればどうとでもなるし」

 

「さ、流石レオ。私達とは次元が違った」

 

 まぁその携帯も剣で斬られたときに一緒に真っ二つですけどね! アハハハハハハハハクソが。

 

 

 ◇

 

 

「ありがとうございましたー」

 

「はーい、どうもー。フェイトさん、アリシアさん。はい」

 

「ありがとうございますリンディ提督」

 

「ありがとうリンディさん!!」

 

 放課後、なんだか流れ的に携帯ショップにみんなで行くことになり、テスタロッサ姉妹が携帯を入手するまでを見届けた。

 二人は目で見えるほどに喜びながらこちらに戻って来た。

 

「おまたせー」

 

「良い番号あった?」

 

「えっとね……これ!」

 

「うわぁ、早速アドレス交換しよ!!」

 

「アドレスの交換ってどうやるの?」

 

「えっとねシアちゃん。こうやるんだけどー」

 

 なんとも微笑ましい光景でござる。

 やがて携帯番号を交換した女子組は俺とヤマトの元へやって来た。

 

「ねぇねぇ、ヤマトも交換しよ?」

 

「いいぞー」

 

「レオー。アドレスちょうだいー?」

 

「……ごめん。この間の襲撃でお釈迦になったから」

 

「……ごめんなさい」

 

 あー、やっぱり空気重くなったよ。俺は財布を覗いてみると、一応数万は入っている。

 一番安い機種ならギリギリ買えそうだが……

 

「よし分かったわ! レオ、好きなのを選びなさい!!」

 

「え、何言ってんだアリサちゃん。悪いって!!」

 

「気にしないで! フレイムアイズの件でお世話になったし、これくらいならお小遣いでちょちょいのちょいよ!」

 

「それなら私も。アリサちゃんと半分ずつ出し合えばバレないよ」

 

 なんと心強い友達だろうか……。流石金持ちは違うぜ。

 

「ならなのはも。お小遣い貯めてるから少しなら出せるの!!」

 

「ひなも貯金箱割るよ! ママもきっと許してくれるから!!」

 

「そ、それなら私も。嘱託魔導師のお給料出てるし、バルディッシュの修理代代わりに……」

 

「あ、給料なら私も出てる! それじゃあ私は……ママを助けてくれた代で!」

 

「なら空気読んで俺も。俺は普段修理代とか渡してるし貸し一つな?」

 

「み、みんな……リンディさんに怒られるよ?」

 

 俺は半ば呆れながらなのはちゃん達の背後で青筋を立てているリンディさんを指差す。

 アンタらねぇ。気持ちは嬉しいけど、携帯は小学生だけでする買い物ちゃうやろ? 俺も携帯自体はネットで買って、契約は羽鳥さんについて行ってもらったんだから。

 

「コラコラ、子供がそんな高い買い物をしようとするんじゃありません」

 

 その後なんとリンディさんが俺の携帯も買ってくださった。二人のついでだから気にしなくて良いと言われたが、そんなんで納得できる俺ではない。お礼にお釈迦になった多重セットアップ方式の設計図をもう一度書いたらそれはリンディさんに譲渡しよう。




《おまけ》

「……そういえば、すずか自由研究でケータイ修理してたわよね?あれ一つレオにあげればよかったんじゃ……」

「あ」
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