見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
その後車椅子レーサーを卒業したはやての的確な指示のおかげで、ひなちゃんにアリシアちゃんを始めとした女子組は無事料理を完成させた。
本日の献立は、カツカレーとエビや野菜の天ぷら。そして簡単なサラダである。
みんな頑張ってくれたようでかなり美味しそうだ。
「これは美味しそうだ」
「でしょ? みんなで頑張ったんだからね」
アリサちゃんが得意げに話す。アリサちゃんやすずかちゃん、そしてテスタロッサ姉妹は初めて料理をしたらしいがまさかここまでのクオリティを作ってくるなんて……。
「さ、食べよー」
「作ってくれた方に心からの感謝を込めて、ありがたくいただきます」
「「「「「「「「いただきまーす」」」」」」」」
早速カレーをひとすくいして口に入れる。
しっかり煮込んだのだろう。野菜の旨みが煮溶けて、中辛のカレーに更なる深みを与えている。
そしてカツをスプーンですくって断面を観察。
……うん。しっかり中まで火が通ってる。早速一口……おお、二度揚げをした事でザクザクとした食感が生まれている。
エビと野菜の天ぷらはどうだろう?
市販の天つゆに少しつけて一口。……うん、野菜の甘みやエビの旨みが口いっぱいに広がる。
「どう?」
「結論、美味い。こんな美味しいもの食べられるなら頑張って良かったって気になるよ」
「ほんと!? 頑張った甲斐があったよー」
アリシアちゃんとひなちゃんはふにゃっと顔を緩ませて笑うが、アリサちゃん達は俺以上にヤマトの方に関心があるらしく、ヤマトの方をドキドキしながら見ている。
「「「「「………………」」」」」
「……美味い。レオが作ってくれたカレーよりもこっちの方が好きかもしれない」
「「「「「やったー!!」」」」」
良かったねみんな。そしてヤマト、料理作ってる者からすればものすっごい複雑になるからせめて、同じくらい美味いと言ってクレメンス。
まぁオリ主のくせに踏み台を取らなかっただけ今回は及第点としておいてやるか。
「ヤマト君あーん」
「あ、ずるいわよすずか! ヤマト、私もあーん!」
「あ、なら私も。はいヤマト、あーん」
「にゃ、出遅れちゃったの! ヤマト君あーん」
「おぉーみんなやっとるなぁ。それじゃあ私もあーん」
「そんなに食えねえよ」
「いや食えよ。オリ主ならば」
結局ヤマトはみんなから差し出されたカレースプーンのカレーを頑張って食べたのだった。
「はい、ひなちゃん。あーん」
「あーん♪」
「あ、ずるいひな!」
「はいアリシアちゃんも。あーん」
「やったー! あーん♪」
俺はヤマトとは逆に自分のカレーを二人に差し出してやる。二人は上機嫌でカレーを咀嚼していたが、やがて顔を赤く染めて大急ぎでジュースを飲み干す。
「あ、ごめん。もう少し辛いのが好きだったからガラムマサラ入れてたの忘れてた」ニヤリ
「レオ。ひなとお姉ちゃんになんて酷い事を……」
「イタズラの為にカレーを辛くするなんてやり過ぎよ。責任とってこのカレーはちゃんと完食するのよ!?」
「いや、ちょっとしか入れてないし、辛いの好きだから入れたのは本当だから喜んでいただきますよ」パクパク
みんなが作ってくれたカレーをガラムマサラで染めたくなかったから、少しピリッとする程度しか入れてないが、あそこまで過剰に反応するなんて甘党のひなちゃんとアリシアちゃんにはまだまだ早すぎたようだ。
「「レオ(れお君)の意地わるー!!」」
そしてイタズラに引っかかった二人にポカポカ叩かれるのだった。
◇
ピロリロリーン
みんなはヤマトの自宅から持って来させたゲームで対戦しており、相変わらずやる気が起きない俺は対戦の様子をボーっと眺めていると、風呂場のアラームが鳴った。どうやら風呂がわいたようだ。
「お風呂の大きさ的に四人くらいまで入れると思うから、ヤマトと混浴する権利は五人で奪い合って」
「分かったの。それじゃあここは公平に、じゃんけんで一緒にお風呂に入る人と一緒に寝る人を選ぶの」
「でも一緒に寝る人の枠も三つあるから、誰か一人上で寝る枠を奪い合えるなぁ」
「ならまずは、寝る人とお風呂に入る人を決めましょ。そして寝る人からヤマトの上で寝る人を、お風呂の人から隣で寝る人を決めればいいんじゃないかしら?」
「時間かかりそうだね。俺先に入ってくる」
「それじゃ私はレオと混浴~」
「ひなもひなも~」
…………俺も大概ハーレムだよなぁ。(遠い目)
その後、三人で風呂に入る。
俺もすっかり一緒に入るのに慣れちゃったなあ……これが慣れか。
「うわぁ、ひっろーい!!」
「うん、前のおうちよりも広くなってる! ……ヤマト君ちよりは狭いけど」
ヤマトの家の風呂は過剰レベルで広すぎるのだ。あれを毎日掃除してるヤマトには心から尊敬できる。あいつ食に関しては手を抜きまくる癖に、潔癖症だから家も常にほこり一つないようにしてるからなあ。あの大きさの風呂をぬめり一つないレベルで維持してるのは流石すぎる。
まぁアイツの家の風呂はどうでもいいんだよ。
「レオ背中流してあげる」
「ありがとう。それじゃあひなは俺が背中流すからおいで」
「はーい」
その後三人で背中を流し合って、前の方はそれぞれで洗い仲良く湯船に浸かる。
「「「ふー」」」
やっぱ風呂は極楽だ。
ただ今はどうしてもぼーっとしてしまうから気をつけないと、のぼせてしまいそうだな。
まぁひなちゃんとアリシアちゃんが救助してくれるだろうけど。
やがてアリシアちゃんが俺の身体をジーッと見ている事に気がつく。
「いやんエッチ」
「いやー、レオの身体って細くて白くて綺麗だよねぇ。本当に男の子なの?」
「男だよー。よく間違えられるけど、れっきとした男だよー」
邪神は女の顔に踏み台要素つけて男の身体で転生させやがったからなぁ。
それに鍛えても鍛えても一向に筋肉つかないし。その割には100キロのデバイス振り回せるから内側にはちゃんと高密度の筋肉がつまってるんだけど、コンプレックスですなぁ。
「もう少し男らしくなりたい……。髪を切るなりしようかな……」
「ダメー! れお君の髪はサラサラで綺麗なんだからそのじょーたいを維持して下さい」
「そうそう。女としてもレオは目標なんだから目標であり続けてね」
アリシアちゃんみたいな美少女に女として目標にされる男の娘って……この際開き直って女装した方がいいのかなー?
そう思いながら風呂から上がった俺とヒロイン二人なのであった。