見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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あー風呂ね。あとで入るわ……一緒に入ろう……だと?

「実は私ね、クッキー焼いてきたんだ」

 

 ピザを食べ終わったあと、すずかちゃんがクッキーの入った紙包みをテーブルの上に広げた。

 おぉ、ヤマトが馬鹿やったせいでお泊まりイベントめちゃくちゃになってしまったけど、転んでもタダでは起きないという固い意志を感じる!

 

「にゃ、やられたの!」

 

「すずか、やるわね……」

 

 これにはアリサちゃんやなのはちゃんも予想外だったみたいで苦虫を噛み潰したような顔をしている。

 俺はクッキーに釘付けのひなちゃんに小さい声で告げる。

 

「ひなちゃん。あれはすずかちゃんがヤマトの為に焼いたものだから、ヤマトが味の感想を言ってから食べようね?」

 

「分かったー」

 

 抜け駆けしたすずかをどうしてやろうかしらとヒソヒソ声で物騒なことを相談している、アリサちゃんなのはちゃんを無視しつつ、クッキーを口へ運ぶヤマトとすずかちゃんを見守る。

 いいぞ。ここで気の利いた事を言えたら、すずかちゃんの好感度はさらに上がるぞ。

 

「……」モグモグ

 

「ど、どうかな?」

 

「……少し甘すぎないか?」

 

 はい、死刑案件です。

 あまりにもあんまりな仕打ちに、何かを企んでいたアリサちゃんになのはちゃんすらも、すずかちゃんの事を可哀想に見ている。

 

「ちょっとこのバカ埋めてくるから、みんなでそのクッキー食べてて。あ、俺の分は一枚残してくれてたらいいから」

 

「私も手伝うわ。埋めた後自力で脱出できないようにコンクリートも流しましょう。鮫島に手配させるわ」

 

「や、ヤマト君。それは流石にあんまりなの……」

 

 ヤマトの襟首を掴んで家の外に出ようとすると「なんでだよ!」と抵抗するヤマト君。

 うるせえお前はこのまま、まどマギの世界にでも転生して絶望しちまえってんだ!

 

「ふ、二人とも私は大丈夫だよ! クッキーは練習してまたリベンジするから。ね?」

 

「「すずか(ちゃん)……」」

 

 目の端に涙を浮かべながらも、そう宣言するすずかちゃん。

 おいヤマト、お前がすずかちゃん泣かせたんだからな? 鈍感もいい加減にしろよなマジで。

 

「ねぇヤマト君。また今度クッキー作ってくるけどどんなクッキーが好きなのかな?」

 

「そうだなぁ……レオがこの間作ってきたキャンディー入りのクッキーかな」

 

「「「「…………(絶句)」」」」

 

 ヤマトは予想以上に最低だった。なぜ俺を引き合いに出す!?

 つーかお前にはクッキー食わせたことねえだろ、……あ!

 魔法の練習してるときに、ひなちゃん用のおやつとして焼いてやったクッキーを一枚ひなちゃんからもらってたっけ……?

 

「う、うぅ……」

 

「俺、ちょっとそこで首吊ってくるわ。コンクリート葬でよろしく」

 

「分かったわ。寂しくないようにヤマトも入れておくわね」

 

「コイツと入るくらいならぼっちでいいわ。はぁ、ピザは最後の晩餐だったか……」

 

「もしもしお兄ちゃん? ヤマト君がすずかちゃんを泣かせたの」

 

『よし分かった。待ってろ、すぐ行くから』

 

 すずかちゃんは膝から崩れ落ちてシクシク泣き始め、俺は死を持って罪を償いに行き、アリサちゃんは張り倒したヤマトの襟首を掴みながらコンクリートの手配をして、なのはちゃんは処刑人(高町恭也)を召喚するというなんともカオスな惨状となった。

 

「……すずかちゃんのクッキーもれお君に負けないくらいおいしいのに」モクモク

 

 そんな中我関せずといった感じでクッキーを食べるひなちゃんがこの地獄絵図な空間において唯一の良心であった。

 

 

 その後凄まじい圧とともにやってきた恭也さんによって諸悪の根源が滅されたことで、ようやくこの地獄な時間が終わった頃、ピロリロリーンと言ったなんとも軽快な音楽が流れ、お風呂が沸いた事を知らせてきた。

 

「すずかちゃん、たくさん泣いて服ちょっと濡れちゃったでしょ? 先入って来なよ」

 

「うん、そうするね」

 

「じゃあすずちゃん! 私と一緒にはいろ?」

 

「いいよ、ひなちゃん。なのはちゃんとアリサちゃんも一緒に入る?」

 

「そうね。色々あって汗かいたし入ろうかしら」

 

「私も入るの」

 

 いくら小学生とは言え四人でお風呂なんて狭すぎるだろうと思うだろう。だが死んだあのバカの家の風呂はめちゃくちゃ広い。小さな銭湯といっても過言じゃないほどだ。

 

「れお君も一緒入ろー?」

 

 転生者は爆弾発言をしなければならないというルールでもあるんだろうか。

 百歩譲ってそこに捨てられてる死体が女子連中と一緒に入るってんなら、ハーレムものあるあるだし別にいいが俺は流石に大問題だろ。見た目踏み台だし中身おっさんだし。

 

「そうだね。一人で待たせちゃうのも悪いし一緒に入るの」

 

「おいこら、高町さん? 確かに女顔ではあるけど、俺こう見えて男なんすけど?」

 

「別に私達は気にしないよ? お泊まりするときはいつもヤマト君と入ってるし今更だよ」

 

 ダメだコイツら。幼いうちから異性と風呂入ってるせいで感覚が麻痺ってやがる!!

 

「というか知ってんのよ? ひながアンタん家泊まる時に一緒にお風呂入ってるって」

 

「いや、だって一緒に入らないと、この子ちゃんと身体も髪も洗わずに出るから……ちょっと待てなんで知ってる!?」

 

「ひなちゃんが言ってたの」

 

 ひなちゃん、口が軽すぎるよ!

 てか俺自身は確かにロリコンではあるけど、小さな子と一緒にお風呂入ったりイチャイチャしたりするのは解釈違いだから本当は一緒にお風呂入るのもかなり抵抗あるんだからな?

 ……本当だからな!?

 

「いいよ俺は! ひなちゃんはぶっちゃけ妹と言った感情しか湧かないからともかく、一緒に風呂入るのは恥ずかしいから。後で恭也さんとでも入らせてもらうって!」

 

「お兄ちゃんはもう帰ったの」

 

「え、いつの間に!?」

 

 なんでも忍さんという、恭也さんと彼女にすずかちゃんのお姉ちゃんが、電話で恭也さんを呼び出したのだとか。ちくせう。

 

「あーもう諦めて一緒に入りなさい。なんならそこで気絶してるアホも一緒に入れるから!」

 

「……………………はい」

 

「今、すっごく葛藤してたね」

 

「リュウヤ君もこれくらい奥手でいてほしいの」

 

 ということで一緒に風呂入るのが確定してしまいました。

 とりあえず爆発しろって意見は大募集させていただきます。

 ……解釈違いなのは本当なんだけどな……(泣)。

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