見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
ひなちゃんとアリシアちゃんとのデートから一週間後、俺はヤマトと対面していた。定期的にやっているヤマトとの模擬戦の日である。
俺とヤマトが本気で戦うと激戦の末に必ずどちらかが怪我するため、回復担当のひなちゃんを連れて来たかったが、本日桃崎家は家族みんなで動物園。しっかり楽しんで来て下さい。土産話期待しています。
と言う事で代理でシャマル先生を車椅子レーサーからお借りして来ました!!
「前回は不覚を取ったけど、あれから二週間。ある程度は言霊も使いこなせる様になった。もう不覚はない! 今日という今日こそはお前と言う踏み台を超えてやる!!」
「ククク、やってみろオリ主ィ。今日こそ貴様を葬り、その主人公の玉座を奪い取ってやる!!」
「ね、ねぇ なのはちゃん。二人って模擬戦する前っていつもこうなの?」
「うん。雰囲気出るからって主人公役と悪役になりきっちゃうの。二人とも子供なの」
ねぇせっかく緊迫した雰囲気で模擬戦開始といきたかったのに、なんで興が削がれる事を言うかなぁ?
ほらヤマトもなんとも言えない表情で二人を見てるよ。
(ヤマト、何も考えずに言って欲しい言葉があるんだけど)
(なんだ?)
少し懲らしめてやろうと思い、ヤマトに念話を送る。
ヤマトはなのはちゃんの方を向いて一言。
「俺のなのはへ対する好感度が下がりに下がった。なのはに対する感情が親友から友達にランクダウン」
「え、そ、そんな……」
「あ、あら……だ、大丈夫よなのはちゃん。まだお友達評価だから挽回はできるわ!!」
なのはちゃんはショックを受けた表情で崩れ落ち、シャマルさんは苦笑いでなのはちゃんを励ます。
ククク、良い表情をするじゃないかなのはちゃん。もしこの世界がまどマギだったなら今頃なのはちゃんは絶望の果てに魔女に変貌している事だろう。(ゲス顔)
その後ヤマトがネタばらしをしたため、半泣きのなのはちゃんに「お兄ちゃんに言いつけるの」と処刑宣告されてしまいました。流石に恭也さんの制裁はシャレにならないため土下座して許して貰いました。
「……さて、気を取り直して始めるかー」
「そうだな。さっさとやって俺ん家でゲーム大会するか」
「そうしよそうしよ」
「「おりゃー」」
「今度はやる気無さすぎない?」
「にゃはは」
俺とヤマトは適当な掛け声とともに、全力でぶつかり合った。
〜一時間後〜
「ぐ……【回復】」
「チッまたかよ、しつこいなぁ!」
ひなちゃんと戦い続けて持久力を上げておいて良かった。そうじゃないと今頃5回くらいは撃墜していた事だろう。
「【加速】!」
言霊で速さを底上げしたヤマトが一瞬で俺の懐を取る。
ある程度消耗した俺に近接戦は悪手だ。普通ならば遠距離から安全にスフィアや砲撃を撃てば良いんだからな。だが現在結界内はファンメランで暴風域を使用しており、グラディウスの銃弾は使えず飛ぶことも出来ない。砲撃は使えるが砲撃を挙動をしたらすぐ様俺がスフィアで迎撃する。抜かりはない。
故にヤマトが俺にダメージを与えるには近接しかないわけだ。
「《ルインズザンバー》!」
「見えてんだよ!!」
ヤマトの袈裟の一閃を剣の持ち手を掴むことでガード。
甘いなヤマト! 高機動の相手対策に定期的にバッティングセンター行って、目を慣らしてんだよ!!
いくら速度を盛った所で俺の不意を突かなければ意味はない!
そのまま流れる様にやつの腹に突きを……
「【防御】!」
「鎧通し!!」
「カハッ!?」
いくら表面を固めようが内側に直接衝撃を伝えられたら意味ないでしょうが。基本は中国武術とサバットしか使わないけど、俺がいろんな武術に精通してるって忘れたのかな?
「《サン》!!」
「うぐう!?」
そしてそのままヤマトの身体をバインドで拘束して、巨大な火球の中に閉じ込める。
本来ならば言霊で対処可能だろうが、腹を殴ったときにあいつは肺の中の空気を全部吐き出しているから言霊を使う事は難しい。かと言って息を吸おうにも周りの熱量は数千度。息を吸った瞬間肺が焼かれるだろうな。
……最も非殺傷絶対だから痛みしか感じない親切設計だけどな。
さてヤマトがこの炎熱地獄から抜け出す前に充分に距離を取ってっと……
俺が充分すぎるほどヤマトと距離をとったタイミングで、火球から黒焦げで息も絶え絶えなヤマトが出てきた。
「【回ふ「《バースト》」な!?」
すぐさま回復の言霊を使おうするがこの模擬戦で既に2回回復を使っている。良い加減やらせる訳にはいかないため、火球を起爆させてその爆発にヤマトを巻き込んでやる。
さて充分隙を作った事だしここからはゴリ押し殺法……。
「《トールサンダー》! 《トールサンダー》! 《トールサンダー》! 《トールサンダー》! ……
大量の魔力を込めた極太の雷をヤマトに向かって、何回も何回も撃ち込みまくる。
確認しながら魔法を撃っているがやつは高速起動でそこから動いてはいない。全て防御、もしくは被弾してるはずだ。
《トールサンダー》! 《トールサンダー》! トール「やめて! ヤマト君のライフはもうゼロなの!!」……そう?」
なのはちゃんが止めに入ったため攻撃を中止してヤマトの方を見ると、白目を剥いて意識を失ったヤマトの姿。
「よし、今日も俺の勝ち!」
「よくないの! 撃墜したのに追撃するのはダメなんだよ!?」
「でもさなのはちゃん。ちょっとでも意識あったら言霊で回復するんだし、しっかり気絶させないと勝負つかないじゃん」
「……言い返せないの」
「はい論破!」(イラッとする顔)
無言で頬を引っ張り出したなのはちゃんに対抗して俺もなのはちゃんの頬を引っ張っている間に、シャマルさんの回復魔法でヤマトのダメージは完全回復した様だ。
「はい、終わりましたよー」
「……いつつ、また負けた。……と言うかお前戦い方変えたな」
ヤマトの言葉に頰を引っ張り引っ張られてたなのはちゃんが、俺の頬から手を離した。
…………。
「
「はい」
なのはちゃんは涙目でしばらく頬をさすっていたが、ちょっとして復帰。
「私もヤマト君と同じこと思ってたの。なんと言うか属性魔法が充実したよね」
「ヤマトに対抗して自分の戦い方を見つめ直した結果、俺は変換資質をデバイスの動力に集中しすぎて属性攻撃があんまり充実してないことに気づいたんで、ゴリ押し殺法なるものを開発させていただきました」
「ま、マジか……。まさかレオも自らの弱点を克服していたなんて……」
「ふぇえ!? それってつまりなのは達とレオ君の実力差が大きく離されちゃったって事ではー!?」
「うん。追いつける様にがんば!」(めっちゃ良い笑顔)
その後俺もシャマル先生に回復魔法をかけて貰い、お互いに流石に疲れたという事で本日は解散。シャマル先生を見送った俺たちは3人でヤマトの家にゲームをしに行くのであった。