見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「主、みんなは無事の様です」
「ほんまやね。良かったわぁ」
連行されていたはやてとシグナムさんもこちらに合流。今こちらにいる戦えるメンツは俺と、フェイトちゃん、すずかちゃん、はやて、シグナム、リーン姉さん、シャマルさん、ザフィーラニキの8人か。
そして相手さんはグラサンどもが30人。
さてギンガちゃんとスバルちゃんの身柄を狙っているのは分かったが、まずはお話ししてみよう。
「それで、ギンガちゃんとスバルちゃんを今まで誘拐しようとしてたのはお前か。なんでそんな酷いことすんの?」
「酷い? それはこちらのセリフですよ。我々が完成させた戦闘機人を押収するから取り返そうとしているだけです」
「っ!」
ギンガちゃんの顔が強張る。
そしてフェイトちゃんが静かに戦闘機人について解説し始めた。
「戦闘機人……人と機械を融合させた半人半機の総称……。それとギンガは関係ないでしょう!?」
「関係ありますとも。なんて言ったって君達の守っている
ねっとりとした気持ちの悪い声でそんな事を宣う違法研究者。
なるほどクイントさんの言っていた生まれは特殊って言うのはそう言うことか。
大方ギンガちゃんとスバルちゃんはクイントさんがコイツの戦闘機人プラントを潰したときに保護した二人なのだろう。
クイントさんと二人が似過ぎているのは……おそらく二人はクイントさんの細胞で作られたクローンだから。だからクイントさんが親として二人を育てた。そう考えるのが普通だろう。
……いやクイントさんのことだから、二人が自分のクローンじゃなくても普通に娘として育てそうではあるなぁ。
「
「……下衆が」
シグナムさんがそう吐き捨てた。
彼女は今にもあのクソ野郎を殴り倒したい。そんな顔をしているが少し待ってもらおう。まだ肝心な事を聞いていないからな。
「……それで、ギンガちゃんを捕まえて最終的にお前は何を成したいのさ? 金? 名誉?」
「どちらもさ! あのプラントで成功したのは二人だけ、彼女らを切り刻んで解析すれば戦闘機人を安定して生み出すプロセスは整う!」
「……」
あのプレシアさんですら、フェイトちゃんを生み出した背景にはアリシアちゃんを取り戻したいと言う純粋な願いがあった。
だと言うのにコイツの狙いは、名誉と金かよ。
こりゃ許せねえなぁ。みんなの方をチラリと見ると、非常に鋭い視線で見ていた。きっと俺もそんな顔をしてるんだろうな。
「さぁ、それを渡しなさい! それはあなた達とは違う、ただの機械だ。私に渡してくれるいい子はこの場は見逃してあげましょう」
コイツ趣味悪いなぁ。ギンガちゃんの身柄を渡した者は見逃す。つまり誰か一人しか助からないと言う事。その上この場は見逃すだから、この場で助かった人も日を置いて誘拐しに来るのは目に見えている。
研究者の言葉にギンガちゃんは不安そうな表情で俺らを見る。
それを見た俺たちは、改めてギンガちゃんを守るために奴らに立ち塞がった。
「おやおや、人の姿をしているから情が湧いた様ですねぇ。良いんですか? せっかくの助かるチャンスを棒に振って?」
「ふざけるな! 人の姿をしている? 違う!! ギンガとスバルは人間だ!! お前なんかに絶対渡さない!!」
フェイトちゃんが普段絶対に使わない様な言葉遣いで吐き捨てる。
その言葉にすずかちゃんも頷いて静かに口を開く。
「そうだね。違うところがあっても、お話しできて一緒に笑い合えるならそれはもう人間だよ」
「それにアンタらにギンガちゃんを渡したら切り刻むんやろ? そんな事は友達の私たちが許さへん!!」
「右に同じく。それに加えて俺はクイントさんに二人を守れって頼まれてるんでね。約束通り二人を守るだけですわ」
「レオ、フェイト、すずかさんにはやてさん。み、みんな……」
俺らの言葉に違法研究者はニチャアっと気色の悪い笑みをこぼす。
いやほんとコイツキモいな! 喋り方キモいし、声もキモいし、顔もキモい。何をどうやったらそんな最低最悪な三賞を受賞出来るのか知りたいわ!
「それは残念、おいやれ。コイツらも貴重な材料だ、やり過ぎるなよ」
「了解。っへへガキ4人に女3人に犬1匹余裕だな」
「AMFあるここじゃあ、コイツらも何も出来ないガキだからな。これは狩りだよ狩り」
「これじゃあ念話で助けも呼べないしなぁ」
「……っ! みんな私のことはいいから逃げて!!」
グラサンどもがクソみたいな事を言いながら、テーザー銃を抜いて俺らの方へ歩いてくる。そんな様子にギンガちゃんが逃げる様に言ったが俺は全然余裕の表情。
そしてグラサンCの言葉に首を傾げたフェイトちゃん。
「あれ? 私普通に念話使えてたんだけど……」
「あぁ。この間の定期メンテでみんなのデバイスにAMF対策用プログラムを入れたからだね」
以前闇の書の管制人格……リーン姉さんとの戦いで、AMFを展開されてクロノ君が戦えなくなって一人でやる羽目になってから、二度とこんな事が起きない様にってみんなのデバイスに追加しておいたのだ。
「つまりどう言う事?」
「グラサンどもが狩りって言ったけど俺らが狩る側ってわけ」
「なるほどなぁ……シグナム、シャマル、ザフィーラ。殺さない程度に料理してやり。リインフォースは私とユニゾンや」
「「「「御意」」」」
はやてちゃんの言葉に一斉にグラサンどもを襲い出した八神家の面々。そしてそれと同じタイミングでグラサンどもの捕縛を始めたフェイトちゃんとすずかちゃん。
一方の俺はと言うと……。
「AMFを使ってまで魔導師と戦いたくないなら舐めプしてやんよ。震脚からの崩拳ドーン!」
「ッハ!?」
極限の踏み込みで放たれた拳は、グラサンの屈強な体に深く深く減り込み相手は血を吐く。
そのまま流れる様に回し蹴りで靴を相手のこめかみに当てたり、首に貫手で指を突っ込んだりして、一人一人素手で倒していく。
「レオ凄い……」
俺の戦い様をキラキラした目で見るギンガちゃん。
そんな姿に相手を氷漬けにしていたすずかちゃんから念話が飛んできた。
(ギンガちゃんレオ君に惚れちゃったんじゃない?)
(流石にそれはないだろ。戦い方に憧れただけだよ。……そうに違いない。てかそうあって欲しい)
惚れてはない。絶対に……。
まぁ、そんなこんなしているうちにグラサンは全滅。残るは違法研究者のみである。
流石のコイツも取り巻きがいなくなって不味いと思ったのか、青白い顔で二、三歩後ろに下がっている。
「ば、バカな!? AMFを張っていたのに、魔法が使えるなんて……!?」
「対策済みだバーカ。喧嘩を売るなら勝てる相手だと調べてからやるんだったな」
俺の言葉に「クソッ!」と吐き捨てると、通信機を取り出した研究者。
「おい、逃げるぞ! 早く私を守れ!! ……おい? おい!!」
「コイツらの事か?」
屋敷の中から、グラサンではないヒョロヒョロの男の首根っこを掴んで引きずってきたヤマト。
「ば、バカな……? コイツは影を操るレアスキルの使い手……いくらAMFで力を十二分に発揮できなかったとはいえ、ガキどもに負けるわけが……」
「と言われても勝ったからなぁ」
ヤマトは思い切りヒョロヒョロ男を地面に叩きつけると、そいつの背中を思い切り踏みつけた。見れば分かる、ヤマトもキレちゃってるよ。
そんなオリ主は違法研究者に淡々と告げた。
「それよりもお前は自分の心配をしたほうがいい。時と場所を考えずに襲撃したせいで、俺以上にキレてる奴がいるぞ」
直後屋敷の中から、黒コゲになったグラサンどもの首根っこを掴みながらゆっくり違法研究者の元へ歩いてくるこの屋敷の住民であるアリサちゃん。
「ふんっ!」
「かばぁ!?」
直後赤黒いオーラを纏ったアリサちゃんは違法研究者を見るなり、黒コゲのグラサンを適当に地面に捨てると、凄まじい踏み込みで彼との距離を詰めて、彼の顎を殴り抜いてしまった。
その直後結界が解けた。
「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ!! 今すぐ武装を解除して降伏し……すまない。来るのが遅くなったようだ」
「気にしないで。雑魚だったし」
むしろ結界が貼られてから今まで5分しか経っていない。逆によく5分でここまで来れたものだろう。
「とりあえず詳しい話は彼らを拘束してからにしよう。フェイト手伝ってくれ」
「その必要はないわ」
クロノ君とフェイトちゃんをアリサちゃんが止めると、パンパンと手を二回叩く。
直後アリサちゃんのすぐそばに鮫島さんが姿を現した。
「いかがなさいました、アリサお嬢様?」
「鮫島、コイツらを我が家の地下室に運んで頂戴。あ、そうそう。パパの部屋にある自白剤も持ってきておいて」
「かしこまりました」
「あ、アリサ?」
冷や汗を垂らすクロノ君に対してアリサちゃんはとてもいい笑顔を見せる。
「ここでは私が法律よ? だから私の家でスバルやギンガを攫おうとしたコイツらは私が裁く。安心して、事が済んだら身柄は引き渡すから♡」
アリサちゃんには鬼が宿っていた。