見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
なんとなく良さげなデバイスのイメージが湧いたため、現在制作に取り掛かっていた。
使うか使わないかは別にしても、なんとなく作ろうと思ったにしても妥協は一切しない。
最高の素材を使って最高のデバイスに仕上げて見せる。それがデバイスマイスターとしての義務であり責任なのだ!!
何はともあれデバイス制作もひと段落して呑気にコーヒーを啜っていると、作業用PCに一通のメールが来る。送り主は……やっぱりファイブさんからか。PCにメールしてくるのなんてファイブさんしかいないからなぁ。
『聞いて欲しい。久しぶりに次女が帰って来たのだが、四女のメガネが次女の脱いだ服なんかの匂いを吸って「はぁああああ♡お姉様の匂い最っ高♡」とか言ってて気持ち悪いんだ』
「またメガネかよ。ただでさえドSで悪女でマッドで腹黒メガネで属性盛り盛りなのに、それにさらにシスコンってどんだけ属性追加すれば気が済むんだよ。いい加減にしろっと」
…………。
あ、またメッセージ来た。
『そう言えばドクターが君に興味を持っていてな。組織に所属するかは置いておいて一度会ってみないか? 良ければ明日にでもそちらにお邪魔させて欲しい』
俺は一回洗面所で顔を……特に目をしっかりと洗ってから再びPCに向かい合うと、やはり見間違いではなく明日俺の家にお邪魔していいかという内容だった。
こいつ本気で言ってんのか?
「えー、でもファイブさんらってメールの内容からして犯罪組織だろ? 管理外世界のくせに高ランク魔導師が10人以上住んでいる魔境に来るってリスクありすぎない? 大丈夫? ……送信っと」
『それについてドクターは「まぁなんとかなるだろ。アッハッハ」っと答えていた。別にドクター強くも無いし同行者は私だけなのに、一体どうするつもりなんだ?』
「ドクターって実はバカなん? ……送信」
『父親に対して言うのもなんだが、絶対馬鹿だろうな。馬鹿と天才は紙一重って言うし』
まぁドクター自身がいいと言うならば明日は予定は無いし別に断る理由はない。
正確な日時を聞いてメッセージのやり取りは終了した。
ふぅ、いくら犯罪組織の親玉とは言え明日はお客様として来るわけだし、取り敢えず茶菓子とかの用意はしておかないとな。
〜翌日〜
ピンポーン
「あ、来なすった。はいはーい、今開けますよーっと」
玄関のドアを開けるとそこに居たのは、ラバースーツを着込んだ銀髪の女の子。チンクだった。
「やぁ。今日は時間を取らせてて申し訳なかった」
「気にすんな。やっぱりファイブさんってチンクだったんだな」
「やっぱりって事はバレてたか……あ、すまないが来てくれないか? ドクターが金髪の姉妹に絡んだせいで彼女らの母親にボコボコにされてるんだ」
「自業自得じゃね? そのまま管理局にしょっぴいてもらえ」
「私もそうは思うんだが、ドクターが捕まってしまったら私達は食い扶持に困る事になってしまうんだ。頼む」
仕方ねえなぁ。
俺はチンクに案内されてドクターと呼ばれる人の所へ……
「あ、ごめん。ラバースーツは流石に変な目で見られる。俺の服貸してやるからまずは着替えて?」
「そうか。分かった」
アリサちゃんとヴィータちゃんと二人でミッドに行ったときに、アリサちゃんが女物の服を買って俺に押し付けて来て良かった。
女物の服をチンクに貸してすっかり女の子らしくなった彼女と共に、ドクターの下へ向かった。
◇
数分間歩いて公園に案内される。
そこには白衣を着た顔がベコンベコンに歪んだ男性と、彼の胸ぐらを掴んでいるプレシアさん。そして涙目のフェイトちゃんをアリシアちゃんが守っていると言うシュールな光景が広がっていた。
「プレシアさん」
「あら、レオ君じゃない。どうしたの?」
「いや〜。プレシアさんが胸ぐら掴んでる人、俺に会うために来たっぽくて……取り敢えず俺の用事から済ませたいんですけど良いですかね?」
「やめておきなさい。どうせこの変態はあなたを改造させてとか、遺伝子ちょうだいとしか言わないわ。ここで始末した方が世のため人のためよ」
おおう、すげえ言われようで。
プレシアさんは彼のことを知っている様だな。しかもその反応だと相当な曲者なのだろう。
「グフッ……なかなか酷いじゃあないか、プレシア女史。それにフェイト君は私が立てた基礎理論を元にしたプロジェクトFで作られた。と言う事はフェイト君は私の娘でもあると言う事!! 可愛い娘にパパの胸に飛び込んでおいで〜っと言って何が悪い!! 「黙りなさい」ぐぶぅ!!」
……変態だ。紛う事なき変態だー!!
てかこの人がプロジェクトFの基礎理論を作った? 何気にとんでもないことやらかしてる研究者じゃないか!!
「なぁチンク。やっぱりコイツはお前ともども逮捕してもらおうぜ? チンクは殺人未遂だけど管理局の体制甘々だしギリギリ無償奉仕になるだろ」
「生きていたのか? 確実に息の根を止めたはずだったんだが……」
初めて会ったときに違法研究者を殺してたが、ひなちゃんが蘇生してくれた事で殺人未遂に減刑されたんだよ。まぁネタばらしをしたらひなちゃんが狙われるから黙っておくけど。
「だが私や頭のおかしい姉達はそれでいいにしても妹達はどうなる? 姉としてせめて妹達の食い扶持くらいは稼いでやらなければ……」
「無償奉仕が終わるまでは、チンクともどもうちで面倒見ようか?」
「い、いいのか? それは助か「そ、それってプロポーズ!? 私を差し置いてレオはこの人を選ぶの!?」うわ、ビックリした!?」
俺の言い方をプロポーズと勘違いしたアリシアちゃんが俺に詰め寄って来た。
だがアリシアちゃんに対してチンクはあくまで大人の対応をする。
「別に私は異性としてはレオを好いてはいないぞ? 変人しかいない我が組織の愚痴をぶちまける話し相手がいい所だ。彼が言いたかったのは、組織のボスが逮捕されて行く所が無くなる私達を自分達で生活できるまでの間面倒を見ようと言う提案をされたんだよ」
「あ、そう言うことか。ごめんごめん勘違いしちゃった……でもレオが身元引受人になるのはダメ」
「一緒に生活してたらライバル増える可能性が高いから?」
「そう! ただでさえライバルがひなとギンガで二人もいるのに、これ以上ライバルが増えたら困るんだから、気をつけてよねもう!!」
「理不尽すぎね?」
その光景を見たチンクは小声で「モテるんだな」と言って来たのだった。ヤマトほどでは無いけどねぇ。
後アリシアちゃん。いい加減後ろのフェイトちゃんのことも見てあげよう。
ドクターに「フェイト君! 今からでも遅くない。パパの胸に飛び込みたまえ!! そしてプレシア女史を止めてくれ!!」と言われて「お姉ちゃん助けて〜」って泣いてしまってるから。
「それでドクターだっけ? 俺に用があったっぽいけど、一体どうしたん?」
プレシアさんがドクターを痛ぶるのをやめて、守る人がいなくなって泣きじゃくるフェイトちゃんを慰めに行った隙に倒れているドクターの下へ行く。
「おっとそうだった。君には前から興味があってね、是非とも会って話してみたいと思っていたのだよ。魔法を使えない者でも魔法を使える技術を一から完成させた天才児。ミヤサカ レオ君。私はジェイル・スカリエッティだ」