見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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やめろぉ、俺はサウナに行きたいんじゃ!……え、子供用サウナ?

「一緒に入ろーよー」

 

「そーだそーだ! 一緒に温泉に入る機会なんて今しかないんだから!」

 

「ひなとアリシアとは一緒にお風呂入ったことがあるんでしょ? 私も一緒に入りたい!」

 

「やめろぉ、離せぇ! 俺はサウナに行きたいんじゃ!」

 

 男湯に逃げ込む直前、ひなちゃん達に捕まってしまった俺氏。いやまさか男子更衣室まで追いかけてくるとは思わなんだ。

 だが今回ばかりは子供湯に行くわけにはいかない。学校に嘱託の仕事にすずかちゃん達のデバイスの講義なんかで去年以上に忙しい毎日を過ごす俺。今年こそはサウナでゆっくり身体と精神を癒やしたいのだ。

 

(あれ、お姉ちゃーん? 男湯に入ってるの?)

 

(ううん。レオを子供用温泉に連れて行こうと引っ張ってるところ。でもサウナに入りたいからって抵抗されてる)

 

(何もそんなに無理やり連れてこなくても……)

 

(なぁレオ? サウナ入りたいなら子供用の温泉の方にサウナが新しく出来てるぞ?)

 

 え、マジで?

 困った一緒に入るのを断る口実が無くなってしまった。これでは……

 

「なら問題ないよね。きょーせーれんこーだー!」

 

「「おー!」」

 

 こうなりますよね。

 

「くそ、くそぉおお! タダでは消えんぞ、そこで呑気に様子を見てるユーノ君、貴様も道連れだぁあああ!!」

 

「あ、別に僕はいいよ。君達の中に僕が入っても気まずくなるだけだし、それにいじめっ子のクロノとサウナで決着つける予定があるから」

 

 ユーノ君を掴もうとした手はそう言って振り払われてしまい、なすすべなく子供湯に連行された俺なのであった。

 

 

 ◇

 

 

 断る口実だったとは言えサウナに入りたいのは本当だったので、サウナに入らせてもらったのだがひなちゃん達俺派の子達のほかに、ヤマト派の人までついて来た件について。

 

「別になのはちゃん達までついてこなくて良かったんだよ?」

 

「ヤマト君がレオ君とサウナに行ったからなの」

 

「ヤマトお前さぁ……」

 

「?」

 

 いや、頭にハテナマーク浮かべんな。

 俺がサウナ行ったらちょっとの間とはいえ不純物のいない、ヤマトとヤマト派みんなのハーレム空間になるじゃないか。だと言うのになんで俺について来たんだよお前はよぉ。

 

「あれか? 実は俺が本命でしたとか言うなよ? いくら顔とか体付きが女っぽいからって、ホモルートに飛び込もうとすんなよな?」

 

「俺を勝手にホモ扱いするな。掘ってやろうか?」

 

「その言葉が出る時点でお前ホモじゃねえか。後純粋な子たちがいるから下ネタはやめろ」

 

「いや、先に言い始めたお前が言うか?」

 

 その他の話題に疎いひなちゃんを初め、BLネタに疎い女性陣は「ほる?」と頭にハテナマークを浮かべていたが、文学少女であるすずかちゃんとはやては顔を赤くしていた。いやいや小学4年になったばかりだと言うのになんて本読んでんだアンタらは?

 

「まぁ冗談だけど。……それにしても流石はサウナ、久しぶりに入ったけど暑いなぁ……」

 

「初めて入ったけどこんなに暑いものだとは思わなかったわ……」

 

 ヤマトとアリサちゃんがそう呟くが、言うほどそうか?

 正直子供用だけあってそんなに暑くない。ぶっちゃけもっと暑い方が好みなんだけどなぁ。

 

「ねぇ一体これのどこが良いの〜。もう出たいよ〜」

 

「アリシアちゃんに同感なの。私達もう出る……」

 

「うん。あ、水風呂入るときは先にシャワーで汗流してね?」

 

 慣れないサウナで限界を迎えたなのはちゃんとアリシアちゃんはサウナから出る。

 スバルちゃんは「暑いからいや!」とサウナに入ろうとしなくて、チンクに見てもらってるからなのはちゃんが合流すれば喜ぶだろう。

 

「……汗が流れ出る感覚は気持ちいいけど暑すぎる。私ももう出るね」

 

「私も。みんなはゆっくり入ってていいから」

 

 それからわずか数分でギンガちゃんとすずかちゃんもアウト。

 ……そう言えばサウナに入ってから割と時間経ってるし、ひなちゃんには出るように促した方が良いかね?

 そう思いチラリと俺の隣に座っていたひなちゃんを見てみると……、なかなか気持ちよさそうな顔で汗を流していた。

 

「ひなちゃんは平気なの?」

 

「ひなは平気だよ? それにもっとサウナにいた方が水風呂が気持ちいいもん」

 

「そう? 暑さを我慢しすぎて倒れないようにね?」

 

「うん」

 

 てっきりサウナに入り慣れていないと思ったが、聞くと羽鳥さんと温泉に行ったときによく二人で入るんだとか。

 なら大丈夫か。まぁ俺も後もうちょっとサウナを楽しむ予定だし、俺が出るときに一度出るように促そう。

 その結論に辿り着いてから再び全身でサウナを熱を堪能していたが、やがてフェイトちゃんも限界を迎えたらしい。

 

「私も出る。みんなはまだいるの?」

 

「ええ。もうちょっといるわ」

 

「……つらそうだよ? ほんとに大丈夫なの?」

 

「心配せんでええよフェイトちゃん。私らはもうちょっと頑張るわ……」

 

「倒れないようにね?」

 

 ……さてはアリサちゃんとはやては俺とヤマトに対抗してやがるな?

 大方男子にはなんか負けたくないって言うくだらないプライドから、暑くて出たいのも我慢してこの灼熱地獄を耐え続けているのだろう。

 サウナとは楽しむものだと言うのに分かっていない。恥を知れ恥を!

 

(……レオ)

 

(どうしたヤマト?)

 

(絶対に女子組には負けない様にしよう)

 

(ブルータス、お前もか)

 

 ……なんか萎えたな。

 サウナエンジョイ勢の俺には我慢くらべに興じる連中の気持ちは分からない。

 いい感じに汗も流れたしそろそろ水風呂で体を整えよう。

 

「俺も出るわ。ひなちゃんはどうする?」

 

「……ひなもそろそろ出る」

 

「な……頑張れレオ! お前はまだ頑張れるだろ!!」

 

「ひな! 火属性の根性を見せなさい!!」

 

「エンジョイ勢はここで退散させていただきますよ。後は君達だけでどうぞ」

 

「ふ、レオ君も大した事ないなぁ」

 

 はやてが俺を煽って来やがった。

 売られたケンカは買うタイプの俺は普段ならこのケンカを高く買い取って最後まで付き合うのだがサウナは別。

 この神聖な場を下らない子供の戦場にする気はないため、はやての売り言葉は「はいはい俺は雑魚ですよ」と流してひなちゃんと一緒にサウナを出る。

 

「水風呂水風呂〜♪」

 

「あ、コラ! 先にシャワーで汗を洗い流して」

 

 水風呂に入ろうとするひなちゃんを止めて、先にシャワーで汗を流させてからゆっくりと水風呂に入る。

 急激な温度変化は心臓に負担をかけてしまう。だから最初は足から。ゆっくりと膝を曲げて水の中に体を沈めて……

 

「冷たーい! でもこれがいいんだよー」

 

「……くぅううう! この為に俺は生きている!!」

 

 水風呂で身体の熱が抜けていくのを存分に感じてから水風呂を出る。

 

「はー、気持ちよかったー。ねぇねぇ水鉄砲で遊ぼ?」

 

「いいよー。丁度みんなが水鉄砲で遊んでるし混ぜてもらおうか」

 

 その後去年の様に水鉄砲で遊んでいると、はやてとアリサちゃんがサウナから出て来た。

 どうやら暑さ我慢比べはヤマトが優勝か。

 

 それから数分後。あんまりにもヤマトが出てこない為もしやと思い覗いてみると、サウナの中でぶっ倒れたヤマトを目撃。

 サウナから出してから水をかけたり、腹を殴ったりして無理矢理意識を覚醒させて言霊を使わせて事なきを得ましたとさ。

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