見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
後の事は地上本部の仕事だからと言うレジアスのおっちゃんや地上本部の人達にミッドの混乱については任せて地球に帰還した俺たち。
最高評議会についてはじっくりと擬似的な地獄を見せて、精神が崩壊したらヤマトの言霊で強制回復。徹底的に……産まれた事を後悔するレベルで痛ぶってやった。
これで俺の顔も知らない両親も浮かばれるんじゃないだろうか? 知らんけど。
そんな事を考えていると、心配そうな表情のリンディさんが来た。
「ねぇ麗央君は大丈夫? 最高評議会に報いを受けさせたとしても、あなたのお父さんとお母さんは帰ってこないのよ?」
「あぁ、問題ないです。冷たいと思われるかもですけど、物心つく前に死んだから情なんて無いですし。死にたくなければ最高権力者の身辺を探らなければ良かったわけだし自業自得ですよ」
と言うか転生特典に両親を指定しておいたらこうはならなかったかもしれない訳だし、そう考えたら俺が殺した様なもの?
……流石にそれは考えすぎか。
「……た、確かにちょっと冷たいわね。まぁそれは置いておいて……ご飯は喉通るかしら?」
「え、はい普通に腹減ってるからさっさと帰ってカップ麺でも啜ろうかと思ってますけど……」
「なら大丈夫ね。帰るのはちょっと待って頂戴、ご飯食べに行きましょ」
「ゴチになります」
◇
「今日はみんなよく頑張ったわね。私の奢りだからお腹いっぱい食べてちょうだい」
どうやらリンディさんは俺が打ち上げに参加できるかどうかを確認していたらしい。
ファミレスなんてこの世界に転生してから一度も入った事ないし六年ぶりのファミレス……うん、素直に嬉しいでござる。
「なのちゃんジュース取りに行こ!」
「あ、ひなちゃん走ったらダメなの! 怒られるよー!」
「全くひなも子供ね」
「俺らも子供ですよアリサちゃん? ……それにしてもジュース飲み放題ってホント最高だな。何リットル飲めば元が取れるんだろ?」
「レオ君ってビュッフェに行ったら無理して詰め込んじゃうタイプ?」
「ビュッフェ……ああ、食べ放題のこと? 行った事ないなー」(前世含めて)
(マジか!?)
高校生くらいの年齢になったらそう言う店に入れるようになると思うし、今世は一度くらい入ってみたいよな。
まぁ確かに食べ放題は前提として払った金額分は食べないと勿体無いと思ってしまうタイプだし、食い溜めしてしまうだろうなぁ。
その後無難にコーラを持って来てチビチビ舐めながら駄弁る。
「それにしてもレオは殿堂入りとして、アリサとすずかとはやては大活躍だったね」
「えー、私達なんてレオ君にデバイスを届けただけだよ?」
「いやー、あのタイミングで来てくれなければ俺今頃大怪我してたよ」
もしあのタイミングですずかちゃん達が来てくれなかったら、龍帝院とドリルランスで近接をする羽目になっていただろう。
龍帝院の剣技は別に脅威では無いにしても、アイツの持っていた聖剣はなんでも斬るとの事で、ドリルランサーごとぶった斬られてた可能性が高い。
フェニックスカートリッジもロードする為のドリルランサーが無ければ使う事が出来なかったからなぁ。
「そう言えばフラガラッハの使い心地はどうだった? さっきの戦いではすぐに使いこなしてくれてたけど」
「メチャクチャ便利。最高のサプライズでしたわ。そう言えばヤマト、お前も手伝ったんだな。言霊なんてエンチャントしやがって」
「俺はお前に借りなんて無いから、これは貸し一つな?」
「もぅ、ヤマト君だってレオ君にデバイス修理してもらってたでしょ?」
「いや、実はヤマトからは修理代とか徴収してたんだよ俺。だから今回の件は大きな借りだな。次グラディウスを壊したときは俺が無料で修理したるわ。なんなら強化しても良いぞ」
「え、マジで? 儲け儲け。やっぱ恩は売っておくものだよなぁ」
「……なんでヤマトからはしっかり請求してんのよ」
「うーん、ヤマト君はバレる親がいないから……いや違うな。ヤマト君とレオ君が対等な関係だからやない?」
だがそんな俺たちの様子になんだか納得のいかない表情のなのはちゃん達。
「もうなのは達にまで内緒にして……なのはもレオ君にレイジングハートの件でお返ししたかったから誘ってくれても良かったのに……」
「本当だよ。これじゃ私達だけ嫌な子だ」
「私なんてフォーチュンドロップの件があったのに……」
なのはちゃんとフェイトちゃんの件はともかく、アリシアちゃんのフォーチュンドロップはリンディさんが依頼してくれたから作っただけだから気にしなくても良いのに。
「ほらひなも言ってやれー」
「え? ひなとれお君は貸し借りないよ?」
「え?」
「うん。俺とひなちゃんはそもそも貸し借りの繋がりじゃないからね」
確かにミラクルホープの修理やロイヤルホープの製作、メンテなんかは俺がやってるよ?
でもひなちゃんは俺が怪我したときに癒してくれるし、うっかり死んだときも蘇生してくれるWin-Winな関係なのだ。
俺が得意げにそう言うとひなちゃんはブンブンと首を横に振る。
「れお君の言ううぃんうぃん? とも違うかな。お友達は貸し借りなんかじゃなくて、助け合いだと思うの。ひなじゃ出来ないことはれお君にやってもらう代わりに、れお君が出来ないことはひながやる。助けられたからお返しをしなくちゃじゃなくて、だからと言って助けられるのが当たり前でもなくて、お互いが弱みを見せられて、その弱みをお互いで埋め合える関係。ひなはそれが重要だと思うな」
「「「「「「「「あぁあああああ、目がぁああああああ!!??」」」」」」」」
「ふぇ!? ど、どうしたのみんな!?」
ひなちゃんの笑いながらのスピーチに俺らは目が焼かれてしまう。
ひなちゃん。なんで君はこれほど純粋で清らかな考えを持っているんだ!? 40代のおっさんには到底考えつかない関係だ。こ、これが悟りと言うものなのか!?
「な、なんと言うか……ひなの言葉で目が覚めたわ」
「そうだよね。お友達は貸し借りなんかじゃない。私、何も分かって無かったよ」
「そうやね、レオ君が完璧すぎるからどうにかしてお礼をしなければって考えすぎてたみたいやね」
「やっぱりひなは生まれてくる種族間違えてるだろ……。紛れもなく大天使ヒナリエルだよこれ……」
「うん。お友達は貸し借りじゃなくて助け合い……その通りだ」
「やっぱりひなちゃんは凄いの……。勝てる気がしないや」
「な、なるほど……どうしてレオがあそこまでひなを大切にするのか分かったよ……」
「やっぱ俺汚れ過ぎてるよなぁ。夏休みの間は聖王教会で根性叩き直して貰うか。……あ、でも魔王の子孫は入って大丈夫なのかね……?」
ひなちゃんの言葉で友達の在り方。貸し借りについての考えを猛省しながら、運ばれて来た料理を口に運ぶ俺たちであった。
〜おまけ〜 帰り道レオとアリサ
「ね、ねぇレオ」
「うん?」
「ごめんなさい」
「え? なんでいきなり?」
「弱みで無理矢理借りを返そうだなんてやっぱり間違ってたわ」
「いや、別に気にしてないから良いんだけど。むしろあんな形で俺のあの弱みを使ってくれて助かったよ。本音は何を命令するんだろうって怖かったし」
「そうね。我ながら惜しいことをしたわ。上手く活用すれば顎で使ってやれたのに」
「おい」
「冗談よ。……あの後すずか達と話し合ったんだけど、フラガラッハは借りを返す為じゃなくて純粋にアンタへのプレゼントにするわ。受け取ってくれる?」
「もちろん。四人が俺のために作ってくれたとっておきのデバイス。アスカやカリバーに並ぶ第三の切り札として大切に使わせて貰うよ」
「ええ」
「……所ですずかちゃんに聞いたけど、アリサちゃんは資金提供だけじゃなくてこれ作るのも手伝ったみたいじゃん? この際デバイスについてすずかちゃん達と学びに来ない? 貸しなしで教えてあげるよ?」
「そうね。ヤマトのデバイスの修理にも使えそうだしこの際しっかり学んでみようかしら? 来週からお願いしてもいい?」
「もちろん」
「決まりね。それじゃあ来週からお世話になるわ。あ、そろそろ鮫島来るけど送ろうか? 貸しなしで送るわよ?」
「そうだね。お願いしようかな」