見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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このロストロギア、俺の下から離れないんだけど!?

「あ、あの……アスカさん? もう一度言ってくれると嬉しいかなぁ?」

 

『えぇ。先日マスターが見つけた遺跡は古代ベルカの魔王王家の宝物庫。そしてマスターは直系の魔王王家の末裔でしたので宝物庫の鍵を開ける事に成功したと言うわけです。あ、証拠の映像はこちらにあります』

 

 リンディさんの問いかけにアスカが答えると、俺の十八番である証拠どりした映像の提出を行い、机の上に置かれたロストロギアを入手した経緯を見せる。

 

「わ、私の好きな人が、凄い人だった件について……」

 

「正直俺も驚いてる。急にアスカが王族の血を引いてるとか言うんですもん」

 

 俺の発言にリンディさんと共に驚いていたテスタロッサ姉妹の妹の方がおずおずと俺に問いかける。

 

「アスカってレオが作ったんだよね? なのにどうしてレオが知らなくてアスカが知ってるの?」

 

「そりゃあアスカのAIは俺作ってないもん。物心ついたときから俺のそばにいた、死んだ両親の形見(と言う設定)だからな」

 

『そもそも私はマスターの両親が留守中に寂しくない様にって話し相手として作られたAI(という設定)ですからね』

 

「そう。だから麗央君の血統について知っていたのね」

 

 リンディさんは納得した表情で頷くと、真剣な表情を浮かべる。同席していたクロノ君やプレシアさんも同じくかなり真剣な表情。

 別にとっととこのロストロギアを回収してくれれば良いのにどうしてそんな顔をするのだろうか?

 

「麗央君。はっきり言いますけど、このロストロギアの所有権はあなたにあります」

 

「え、急ですね」

 

 なんでも管理外世界で発見された上に、見つけた……いいや。保有していたのは管理局が設立される前から存在していた本来このロストロギアを所有していた王家の末裔であった事。

 この二つからこのロストロギアの持ち主は俺であるらしい。

 

「いくらあなたが嘱託と言えど私達がこのロストロギアを回収する権利が今の管理局法ではないのよ」

 

 あ〜、確かに先祖代々受け継いで来たものをぽっと出の組織が回収しようとしたら暴動が起きるからね。

 ならばここで俺が取れる選択肢は二つ。

 ①ロストロギアの所有権に乗っ取りこの水晶は俺が所有する事。

 ②所有権を放棄して譲る形で管理局に渡す事。

 

 ①は水晶を膨大なエネルギーを核にしたデバイスが作れると言う意味ではかなり心惹かれる要素だ。だってハラオウン家に持っていく途中で3回くらい「魔王王家の物だし、俺が持ってても怒られないんじゃね?」って魔が刺したもん。

 でもロストロギアが暴走して地球爆発とか、次元犯罪者に盗まれるリスクとかを考慮したら②が何も起こらず安全なんだよなぁ。

 

 ……よし。

 

「そう言う事なら所有権は放棄して管理局に譲ります」

 

「ねぇレオ。今すっごく葛藤してたよね?」

 

「レオも悪よのぅ」

 

 即答せずに考え込んでしまったから、テスタロッサ姉妹にジト目を向けられてしまいました。

 ちゃうねん。アンタらが高潔過ぎるだけで、普通の人は目の前に大いなる力とかあったら惹かれるものやねん。

 

「フェイトさん? アリシアさん? そういう事を言う物ではないわ。力って言うのは誰でも惹かれる物なの。その点でいえば放棄できた麗央君は偉いと思うわよ」

 

「そうね。当時の私ならこの膨大なエネルギーがアリシアの蘇生に使えないかとか色々研究していたでしょうし……」

 

「……そっか。ごめんねレオ」

 

「ごめんなさい」

 

「別にいいよ。フェイトちゃんアリシアちゃんの反応が普通だからな」

 

 話が脱線してしまったが、いつまでも机の上にロストロギアがあっても落ち着かないし早いところ回収していただきたい。

 クロノ君が「こちらに譲ってくれた事感謝する。これは管理局で責任を持って管理させてもらう」と言ってロストロギアに触れた瞬間……クロノ君の手が弾かれた。

 

「な!?」

 

「え? 俺別にロストロギアに取られない様に妨害とか仕掛けてないんだけど……ほら、俺は触れる」

 

「ほんとだ。ちょっと触らせてね……痛!?」

 

「一体どうして……つ!?」

 

 テスタロッサ姉妹も同じ反応。

 ……もしかして。

 

「これって所有者。……魔王王家の血を引く者しか触れないんじゃ?」

 

「……麗央君。申し訳ないのだけど本局の封印区画までこのロストロギアを持って行ってくれないかしら?」

 

「了解です」

 

 封印区画はトップシークレットという事で、目隠しと耳栓をして封印区画の局員に連れて行ってもらいロストロギアを専用のケースに入れて来たのだった。

 

「戻りました」

 

「お疲れ様。今日はもう遅いし晩御飯食べて……ねぇ麗央君? 私そのロストロギアを封印区画まで持って行ってとは行ったけど、持って帰って来たら意味ないじゃないの?」

 

「え?」

 

 俺の右手を見るといつの間にかロストロギアが握られていた。

 おいおい嘘だろ!? 確かに俺は封印区画にしっかり封印して来たってのに!! 局員の方にも確認してもらったっていうのに!!

 

「ちくしょう、もう一回だ!!」

 

「こ、今度は私も行くわ」

 

 

 〜二時間後〜

 

 その後リンディさんにも本局に同伴してもらい、封印区画にロストロギアを封印して今度はリンディさんにも何も持っていない事を確認してもらった上でハラオウン家に帰還。

 するとまた俺の手元にロストロギアが帰還。何回繰り返しても結果は変わらなかった。

 

「な、なんでこのロストロギアは麗央君から離れないのかしら……?」ゼェゼェ

 

「勘弁してくれよ。これで何回目だよ……」ゼェゼェ

 

「も、もしやレオのご先祖様の呪い……!? 宝物庫から勝手に持ち出したから祟られちゃったんじゃ……」

 

「そ、そんな!? レオは宝物庫は危ないって思ったから持って来たのにそんなのって!! ……ねぇレオ、明日にでも宝物庫に返しに行こうよ。私も一緒にご先祖様に謝るから。ね?」

 

 アリシアちゃんが諭す様にそう言って来たが、いやいや流石にそれはないから。

 一応手放せるのを見るとこの水晶は一定の範囲内に俺がいないと手元に戻ってくるプログラムがされているのだろう。

 

「おそらく封印魔法を使ったときに俺の魔力を吸ってマスター認証したとかだろ。でもこれなら盗まれたとしても俺の手元に戻ってくるだろうし、マスター認証を解くまでは俺の手元にあっても大丈夫かな?」

 

「そうね。明日にでも解析に回して安全かどうかは確認しておきましょうか」

 

 そうだな。一度本局で解析してもらって、安全だったらロストロギアの所持に関する特例の手続きをしないといけないな。

 それにこれが魔王王家の遺産ってことは聖王教会の騎士カリムなんかは何か知ってるだろうし、一度顔を出さないといけないだろうなぁ。

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