見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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どったのおっちゃん。……え、最高評議会の落とす?

 嘱託でおっちゃんの護衛をしていたある日の事。

 

「そもそもレジアス中将。そこにいる子供はかつてベルカを戦乱の世に導いた魔王の子孫、そんな子を護衛に連れているだなんて管理局と敵対すると言う意思表示なんじゃないですか?」

 

「き、貴様〜!!」

 

 聖王教会のおばはんがそんな失礼なことを言いなさった。

 ふむ喧嘩を売るなら肉体言語で語り合いたいところだが、そんな事をすればおっちゃんの立場が危うい。おそらく相手も俺が激昂するのを狙ってんだろうなぁ。

 

「レジアス中将。少々よろしいでしょうか? 彼女に言いたい事があるのですが……」

 

「……許可する」

 

「ありがとうございます」

 

 さーて、泣かしてやるか。(ゲス顔)

 

「では聞きますが、俺を護衛に連れている事が管理局と敵対すると言う発言について。それに基づく根拠や証拠の提出をお願いします」

 

「根拠? 証拠? そんなものはあなたが魔王の子孫である事が何よりの証拠です」

 

「いやだから、かつて戦争犯罪を起こした人の子孫が再び政界に出た場合、彼らもまた戦争犯罪を起こしたと言うデータはあるのかと聞いているんです」

 

「それは……で、ですがあなたの開発したバッテリーデバイスや多重セットアップ方式は、祖先の開発したものでしょう!? それをあなたが開発したと言って政界に出て来ている時点で……」

 

「俺が作った物ですよ。証拠になるかは分かりませんが、どうしてそれを開発しようと思ったのか。またこれは一体どの技術をどういう風に活用して作ったのかなんかを言えますよ。それに俺の開発が先祖の物という証拠はどこにも無いでしょうが?」

 

「う、ぐぐ……」

 

「それに今回の議題はあくまで、地上本部の防衛費を削減することに関して、管理局そのものにどのような影響を与えるかに関してです。あなたのさっきの発言はこの議題に関係ある物なんですか……?」

 

「……発言を取り消します」

 

「一度吐いた言葉は飲み込めませんよ? アスカ、最初の彼女の発言を流して」

 

『はいはーい』

 

『そもそもレジアス中将。そこにいる子供はかつてベルカを戦乱の世に導いた魔王の子孫、そんな子を護衛に連れているだなんて管理局と敵対すると言う意思表示なんじゃないですか?』

 

「……どこからどう見たって関係ないじゃ無いですか。発言の意味について聞いてもよろしいでしょうか?」

 

「…………」

 

「答えないんですか? それとも俺もしくは地上本部を落とし入れるためだけに議題とは関係ないのに発言したってことですか? というかあなたの発言は政治家にはあってはならない差別的な物だって理解してますか? 私の先祖は罪を犯しましたが私自身は罪を犯しました? ほら、なんか言ってくださいよ。……なんで泣くんですか? 泣きたいのは急に陥れられた私なんですけど? でも私は……まだ9歳の私は泣きたいのを必死に堪えてるのに、あなたは泣くだなんて情け無いと思わないんですか?」

 

「先ほどの発言は不適切でした……。申し訳ありません」

 

「謝れば済む物ではないでしょう? 会議を止めての発言にどう責任を取るおつもりなんですか? 普段あなた方はレジアス中将に責任問題を追求してますよね? ならばしっかり責任を果たしてもらえる物なのだと私は信じますよ?」

 

「レオ、それくらいにしなさい」

 

「はい。失礼しました」

 

 おっちゃんから待ったがかかったので、一礼してレジアスのおっちゃんの後ろに戻る。

 その後聖王教会のおばはんは差別的発言の責任を取らされた上に、俺個人も名誉毀損で訴えてやりました。

 

 

 ◇

 

 

 ロストロギアに取り憑かれてしまった俺ではあるが、魔王の心臓について調べてみた結果、半径100キロ圏内ならば離れても問題なかったため、ミッドで仕事をする際は魔王の心臓は地上本部に預けて仕事をする。

 プライベートでミッドを訪れるときも、地上本部に預けていたんだが、チンクが俺の家に来た際に彼女は魔王の心臓に触れても弾かれないことが判明。故に彼女が俺の渡航許可証を確認しに来たときは彼女に地上本部に持って行ってもらっている。

 どうして彼女は触る事ができるのだろう。……もしかして俺の血族の遺伝子で作られたのがチンクだったりして。……今度DNA鑑定してもらお。

 

「すまんねおっちゃん。俺が魔王の心臓なんて言うロストロギアを見つけなければ……」

 

「構わん。奴らがお前を悪く言うのは我々地上本部を追い落とすための口実にしているだけだろうし、むしろお前が徹底的に論破しているおかげで地上本部に追い風が来ている」

 

 仕事終わりにおっちゃんに食事に誘われたため、レストランでおっちゃんに謝罪したがおっちゃんはあっさり許してくれた。

 

「それにカリム氏も聖王教会で動いているようだしな。お前が悪く言われなくなる日も近いだろう」

 

「それにミゼット婆ちゃんも動いてくれてるみたいだしね。最近養子縁組しようってずっと言われてる」

 

 ミゼット婆ちゃんの……管理局の統幕議長の孫という立ち位置なら魔王の悪評もある程度は中和できるだろうという考えらしい。

 俺の日常生活には干渉しないって言ってくれてるけど、家族になるってそう言う問題じゃ無いからなぁ。正直気乗りのしない俺であります。

 

「それで俺を食事に誘ったって事は何か用があるんでしょ? どうしたの? あ、クビならば俺は喜んで受け入れるから」

 

「クビにしたら後継者がいなくなってしまうだろう? ……お前が以前チンク・ナカジマから聞き出した件について、リンディ・ハラオウン提督から打診があってな」

 

 俺がチンクから聞き出した内容?

 ええっと……ああ、スカさんのスポンサーの件かな?

 

「最高評議会が後ろ暗い事をしているのは知っていた。何せ儂も誘われていたからな」

 

「え?」

 

 去年ごろにおっちゃんは最高評議会に呼び出されて管理局の未来のために我々の手伝いをしてほしいと頼まれたのだという。だが詳しい内容は教えてはもらえず、首を縦に振ったら悪事を手伝わされるのではと思ったそうだ。

 レジアスのおっちゃんは相当悩んだのだと言う。従うフリをして途中で裏切って最高評議会が進めようとしていた功績を奪い取ることも考えていたと言う。

 だが答えを出すタイミングで俺がバッテリーデバイスを完成させたため、その誘いはキッパリ断ったそうなのだ。

 

「そう言う意味では悪事を断るきっかけになった。お前は儂の恩人だな」

 

「断ったのはおっちゃんだよ。それで結局リンディさんに協力してくれるの?」

 

「勿論だとも。それでお前にやって欲しい事があってな」

 

「やって欲しいこと?」

 

「ああ。それは……」

 

 おっちゃんの言葉を聞いた瞬間俺は吹き出す。

 なるほどなるほど。確かにこの方法ならば確実に奴の尻尾どころか身体を掴むことが出来るわな。

 それに最高評議会を捕まえることが出来たらおっちゃんもリンディさんも大出世間違いなし。

 それに俺も魔王の子孫だからと言われる心配はなくなるだろう。

 

「正直危険な任務だ。断ってくれて構わない」

 

「でも断ったら、摘発の機会を逃して最高評議会のジジイどもの被害者は増えていくでしょ? ……やらせてもらうよ。でもそうなるとあと一ヶ月待って欲しいかな。もし失敗したら数週間は海鳴市に帰れない可能性があるから」

 

「ああ。まだまだ協力者は増やさねばならないからな。故に決行は一ヶ月後。その間お前を嘱託で呼ばないから準備を整えて欲しい」

 

「了解。魔導師組にも事情を話して協力してもらう」

 

 

 

 

 最高評議会は俺を狙っていた。

 俺をなんとかスカウトしたかったそうだが、俺の周りにはミゼットさんやおっちゃんがいたため、彼らが最高評議会の接触を拒否していたようだ。

 だが俺が魔王家の末裔であるとバレたことで、これ以上自分らの邪魔をするなら俺に世界転覆の罪を着せると最高評議会は脅して来たようだ。

 

 “だからこそ一度最高評議会と接触して、奴らが逃げられない決定的な証拠を掴んでこい。”

 

 それがおっちゃんの指令だった。

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