見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
食事を楽しんだ後、早速忍さんの用意した服を着てみる事にした。
……それにしてもフリルの沢山ついたドレスだったり、アイドルっぽい衣装だったり、魔法使いにふさわしいローブだったり。
紹介したもの以外にもまだまだ沢山あるっぽいぞ?
「お姉ちゃん、これやり過ぎじゃ無い?」
「そう? すずか達に可愛い服を着せてあげたいなぁって思ったら張り切っちゃってね!」
張り切りすぎやろ。てか服だって安く無いのにこれだけ集めるのに何万使った!? 趣味に金を糸目なく使うって流石金持ちだなぁ。おい!!
「うーん……あ、これなんてどう?」
そう言ってなのはちゃんがクローゼットから取り出したのはメイド服。
初っ端からメイド服って良い趣味してるよなのはさん。
「初っ端からメイド服って良い趣味しとるなぁ、なのはちゃん」
そして俺と全く同じ事を考えてたはやてであったとさ。
「そう? ファリンさんを見て前々から着てみたかったの」
「メイド服ね。確かに私やすずかとしては使用人の気持ちが分かるようになっておく事も重要よね。着てみましょっか」
と言うわけで早速男女で別れて来てみることになった。
ええっと……ここに袖を通してこんな感じに止まるのか。ふむふむ。
手早くメイド服を着込むと更衣室に備え付けられた大きめの鏡で自分の姿を写してみる。
あら可愛い。いかんせん見た目は美少女だから似合いすぎて悔しいざんす。まぁ一個不満点もあるんだけど……。
「白のメイド服って絶対あかんやろ。これ着て仕事なんてしたら汚れが目立つって」
「まぁだから仮装用だろうなぁ。俺の着てる黒が本来一番良いだろう」
おっとヤマトも着てみたようだ。さてさてヤマトの女装姿はいかほどか……ブフッ!!
「あっはははははははは! に、似合わねぇ。その顔でウィッグ被ってんのが余計に男の子が無理して着てる感が増してるってwww」
「言いたい放題言いやがって! 俺も好きでこんな格好してねえよ!! ……それにしても鏡で見たら本っ当に似合わねえな。これカツラ被らない方がいいんじゃ無いか?」
そう言ってウィッグを取ったヤマト。
「ブッハ! これはこれで破壊的だって!! 勘弁してくれ腹が痛いwww」
「ぐ……こ、これはまた破壊的な……ww」
自分のザマに渇いた笑みを浮かべるしかないヤマトであった。これはなのはちゃん達が見たらとんでも無いことになるんじゃ無いかねぇ?
その後更衣室から出ると既になのはちゃん達が待っていた。
うん、みんなにあってるな。
「あ、レオ。アンタの笑い声こっちまで聞こえてたわよ? 一体何で笑ってたのよ?」
「これだ」
遅れて出て来たヤマトを指差すと、女子組はしばらくヤマトを見つめると、俺と似たような反応をする。
「アハハハハハハハハ! ヤマト君変なの〜!!」
「だ、ダメだよひなちゃん。ヤマト君だって好きでメイド服を着てるんじゃ無いんだよ……プックク……」
「な、なのはも笑ってるよ? ……クフフ」
「い、いや〜、コレは破壊力ヤバいなぁ。レオ君が笑ったのも分かるわ」
みんなからこう言う反応を受けてしまったヤマト。
しばらく考える素振りをするとカッと目を大きく開く。ん、コイツなんかやるつもりだぞ?
「【俺の身体よ女体化しろ】!!」
「こ、コイツやりやがった!!」
まさか似合わなすぎるからと自分自身に言霊をかけるとは。常識人に見えてたまにぶっ飛んだ事するよなコイツ!!
だがヤマトは言霊を発動したと言うのに身体に一切の変化が訪れない。
どうしたと言うのだろうか?
「あれ? …………っ!?」
身体に変化が訪れない事に戸惑っていたが、突如股として間を押さえるヤマト。
もしや……
「なるほどなぁ。女の子になったはいいけど、キノコがなくなっただけで、顔とか髪とかとかは変化が無かったんやね」
まぁそれはそうだろう。そもそも言霊は口に出した事象のみを叶えるため、詳しく指定しなければ真価を発揮しない。女体化しろだけだと、性別が変わるだけで顔つきとかが変わるわけでは無いのだ。
「……【男の身体に戻れ】」
「……えっと、……うん。ヤマト、ドンマイ!」
男の身体に戻ったヤマトを励ますアリシアちゃん。
それがトドメになったのかは分からないがしっかり意気消沈したヤマトは、メイド服姿のまま壁に向き合って体育座りをして動かなくなってしまった。
「や、ヤマト君が落ち込んじゃったよ!?」
「もうしっかりしなさいよヤマト!!」
「なんて言うか……。ごめん、男の子用も用意しておくべきだったわ」
そしてヤマトが落ち込む原因を作った諸悪の根源は複雑な顔で視線を逸らすのだった。
「……ダメね。反応がないわ」
「ちょっとしたら復帰すると思うからその時にみんなで謝るの」
「そうやね。ヤマト君脱落や」
「え、今回は全員でお揃いの服を着ると言う目的なんだから、脱落者出すわけにはいかなくね?」
「な、ならどうしよう。ヤマトに酷いことしちゃったし、暫くは口聞いてもらえないよ……」
ネガティブ思考に陥るフェイトちゃんに「まぁ任せとけ」と言うと、ヤマトの耳元で暗示をかけるように囁く。
「どうでも良い話なんだが。女体化しろじゃなくて、脳裏に浮かぶ理想の10歳の女の子の姿になれって言えば解決じゃね?」
「あ、そうじゃん。【我が肉体よ。我が脳裏に浮かぶ理想の10歳の少女の姿となれ】」
「そこまで厨二臭い言い回しにしなくても良くね?」
まぁそれはさておき、今回はヤマトの脳内の理想を反映させる命令のため、ヤマトの身体に変化が起こる。
ウィッグを被っていた髪が急にボリューミーになりウィッグの間から自前の黒髪が生えてくる。そして身体も筋肉質なものから華奢なものに変わっていく。
そして身体の変化がようやく治ると、体育座りしていたヤマトはウィッグを外して立ち上がりこちらを向く。
「こ、こんな感じでどうだ?」
「わ、わぁ。ヤマト君綺麗……」
「コレがネタ抜きで女体化した姿なのね。……暫くの間このままでいなさいよ」
「相変わらずヤマト君の言霊には驚かされてばっかりだわ……」
アリサちゃんや月村姉妹が絶賛する通り、下手な子役よりも美人な女の子に変貌したヤマト。いやヤマコちゃん。
ヤマコちゃんも手鏡で自らの姿を確認して頷く。どうやら納得いく女体化が出来たようだ。
それにしてもヤマコちゃんはメチャクチャ美人。このまま成長したらクレオパトラを遥かに凌ぐほどの絶景の美女になるのではないか?
コレがヤマトの理想ね。うん、理想が高すぎて草。ちょっとは妥協しなよ。
「よし。後はレオを女体化させれば女子だけの秘密の花園が「秘密の花園に女体化男子は要らないんじゃ! クタバレ、男女平等キーック!!」がはぁ!?」
「あー! ヤマト君が蹴り飛ばされちゃったの!!」
気色悪い事をいうヤマコちゃんを自慢の脚力で蹴り飛ばした後、ヤマト女装似合わなすぎ問題も片付いた為改めて忍さんの着せ替え人形と化した俺たち。
ドレスやアイドル服。果てはチャイナ服やナース服なんかも着せられた挙句写真まで撮られてしまいました。
と言うか忍さん凄え撮りまくるじゃん。コレだけでアルバム一冊作れるんじゃね?
「はぁ、はぁ。いいわぁ、みんな最高よ……。それじゃあ最後はこれね」
先ほどからなんだかお肌がツヤツヤしている忍さんが渡して来たのは、男の子でも女の子でも着れるようなデザインの普通の洋服。
「……コレなら男の姿でも違和感はないか。【我が肉体よ。元の男の姿に戻れ】」
「ああ。ヤマトが元に戻っちゃった……」
ヤマコちゃんからヤマトに戻った彼を見たみんなは残念そうな顔。まぁあれだけ美人ならそうなるか。
その後再び男女に別れて(※ヤマトが女体化してる間は、女子組やレオとは違う部屋で着替えてました)洋服に袖を通してみる。
……通気性がいいし、動きやすい服だな。
更衣室から出てみんなの姿を確認してみるが……。
「わぁ……みんなお揃いだね!!」
「うん。それにこの服ならヤマト君も男の子の姿で違和感がないの」
「ああ。それに色こそそれぞれのイメージカラーで違いがあるけどそれ以外は同じだし統一感もある。それに通気性抜群で動きやすい。……いいんじゃないか?」
「それにコレなら日常生活で着てても違和感は感じないわ」
「そうだねぇ。だからと言って地味じゃなくて、カッコよくも可愛いデザインだからオシャレだよね!!」
「ね、ねぇ。コレ魔導師でみんなで集まるときの制服にしたらオシャレじゃないかな?」
「あ、それええかも。うちの子用に何着か貰っていきたいわぁ……」
「大人数でお揃いの服着てたらそれはそれで目立つだろうけど……まぁ魔導師として活動するときの服としてならいいんじゃない?」
「もう、お姉ちゃんも人が悪いんだから。初めからコレが本命なら言ってくれればいいのに……」
「あら、バレちゃった?」
忍さんから渡された服に一同大絶賛。
この服はそれぞれにプレゼントされ、俺たちが嘱託として管理局に行く際やみんなで遊ぶときの制服のような物になったのだった。
あ、俺が陸の嘱託として行くときはいつも通りスーツだから、そこは間違えないように!!
ヤマトを女体化させたいがための回でした。
え、レオを女体化させたら?
キノコついてないだけで見た目変わんねえよ。