見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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ハネキツネはどこだー!?

 お泊り会から数週間後、俺たちはハラオウン家を訪れていた。

 

「久しぶりクロノ君」

 

「ああ。地上本部からの仕事もあるのに来てもらってすまない。でも今回は一人でも人手が欲しいんだ」

 

「いいよいいよ気にすんな」

 

 俺が地上本部で仕事をするのは月に数回だ。全然問題ない。

 要件は嘱託の仕事。どうやら次元船が事故にあったようで近くの管理外世界に次元船の中に積まれていた管理世界の生物が解き放たれてしまったようで、生態系を乱す可能性があるから回収を頼みたいらしい。今回は解き放たれた生物の数が数のため、人数が必要なんだとさ。

 故に今回は今回は魔導師組全員と八神家の面々。そして嘱託ではないユーノ君やアルフ、リニスなんかも手伝いとして参加する。

 

「それでどんな生き物が逃げちゃったの?」

 

「ハネキツネだ」

 

 その言葉にリインフォースの肩に乗っていたナハトに全員の視線が向く。いやこいつハネキツネを模したユニゾンデバイスだから。

 だが納得した。ハネキツネは弱いけれど繁殖力高いし、雑食性だからその世界に適応してしまう可能性が高い。

 

「ハネキツネなら早急に確保したほうがいいな」

 

「ヤマト君のいう通りや。早くみんなを保護してやらなあかんね」

 

「みんなきっとどこかも分からない世界で不安だからね」

 

 生態系が壊れると言うよりも、ハネキツネを保護してあげなきゃと言う使命感がみんなにやる気を与える。

 まぁハネキツネは可愛いからね。気持ちは分かる。

 

「それじゃあ早速、ハネキツネの捜索にいこう」

 

 ハラオウン家に設置された転送ポートから、ハネキツネが迷い込んだ世界の近くに停泊している次元船に転移して、そこから管理外世界に降り立つ。

 ……よし、ここの世界の座標をアスカに覚えさせたし、これでいつでも来ることができるぞ。

 

「うっわー。緑がいっぱいだー。それにあそこには滝もあるし……森林浴したいときには丁度いいね!」

 

 どうやら俺と同じことを考えていたアリシアちゃん。今日は仕事だけどまた今度一緒に森の中を散歩しような。

 

「お姉ちゃん? ここに遊びに来たわけじゃ無いんだよ」

 

「そうやよ。ナハトのお友達を探しに来たんや」

 

「違うわ。うちにお迎えする子を探しに来たのよ」

 

「違うよ! ハネキツネさん達をもふもふしに来たんだよ!」

 

「……ボケてるんだよね? みんなボケてるだけで本来の目的を見失ってないよね!?」

 

「にゃはは……」

 

 ユーノ君のツッコミに露骨に目を逸らすはやてとアリサちゃんとひなちゃん。コイツら本当に本来の目的忘れていやがったな?

 クロノ君は呆れたようにため息をつくと、全員に聞こえる声量で話す。

 

「さてここから手分けして探すわけだが、逃げ出したハネキツネは97匹いる。おそらくここから半径10キロからは出ていないはずだからまずはそこを重点的に探していってくれ」

 

 よしなら俺は南側を……

 

「ねぇれお君、一緒に探そ?」

 

「あ、ひなずるい! レオは私と組むんだよ!」

 

「えー、ひなだよ〜!」

 

「「……あれ、レオ(れお君)?」」

 

 

 

 

 フハハハハハ。俺を奪い合っている間に、さっさと見えない位置まで移動してやったわ! 喧嘩は虚しいものと知るがいい!!

 ……とまぁおふざけはこれくらいにして、たまには一人で黙々と探したい気分だったので、今回は逃げさせていただいた。

 

「アスカ、カリバー。探知に引っかかった?」

 

『うーん、見つかりませんねぇ』

 

『申し訳ありません。私の方も……あ、一匹見つけました』

 

「方角は?」

 

「ここから東北東、300メートル先です」

 

 低空飛行で木々を避けながら進むと、一匹のハネキツネがお昼寝しているところだった。

 ナハトはフレンドリーな性格だが、本来のハネキツネは警戒心が高い。

 故にここで出ていったらこの子は起きて逃げていってしまうだろう。まぁ高速移動で捕まえてもいいが、暴れてこの子が怪我するかもしれないし、このときのために俺は秘密兵器を用意しているんだ!!

 

「テッテレー! 近所のスーパーで買い占めて来た油揚げー」

 

 油揚げの包装ビニールを開けると、その音でハネキツネは目を覚ます。だがコイツは逃げずに視線は油揚げに釘付けだ。

 油揚げを半分にちぎり、ハネキツネの前に投げてやると器用に口でキャッチをして食べ始めた。

 ナハトのモデルにしたため、コイツらの生態についてはきちんと勉強したのだ。

 警戒心が高いコイツらは油揚げを食べてるときだけは警戒心が皆無になると!!

 

「さて、このもう半分の油揚げも欲しいかー?」

 

「♪」フリフリ

 

 二つある尻尾をフリフリさせながら俺の下へ油揚げを食べに来る。

 そんなこの子を捕まえて、油揚げを完食する前に素早く次元船に転移して、あちらにいる局員に確保してもらう。よしこの調子でどんどん捕まえていくぞ〜。

 

 ドドドドドドド!

 

「ん?」

 

 複数の足音が聞こえて、足音の方を見るとたくさんのハネキツネが俺の……いや、俺の持つビニール袋に入った油揚げ目掛けてやって来る。

 そしてハネキツネの群れの先頭を走るのはナハト。

 

「ナハト、お座り!!」

 

「!」シュタ

 

 ナハトは俺が作った。つまり俺の言うことはちゃんと聞いてくれるため、お座りと命令するとその通りにするのだ。

 

「これぞマイスター権限よ!」

 

『何言ってるんですか。生まれたばかりで、言うことを聞かずに走り回るナハトを油揚げを使って躾をしただけだと言うのに……』

 

 ……アスカの言う通り、マイスター権限ではなく普通に躾の成果ですはい。

 先頭を走っていたナハトが止まって姿勢正しくお座りをすると、後ろにいた約20匹程度のハネキツネもナハトの後ろに姿勢よく座る。

 油揚げを一匹一匹にあげて、ナハト以外の子は食べてる間にまとめて転移させてやった。

 

「ナハトー!! あ、レオのところにいたんだな」

 

 森の奥からリインフォースがやって来ると、ナハトは彼女の肩へ戻ってしまった。

 

「こらリーン姉さん? ナハトをしっかり見ててくれないと。迷子になっちゃったらどうするの?」

 

「す、すまない。ナハトが他のハネキツネを連れて来たと思ったら急に、みんなお前の方に走り出して…………待て、私の事をなんと呼んだ?」

 

「え? リーン姉さん」

 

「わ、私はお前の姉では無いんだが……?」

 

「いやだって銀髪だし髪型似てるし、よく見たら顔つきも何となく似てるし」

 

「いや……まぁそれはそうなんだが。……だがよく考えたらこの肉体はレオに作ってもらったもの。つまりある意味家族ではあるのか?」

 

「そう、だからリーン姉さんは俺のお姉ちゃんなのさ「うちの子は渡さんで!」あいた!?」

 

 ハネキツネを3匹ほど抱えたはやてが、俺にタックルを仕掛けて来た。

 グヌヌ、流石は八神家の大黒柱。彼女からリインフォースを奪い取るのは至難の業だぞ……。

 

「リインフォースは私のお姉ちゃんや!」

 

「えー、見た目は俺の方がそっくりじゃん!」

 

「でも夜天の書の中にいたから私の子や!」

 

「身体作ったのは俺だから、俺の姉じゃん!」

 

「「………………それじゃあ二人のお姉ちゃんって事で」」

 

「我が主!?」

 

 その日俺に姉が出来た瞬間であった。

 

 

 その後ナハトが率先してハネキツネを集めてくれた事で、あっという間にハネキツネ達は集まっていき……。

 

「……うん、お疲れだったな。これで全匹揃った」

 

「ほんと? みんな保護できて良かったの!」

 

 無事ハネキツネを全匹救助する事が出来たのだった。

 いやー、良かった良かった。一匹でもお亡くなりになってたら、なのはちゃん達凹んじゃうからね!

 

「「むー!」」

 

「……ねぇレオ、二人に謝りなさいよ。すっごく頰を膨らませちゃってるわよ?」

 

「喧嘩するからです」

 

「「むむむー!」」

 

 俺が途中で逃げた事で、ひなちゃんとアリシアちゃんはご立腹であったとさ。




 おまけ

「……なぁ、クロノ。本当に良かったのか?」

「何がだ?」

「ハネキツネ、一匹見つかって無いんだろ?」

「よく分かったなヤマト。次元船から高精度なサーチをかけたんだが見つからなくてな。見つかってない最後の一匹は子供のようだし、この世界の生物に捕食されたか、その子だけ別の管理外世界に飛ばされてしまったか……。だがまぁこればっかりはしょうがないさ。一匹なら繁殖のしようもないし、全匹見つけた事にする。申し訳ないが……」

「分かってる。フェイト達には内緒な。アイツらも悲しむから」

「すまない」


 時を同じくして地球、海鳴市にて。

「おねえちゃーん。変な生き物がいるよー!」

「本当だね。キツネかな……? でも尻尾二つだし耳も長いし、背中に羽が生えてるし……」

「この子すごく弱ってるよ!ねえ、連れて帰ろうよ」

「そうだね。お父さんになんて動物か聞いてみよう!!」
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