見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「あ、レオ君おはよー。……ってすごいクマなの! どうしたの?」
「い、いやー、徹夜しちまって」
帰宅後、本当に徹夜で
(……レオ)
(どうした? つかお前ほっぺたに絆創膏つけてるけど、あの攻撃をもろに喰らってよくその程度ですんだな)
(……やっぱり来てたのかよ。てことはあの魔法は……)
(アスカに感謝しろよ? 金髪が余計なことするかも知れないから様子だけは見に行けって言ったのはコイツなんだから)
『さぁ、ヤマト君。私を崇め奉りなさい』
(感謝してはいたけど、今の聞いて感謝の心が無くなった俺は最低なのだろうか?)
(最低じゃない。それが普通や)
念話で昨日についての話をしながらバスに乗り込んだのだった。
〜休み時間〜
「なのちゃん。昨日の話は聞いてる?」
「昨日の話?」
「昨日、動物病院の近くで車の事故かなにかがあったらしくて壁が壊れちゃったんだって……」
「フェレットが無事か心配で……」
フェレット? ……ああ昨日遠目で確認したおしゃべりフェレットか。
パッと見た感じ、アレは魔力を回復させる為に人間が変身してる姿っぽいけど……。あのフェレットは……いや、これ以上の詮索はよしておこう。勘のいいガキは長生きできないのだ。
なので俺は知らないふりをして……
「ひなちゃん。全っ然話についていけないんだけど、昨日なんかあったの?」
「実はねぇ……」
〜授業時間〜
俺にとって授業とはある種の拷問だ。
大学は出ていないにしても、高校の勉強まではできる俺からしたら、小学校で習うものは当たり前すぎてつまらない。だから今までは寝るか、並列思考を駆使してイメージトレーニングするか、こっそりデバイスの設計書をまとめたりしていた。そう、今までは。
アリサちゃんが隣の席になったことで、一つ新たな楽しみができた。
それは絵しりとりだ。
お互い授業を退屈に思う者同士、通じ合う部分がありなんとなく始めたのだが意外と白熱するのだ。それに先生に見つかるかも知れないというスリルもありたまらない。
……ふーん、コアラか。無難なチョイスをして来たな。ならこちらはアメリカとカナダのみを除外した、アメリカ大陸をっと。
(それで、結局昨日のアレは何だったんだ?)
(ユーノ君が言うにはアレはジュエルシードっていう、ユーノ君たちの世界の古代遺物が原因なんだって)
「……はい」
「……マジか」
アリサから帰って来た紙を見て驚愕する。
か、カルノー図……だと? まさかラテンアメリカが分かったとでもいうのか!? というかカルノー図なんてよく知ってたな! くそならばこっちは……
(そうか。それでなのははどうするんだ?)
(え?)
(なのははまだ間に合う。魔法を捨てて日常に帰ることが出来るが、本当にこの件に首を突っ込むのか?)
「……アリサちゃん」
「……そう来たか」
ふはははははは! お寺のお坊さんの言葉を聞いて涙するおっさんの絵を描いてやったわ。これは絶対に分からんだろう!
(昨日みたいに危険な目に遭うかも知れないんだぞ? 昨日は運が良かっただけで、もしかしたら大怪我をするかも知れない。それでも本当にこの件に関わるのか?)
(……うん。もうユーノ君と知り合っちゃったし放っておけない。それにね、ちょっとだけ嬉しいんだ)
(え?)
「……ん」
「……おおう」
なんだこれ、指輪? いや、なら真ん中の空洞を黒く塗りつぶさなくていいはず。……もしやダイヤモンドリング!?
バカな、随喜之涙は分からないと思ったのに! 心から喜ぶ様を表す絵が思いつかなくて、語源の方で描いたのがアダになったか……!
くそ、なら……
(ヤマト君と同じ魔法使いになれた。ヤマト君と同じ景色を見れる。これって素敵なことなの)
(なのは……)
「……ほれ」
「……ふぅん」
流石に難しい物を連想できず、グリコアルデヒドというありきたりな物を描いてしまった。だから今回は譲る。次のターンで勝負を決めてやる!
(だからお願いヤマト君、私に魔法を教えてくれないかな?)
「……レオ」
「……そ、そんな」
アリサちゃんが描いて来たのは合体ロボット。ドッキングだ。
こ、こいつこのままグで完封するつもりか!? くそ、やられた!! でも負けるつもりはない。ここからは本気出してやる!
(分かった。ここまで関わったからには俺も当事者だ。できる範囲でだが、俺も手を貸すよ)
(ありがとうヤマト君!)
(……アスカ、悪いけど念話をブロックして。集中出来んわ)
『了解。というかアリサちゃんもマスターも随分とハイレベルな戦いをしてますね……』
〜放課後〜
「れお君、今日一緒に遊ぼ?」
「ごめんねひなちゃん。俺今日はすっごく眠いから帰って寝たいんだ。また明日誘ってくれる?」
「うん分かったー」
普段は絶対にひなちゃんからの誘いは断らないのだが、今日は特別だ。
徹夜に加えて絵しりとりでかなり頭を使ったしもう限界。なんなら少し気を抜いただけで夢の世界へ落ちていきそうだ。
だからさっさと帰ってさっさと寝よう。