見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「あ、ヤマト!!」
「見つけたの!」
「無事だったんだね」
「なのは、アリサ、それにすずか」
幻を打ち破ってひたすら闇の中を彷徨っていると、なのは達と再会する。
どうやらなのは達も幻を打ち破ることができた様だ。
「あら? その姿どうしたの? イメチェン?」
「え?」
アリサの指摘に俺は自分の姿を確認してようやく気がつく。
今までのバリアジャケットではなく新しい姿に変化していたのだ。黒いTシャツに黒いズボン、そして黒いコートと言う黒尽くしではなく、色はそのままに黒いTシャツにはピンクや青に赤、紫に水色と言った色とりどりのラインが入った上に、黒いコートの上に少しずつカラフルな装甲が追加された姿だった。
「驚いた。いつの間に進化したんだ?」
「うーん、あくまで私の勘なんだけど、幻……自分のコンプレックスとか弱みを乗り越えた事で、心が成長してそれがバリアジャケットに影響を与えたんじゃないかな?」
「あ、フェイトちゃんもイメチェンしてるの!?」
いつの間にやら合流していた、白いマントを羽織ったフェイト。そうか香じゃなくて、今いるみんなを俺は選んだ。香の偽物を殴ったときに、なのは達やはやてのことを強く意識したからだろうか?
「ならこれはフレンドフォームとでも名乗ろうかな?」
「ヤマト、それダサい」
フェイトと共に合流していたアリシアから辛辣な評価を頂いてしまった。やっぱりダメか? 良いと思ったんだけどなぁ。
「にゃはは、でもカッコいいね。何だか私達の力を少しずつ纏ってる感じなの」
「そうだね。みんなのイメージカラーが入ってる」
まぁ今はこの姿の事はどうでもいい。ひなとレオ、そしてはやてを見つけなければ……。
直後、遠くの方で白い光が発生する。
「あそこにいるのは……はやて…………それに闇の書の管制人格!?」
はやてを見つけた俺たちは大急ぎで彼女の下に向かう。
「あれ? おーいなのちゃーん!!」
「あ、ひなちゃん! ひなちゃんも幻を抜け出せたんだね?」
「うん! あそこにはーちゃんいるよ!!」
「分かってるわ、今向かっているところよ」
向かっている途中でちょうどはやての元に向かっていたひなを発見。彼女を仲間につけて再びはやての下へ移動を開始した。
はやての下へ辿り着いたタイミングで、闇の書の管制人格は悲痛な表情ではやてに声をかけていた。
「どうか……どうか再びお休みを我が主……!! あと何分もしないうちに私は私の呪いであなたを殺してしまいます。せめて心だけでも幸せな夢の中で……!!」
「優しい気持ち、ありがとう。そやけどそれはあかん。私らよう似てる、ずっと寂しい思い、悲しい思いしてきて一人やったら出来ひん事ばっかりで……」
はやては闇の書の管制人格をまるで我が子を宥めるように説得をしていた。
……親がいなくて寂しい思いや寂しい思いをして来たのは分かるが、一人だったら出来ない事ばかり?
いやはやてお前、車椅子でも普通の人よりも速く走れるし、図書室の本届かなくても腕の反動だけでジャンプしてとってるじゃないか。普通に他の人より逞しいと思うんだが……
「ひ、一人だったら出来ない事ばかり……?」
「は、はーちゃんがそれを言う?」
その考えはどうやらみんなも同じだったようで困惑した表情を浮かべていた。
「ギャラリーがうるさいけど今は無視するな。そやけど、忘れたらあかん。あなたのマスターは今は私で、あなたは私の大事な子や」
「ですが、ナハトがもう止まりません!! 暴走も……もう。彼女らがここにいるなら外で止められる人も……!」
「そ、そっか。どうしたもんかなぁ……」
はやてが頭を抱えて悩んでいると、ひなが元気に手を挙げる。
「大丈夫だよはーちゃん!! れお君は取り込まれる直前に逃げてたのをひな見たもん! きっと今も外で頑張ってくれてる!!」
そ、そうだったのか。事前に危険を察知して闇の書の吸収から逃れるだなんて流石だな。
はやては「そっか。それなら……!」と呟いて目を瞑ると白い魔法陣を展開する。
「止まって! ……レオ君聞こえるかー? …………あれ、レオくん? おーいもしもーし!! ……なぁひなちゃん。本当にレオ君闇の書の外にいるんか?」
「ひな確かに見たよ嘘じゃないもん!!」
直後、俺のデバイスからアラームが聞こえた
「え、何、何よ!? 敵?」
「ち、違う俺もこの機能は知らない!!」
『マスターにアスカロンから緊急通信です。マイスターレオが闇の書の管制人格に敗北。死亡して海に沈みました』
……は?
「あ、おいグラディウス嘘だよな? だってレオだぞ? 勝てなくても何とか食い下がる筈なのにそんなあっさり……」
『死因は言霊。闇の書の管制人格にマスターのレアスキルが使われてしまったようです』
……!?
闇の書に蒐集されたツケがこう言う形で……
「……れお君?」
「す、すまん。……俺のせいだ。俺が闇の書に蒐集されなかったら……」
「う、嘘やろ……? レオ君が死んだ?」
「で、でもひなのフェニックスウイングで……」
「ひながここにいるのに、どう蘇生させるの?」
「……!!」
「く、クロノはどうなの?」
『現在融合機の近辺にはAMF……魔法が使えない空間が展開されてしまっています。いくらプロのクロノ様でも魔法の行使は難しいでしょう』
詰みだ。
闇の書の管制人格が言うには、ナハトヴァールとはやてを分離させるためには、表に出ている融合機を魔力ダメージで沈めないといけない。でもそれができるレオが死んだとなるともう戦える人は……。
「……やはりもうダメでしたか。主、このままでは絶望の中で死んでしまいます。私はそれだけは何としても避けたい。夢の中へ。せめて幸せな気持ちで逝って「まだ終わりじゃないよ!!」」
突如ひながはやてに抱きついて、炎の翼を展開する。
お、おいおいはやての麻痺はもう……
「ヤマト君! ヤマト君の言霊でひなのフェニックスウイングの効果をれお君に届けて!!」
「……なるほど、言霊のゴリ押しか!!」
そうか! 言霊で死者蘇生は難しい。でもひなの力を遠隔でレオに届けるくらいの無茶なら……。
流石に闇の書の中から届けるとなると魔力が足りない……でも!!
「なのは、アリサ、すずか、フェイト、アリシア、俺に魔力を!!」
「分かったの!!」
「しっかり届けなさいよ!」
「うん!」
「任せて!」
「レオをお願いね!!」
5人から魔力を貰った俺は集中力を高めて魔力を充填する。
前まではみんなの魔力を貰うと辛かったのに不思議と今は辛くない。バリアジャケットの変化と同時に俺の身体にも変化が生じたのか? いやそれはいい。今は集中するんだ。
……………………溜まった!!
「【フェニックスウイングの効果をはやてからレオに届けろ】!」
直後はやての身体が輝き出した。
そして光が収まると同時に再びグラディウスからアラームが鳴る。
『アスカロンから緊急通信です。マイスターレオが蘇生したみたいです』
(レオ視点)
何とか自分の腹を殴り、体内に入った塩水を吐き出す。
「ゲッホ……ゲッホ………………ガハッ!! し、死ぬかと思った」
いや、死んでたけど……。
いや目を覚ましたら海上にいたらよかったけど、もし海底で目覚めてたら下手したらもう一度死んでたわ! あぶねえな!!
とりあえず海底から引き上げてくれていたクロノ君にお礼を言っておく。
「ごめん、助かった。てかAMFがあったのにどうやって海から引き上げたの?」
「戦えないだけで頑張れば魔法の行使は出来るからな。何とか引き上げることに成功した」
(……もしもしレオ君聞こえるかー? レオ君死んでたからひなちゃんとヤマト君、そしてなのはちゃん達の力で蘇生させたんやけど?)
みんなの力で蘇生してくれたってことだ。素直にありがたい。今度ミッドでいつも通ってる喫茶店のタルトをみんなに奢ったろ。
「あー、うん。聞こえる聞こえる。みんなにありがとうって言っておいて」
(言っておくわ。それでな、生き返ったばっかでごめんなんやけど、表に出てるあの子、止めたげてくれる? あの子に取り憑いてる黒い塊をぶっ飛ばして欲しいんや! そうすれば私もヤマト君もなのはちゃん達も外に出られるんやけど……)
「……なーるほど、砲撃ぶっ放せばいいわけだ」
「戦えるのか?」
「ああ、何だか知らないけど凄い力が湧いてる。それに相手さんのやり方もさっきので
『もちのろんです』
『安全性が確立されてないだけで、完成はしてますからね』
よし。
俺は蛇に纏わりつかれて悲鳴をあげている融合機を見る。いや俺が死んでる間に何があったし……まあいいや。
「さぁ、ラウンド2と行こうか!! アスカロン、カリバー。デバイス融合!!」
『『はい!!』』
前話でレオ君を殺したのはただこれがしたかったからです。