見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
ついに最高評議会の権威を地に落とす日がやって参りました。
最高評議会どもはヤマトとひなちゃんも狙っている。ヤマトに関しては俺がいなくとも言霊とかで無理矢理なんとかしただろうから別にどうでもいいが、ひなちゃんに関しては絶許である。マジ叩き潰す。(憤怒)
その上地上本部の締め付けにも加担してるし、落とすことが出来れば地上本部の待遇もある程度は改善されること間違い無いだろう。
最高評議会派閥の職員に先日直接呼び出されたため、その場では今は忙しいと断り、作戦決行日なら時間を取れるとなんとか説得しており、今日地上本部の所定の位置まで来いと言われている。
早速指定の位置まで移動すると、年若いお姉さんが待っており、俺を見かけるなりニコリと微笑んだ。
「宮坂麗央さんですね? 最高評議会の下までお連れします。安全のため最高評議会の場所は知られてはならない。目隠しをして連れて行かせていただきますね」
「……? はい」
流石は最高権力者、警戒心が高いですなぁ。
この場で何も考えずに頷くと怪しまれる可能性が高いため、この場であえてなんで目隠しをといった疑問の表情を浮かべて対応する。
「あとデバイスについても一度こちらで預からせていただきます」
「え?」
「別に管理局に謀反を起こす気が無いなら大丈夫ですよね?」
「……分かりました」
俺は納得のいかない表情で星型のエンブレムと剣型のエンブレム、そして一枚のカードをお姉さんに渡すと目隠しをして、最高評議会の下まで連れて行ってもらう。
しばらくお姉さんに手を引いてもらいながら歩き、やがて目隠しを取られるとそこは暗い部屋。
……ふむ、超高濃度のAMFが張られている上に魔力的なジャミングもかけられている。これじゃあ普通のデバイスでの証拠取りや、市販の魔力カメラなんかも使う事は出来無いだろう。
お姉さんが空に会釈をしてから、退出すると部屋の上にそれぞれ1,2,3と表示された三つのモニターが映し出された。
『ふん、ようやく来たか』
「あなた方が最高評議会ですか?」
『そうだ、我々こそ時空管理局の最高権力。本来貴様の都合なんて我々には関係ない話だが、管理外世界の知り合いが不安になるからと貴様の予定と合わせてやったんだ。本来ならこう言う事はないから、感謝する様に』
「ありがとうございます」
うーん。随分と上から目線な態度で。ミゼット婆ちゃんを見習えミゼット婆ちゃんを!
「それで、本日は俺にどういった用事で?」
『バッテリーデバイスと言う歴史をひっくり返す大発明をした貴様の知能を見込んで頼みがある。引き受けてくれるな?』
「……えっと? どう言った頼みでしょうか?」
『それについては追々説明する。貴様は何も考えずに縦に首を振ればいいのだ』
『魔王の子孫であるお前の汚名を返上する貴重な機会をくれてやったんだ。ありがたく思うがいい』
いや別にアンタらに汚名返上の機会もらわなくても、魔王の子孫だからと酷い態度をとるやつなんてごく一部だし、喧嘩売ってくる奴に対しては論破だったり殴り倒してるし別にいいんですが?
最高評議会の態度にイラっとしたが、ここでコイツらの口からなんとしてでも犯罪の内容なんかを聞き出さなければならない。
今は怒りを落ち着かせろ……。
「すみません。自分は出来ないことに関しては首を縦に振れない性分でしてね。まずはどう言った頼みなのか。それは俺に出来ることなのかをハッキリさせて頂かないことにはどうしようもなくて……」
『それはつまり断ると言うことか?』
『ふむ、貴様は己の立場が分かっていないと見える。コレを見ろ』
直後モニターに俺以外の海鳴魔導師組の日常生活の画像が表示される。
なーるほど、人質か。流石やる事が汚いな。
『お前の交友関係なんかは既に調べ尽くした。……どう言うことか分かるな?』
「従わなければこの子達に危害を加える。そう言う事ですか」
『引き受けてくれるな?』
「……お断りします。まずはどの様な内容の頼みなのかをハッキリさせて頂かなければ」
俺のこの反応は予想外だったのだろう。
最高評議会のクソジジイどもが唸り声をあげるが、やがて務めて冷静に問いかけてくる。
『ブラフだと思っているのか? 我々がその気になればコイツらの首をお前の前に並べる事くらい出来るのだぞ?』
うん。取り敢えず裏で人を手にかけていると言った発言はゲッチュ。
でもこの程度の証拠じゃあ最高評議会の今までの功績で揉み消されるのは目に見えている。もっと証拠を手に入れなければ。
「そうでしょうね。でも彼女らよりも俺はプライドの方が大事でしてねぇ」
『……足手纏いは切り捨てる。冷酷な人物なのだな』
「違いますよ。これは信頼です。あなた方が放つ刺客ごときにあの子たちが負ける事はない」
『ふむ……。ならばお前はどうだ?』
「っ!?」
直後後ろには先ほどのお姉さんがおり、首筋にナイフを当てていた。
友人の命で動じないなら俺の命ってか。確かにデバイスが無い状況ではこの高密度のAMF下で力を発揮できないからな。
「動いちゃダメですよ? 下手に動いたらナイフ当たっちゃいますから♡」
「……言うことを聞かないなら俺の命は無いぞってことですか?」
『そうとも言うな。万が一逃げたとしても、魔王の復権の為に世界を転覆させようとしたと我々が一言管理局に通達すれば……』
『我々も本意では無いのだがね。貴様の様な頭脳を失うのは惜しい』
「……俺別にノーとは言っていませんよ。俺が聞きたいのはあくまで何をすればいいのか。技術者として安請け合いは出来ないタチでしてね。やましい事が無いならば俺に何を頼もうとしていたのかくらいあなた方の口で言う事が出来るでしょう? それでもこちらを脅す様な発言を続けるならば、最高評議会であるあなた方は、管理局には言えないほどの外道な行いに俺を無理矢理参加させようとしていると解釈しますよ?」
『言わせておけば、まだ10年も生きていないガキが我々になんて態度を……!!』
『まぁいいではないか。話せと言うならば聞かせてやればいい』
流石にここで俺がダメになるのは惜しいと思ったのか、こんなガキに聞かれたところでどうすることも出来ないと思ったのか、クソジジイどもは流暢に話し出す。
俺に手伝って欲しいこと、それは予想通り戦闘機人についてだった。
莫大な資金を提供するから管理局のために戦闘機人を量産しろ。戦闘機人を用いて管理世界の全てを我々の手中に収めるのだ。
それが最高評議会が俺に与えようとしていた指令だった。
『貴様の知識を用いれば最高の戦闘機人を作る事が出来るだろう』
『なんなら貴様の故郷も我々の手中に収めて貴様に管理させてやってもいい』
『さぁ、貴様の望み通り話したぞ。引き受けてくれるな?』
よし証拠取り完了。胸ポケットに入れていた日本製の超小型の隠しカメラがお前らの悪事はしっかり録画している。
魔力的なジャミングはあくまで管理世界製のカメラを使えなくするだけ。管理外世界製のカメラの事は考えていなかった様だな。
さて、これで俺の任務は終わり。後はここから脱出するだけだ。
「やるわけねぇだろバーカ。オラァ!」
「ぐぅ!?」
俺は一言そう言うと、首筋にナイフを当てていたお姉さんをお得意のサバットで蹴り飛ばすと、隠し持っていたデバイスを取り出そうと懐に手を突っ込んで……。
あれ? いつの間にかお姉さんに預けた筈のエンブレムとカードが戻って来てる?
チラリと後ろを見ると、お腹を蹴られて苦悶の表情を浮かべながらも、最高評議会に見えない様にサムズアップするお姉さんの姿。
もしかして彼女はスカさんの? どうやらナイフを突き当ててる時に懐に入れていた様だ。
……蹴ってごめんなさい。あとお姉さんに預けてたのはレプリカで本物は突入準備中のひなちゃんが持ってるんですよ。
まぁ彼女への謝罪は後にして、改めて懐に隠し持っていたランブルデトネイター用のデバイスを取り出すとバリアジャケットを展開した。
次回、地上本部からの脱出