見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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邪神、何の用だァ!!

 龍帝院に家を燃やされてから三ヶ月弱、ようやく我が新居が完成した。

 グレアムが資金提供をして、リーゼ姉妹と羽鳥さんで建築会社に連絡してくれたみたいなのだ。

 そして新居は前の家よりもグレードアップしていて、二階建てだったのが三階地下室付きに進化しているらしい。

 早速新居を見て回る。一階にはダイニングキッチンに広いリビングに広い風呂。……まぁヤマトの家の風呂には劣るけど。

 二階には俺の部屋と燃えてなくなったデバイス関係の本や、俺が読んだことのない本まで詰まった書斎。

 三階には部屋は一つだけ。リビングの二倍ほどの広さの何も置かれていない部屋である。どうやらここは自分でカスタマイズしてもいいらしいな。

 それに南側には広いベランダがあって洗濯物が沢山干せそうだ。

 そして地下室には燃えてなくなったデバイス製作のための機材だったり材料なんかも充分過ぎるほどにある。

 

 結論、慰謝料を断ってたけどグレアム一家は新居のクオリティで還元しやがった!!

 やべえこれ絶対生活するの楽しいやつだ。掃除するの大変そうだし、一人でこの家は流石に広すぎだけど。

 そんな事を考えているとアスカが俺に声をかける。

 

『マスター、2階のマスターの自室。タンスの一番上の段を開けてみてください』

 

「え?」

 

 アスカに言われたとおり、2階に用意された俺の自室のタンスを調べてみると、そこにあったのは()()だった。そして開いてみると、もうすぐ1000万円に届くほどのお金が入っている。

 いきなり過ぎる出来事に呆然としているとカリバーが話し出す。

 

『創造主から通話が来ています。いかがなさいますか?』

 

「あの邪神から? ……出るから繋いでくれる?』

 

『かしこまりました。……あー、あー、聞こえます? 踏み台2号さん?』

 

 カリバーから出て来る声は紛れもなくあの邪神の声。

 あー、懐かしいねー。5年ぶりにこの聞きたくもない声を聞いたよ。それじゃあ少し失礼して。スゥ……

 

「テメェこの邪神がァ!! 俺を転生させてくれた事とか、チートの件についてはお礼を言いますありがとうございます。だがァ、天然物の踏み台いるなら何も俺を踏み台にしなくても良かっただろうが! てか、あんなに頭おかしいやつを転生させんなよ! それとひなちゃんの件について、優しい両親に祖父祖母含めろやボケェ!!」

 

『邪神ですって!? 私は聖神であって邪神ではありません!! 謝らないと転生特典剥奪しますよ!?』

 

「うるせえ!! こちとら踏み台転生したせいで散々な目に遭ってんだよォ!! これくらい文句言わせろや邪神が!!」

 

『あ、また邪神って言った!! こいつ……チートないと何もできない雑魚の癖に、何を勘違いしていらっしゃるのか。身の程を知りなさいこの愚か者が!!』

 

「身の程を知るのはテメェだ邪神!! 弱い者を虐めて楽しいか? 俺が苦労する様を見てて面白かったか? 趣味が悪すぎんだよ、お前みたいな邪気を悪意をドブ水で煮込んだような性格の神なんざ願い下げだ。とっととやめちまえェエエエエ!!」

 

『何ですって!? あなた本気で神と喧嘩したいようですね!? よし買った。その喧嘩買いました。ちょっと家行くので待ってなさいよ!?』

 

「来てみろや! お前殺して神殺しの称号をゲットしてやるよォ!!」

 

 数分もの間、邪神と俺は口汚く罵り合い続けた。

 そして言い合いしすぎてお互い疲れてしまい、怒りの熱が冷めてから改めて邪神に尋ねる。

 

「それで何の用? 俺お前のこと嫌いだから話したくないんだけど」

 

『随分と嫌われたものですねぇ。……お礼の電話ですよお・れ・い』

 

「お礼?」

 

『あの踏み台その1をそれはもう惨たらしい方法でお仕置きしてくれたお礼に決まってるじゃないですか!! いやー、あの踏み台にはほんとイラついてましてね。あの展開はあまりにもメシウマすぎて、どんぶりで白米を10杯も食べてしまったんですよ!! 太ったらどうしてくれるんですか!?』

 

「いや知らねえし」

 

『それにあなたが言った通りひなちゃんの祖父については私の凡ミスですからね。あの子を元気づけてくれて感謝感激ですよ』

 

「お前ほんと神辞めちまえ」

 

『おやおや〜良いんですかそんなこと言って?』

 

 先ほどの喧嘩口調とは打って変わり、なんかニヤニヤ笑ってるような声を出す。

 

『私の尻拭いと金髪の処理のお礼に報酬を差し上げようと思ったというのに、私が辞めたら報酬受け取れなくなりますよ〜?』

 

「え、神を辞めるのが報酬じゃないの?」

 

『そんなに神と喧嘩したいんですね、このガキィ……』

 

 何だ違うのか。俺にとっての最高の報酬は邪神が神を辞めてただの邪になることなんだけどなぁ……。

 しばらくグチグチと何かをほざいていたが、やがて飽きたのか報酬の内容を語り出す。

 

『あの踏み台1号の生活費についてなんですがね、ジュエルシード事件終了時から生活費を打ち切ってたんですよ』

 

 あー、確かに素行悪いと生活費減らすって言ってたもんな。あの踏み台その1は素行が悪いなんてもんじゃ無かったし打ち切られるのも当たり前か。

 

『だから今回スカッとさせてくれたお礼に、これからの踏み台1号の生活費の分も貴方に支給しようと思いましてね。ほら喜びなさい?』

 

「ワー、アリガトウゴザイマース」

 

『……そこまで嬉しくなさそうですね』

 

 そりゃあ確かに金はいくらあっても良いけど、神からの報酬が生活費の支給アップって言うのもね……。

 

『なーんだ。貴方のいる世界に干渉するの大変なのに、頑張って干渉して数ヶ月かけて何とか通帳を元通りにしたって言うのになーんだ』

 

「それについてはありがとうございます」

 

『よろしい』

 

 へえ……干渉するのって大変なんだなー。まぁ干渉する羽目になったのは踏み台その1をこの世界に転生させたからだし全然同情はしないけどな。ま、一応感謝はしておいてやるよ。

 

『ま、それだけです。私からちょっかい出す気は無いんで、改めて第二の人生エンジョイして下さいな。貴方の暗躍とかしてる事を友達の神に見せたらかなり好評なんで、今まで通り好き放題やっちゃってください。それでは〜。………………通信が切れました』

 

「早い話通帳の復旧が完了したのと、生活費の増額かー。まぁ生活費のこと考えて生活しないとって悩んでたから、助かったと言えば助かったんだけど……」

 

『まぁまぁ良いじゃないですか。嘱託で稼いだお金を生活費にして、二十歳まで支給金に手をつけなければすごい額になりますよ』

 

「そうだなー。研究中のあれやこれやも売れば相当な額になるし……二十歳で嘱託も辞めて静かに暮らすのもありだよな」

 

 その後人生設計をしながら、ひなちゃんの家に俺の荷物を取りに行くのだった。

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