見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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自分を悪い子だって言うな!!

「れ、レオ! おいマジでもうやめろ、ひなもお前も満身創痍じゃねえか!!」

 

「そ、そうよ! 二人とももう戦える状態じゃ無いわ!!」

 

 カリバーとミラクルホープの打ち合いをする俺とひなちゃんに、ヤマトとアリサちゃんが止めに入る。

 俺もひなちゃんもボロボロだ、そりゃあ止めに入りますわ。だって俺たちの立場がヤマトとなのはちゃんだったら絶対止めてるもん。

 

「大丈夫だよアリサちゃん…………ひなまだまだ戦える。仮面の一味のひなはヤワじゃ無いんだよ」

 

「仮面の一味? ひ、ひなアンタ何言ってんのよ……」

 

「……ヤマト、アリサちゃん、どいて。喧嘩中に横槍入れないで」

 

 頼むから邪魔はしないでくれ。今ここで邪魔をされたら、この喧嘩が無駄になってしまう。まだ伝えたい事を伝えてないのだ。

 ヤマトはしばらく俺の目を見ると、やがてうなづく。

 

「……分かった。こうなったらもう止めないからお互い気が済むまでやれ! 怪我は俺が言霊で治癒してやる!!」

 

「ちょ、ヤマト!!」

 

「こうなった二人はもう止まらない。気が済むまでやらせてやれば良いんだ。大丈夫、どちらかが死んだりはしない」

 

 ヤマトはまだ不満そうなアリサちゃんを連れて遠くへ行く。アリサちゃんにはまた今度謝ろう。

 

「……行くよ?」

 

「来い」

 

 再びカリバーとミラクルホープの打ち合いを始める。さっきの一撃に全てを込めたので、もうお互い砲撃をぶっ放す魔力はない。いや、俺はまだあと少し残ってるけど、それは結界の維持で無くなってしまうのだ。

 

「……ひなちゃん、俺と初めて会ったときの事……覚えてる?」

 

「……うん。ひなが魔法を上手く使えなくて泣いてるときにれお君が、教えてくれた」

 

 話に集中しすぎると、ミラクルホープの一撃を貰ってしまう。マルチタスクで身体の動きを意識しつつ会話を続ける。

 

「当時の俺はこんな見た目だから友達が居なくてね……」

 

 龍帝院のやつが好き放題暴れ回るものだから、オッドアイ繋がりの俺まで警戒されて、そして俺も怖がられるくらいなら近づくのはやめようと思っていたから友達なんて出来なかった。

 

「はっきり言うけど、当時の俺は寂しかったんだと思う。だからひなちゃんと仲良くなれたのは嬉しかったんだ」

 

 本来の俺ならば、踏み台の俺がオリヒロインに自分から近づくなんてなかった筈だ。

 なのに泣いてるひなちゃんに声をかけて、仲良くなった。今なら分かる、当時の俺は話し相手にアスカがいると思っていても、やはりどうしようもなく寂しかったんだ。

 

「……ひなもだよ。ひなは産まれる前の記憶があるから、少しみんなと溝があって寂しかった。でもれお君にも記憶があって……ひなよりれお君の方が心がお兄さんだから一緒にいると安心したの」

 

 でも……っと言いながらひなちゃんは思いっきりミラクルホープを叩きつける。素人の剣は俺には届かず、片手でもったカリバーで受け止めてひなちゃんの独白の続きを聞く。

 

「ひなはそんなれお君を裏切っちゃった! ひなのせいでれお君は沢山斬られて、そしてれお君といっぱい遊んだれお君のお家も燃えて無くなっちゃった!! ひながあの時、どこに行くか聞いてなければ……!!」

 

「だからなんだ!!」

 

「っ!!」

 

 俺はヤマトに一撃加えるほどの力で、カリバーを振る。この衝撃にひなちゃんは耐えきれなくなり、ミラクルホープを落としてしまった。

 海に落ちたら紛失してしまう可能性があるので、バインドで縛り付けて海に落ちない様に固定はして置く。

 

「ひなちゃんがあの時どこに行くか聞いたから!? ひなちゃんがみんなを癒してたことがお前の爺ちゃんの隠れ蓑になってた!? 知るもんか、たかが()()()()()()()ひなちゃんって言う大切な幼馴染を……親友を……まだライクという意味だけど大好きな子と関係が悪くなりたくないんだよ!!」

 

「ひなもだよ!! 初めての友達と……大好きな子と離れるなんて嫌!! でもひなは悪い子だもん! 一緒にいる資格なんて……!」

 

「一緒にいるのには資格がいるのか? ふざけんな!! そもそも()()は悪意を持って爺ちゃん達に協力したのか? 違うだろうが!! なら守護騎士を操った罪も、俺を半殺しにした罪も、俺の家燃やした罪も、全部お前の爺ちゃんと使い魔、そして龍帝院のもんだ!! お前のものじゃない! 仮にお前に責任を追及するやつがいるなら、俺がそいつを潰す! 俺が二度と追求できねえ様に徹底的に追い詰めて潰してやる!! だから……だから、自分の事を悪い子だって、仮面の一味だって……言うんじゃねぇ!!」

 

「あぐっ!?」

 

 そして武器を失ったひなちゃんに与えたのは頭突き。

 俺はバックステップも取らずにひなちゃんを見る。ひなちゃんはしばらくの間プルプルと震えていたが、やがてボロボロと大粒の涙を溢し出す。

 

「う、うぅ……う"ぇええええええええん!!」

 

 ……やっぱ身体を動かして極限状態にしたのが良かったな、ひなちゃんの本音を聞き出すことが出来たし、俺も下心のない本音で話す事が出来た。

 俺は無言でひなちゃんを抱きしめると、優しく優しく撫でる。

 

「……この喧嘩、俺の勝ちでいい?」

 

「う"ん……う"ん!!」

 

「そっか、沢山乱暴してごめんね。痛かったでしょ?」

 

「ひな"もごめんなざい! …………ごめんなざい!!」

 

「ひなちゃんは謝る事なんて無いよ。俺が喧嘩売っただけなんだから……」

 

「う"ぅううううう……ぁ」

 

 直後、泣きじゃくっていたひなちゃんの身体がふらりと傾く。

 あぁ、どうやら限界を迎えてしまったらしい。俺は彼女を抱きかかえてやると、そのままお姫様抱っこをする。

 

「さ、まずはアリサちゃん達に怒られないとね。無茶して沢山心配かけたから」

 

「う"ん。それにはーちゃんにも謝らないと……」

 

「なんのことを?」

 

「急に帰って心配かけちゃったことを」

 

「うん、合格」

 

 もし今ので爺ちゃんの事とかを言っていたらもう一度喧嘩をし直さなければならなかった。

 でもひなちゃんに伝えたい事はキチンと伝わってくれた様だ。

 

 

 …………あ。

 

「ご、ごめんひなちゃん。俺もちょっと限界かも……」

 

「……ふぇ?」

 

「泣いてるところ悪いけど……海に落ちるから、息止めててね…………」

 

「う、うん」

 

 そのまま魔力が切れた俺は海に落ちる。

 ひなちゃんは……しっかり両手で鼻と口を押さえている。鼻に水入ったら痛いからね。

 

「あー! レオ君とひなちゃんが落ちちゃったの!!」

 

「あぁ!? ま、ママとして二人を助けないと……で、でも私カナヅチだし……!!」

 

「あぁ、もう言わんこっちゃない!! ヤマト、レオをお願い! 私はひなを!!」

 

「おう!!」

 

 そして魔力を限界まで出し尽くして二人仲良く墜落した俺とひなちゃんは、ヤマトとアリサちゃんに救出してもらったのだった。

 

 

【桃崎ひなの日記帳】

 

 12月10日

 

 生まれて初めてれお君と大ゲンカをしました。いっぱい叩いていっぱい叩かれて、とっても痛かったけど最後はお互いに本音で話をして、しっかり仲直り出来ました。

 今回のケンカでれお君と更に仲良くなれたような気がしました。




 これにてレオ君とひなちゃんの喧嘩回は終了となります。
 寄り道をしてしまいましたが次回からA's編終盤です。
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