見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「ギンガー! スバルー!」
「「お母さん!!」」
その後アリサちゃんが奴らから必要な情報を聞き出したため本局へ移動。
そこでしばらく待っていると、引き継ぎを終えたクイントさんが凄い速さで娘二人に駆け寄る。
「怪我はない!? 大丈夫!? 平気!?」
「うん! なの姉が守ってくれたよ!!」
「それにレオ達がやっつけてくれた」
「そう。……良かった〜。レオ君娘を守ってくれてありがとうね」
クイントさんは心の底から安心したように、ヘタリと床に座り込むと、気の抜けた声で俺にお礼を言う。お礼はみんなにも言ってください。
直後本局のドアが乱暴に開けられ、中年のおっさんが部屋に飛び込んできた。
「二人は無事か!?」
「「お父さん!!」」
どうやら彼はクイントさんの夫のゲンヤさんらしい。
どうやら彼も娘二人が誘拐されかけたと知って、大急ぎで仕事を終わらせてこちらに来たようだ。
ゲンヤさんは二人の安否を確認すると、安心したように息を吐き俺らの方を向く。
「二人の父のゲンヤ・ナカジマだ。ギンガとスバルが世話になったようだな。ありがとよ」
「いえ別に、相手の強みがAMFしかなかったのが幸運でした」
「AMFは魔導師にとって致命的になると思うのは俺だけか?」
知ってる。だから俺は魔法で勝てない相手に肉弾戦仕掛けるためにAMFを習得してるし、相手に使われたときのために対策用プログラムを新たに開発してたんだ。
安心しきったナカジマ夫婦の下にリンディさんが来る。
「お久しぶりですクイント陸曹」
「えぇ、お久しぶりですリンディ提督。引っ越すと聞いてましたがそちらにいらしたんですね」
二人はどうやら知り合いの様だ。
……え、龍帝院繋がりでテスタロッサ姉妹とナカジマ姉妹が仲良くなったからその繋がりで? つまりはママ友と言うやつか。
「今回襲撃を受けた自宅の住民であるアリサさんという嘱託魔導師が、現行犯から色々情報を聞き出しています。ゲンヤさんも含めてあちらで少々そのお話を」
「分かりました」
「おう」
3人は隣の部屋でアリサちゃんが聞き出した情報についての話をしに行った。
それを見たヤマトが「随分と大きな事態になったなぁ」と呟く。
「まぁ追い払っただけならここまで大きくはならなかっただろうけど、捕まえた上に情報も吐かせたからねぇ。捕まえるには今がチャンスだろ」
「そうね。そう言う意味では我が家が襲撃されて良かったと言えるわね。研究者はあっさり吐いたけど、サングラスの男は自白剤打ってもなかなか喋らなかったんだもん。最後には泣きながら頼むから許してくれぇ、喋ったらボスに殺されちまうよぉって泣き喚いてたわ」
「あ、アリサちゃん! スバルちゃんとひなちゃんいるから。二人にそんな闇の世界の話を聞かせちゃダメ!!」
すずかちゃんが咄嗟にスバルちゃんの耳を塞いでアリサちゃんに注意をする。
大丈夫だよすずかちゃん。事前にひなちゃんの耳は俺が塞いでおいたから。
本来ならばアリサちゃんの口を押さえてこれ以上喋らせないようにするのだが、今回はスカッと案件のため奴らの顛末が知りたいのだ。
「それでそんなグラサンの言葉にアリサちゃんはどう返答したの?」ワクワク
「アンタなんて生きてても人様に迷惑しかかけないんだからさっさと死になさいよって言って、自白剤の量を増やしてやったわ。まぁ大丈夫よ。口ではああ言ったけど、アイツらはもう一生地球から出られないんだから、そのボスとやらも殺しには来れないわ」
「もうアリサ、やりすぎだよ!!」
「う、うーん。悪いのはサングラスのオジサン達だけど確かにこれは酷い」
フェイトちゃんがアリサちゃんを叱る中、普段はザマァと嘲笑うタイプのアリシアちゃんも今回は闇が深すぎてアリサちゃんに若干引いている。
「メシウマだな」
そしてそんな二人をよそに、ヤマトがいつの間にやら食堂からもらって来た炊き立ての白米をアリサちゃんの話をおかずにガツガツと食べていた。
ひなちゃんの耳塞いでて動けない中、お前一人だけそれをするとはずるいやつだ。
「ヤマ兄ずるい、私もお米食べたい!」
「お腹減ったし私もー!」
「お昼あれだけ食べてるのにまだ入るの!?」
ナカジマ姉妹の食欲に衝撃を受けるなのはちゃん。この二人の食欲は凄まじいからなぁ。気持ちは分かる。
だが確かに良い時間だし腹減ったな。今晩は本局の食堂で済ませてしまうか。
◇
「みんなご飯食べてるところ悪いけど少し良いかしら?」
食堂で食事をとっていると、ナカジマ夫妻を連れたリンディさんがやって来た。
クロノ君が今回の一件を俺らに回す様に立ち回ったのが功を奏して、アリサちゃんが聞き出して来た違法研究所の制圧に俺らが選ばれたそうだ。
「そしてもう一つ、今回はゼスト隊と合同で事件の解決に当たってもらいます」
「え、ゼスト隊!?」
今回の違法研究所がある場所は管理外世界。
つまりは海の仕事だ。一方クイントさんの所属するゼスト隊は陸、管理世界の治安維持が主な目的なのだが、一体どうやって……。
「ゼスト隊長がレジアス中将に許可もらったんだって。隊長今回の一件は相当許せなかったみたいで……」
「なーるほど」
部下を大切にするゼストさんの事だ。部下の愛娘である二人が攫われかけた事がよほど頭に来たのだろう。
それに言っちゃなんだがここには俺がいる。リンディさんと比較的仲の良い陸の嘱託である俺がいたからこそ、レジアスのおっちゃんも俺が良い架け橋になると踏んだんだろうな。
「アースラで研究所のある世界に向かいますが、ちょっとした遠征なんで二日は海鳴市に帰って来れないわ。みんなはまだ春休みよね?」
「はい。それに二日間は特に用事も無いです」
「私は明日習い事だったけど、パパがこっちを優先しても良いって言ってくれたわ」
「俺もやる事って言ったら、デバイス製作だけだし急ぎじゃ無いから大丈夫っす」
「分かったわ。明日の早朝に出発するから、今日は一旦帰ってお父様お母様にこのお話をしてね。来れる子も来れない子も一旦私に連絡をちょうだい」
◇
その後一旦帰宅した俺たち。今日のうちに荷物とか暇なとき用のウノとか準備しておくか。
ピロリロリーン
あ、風呂が沸いた。
「ギンガちゃん、スバルちゃん。お風呂沸いたから入っておいでー」
「はーい! いこ、ギン姉!!」
「うん。それじゃあ行ってくるね」
クイントさんはこれから遠征に向けての準備、ゲンヤさんも徹夜で明日の分の仕事を終わらせるとかで、今日までギンガちゃんとスバルちゃんは俺が預かっていた。
明日の早朝にはゲンヤさんに二人を返すため、今日は少し早めに休んでもらおう。
その後、俺の布団にギンガちゃんとスバルちゃんが潜り込んでくるアクシデントはあったが、翌日の早朝にはキチンと父親に娘二人をお返ししたのだった。