見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
チョコは板チョコとチロルチョコを買ってきたから、チロルチョコを立方体に切って切れ端は板チョコ半分と一緒に溶かす。残ったもう半分は刻んで最後にチョコマフィンの上からかけるようにとっておく。
「…………」
「…………」
俺が黙々と作業する中、はやては俺の調理の様子をジーッと観察している。
「……あくまでお菓子作りだから、料理には使えないと思うよ?」
「まぁそうなんやけど。……レオ君本当に手際がええなぁ。まるで何年もお料理してるみたいや」
「まぁ何年もやってるからね。四歳の頃から面倒くさい日以外はキチンと自炊してたんだから」
「……面倒くさい日は週に何回あった?」
「週に一回。そのときはストックしてる冷凍食品とかカップ麺とか食べてたよ」
「意外と少ないんやなぁ。毎日コンビニご飯か出前のヤマト君に見習わせたいわ」
そうだよなぁ。いくらコンビニでサラダとかも買ってるにしても、流石に毎日毎日そんなのばかりだと飽きがくるだろうに。その点自炊するならちょっと味付けを冒険したりとかも出来るから、同じ料理でも案外飽きが来なかったりする。
ヤマトがキチンと手料理を食うのなんて、俺とゲーム合宿する日かはやてが食事に誘ったくらいだって言ってたぞ。
「本当は料理上手って属性はヤマトが持ってるべきものなんだけどなぁ」
「ヤマト君の手料理かぁ……ちょっと食べてみたいかも知れへん」
「それなのはちゃん達の前で言ってみろよ。すっごい微妙な表情するぞ」
「え、なんで?」
「アイツの料理クソ不味いから」
「なんや。シャマルと一緒か」
「ひ、ひどい!?」
「いやシャマルさんの料理食べた事あるけど、美味しくは無いけど栄養バランスいいから食べた後身体の調子は良くなる。でもアイツの場合美味しく無いじゃ無くて不味いだからなぁ」
調理実習のときなんかヤマトのいた班は悲惨な事になっていた。同じ班のアリサちゃんとすずかちゃんは保健室に運ばれる事態となり、気になってヤマトの料理を摘んだ俺も危うく意識が飛びかけたほどだ。
それ以降調理実習のときはヤマトは野菜切りくらいしか頼まれなくなった。
「はっきり言う。意識を保ててる分ジャイアンシチューのほうがマシだ」
「そ、そんなに酷いんか……」
そんな事を言っている間に手早く生地を作り上げた俺は、生地を型の中に入れてさらにその上に立方体に切ったチロルチョコを乗せて、はやての家のオーブンレンジにぶち込む。
このオーブンレンジは設定がかなり簡単だなぁ。
「それにしてもはやての家の台所って、かなり充実してるよな。やっぱり節約した分とかはこっちに回してたの?」
「そうやねー。私の趣味は料理やから、やっぱりいい器具使って料理したくてなー」
曰くグレアムからの援助は毎月無駄遣いしても問題ない額を貰っていたようだが、だからといって甘えたら堕落してしまいそうだった為、節約して食糧をゲッツしたり、図書館の料理本を写本したり色々としていたようだ。
そして節約して浮いたお金でこう言うのを揃えたのだと言う。
「でもまぁそのおかげで、ウチの子が一気に増えたときも貯蓄に余裕があって養って来れたんや。それにグレアムおじさん援助金を二倍以上に増やしてくれたから経済的に全然余裕や!! ……でもあんなに沢山のお金、グレアムおじさん大丈夫なんかなぁ」
はやては心配そうに呟いだが、彼は大丈夫じゃ無いだろう。
なんて言ったって彼は俺の家の弁償に、被害者達への慰謝料も払ったのだ。かなりの額いってるだろうし、いくら高給取りな管理局の仕事を50年続けていたとしても、貯金は全て消し飛んだ筈だ。
ま、自業自得だろうけど。
「まぁグレアムおじさんが働けなくなるときには、私も働ける年齢になってるだろうし、そうなったら今まで援助してもらった分私が援助してあげればええか」
「なんて良い子なのはやてちゃん……!」
「あ、ごめん。レオ君にちゃん付けされるのはちょっと……」
まぁ俺と君は本来ライバルですからね。ライバルにちゃん付けされても気持ち悪いのは分かる。
さて少し雑談に興じていたけど、このまま駄弁りながら待つのもなぁ。そうだ。
「台所使わせて貰ったし、マフィンが焼き上がる間に夕飯一品作っておこうか?」
「ホンマか!? 丁度ええわ。レオ君の料理の仕方、存分に観察させてもらうで!!」
その後夕飯を一品作り終わったタイミングでマフィンが焼き上がったので、はやてと守護騎士の分は残してラッピング。
そして帰宅する寸前に……
「あ、そうそう。そろそろリインフォースの身体が出来るから、メモリインフォースの中にある防衛システムの除去作業と、プログラムの移植したいからメモリ回収していい?」
『もう完成したのか?』
「分かった。リインフォースの事よろしくな」
はやてからメモリインフォースを回収しておかないとな。明日から明後日から本局で作業しないとだし。
その後はやてから念話で(帰ってきたヴィータがテラウマだって喜んで、たくさん食べてたよ)と言ってくれて作って良かったと思えたのだった。
〜その夜ひなちゃん家にて〜
「今年はマフィン作ったんだね。明日が楽しみ!」
「はやては大絶賛だったから期待してくれていいよ。……ところでひなちゃん。コソコソと何かを隠してどうしたの?」
「れお君には内緒。明日を楽しみに待っててね。……れお君のポケットに入ってるのってなぁに?」
「ひなちゃんが教えてくれたらいいよ」
「えっとねぇ……あ!! ダメだよダメダメ!! れお君には秘密なんだから、れお君もひなに教えなくていいからね!!」
隠し事がド下手なひなちゃんがここまで熱心に隠すだなんて。……少し気になるなぁ。
でもここで無理矢理暴いたら可哀想だしやめておくか。
「嘘嘘。これは大切な事だから伝えておかないと。はやてからリインフォースのメモリを預かってきたの。これすっごく大切な物だから絶対に触っちゃダメだよ?」
「リインお姉ちゃんかー! 分かった、はーちゃんの大切な物だからひな触らない!!」
『すまないな。今夜は一緒だがよろしく頼む』
〜翌日〜
ウチの学校は行事に力を入れており、ハロウィンとバレンタインデーとホワイトデーの三日はお菓子を持ち込み可にしているのだ。無論校内で食べるのはアウトであるが。
そしてクラスの男どもはチョコを貰えないかと、目に見えてワクワクしている。
ひなちゃんと一緒に教室に入るとなのはちゃん達がいた。ヤマトは……来てないな。なら俺から先行で渡してしまおう。
「あ、レオ君おはよー」
「よっすみんな。毎年恒例バレンタインチョコのお時間だ。今年はチョコマフィン、自信作だから帰ってからお上がりよ」
「うわぁ美味しそう。ありがとねレオ!!」
「うん。なのはと同じくらい上手」
「あ、ごめん。なのはちゃんと比べないで。お菓子作りに関してはなのはちゃんの方が俺より上手いんだから……」
「そうなの?」
なのはちゃんは海外で修行した本格的なパティシエの娘だぞ?
故になのはちゃんはプロ直伝のあれやこれやが仕込まれており、料理ベテランの俺でも引き分けに持ち込むのがやっとなのだ。
魔導師じゃ無くてこのままお菓子の道に進んでも充分食っていけると思う。
「さてそれじゃあ今度はこっちから。はいレオ君友チョコだよ」
「私も今年は気合を入れたの!」
「言っておくけどヤマトのついでだからね」
「ツンデレじゃない本心からのお言葉ありがとう。帰ってから何日かに分けて美味しくいただきます」
三人娘から友チョコを渡される。本命であるヤマトよりは簡単な物であるが、毎年俺の分まで作ってくれてありがたい限りである。
「レオ、いつもありがとうね。これ感謝の気持ち」
「フェイトちゃんそのセリフは勤労感謝や」
「は!?」
フェイトちゃんからもクッキーを頂いた。どうやら今年は彼女も参加したようだ。そしてフェイトちゃんが参加してるなら姉であるアリシアちゃんも参加してるわけでして……
「本命だよ、どうぞ!! お返しはレオからの告白でいいよ」
「本命チョコは初めて貰ったからすごく嬉しいよ。お返しは量と値段とクオリティ三倍でいかせてもらうから」
「華麗に回避された!?」
アリサちゃん達よりも豪華な包装のチョコを受け取った俺は嬉しい気持ちになった。
だがアリサちゃんがニマニマとウザったらしい笑みを浮かべてくる。引っ張ってやろうかその頬。
「ねぇレオ。アンタこれで終わりだと思ってなあい?」
「え? みんなからも頂いて、あとは来てないヤマトに渡すだけだよね。俺はちゃんと後で渡すよ?」
「そっちじゃ無いわよ。後一人、レオにチョコ渡したい子がいるって言ってんのよ」
「……アリサちゃんやめてよ。俺察しが良いんだからそこまで言われたら誰が俺にチョコ渡したいのか分かっちゃったじゃん」
俺が後ろにいたひなちゃんの方を振り向くと、彼女が真っ赤な顔でプレゼントを差し出していた。
「いつもバレンタインありがとう。ひなもこれ本命だよ」
「……マジでビックリした。まさかひなちゃんも作ってくれるなんて……。昨日から隠してたのはこれだったんだね」
「うん。ちょっと失敗しちゃったけど食べてくれる?」
「うん。大切に食べさせてもらうね。俺のために頑張ってくれてありがとう」
「ふへへ〜」
ひなちゃんの頭を優しく撫でてあげる。
「あー! ひなだけずるい!! レオ、私も本命だから撫でて!!」
「はーい」
「えへへ〜」
やべ、泣きそう。
バレンタインなんて所詮チョコ渡すだけのイベントだと思ってたけど、好きって言ってくれる子達から貰えるのがこんなに嬉しいなんて。
「ひなとアリシアは大成功ね。……ヤマトの足音がしたわ!! みんな、持ち場について!!」
「うん!」
「分かったの!」
「わかった!」
なんで足音で判別できるんだよアリサちゃん。怖えよ。
その後帰りに公園に寄って三人で仲良くチョコを食べたのだった。今まで食べたチョコの中で一番美味しかったです。
八神 はやて
魔力光:白色
魔力:S+
レアスキル:蒐集
戦闘スタイル:遠距離から広範囲で殲滅する
好きな食べ物:レオのレシピで作ったハンバーグ
趣味:ザフィーラをモフること、料理、セクハラ
二期のキーパーソンにしてレオのライバル。
仲が悪いわけではなくお互いに認め合っており、スーパーの特売日での奪い合いをお互いに内心楽しみにしている。
親はいないが友達がたくさん出来て、新しい家族も出来てと幸せ者だなぁと思っていた。
A's編では守護騎士を洗脳されたり、援助していた人に裏切られたりと散々な目にあったが、それでも折れない心の強さがある。
管理局も悪いことをした訳ではなく寧ろ完全な被害者である彼女の扱いには困っており、最終的に闇の書の運命を終わらせた小さな英雄として管理局に受け入れることにしたようだ。
最近足が動くようになったが現在リハビリ中であり、四年に上がるまでにはリハビリも完了するらしい。
魔法はヤマトから魔法の使い方を座学で学んでおり、まだ実戦はしていない。
みんなから見たはやての評価
(点数100点ー一生一緒にいたいほど好き、
80ー付き合いたい、
70ー親友、
50ー友達、
30ー興味ない、
20ー嫌い、
0ー死ね、むしろ俺が殺したる)
レオ:ライバルであり、親友である。ひなちゃんの前で下ネタはやめてほしい(75/100)
ひな:スーパーで知り合って仲良くなった。おじいちゃんの件を悪く無いって言ってくれてすごく嬉しかった(77/100)
ヤマト:龍帝院に絡まれて疲弊してたときに励ましてから仲良くなった。たまに食事に誘ってくれる(75/100)
なのは:たまにはやてちゃんのお家で遊んだりしていた。ヴィータちゃん達が来てから毎日が本当に楽しそう(74/100)
アリサ:動物が好きらしいためウチの犬を見せたらすごく喜んだ(72/100)
すずか:本を取ろうと腕だけで本棚を登っていたのを止めてから仲良くなった。読書仲間でよく本の感想なんかを話す(77/100)
フェイト:闇の書の主と聞いてどんな恐ろしい人かと思ったら、とっても優しくて面白くて安心した(75/100)
アリシア:よく漫才ごっこをする。ただ悪巧みしているときの顔がリンディさんを思い出す(74/100)