見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「ねぇ、今日はアリサもすずかも習い事ないんだよね?」
放課後、アリシアちゃんが普段習い事で忙しいお嬢様二人に尋ねる。
「ええ、今日は特に無いわね。それにリンディさんからも指令は無いし」
「うん。今日は暇だよ」
「だったらみんなで模擬戦しない?」
「あ、それ良いかも。この間アリシアちゃんにスターライトブレイカー跳ね返されて負けちゃったからリベンジしたい!!」
「シアちゃんのハリセン捌きは凄いからねぇ。ひなのサンシャイニングブレイカーも跳ね返されちゃった」
「ほ、砲撃特化のなのはちゃんが負けちゃうなんて……アリシアちゃん強いんだ」
「お姉ちゃん凄く強いよ。最近はソニックフォーム使っても先読みされちゃって、攻撃できないもん」
「そんなに強いのか。なら俺と戦ってみるか?」
「ヤマトか〜。ヤマトはレオより強いっぽいし、力試しにはちょうど良いかも」
………………。
「あれ? どうしたのよ、机に突っ伏しちゃって? 友達いないんじゃ無くて寝てるだけだしアピール?」
アリサちゃんが俺の机にやって来た。何気に失礼なこと言いやがって。
「いやさ〜、なんだかすっごくやる気が起きなくて……今日の模擬戦は欠席していーい?」
「わ、レオ君溶けちゃってるの!」
なんでやろ? 自宅も取り戻して家でデバイス組めるようになったって言うのに、全然やる気が起きなくなって学校に来るのすら億劫になってんだよ。
なんだかもう動くのすら面倒くさい。誰か家まで運んでくれないかしら?
そんな感じでボケーっとしていると、ヤマトが「あぁ」っと納得した様子の顔をする。
「五月病か」
「えー、まだ三月よ? やる気が無くなるのは二ヶ月早いわ」
「レオって三日前に家完成したんだろ?」
「うん。れお君お家戻って来てすっごく喜んでた」
「コイツ闇の書事件からずっと気を休める事が出来てなかったんじゃないか? いくらひなの家で生活してたからって、どうしても他人の家だと気を遣ってしまうものだし」
「そっか。気を張り続けて来た反動が出ちゃったんだね」
あー、そうかも。確かに昨日我が家のソファ占領してテレビ見てのんびりしてたとき、すっごく安心感があったからなぁ。
「そーゆー事ならしゃーない。とーぶんは嘱託として呼び出されるとき以外は家でのんびりするかー」
どうせ今まで休めてなかった分休んだらまたやる気も戻ってくるだろ。
設計図の書き直しとか、アリシアちゃんに作ろうとしてる二台目バルディッシュもそのときでいいや。
「でも大丈夫なの? ご飯とかお風呂とか」
「あー、まぁご飯はヤマトみたく出前とって凌ごうかな。風呂については流石に入るし……」
「なら私がご飯作ってあげる」
急にアリシアちゃんがそんな事を言い出す。今の俺としてはありがたい限りであるが、君料理出来んの?
基本はリンディさんかプレシアさん。二人がいないときは一緒に暮らしてるエイミィさんがご飯作ってるって聞いたよ?
「まぁチャレンジチャレンジ!! 失敗したらごめんってことで」
「実験台にする気満々じゃねえか」
「お姉ちゃんが行くなら私も行く!」
フェイトちゃんも手を挙げる。
アリシアちゃんはともかくフェイトちゃん。君はヤマトの方が好きでしょうが? 料理は彼に作ってあげるんだな。
「ならひなも料理作る!!」
ひなちゃんも元気よく手を挙げる。
ひなちゃんは料理作れるのは知ってる。羽鳥さんの手伝いしたり、はやてに料理教わりに行ったり、泊まりに来たときも俺の料理の手伝いしてくれたり。
「なら俺も手伝おう。ゲーム合宿のときはいつも飯作ってくれてるしたまには礼をしないとな」
「やめろ俺を殺す気か?」「やめなさいレオを殺す気なの?」「やめてレオ君死んじゃう」
ヤマトの料理を口にした事がある俺とアリサちゃんとすずかちゃんがヤマトを止める。
気持ちだけ受け取っておくからお前は来んな。
流石に三人から同時に却下をもらったヤマトは「そ、そうか……」と引き下がる他なかった。
「あ、そうだ」
急になのはちゃんが名案が浮かんだと言うふうに手を叩く。
「いっその事みんなでレオ君の家行かない?」
考えてみれば新しい家にみんなを上げて無いしなぁ。それにニコポナデポもヤマトに封印してもらってるから今の俺は無害だし。そう言う意味でも俺の家に呼ぶのも良いかもしれない。
「なのはアンタねぇ。そんな事したらレオが安心して休めないでしょうが」
「あ、そっか」
「いや、別に構わないよ。みんながいる前で五月病発症して机に突っ伏してる時点で今更だし。でも俺何もおもてなし出来ないよ?」
「大丈夫、私が逆にレオをもてなしてあげるから……あ、いっその事お泊まり会しない?」
アリシアちゃんが思い付いたかのようにそんな事を宣う。
そういえばアリシアちゃんとは、夏休みにハラオウン家で泊まったときくらいだもんねぇ。なんならそのときは俺もクロノ君の部屋で寝たし。
「良いね。明日土曜日だし、最近やってなかったしやろうよ」
「待ってひな。ご飯作りに行くだけならともかく、お泊りまでするのは流石に……」
「俺は別に構わないよ」
やる気出ないのに、パジャマパーティモードになってるから。気にすんな。
「レオがいいならやりましょうか。お布団とかってある?」
「無いね。近くのニトリで買ってこようか?」
「いいよ。お前疲れてるだろ? 転移魔法で俺の家から持ってくる」
「魔法の私的利用はリンディさんに怒られない?」
「バレなければいいんだよ。なんなら言霊で隠蔽するし」
ずるいオリ主である。そんな事を考えていると俺の携帯が鳴る。ん〜なんだなんだこんなときに?
ええっと……はやてからだ。
「はいー。こちらレオだけど〜」
『……なんや、随分と気が抜けとるなぁ』
「いや〜二ヶ月早い五月病ですなぁ……」
『あー。リインフォースとかナハトとかの件が解決して気が抜けちゃったんやね。今回レオ君にはすっごくお世話になったし、ご馳走でも作ろうと思ったんやけど、帰りにウチに寄る体力はあるか?』
残念。今日はみんなとお泊まり会だよーと答えようとすると、ひなちゃんに肩を叩かれる。ん、変わりたいの?
俺はひなちゃんに携帯を貸してやる。
「もしもしはーちゃん?」
『あ、ひなちゃんやん。一緒にいたんやね。どうしたん?』
「実は今日レオ君の家にお泊まりするんだけど、一緒にどう?」
「待って。ウチの家三階建てだから、車椅子のはやてには『大丈夫や。もう階段もゆっくり上り下り出来るようになってるんや!!』……そう?」
バリアフリーのバの字も無い家なので断ろうと思ったが、どうやら階段を登れるまでに足が回復していたようだ。聞くと後は走れるようになればリハビリ完了のようだ。
確かに九人で集まるのも面白そうだしいいか。
『そう言う事なら喜んで行かせてもらうわ。どうせ今日はナハト以外ウチの子達みんな家にいないからな』
おいおいリインフォース身体取り戻してそんなに日が経って無いのにもう働いてんの?
なんでもシグナム達は面倒くさい案件を現在片付けているらしく、それが終わったらしばらくお休みが貰えるため頑張っているようだ。
「そっか。なら帰りにはーちゃん家に行くねえ。一緒に行こ?」
『うん。待っとるな』
その後持って来るものとかを打ち合わせして、みんな解散したのだった。
みんな準備せずにゴロゴロしてていいよーって言ってくれたし、ひなちゃんに合鍵渡しておいてちょっと帰って昼寝でもしよう。
レオにとってはリインフォースを完成させて、家を取り戻してからようやく闇の書事件が終わったと言う認識になっています。故に流石に気が抜けてしまいました。