見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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魔王について……え、歴史上では聖王の敵?

 あれから一週間後、ご先祖から受け継いだロストロギア……魔王晶(仮)の解析をしてもらうために本局を訪れていた。

 え、なんで一週間経過してるのか? そりゃあこの魔王晶(仮)は解析が難しくて解析に一週間も要してるってだけですよ?

 だからこの一週間は本局に通っているんですわ。

 

「あ、れお君だ。おーい!」

 

 なんだか小腹が空いたし待ってる間食堂で何か食べようかしらと考えていると、荷物を持ったひなちゃんがこちらにやって来た。

 

「あ、ひなちゃん。珍しいね本局いるなんて。どうしたの?」

 

「パンの配達だよ〜」

 

 母親にグレアムにパンを持って行って欲しいと頼まれて来たのだという。

 あらあら、いつの間にか仲直りしちゃって。まぁ闇の書の為に祖父と大きな溝が開きっぱなしってのも問題だし和解してよかったと思う。

 

「おじいちゃんと仲直りできてよかったねぇ」

 

「うん。はーちゃんが間に立ってくれたの! それでれお君は本局に何しに来たの?」

 

「カクカクシカジカ」

 

「ふむふむ。ひなの持ってるパンを食べに来たんだね? お使いのお駄賃だけど、れお君には半分あげる!!」

 

「全然違う。かすりもしてない」

 

 ひなちゃんが食べる様に持って来ていたミルクパンを半分もらい、食べながら事情を説明する。

 

「ほぇー、魔王かー。れお君らしいね!」

 

「まさかひなちゃんに言われるなんて……やだ泣きそう」

 

「えー、だって魔法の王様なんでしょ? いっぱい魔力持ってて色んな魔法の使えるれお君にピッタリだよ?」

 

「あ、そっち? 確かにそう言われるとそうかも」

 

 確かにRPGの魔王ってよりは魔導の王といった感じの魔王の方がいいなぁ。

 いかんせんゲーマーだから魔王=悪っていう方程式が出来てしまってたよ。

 

「ねぇねぇ、また今度でいいからその水晶を見つけたところにひなも連れてって! 冒険したいよ!」

 

「もう? 冒険って言っても危ないんだよ? 迷ったら二度と出られないかもしれないし、危ないからダメです」

 

「えー、なら迷ったときに出られる様に転送魔法使える様になったら冒険に連れて行ってくれる?」

 

「そうだねー。それならいいよ」

 

 ひなちゃんと話しながらミルクパンの最後の一口を咀嚼し飲み込んだタイミングで解析が終わったのかリンディさんとなんと騎士カリムがこちらに来ていた。

 

「あ、お久しぶりですねぇ騎士カリム。あ、こちらは親友のひなちゃんです」

 

「わぁ、綺麗なお姉さん……。あ、桃崎ひなです。よろしくお願いします」

 

「あなたがレオ君のいつも言っていたひなさんね。私はカリム・グラシア。聖王教会で騎士をやっています」

 

 騎士カリムは俺が4歳の頃……この世界に転生してから半年辺りに知り合って仲良くなった。

 と言うのも当時はアスカロンを作っていた俺であるが、アスカロンに古代ベルカのプログラムを入れたくて、ミッドチルダで古代ベルカのレアスキル保持者を調べて取材に行ったのが始まりなのだ。

 

「だから騎士カリムとはひなちゃんよりも長い付き合いなんだよ?」

 

「そうだったんだ。……て事はカリムお姉さんはひなよりれお君のことを知ってるの?」

 

「ううん。たまにしか会わないし親戚のお姉さんみたいなものよ?」

 

「そうだよ。ときたま呼び出されてチェーンソーで教会の庭の木々の剪定したり、聖王教会の畑の収穫手伝ったり」

 

 あれ? そう考えると結構良い様に使われてる?

 ……いやいや剪定したらクッキーとか貰ってるし、畑の収穫のときも少し野菜いただいて帰ってるからまぁ良いか。

 さてこのままひなちゃんを交えて色々お話ししたいところだけど、リンディさんがニコニコ笑いながら待っていてくれてるし、そろそろ本題に行かせて頂こう。

 

「それで解析の結果はどうでした?」

 

「詳しく解析する事は不可能でしたが、ジュエルシードの様に不安定なものではなく、非常に安定したロストロギアでした。所持するくらいなら暴走を起こす心配はまずありませんよ」

 

 これで一安心。

 ……て訳でも無さそうだな。

 

「なるほど、それは良かったです。……でもこのロストロギアって聖王教会と因縁の深い代物なんですかね?」

 

 騎士カリムがここに来た理由なんてそれくらいしか無いだろう。

 だがカリムは困ったように笑う。

 

「そうね。このロストロギア……魔王の心臓というか魔王そのものと聖王教会は因縁があるの。今日はそこら辺の話と、伝えたいことがあって来たの。少しお話しする時間をもらえる?」

 

「分かりました。てかこの水晶って魔王の心臓って言う名前だったんだ。厨二臭い名前だな……」

 

 

 〜食堂にて〜

 

 その後食堂で騎士カリムから話を聞くと、魔王というのはかつて聖王やその盟友であった覇王と敵対した国家をまとめ上げていた王で、最終的に聖王のゆりかごと言う伝説に残ってるクソヤバ兵器で滅びた王家らしい。

 

「おそらく戦乱の時代に魔王は別の世界に子供を逃して、その血を守っていたのでしょうね」

 

「言ってしまえば俺は聖王教会の宗教上の敵の子孫だったと言うことですか」

 

 それはヤバいんでね? 俺普通に聖王教会に出入りしてたんだけど? 聖王教会のトップ候補である騎士カリムと仲良くしてるんだけど?

 俺が複雑な表情をしているとリンディさんが口を開く。

 

「騎士カリムはともかく一部の聖王教会の上層部が、魔王の子孫が管理局の上層部を言いくるめて、管理世界を裏から支配しようとしてるって騒いでるらしいの」

 

「そんな……れお君はそんな人じゃ無いもん!」

 

「そうですよ。支配なんて面倒臭い。俺は研究で一生生活するだけの金稼いでから引退して日本でのんびりとニートな余生を過ごしたいだけの一般人なのに!!」

 

「麗央君あなたね……」

 

 リンディさんは呆れた様な表情をしていましたとさ。

 カリムが続ける。

 聖王教会の一部の連中は、今まで俺が研究して来たあれやこれやは、俺の先祖が作った物なのではないか? そんな物を使っては歴史は繰り返すから使うべきではないと言っている様だ。

 

「それ言ってるやつ誰だよ? 腐っても俺は研究者、他人の発明を勝手に自分の功績にする事自体に嫌悪感あるのにその言い草は万死に値する」

 

「れ、れお君落ち着いて! 殴りに行ったら捕まっちゃうよ!?」

 

「レオ君が怒るのも無理はないわ。アスカロンだったりバッテリーデバイスだったりを作る為に相当の努力をしてるのは知ってるもの。でも気をつけて、おそらくこれから聖王教会の人達があなたにちょっかいをかけてくる可能性が極めて高い」

 

 騎士カリムの言う通りだな。俺が新しい発明をしても聖王教会は先祖のパクリって言うだろうし、レジアスのおっちゃんの護衛をしてても管理世界を支配するつもりだろうとか言ってくるはずだ。

 ここで一番波風が起こらないのは、レジアスのおっちゃんに事情を話して謝って嘱託を辞めて、魔法や研究の道を捨てる事だろう。

 レジアスのおっちゃんならバッテリーデバイスなんかの運用方法とかを新しく建てて、聖王教会も首を縦に振らざるおえない状況に持っていけるはずだ。

 

「……でもそれはムカつくよなぁ」

 

「れお君?」

 

 なぜご先祖と聖王様が敵対してたからって、俺の行動が制限されないといけないんだ?

 先祖の罪は子孫の罪という訳ではあるまい。それに今は亡き聖王様だって子孫がこうなる事は望んでいないはずだ。

 それに地上本部の締め付けに聖王教会も加担してるっぽいし、反撃がてらそこを追求してやっても良いかもしれないなぁ。

 

「……了解です騎士カリム。喧嘩を売られたときは徹底的にやらせていただきます。文句を言ってくるなら言い負かせてやりますし、実力行使で来るなら魔王の血を引く俺の力を見せつけてやるだけですよ!」

 

「えっと……私が上層部をなんとか説得するから、それまで待っててって伝えたかったんだけど……レオ君の闘争心に火をつけちゃった」




聖王教会の一部が敵に回った。
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