見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「我は魔導書……我が力の全て…………忌まわしき敵を打ち砕く為に!!」
直後闇の書の管制人格である融合機が、紫色の雷の球を形成する。それはどんどんと膨張していく。
「く、空間攻撃」
「ま、不味いわね……」
「みんな、私の後ろに!!」
「すずかちゃんだけじゃ危ないの! 私も守るよ!!」
「レオ、お前も……」
「レオはパーフェクトプロテクションを唱えた。しかしMPが足りない」
「マジか!?」
「……闇に沈め」
直後膨張した雷の球は一度圧縮された後、俺たちだけじゃなく街一つを呑み込むほどに再度膨張した。
「《エクセリオンシールド》!」
「《インフィニティゼロ》!」
「【二人の防御魔法を強化しろ】」
なのはちゃんとすずかちゃんの防御魔法はヤマトが防御して強化され、ヒビ一つ入らずに俺たちを守り切った。
防御一つ出来ないなんてやべえな。龍帝院を威圧する為に意味もなく魔力を放出するんじゃ無かった……。仕方ない、今回は俺はアースラで高みの見物を……いや、待てよ?
「ヤマト、言霊寄越せ」
「もう魔力貯めてる【全員の精神や記憶はそのままに、1時間前の状態に戻れ】!」
直後俺たちの身体は光り輝き、魔力や体力が完全に回復した。しかもカートリッジもカリバーに内包していた魔力も全部元に戻っている。
言霊って便利だね。しかも成長補正で魔力もまだまだ潤沢にあるってんだから笑えない。コイツ後数年もしたら魔力も俺に追いつくんじゃないか?
そんなくだらない危機感を感じていると、融合機は涙を拭った。
「自動防衛一時停止。これよりしばしは私が主をお守りする。ナハト、ただの防衛プログラムであるお前を責めたりはしない。全ては私に責がある」
そこまで言うと、闇の蛇で出来た黒い塊を左腕で掴む。
無論そんなことをすると大量の蛇が左腕に絡みついた。
「せめて後少し大人しくしていろ」
直後、闇の塊から杭の付いた籠手が出現し、その中に蛇は入って行った。
「うぉ……あれデバイスか? パイルバンカー型もありだなぁ」
「いや、集中してくれないか?」
すまんねクロノ君。パイルバンカーは新しい発想だったもんでつい。
直後融合機が結界を展開して俺たちが張っていた結界を塗り潰したが……!?
「あー、はいはい。破壊を撒き散らすってそう言う感じか」
「どう言う感じなの?」
なのはちゃんの問いに、みんなに聞こえるように大きな声で話す。
「みんな注意、この結界は破滅の力そのもの。コイツが地球全体を包んだ時、地球は滅びます。そして展開した速度を考慮するに地球全体を包むまでに丸一日……。撤退して体勢を立て直す時間もないんでここで決着をつける必要があります」
「「「「「「「「えぇ!?」」」」」」」」」
そうなるとやはりクロノ君に渡した3代目デュランダルが鍵になりそうだな。デュランダルで融合機の左腕についてるパイルバンカーを凍結させて、凍りついている間に闇の書のプログラムを書き換えもしくは言霊のゴリ押しで止めるしかないか。
俺が戦略を立てていると、融合機は静かに俺らの方を向いた。
「お前達は闇の書の呪いを解き主を救うと誓った。そして我が主は生活を支援していた恩人の裏切りや、守護騎士の離反。そして守護騎士の消滅という絶望が悪い夢であって欲しいと望んだ。故に我が主には穏やかな夢の内で穏やかな永遠の眠りを……そして、眠りを妨げる者達には永遠の闇を!!」
直後融合機が魔法陣を展開したと思うと、周りから火柱が発生する。
あー、これ融合機ごと固めてしまった方が早そうだな。
火柱を回避しながら状況を確認すると、融合機がなのはちゃんに攻撃を加えようとしていた。
「なのは!!」
「や、ヤマト君……!」
ヤマトがグラディウスの腹で守ったがパイルバンカーの射出によりダメージが……
「そう来ると思った。《ルインズ・ザンバー》!!」
「っく!」
入ることはなく、グラディウスをずらす事でパイルバンカーの一撃を避けるとともに、魔力を纏った剣で一撃入れる。
体勢が崩れたその隙を利用してハーケンフォームのバルディッシュを構えたフェイトちゃんが融合機に突っ込む。
「《クレセント・セイバー》!」
融合機が左手で受け止めている間に高速移動で背後に回るが……
「フェイト危ない! てぇえええい!!」
「ありがとうお姉ちゃん」
「いいよいいよー!」
受け止めていた金色の斬撃をフェイトちゃんに投げ返した融合機。
咄嗟にアリシアちゃんがハリセンスマッシュで斬撃を打ち落としたから良かったものの今のは危なかった。
「《アイスチェーン》!」
「《バーニングスラッシュ》!」
すずかちゃんが氷の鎖で融合機の左腕縛り上げ、その一瞬の隙にアリサちゃんが仕掛けるが、空いた右腕を前に突き出してシールドを張って防御する。
そして左腕の拘束を解いてアリサちゃんに突きを放とうと……よし俺も仕掛けるか。
「《インフェルノツイスター》!」
「っ!?」
炎熱属性高位魔法を風で指向性を持たせて、炎の槍にして彼女に放ってみたが、咄嗟に回避してしまった。くそ、今のは入ったと思ったのになぁ。
「キャーッチ! 捕まえたよ!!」
「今だ! 《エターナルコフィン》!」
「《インフェルノ》」
回避した先に回り込んでいたひなちゃんが、焔の翼で背後から両腕両足を拘束する。
その直後デュランダルに今まで魔力をチャージしていたクロノ君が融合機に氷結魔法を叩き込んだ。
だが融合機は炎熱属性の高位魔法で氷結魔法を相殺しやがった。コイツも使えたのかよ!
「くそ、これでもダメか」
「大丈夫だクロノ君。アイツも氷結魔法を食らっては不味いって分かってんだろうな。顔に焦りが見えたから当てれる事が出来ればこっちのもんだ」
「そうか。なら……!?」
直後俺たちの足にオレンジ色の鎖。ご丁寧に全員につけやがって!!
そして鎖を振り回して俺らを地面に叩きつけようと……これは痛いやつ!!
「みんな!! 《ウイングクッション》!!」
ひなちゃんが咄嗟に大きく翼を展開した事で、叩きつけられた衝撃は翼が吸収。だが拘束魔法で拘束されてしまった。これ俺の拘束魔法!?
「これ……!?」
「私達の魔法……!?」
「趣味が悪いわね!!」
周りを見るとみんなが自分の拘束魔法で拘束されてしまっていた。
俺は無言で拘束魔法を破壊する。自分の攻撃は効かないようにする。戦闘においての鉄則だ。
そしてそれはみんなにも教えていたので、海鳴市にいなかったフェイトちゃんとアリシアちゃん、そしてクロノ君以外は全員が拘束を解いた。
残りの3人もヤマトが言霊で強制解除した事で事なきを得る。
「私の騎士達、そして闇の書の被害者達が集めた魔法だ」
「……なるほど、さっきのインフェルノは俺を蒐集したときに習得したってことか」
直後、融合機の頬に液体。……泣いてるのか?
「闇の書さん?」
「お前達に咎が無いことは分かっている。今回の騒動の全ては先代の闇の書の主の行動の結果だ。闇の書に対する怒りや恨みが主の平穏を奪ってしまった……」
直後、パイルバンカーから黒色の砲撃を撃ってきた。
「《パーフェクトプロテクション》!」
『残念、効きません』
守りながらも体勢を立て直した俺たちは、融合機を取り囲む。
「せめてこれ以上主を悲しませたくはない。これ以上、主の眠りを妨げるな」
「するに決まってるよ! はやてちゃんは私達のお友達なの!!」
「うん、はーちゃんの命を諦めたく無いよ!!」
「逆にアンタの方が私達の邪魔をするんじゃ無いわよ!!」
「そうだそうだ! 諦めて潔くプログラム見せろやコラァ!!」
「お願い! プログラムを修理できたらはやてちゃんは助かるかもしれないんだよ!!」
「それにあなたも泣いてるのは諦めたく無いからじゃないの!?」
「今の状況に納得がいかないならこれ以上抵抗しないで!!」
「みんなの言うとおりだ!! はやては俺らの友達だ、友達が死のうとしているのに……見過ごすことなんて出来ないだろうがっ!!」
ヤマトの言葉で全員で一斉に近接攻撃を仕掛ける。もちろん防御魔法を張られるが破壊して一撃くれて……!?
咄嗟に嫌な予感を感じた俺は急ブレーキをかけて攻撃を止める。
だが他のみんなは全員がシールドに攻撃をしてしまった。
「お前らにも心の闇はあろう。滅びの時まで醒める事のない眠りの内に……」
直後俺以外の全員は光の粒子となり、闇の書に取り込まれてしまった。
「み、みんなが取り込まれた……?」
「……クロノ君は無事だったか」
「ああ。あの状況で近接をかけるのは得策ではなかった」
勘のいい俺とクロノ君だけが生き残ってしまったか。
「お前らもせめて穏やかな夢の中で……《アンチ・マギリング・フィールド》」
AMFだと!?
クロノ君を抱えてすぐさま地上に降りる。流石に落下したら笑えない。
「AMFしかもかなりの濃度だ。……クソ、魔力が繋がらない!!」
「ごめんクロノ君俺のせいだ!!」
AMF使えるのは俺しかいないんだよぉ!!しかもご丁寧な事に最大出力まで再現しやがって……!!
俺とクロノ君以外は闇の書の中……そして高濃度のAMFのせいでクロノ君も魔法が使えない。戦えるのは俺一人。
孤立無援状態かよ詰んだかもしれん……。