見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「レオ、戦えるのか!?」
「自分の技に首を絞められる対策くらいはしてるんで。クロノ君は安全なところに隠れてて」
「だがレオ一人じゃ……」
「AMFは集中力を使う魔法だ。だから融合機の体勢が崩れたら解除されるはず。だから解除するまでは無茶はせずに力を温存してて。いけるよなアスカ、カリバー?」
『いけますよー』
『私もまだまだ戦えます!』
だがどうする?
AMF対策用プログラムをアスカとカリバーに入れてる俺には、AMFは効かないが一人で闇の書と戦うとなると……それに今はみんなが人質に取られている状態だ。
マジで詰んでるんじゃ……。
直後、融合機が俺に突っ込んでくる。
「《フリージングカリバー》!」
『行きます!』
融合機の突きをカリバーの魔力刃で防御。氷結の力が宿った魔力により融合機の左腕が凍りついていく。
「お前の方こそ冬眠しろや、《エターナルコフィン》!」
『零距離からならどうでしょうか?』
アスカを素早く展開して氷結魔法を行使するが、直後融合機の姿は消えた。転移魔法か、ならば……
「大体ここから来るよなぁあああああ!!」
「な!?」
背後から攻撃を仕掛けて来ると先読みした俺が背後に剣を振るうとその予感は正解だったようで、不意を突かれた融合機は咄嗟に俺の剣を避けた。
まぁ背後からの攻撃を阻止できただけでも上々だよな。
「……そろそろお前も眠れ」
「な、バインドか……ご丁寧に蒐集したやつ全員のバインドなんか使いやがってクソッタレ!!」
ピンクに赤に青に黒に白に金。
色とりどりのバインドでグルグル巻きにされてしまった。流石の俺でもここまでゴリ押しで縛られたら解除に時間がかかるぞ……!!
……あれ? 攻撃が来ない。
それに一撃加えるだけならこんなに拘束する必要はないよな。ならば大規模な攻撃魔法を準備している? これほどのバインドの量で時間稼ぎをするほどの魔法……それは
「咎人達に、滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ」
「スターライトブレイカーだぁああああ!?」
どうする? バインドを解除して逃げるか? いや間に合わない。
なら防御するか? スターライトブレイカーは防げるけど次の攻撃は避けられない。なら斜めにシールドを張って受け流すか? それも防御と同じ理由で却下!
……ならば!
「貫け閃光、《スターライトブレイカー》」
防御も張らずに潔くなのはちゃんから奪い取った収束魔法を受ける。
「ぐぅううううう!! やっぱり桜色の核兵器は威力が段違い……だが!!」
今の攻撃でバインドは解けた!!
桜色の奔流の中、Fガントレットを展開してジェット噴射。スターライトブレイカーの中を突き進む。
「だりゃああああああ!!」
「ぐぅ!?」
流石の相手もダメージ覚悟で突っ込んでくるとは思わなかったようで、ガントレットのジェットで威力が補強されたストレートを融合機に当てる事に成功。
融合機は激しくぶっ飛び、海の方へ飛んでいった。
さて、体勢を崩したけどAMFは……まだ解除されてないか。もう少し苛烈に攻撃を加えた方がいいか?
そんな事を思いながら融合機の元へ辿り着く。
「……やるな」
「うるせえ、殺意マシマシな攻撃してきやがって。殺す気かコラ……ん?」
直後、融合機が身体に魔力を充填しているのに気がつく。そしてこの魔力の貯め方は……“言霊”だ。
や、ヤバいヤバいヤバいそれを使わせるわけには!!
「【彼者に永遠の眠りを】」
「……ぁ」
く、クソッタレ……。
咄嗟に攻撃を加えて充填をやめさせようとしたが、時は既に遅し。言霊により俺の目の前は真っ暗になり、身体も重力に従い真っ暗な海へと飲み込まれていった。
◇
【ヤマト視点】
「……ん?」
ここはどこだ? それに今まで何してたんだっけ?
辺りを見渡すと、高校の教室。ここって俺が転生する前の……。
「ようやく起きたね大和君?」
声の主の方向を向くと清楚風な美少女。俺の幼馴染だ。
「
「どうしてって一緒に帰りたいからに決まってるじゃない。私とあなたは恋人なんだからね?」
「は? 何言ってんだよ。俺とお前は……」
「なに、私にフラれる夢でも見たわけ? そんなわけないのに変な大和君。さぁ、一緒に帰りましょ」
彼女に連れられて一緒に下校する。
見慣れた街、見慣れた風景、とても懐かしい気持ちになる。
「見て大和君、桜が咲いてる。もうシーズンなんだね」
「……確か毎年ここで二人でお花見してたっけ?」
「してたしてた。今年もやるでしょ?週末なんてどうかな?」
「……そうだな」
「それじゃあ、私こっちだから。家に荷物置いたらいつもの駅に集合ね。この後デートなんだから遅れるんじゃないぞ?」
「あ、ああ。分かった」
香と別れた俺は家に荷物を置くと、家の近くの駅で香を待つ。
これは夢だ。俺は香とは仲が良かったけど恋人じゃない。
「お待たせ。待った?」
「……今来たところだ」
「そっか。それじゃあ映画見に行こ」
「ああ」
……でも、これは転生前にずっとずっと、俺が望んでいた世界だ。俺が欲しかった幸せな時間。
…………でも。
「結局は夢だ」
「え、何言ってるの大和君? 夢? 何の話を……」
「俺は確かに香に告白した。でもフラれたはずだ。そしてその数ヶ月後に…………俺は自殺した」
香は俺の幼馴染。割とだらしのなかった俺の面倒をよく見てくれた人で、よく一緒に遊んだり風呂に入ったり一緒に出かけたらしながら育った。俺はいつしか彼女の事を好きになってしまった。そして一緒に育った彼女も俺のことを好きでいてくれているのだろう。そう思い込んでしまっていた。
だから俺は桜が満開に咲いたあの時勇気を出して告白したんだ。
『好きです。俺と付き合ってください』
『えっと、ごめんね。私別に好きな人がいるんだ……』
『え……で、でも香とは一緒に遊んだりした仲で……香も俺のこと…………」
『それはただのスキンシップだよ。大和君は私の弟みたいなもんだからね。だからごめん、私は大和君のことそういう目で見れないや』
俺のこの告白は覗いていた人がいたようで、翌日からクラスの連中から『好きだと思い込んでフラれた勘違い野郎』と馬鹿にされるようになってしまった。それはだんだんと虐めに発展してしまった。
そして精神的に疲弊した俺の横で無事に好きな人と結ばれた香とバレー部の先輩。
それを見た俺はショックで自殺したんだ。
「だから俺と香が付き合ってるなんてあり得ないんだ」
「……でもこれは大和君が望んだ事だよ。夢でもいいじゃん。夢でも幸せは確かにここにあるよ」
「違う!!」
俺は彼女の胸ぐらを掴むと腹に力を込めて叫ぶ。
「こんなのは俺の幸せじゃない、ただの俺の未練だ!! 香と一緒に育ったことは確かに俺の宝物でもある。……でもなぁ、今はなのはやアリサ、すずかにひな、フェイトにアリシアにはやてにレオ。コイツらと遊んで一緒に育っている日常がかけがえのないものなんだ!!」
「……」
「ふざけるなよ闇の書! 香の隣は俺のものじゃない。先輩のもんだ!! 俺にはやるべき事があるのにこんな適当な幻で香の存在を汚すんじゃねえ!!」
俺がそう言って香の姿をした何かを殴りつけると、ガラスが割れたかのように空間ごと崩壊したのだった。
今回は駄文な自覚があるので補足を一つ。
ヤマト君が鈍感な理由は前世の経験にあります。
前世でスキンシップ過多の幼馴染がいたヤマト君は、彼女に告白しますがフラれてしまいました。
その後に告白が原因でいじめられた事で恋愛に忌避感を持つようになり、なのでなのはちゃん達のスキンシップも、香の様にラブという感情ではなくライクでやってると思い込んでいるというわけです。