見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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食べたら運動しないとね

「いらっしゃいませー、あ、レオ君なの!」

 

 翠屋に入ると子供用の翠屋の制服を着込んだなのはちゃんと、同じ翠屋の制服を着込んだひなちゃん。

 今日はひなちゃんもお手伝いしているようだ。何でも翠屋のスタッフが一人急病のため手伝いを頼まれたのだとか。

 

「れお君だー。あれ、後ろの子達は誰?」

 

「ギンガちゃんとスバルちゃん。ミッドの知り合いの娘さんで、現在俺の家に三日間のホームステイ中」

 

「ギンガ・ナカジマです。後ろに隠れてるのが妹のスバルです」

 

「ギンガちゃんとスバルちゃんだね。こちらにどうぞー」

 

 懐いた相手にはとことんフレンドリーではあるが、龍帝院のせいで初対面の相手に対して警戒心が高いスバルちゃん。

 だが穏やかな性格のなのはちゃんとひなちゃんはニコニコと微笑みながら接客をしているため、警戒心が少しずつ下がって来ているのが分かる。

 

「どれも美味しそう。なにがおすすめなの?」

 

「うちはシュークリームが有名だよ。あ、後最近はモモザキベーカリーのパンを使った、フレンチトーストもオススメだよ」

 

「ひなのお家のパン屋さんなんだよ!」

 

「うーん、それじゃあどっちも「お昼食べ過ぎなんで、一つしかダメです」えー」

 

 あんまりあれこれ食べさせると、お腹を壊してしまう可能性がある。故にデザートは一品で我慢してもらう。

 ……あのテラ盛りカツ丼を食べさせた時点で今更かもしれないが。

 

「それじゃあ私がフレンチトースト頼むから、スバルはシュークリーム頼んで。半分こしよ?」

 

「うん!」

 

「それじゃあ俺はチョコケーキとコーヒーお願い。二人は飲み物なにがいい?」

 

「紅茶をお願いします」

 

「オレンジジュース!」

 

「はーい。ちょっと待っててね」

 

 その後先に届いたドリンクを飲みながら雑談をする。

 

「そういえばギンガちゃんって俺に対して割と他人行儀だよね」

 

「そ、そうですか?」

 

「うん。二歳しか変わらないんだから、アリシアちゃん達みたいな口調で構わないよ」

 

「分かりました……ううん、分かったよレオ」

 

「よろしい」

 

「「お待たせしましたー」」

 

 なのはちゃんとひなちゃんが二人で、スイーツを運んできた。そして二人も俺らと同じテーブルに座る。

 おサボりですか? ……え、俺たちが来たから早めのおやつ休憩を貰って一緒に食べに来た?

 

「ひなはショートケーキもらって来たよー」

 

「私はモンブランなの。みんなで分けよう?」

 

「うん!」

 

 その後みんなでスイーツをシェアしながら雑談を興じた。もちろん俺は間接キスにならない様に、初めに自分が食べる分は取り分けましたよ?

 いくらニコポナデポが無くなり踏み台という立ち位置を卒業したとは言え、そこら辺の配慮は忘れてはならないのだ。

 

 

「またねギンちゃん、スゥちゃん」

 

「今度は一緒に遊ぼうね〜」

 

「バイバーイ!」

 

「美味しかったですー」

 

 その後なのはちゃんとひなちゃんと別れて翠屋を後にする。

 さてそろそろスーパーに寄って帰ろうかな?

 そんな事を考えていると、スバルちゃんが俺の服をクイクイと引っ張って来た。どこか行きたいところでもあるのかな?

 

「いっぱい食べたから運動したい!」

 

「そうだね。シューティングアーツの稽古でもする?」

 

「えー、私殴るのきらーい」

 

「ダーメ、最低限自分の身くらい守れる様にならないとね」

 

 シューティングアーツ……クイントさんの習得してる武術だっけ?

 聞いてみるとクイントさんは二人に護身用としてシューティングアーツを教えているのだとか。

 相手が逆上するから護身で武術教えるよりも、逃げ方教えたほうがいいと思うのは俺だけだろうか?

 

「ねぇ、どこか思いっきり身体を動かせるところある?」

 

「武術の訓練だったら、人目につかないところがいいだろうしうーん……あ、あそことか良いかも」

 

 幼い頃から登り続けている行きつけの山へやって来た。さーて、この時間帯ならここら辺から結界が……あ、あった!

 

「結界? ここは管理外世界ですよね? 魔法が使える人なんて……」

 

「うん。でもここ海鳴市は普通じゃないから、魔法使えるやつがたくさんいるんだよ。今まで会って来たアリサちゃんとかテスタロッサ姉妹、なのはちゃんにひなちゃんも魔導師」

 

「そーだったの!?」

 

 びっくり仰天な表情のスバルちゃん。

 彼女らを連れて山を登りきると、いつも通りそこにはヤマト……とすずかちゃんがいた。

 

 …………。

 

「デート邪魔してすいませんでした。出直して来ます」

 

「デートじゃなくて、訓練付き合えって頼まれただけだぞ?」

 

「……あ、あはは」

 

 その後すずかちゃんからも「気にしてないからいいよ」っと言われたため、山を降りるのは中止。

 

「ところで後ろの二人って昨日お前が念話で話してた……」

 

「レオ君の妹?」

 

「何でそうなる? 似てねえやんけ」

 

 その後二人にナカジマ姉妹を紹介。

 そしていつも通り人見知りを発揮したスバルちゃん。特にヤマトは男のため警戒度合いはオッドアイの俺ほどではないが高そうだ。

 

「ジー」

 

「後ろの子、俺を睨んでるんだが……」

 

「スバルちゃん? 昨日食べた唐揚げはこの人が、材料を買って来てくれたから作れたんだよ? つまりこの人がいなければ、昨日あの唐揚げを君は食べることができなかった!!」

 

「ありがとうヤマ兄!!」

 

「すごい手のひら返し!?」

 

「ほんと、現金な子だよ」

 

「スバル……」

 

 ギンガちゃんは「もう少し厳しくしたほうがいいかな……でも可愛いスバルに意地悪したくないしなぁ」と頭を抑える。

 

「まぁどうしてここに来たのかは分かったよ。シューティングアーツの練習がしたいんだね」

 

「はい、少し場所をお借りします。スバルやるよー」

 

「はーい……」

 

 やる気のなさそうな返事をするスバルちゃん。スバルちゃんは喧嘩とか叩き合う事が嫌いらしく、シューティングアーツにはかなり抵抗がある様だ。

 本当はどうにかしたほうが良いんだろうが、こればかりはなぁ。護身術を否定するのはクイントさんの教育方針に口出しすることになってしまうしうーん……。

 

「ギンガって言ったか? 嫌がってるのに何もそこまでしなくていいんじゃないか?」

 

「……そうなんですよ!」

 

「うぉ!?」

 

 俺の気持ちなんて知りもしないで容赦なくズバッと指摘したヤマトにギンガちゃんが詰め寄る。

 

「私も可愛い妹の嫌がることはしたくないです。でも私たちは少々生まれが特殊でして、これまでに何回も攫われかけているんです。その度にお母さんが助けてくれてましたが、お母さんの負担を少しでも減らしてあげたいので抵抗する手段が欲しいんです!」

 

 こ、これはクイントさんの得意技、マシンガントーク!! そうか、クイントさんの必殺技を娘であるギンガちゃんが使えないわけがないんだ!!

 

「だが下手に対抗すると返って相手を逆上させかねない。逃げる手段を鍛えたほうが良いと思うぞ?」

 

「そう……ですね」

 

「なぁスバル、ここでは逃げ足を鍛えるために足腰を鍛えてみないか?」

 

「うん!」

 

「よし、ついて来い!」

 

 ヤマトがスバルちゃんを連れて行ってしまった。

 俺が気にしていていても、クイントさんとかのことを考えて口出しできなかった事を容赦なく口を挟めるなんて流石オリ主!!

 そして論破された上に置いて行かれてしまったギンガちゃん。

 

「ま、まぁ足腰を鍛えたら、蹴りにも応用できるし……ね?」

 

「……はい」

 

 すずかちゃんが上手い事フォローを入れてくれたが、急に「あ、そうだ」と言って俺の方を向く。

 

「レオ君は足腰を重点的に鍛えてるから、戦いに関してもなんか学べる事があるかもしれないよ?」

 

「ゑ?」

 

「よろしくね!」

 

 

 〜数分後〜

 

「蹴りだけじゃなくて、踏み込みにも足腰は重要なんだね! そう言えば防御してたのに衝撃が身体に来たんだけど今のどうやったの!? 必ず蹴りは靴を当てようとしてたけど何か意味があるの!?」

 

 その後俺もギンガちゃんのマシンガントークの餌食となったのだった。

 せっかくだし中国武術とサバットの基礎でも教えてみようかしら?

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