見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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とある夜のひと騒動

 放課後、それは学生にとって一番楽しい時間である。

 クラブ活動を行ってもよし、友達と遊んでもよし、塾に行ってもよしだ。

 

「俺は塾行ってないんで、今日はここでお別れね」

 

「れお君も一緒に塾行こうよー。ひな達だけお勉強だなんてずるいよー」

 

 ひなちゃんが頬を膨らませて抗議してくるが聞き流す。ふははは俺は前世の記憶があるから授業と宿題すれば普通に授業についていける。故に塾なんて必要なし。

 それに……。

 不安そうな三人娘に手招きして小声で話す。

 

「心配せんでも、ヤマトとの下校の邪魔はしないって」

 

「……アンタが友達でよかったわ」

 

 そう、三人娘にとっては普段友達と言うことで一緒に行動している異物()がおらず、安心してヤマトの奪い合いを開催できる数少ない機会なのだ。

 

「そういえば最近すぐ帰ってるよね? 遊びに誘っても断っちゃうし……」

 

「俺は俺ですっごい楽しい事をやってるんだよ」

 

「いや、だからそれが何かって聞いてんのよ」

 

「秘密、ただもうすぐ完成するからそのときに教えるよ。楽しみにしてて」

 

 さらに怪訝な表情を浮かべるアリサちゃん達だったが、そんな顔してられるのも今のうちだ。

 あとひなちゃん、頬を膨らませ続けるのやめて。膨らみすぎて面白いことになってるから。……プッ、クク。

 

 〜下校途中〜

 

「……まさか実物を見て思い出すだなんて。これなら忘れたままでよかったよ」

 

『そうも言ってられないでしょう? ここで回収しますか、封印だけして放置しますか?』

 

 悲報、ジュエルシードを見つけたでござる。

 え、どうすんのこれ。てか割と近くで金髪の女の子が斧型デバイス持ってスタンバイしてるし! あの子あれだろ? よく思い出せないけどほら、……一期のライバルの子だろ!?

 

(正直ここであの子と争ってもしょうがないよなぁ。早いとこ()()も完成させないといけないし)

 

『ではどうするんです?』

 

(封印もせずに放置。どうせ放っておいても、あの子が回収するよ)

 

 さてそうと決まればここに用はない。

 初めからジュエルシードなんてものは無かったと思い込みながら、足速に帰路についた。

 

「……あの子、これ放置しちゃったけど魔導師じゃ無かったのかな?」

 

 後ろからなんか聞こえたけど無視だ。俺は何も見なかった。

 

 

 〜帰宅後〜

 

「………………」

 

 理論は外付けのリンカーコアって感じで、バッテリー内の魔力を一旦全身に循環させてから魔法を行使する……、

 ただそれだと魔法を使うときに発動までに数秒のタイムラグが発生するけど……、なら常に魔力を循環させ続けておけば……

 

『マスター、もう夜ですよ』

 

「え? ……もう九時じゃん。集中しすぎたー」

 

 早くご飯食べて風呂入らなければ。

 晩御飯は……カロリーメイツでいいや。

 

 〜三十分後〜

 

 いっぺん動作テスト。……意外と身体への負担大きいな。身体が丈夫な俺でこれだから、普通の人が使うにはかなりキツイんじゃないか? なら弱体化してしまうけど一度に引き出せる魔力の量を落として……。

 あとこれだけ負荷がかかるなら、無茶ができないようにセーフティーもつけておこう。AIが叛逆したときの為にもセーフティーは俺以外にいじらないようにシステムを特別な枠に入れておいて……。

 

『マスター、もう今日は切り上げたらどうですか?』

 

「いまゾーンに入ってるからお構いなく。なんなら今夜はオールナイトでやるわ」

 

『その社畜精神と根性は賞賛に値しますけどねぇ……』

 

(僕の声が……聞こえる方……。お願いです……)

 

 ん? なんだ、なんかの勧誘の念話か?

 

「アスカ〜今の念話ブロックリストに入れておいて〜』

 

『念話にそんな機能ないですよ。無差別念話です。おそらくひなちゃんやヤマト君もこの念話を受け取ってるでしょうね』

 

 ピルルルルル

 ピルルルルル

 

 机の上に適当に投げ捨ててた携帯がアラームを鳴らす。

 ええっと……ヤマトからか。

 

「おいコラヤマト。最近電話代が高くなったから、話しをしたいときは念話にしてくれって俺は言わなかったか!?」

 

『あ、ああ、そうだったなすまない……ってそれどころじゃねえ! 今の念話が聞こえなかったのか!?』

 

「あぁ、聞こえたな。どうすんの? お前行くの?」

 

『あぁ、お前とひなと三人で様子を見に行くぞ』

 

「俺今忙しいから無理。後ひなちゃんも普段この時間は既に寝てるから、起こしたらメチャクチャ不機嫌になるぞ」

 

『ひなはともかくお前ただめんどくさいだけだろ!?』

 

「そうでーす。そもそも、お前強いんだし一人で充分だろ。任せたわ」

 

『クソ、お前にかけたのが間違いだった。ケツからタバスコ吹き出して死ね!』

 

 そう言って電話を切られた。

 ケツからタバスコ吹き出したくらいじゃ人間死なん。痔になるだけや!

 

『マスター、本当にいいんですか?』

 

「ああ、今は一刻も早くこれを仕上げた方がいい」

 

『……あくまで独り言なんですが、今朝倒した踏み台その1ってもう起きてるでしょう』

 

「…………」

 

『アレも雑魚ではありますが、マスターと同じ転生者であり魔力SSSの持ち主です』

 

「……え?」

 

『もしあの金髪が今の念話を聞いていて、余計な事をしに来たのなら……状況が悪化すると思いません?』

 

「しょおがねえなぁ! ちょっとだけだぞ!!」

 

『このマスターはほんとチョロくて使いやすいですね』

 

 バリアジャケットを展開した俺はベランダから飛び立つ。

 屋根のすぐ上を飛びながら、念話の発信源を探すとそこにはなのはちゃんと彼女を守るヤマトの姿だった。

 

「おいなのは! 俺はこの化け物を封印は出来ないけど抑えることはできる! 時間を稼ぐからお前は今のうちにフェレットのところへ……!」

 

「わ、分かったの! ありがとうヤマト君!」

 

 化け物をバインドでしまいながら叫ぶヤマトの指示に従い、フェレットの近くへ行くなのはちゃん。

 近くへ来た事を確認したフェレットが「今の僕の魔力じゃアレを止められない! でもあなたなら……」と喋った。

 

「……最近の動物って喋るのが流行ってんのかな?」

 

『さあ? あ、あのフェレット、なのはちゃんにデバイスを渡しましたよ。……ふん、私より低位のデバイスですね』

 

「黙れナルシスト」

 

 なのはちゃんは赤い宝石型の待機状態のデバイスと契約を開始する。

 だがその数秒後……

 

「なのは! この俺が助けに来てやったぜ!!」ニコッ

 

「ヒッ、リュウヤ君!? なんでこんなところに……」

 

『ほら、来たでしょう?』

 

「流石っすアスカ姐さん」

 

 金髪が得意げな顔でバインドで縛られた化け物を見て、しばらく固まったかと思えばバインドを張っているヤマトを発見して顔を歪める!

 

「なんでお前がここにいんだモブゥ!!」

 

「ちょ、おま、今俺に攻撃したらバインドが……、あ! ぐぁあああああああ!!」

 

 いきなりの攻撃に怯んだヤマトがバインドを解いてしまった。

 自由になった化け物は今までの鬱憤を晴らすように大暴れを始めて、ヤマトを吹き飛ばしてしまった。

 

『これはいけませんね』

 

「ほんとアスカの勘を信じておいてよかった」

 

『どのデバイスを使いますか? Nロッド? Mブラスター? それともわ・た・し?』

 

「Nロッド、セットアップ!」

 

『無視は酷いですよ』

 

 魔力に物を言わせてスフィアを大量に生成すると、金髪ごと化け物にお見舞いしてやる。

 

「ぎゃあああアアアアア!!!!」

 

 そして弱りきったタイミングで遠距離からバインドで固定してやった。

 

「な、何が起きたの!?」

 

「く、詳しい話は後にして、もう一度儀式をお願いします!」

 

「分かったの!」

 

 その後魔法少女に覚醒したなのはちゃんの活躍ぶりを遠まきながら眺め、ジュエルシードを封印したのを確認して、自宅へと帰ったのだった。

 なのはちゃんがデバイスを手に入れたのなら、なのはちゃんの()()は作らなくていいか。

 

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