見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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桃崎さん家の飼い猫リニス。(使い魔です)

「じゃーん! この子が私の新しい家族、リニスだよ! リニス、みんなに挨拶してね」

 

「ニャーン」

 

 流石に大人数でひなちゃん家にお邪魔するのも憚られたので、近くの公園で待機してひなちゃんにリニスを連れてきてもらった。

 

「わぁ、大きくてモフモフなの!」

 

「わぁ、リニスって言うんでちゅか? 可愛いでちゅねぇ♡」

 

「すずかニュール持ってたわよね。ちょうだい! 私ニュールあげたい!」

 

 ひなちゃん家のにゃんこ、リニスに三人組はメロメロになっている。

 あとすずかちゃん、君めちゃくちゃキャラ崩壊してるよ? 猫の前ではいつもこんなんなの?

 

(……なぁ、レオ)

 

(なんだよ。お前が念話で話してくるなんて珍しい)

 

(これってあれだよな……)

 

(あれ? 確かにあれはヤマネコだけど、この猫種なら海鳴市での飼育は問題なかったはずだぜ?)

 

(へぇ、そうなのか。ってそっちじゃねえよ! あの猫、使い魔だ)

 

(だから猫じゃなくてヤマネコだって……え?)

 

 使い魔? あのヤマネコって使い魔なのか? てことはリニスの本当の主人とかがひなちゃんの素性を探ろうとしてるってことなのか? だとしたら流石に許せねえなぁ。

 使い魔は常に契約者から魔力を供給されている。そこを辿ればどこの愚か者かも炙り出せるはずだ。

 

(……アスカ、やれい)

 

『分かりました。……あの、マスター。非っ常に言いづらいんですけど』

 

(どうした、見逃したの?)

 

『見逃しませんよ! 私を誰だと思ってるんですか!! ……いえ、ね。あのヤマネコからの魔力リンク……ひなちゃんと繋がってるんですよね』

 

「え?」

 

 とどのつまりひなちゃんはリニスと使い魔契約したと言うことだ。

 あの子に使い魔との契約方法教えてないはずだし、ぶっちゃけ俺も使い魔の作り方は分からない。だと言うのになんでひなちゃんは契約を……

 

「わー、リニスがニュール食べてるわよ! すごい食欲ね!」

 

「今度は私があげたいの! すずかちゃんもう一本ニュール持ってない!?」

 

「ダメだよなのちゃん! おやつは一日一本にしないと太っちゃう。り、リニス。不満そうな顔で見上げないでよ! そんな顔してもダメだからね?」

 

「でも一日くらい多くても良いでしょ。ね、ひなちゃんお願い!」

 

「ご、ごめんねなのはちゃん。私も一本にしておいた方がいいと思って一本しか持ってこなかったんだー」

 

「えー、そんにゃあー」

 

 あー、確信した。ひなちゃん絶対リニスと使い魔契約してない。これ完全にペットとしての扱いだもん。だとしたら無意識的に契約したってことなのかな?

 ……まぁ細かいことは後でいいや。

 

「そろそろ交代してもらっていーい? 俺も思っきしモフりたい!」

 

「いいよー。はい」

 

 使い魔がどうかは一旦置いておき、このモフモフの身体を思いっきり堪能させてもらう。

 うわぁ、毛の質感がサラサラで気持ちええなぁ。

 調子に乗って頭を撫でたら、ビクンと反応した直後に引っかかれた。

 俺のニコポナデポは動物相手にも有効なのか。ぐぬぬ……

 

 その後なのはちゃん達が帰り転生者達だけになったタイミングでヤマトがひなちゃんに話を切り出した。

 

「なぁひな。それ使い魔だよな、猫を使い魔にしたのか?」

 

「つかいま?」

 

 ほら、この子やっぱり分かってなかったよ。

 これはやっぱりこの猫から話を聞き出した方がいいかもしれないな。

 

「ねぇリニス。君俺らの言葉が分かるだろ? ちょっと色々教えてくれないか?」

 

「……分かりました」

 

 ひなちゃんの腕に抱かれてたリニスから若々しい声が聞こえる。

 直後、ひなちゃんはリニスを見つめて固まってしまった。

 数秒後、

 

「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!」

 

「おい待てひな。なんでそのネタを知っている?」

 

「ついこの間ワックのCMでやってたから、それを覚えていたんだろ」

 

 本来あのネタは2010年代頃の物のはずなのに、なぜ2000年代に聞くことになったのか。……まぁ違う世界だしそこら辺の齟齬はあるんだろうな。

 まぁ、それはさておき。

 

「リニス、ひなちゃんと契約したっぽいんだけど、契約までに至った経緯を教えてくれない?」

 

「分かりました。私は本来別の人の使い魔でした」

 

 リニスは続ける。

 記憶が混濁してよく覚えていないが、前の主人との契約内容を達成したことで自分は消える運命にあったと。

 ただ消える様をその主人やその主人の娘に見せて悲しませたくなくて、最後の力を振り絞って遠い遠いこの地まで単身やってきたと言うのだ。

 

「そしてついに力尽き、消えるのを待っていたのですが」

 

「それを偶然見つけたひなちゃんが無意識に上書き契約しちゃったと」

 

「……はい」

 

 そう言うことか。

 だとしたら今回はひなちゃんの転生特典はなんも関係なかったってことか。

 ……いや、魔力のリンクが回復したと言っても数日はリニスは寝込むはず。だとしたら特典はしっかり働いたのかもしれないな。

 

「んー? 難しいことはよく分かんない」

 

「ご、ごめんなさい。なんて言ったらいいのかしら?」

 

「つまり、ひなはリニスのご主人様ってことだ。だからこれからも大切に面倒を見てやるんだぞ」

 

「うん分かった!」

 

 ヤマト君? それでいいのかよ。

 それに使い魔契約をしたのなら気になる事がある。

 

「ひなちゃん、リニスと契約してるけど魔力は大丈夫? 魔力量から考えてリニスはかなり高位の使い魔だよ?」

 

「まりょくは大丈夫だよ。れお君と練習をいっぱいしてるから、ひなも成長してるのだ!」

 

 胸を張ってそう言うひなちゃんには、本当に余裕そうだ。

 なら俺からは言うことはない。

 

「えへへ、リニス。これからもよろしくね!」

 

「えぇっといいんですか? わざとではないといえ私はあなたを騙していたんですよ?」

 

「いーよ! 猫ちゃんとお話しできるなんて素敵だもん!!」

 

 結局この日はこれでお開きとなった。

 その後リニスはモモザキベーカリーの看板猫として、常連さんや道ゆく人に愛されるマスコットキャラクターと化した。

 俺もパンを買いに行くたびに撫でて帰るのが習慣と化したが、このヤマネコは頑なに頭を撫でさせようとしない。なぜだと問い詰めたら「レオさんに頭を撫でられるとゾクっとするので、頭だけは勘弁してください」とのこと。泣きそう。

 

 ……それにしてもリニスってどこかで見覚えがあるんだよなぁ。うーむ……

 

 




ひなちゃんの転生特典はいずれ詳しく書きます。
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