見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
本日は遊ぶ約束も嘱託の依頼もない。それに進めている研究の方も気分ではない。故に久しぶりに一日中グータラ過ごせる。
遊ぶのは楽しいし、嘱託もやり甲斐を感じるから辛くはないんだけど、やっぱりたまにはゆっくりとしたい物なのだよ!!
ピンポーン
うちにお客さんなんて、純粋に遊びに来たひなちゃんかアリシアちゃん。デバイスの修理を依頼に来た魔導師組の誰か。もしくは回覧板を持って来た隣の家のおばちゃん以外にいない。
ひなちゃんは今日はヴィータちゃんと遊ぶって言ってたし、アリシアちゃんもプレシアさんについて行って本局に行った。
デバイスの修理に関しても今日は模擬戦はお休みの日だからあり得ない。
回覧板も昨日来たばかりなのにあり得ない。
だと来たらその他のお客さんか。
「……俺のグータラな一日よサラバ」
すっかりグータラモードに入ってしまい動くのが億劫ではあるが、なんとか立ち上がり玄関を開ける。
そのにいたのは我が妹のチンクであった。
「やあ兄上」
「あぁチンク。どうしたの? お兄ちゃん今日グータラしたい気分なんだけど」
「おっと、それはすまないな。今日はドクター関連でちょっとな」
チンクがそう言うと、突如地面から青髪の女の子と金髪のお姉さんが出てくる。
こんな所でISを使うなと説教してやりたい所だが、流石に今叱るのはKYなので
「やっほー! ひっさしぶりー!!」
「急に来ちゃってごめんねー。あなたとは一度お話ししてみたかったの」
「ああ。確かスカさんのところのセインと……お姉さん誰?」
俺の一言にお姉さんはショックを受けたような少女を浮かべる。
「そ、そんな……セインの事は覚えてくれてるのにお姉ちゃんのことは忘れられてる!?」
「いやいやドゥーエ姉。コイツと会ったときライアーズ・マスク使ってたでしょ?」
「あ、そっか。それなら……」
お姉さんが何かしようとしてピタリと動きが止まる。
一体どうしたと言うのだろうか?
「ごめん今うっかりIS使いそうになっちゃったけど、流石にここで使ったら不味いわよね?」
「当たり前ですね。故にセインは後でお説教です」
「えー!?」
今の話から察するにお姉さんはあの事件のときに最高評議会にスパイとして潜り込んで、俺にエンブレムやカードを返したり、みんなを地下に案内するなどの活躍をしたドゥーエさんか。
「まぁ立ち話もなんだしどうぞ。あ、靴は脱いでね?」
その後二人を家にあげて紅茶の茶菓子を出す。
「さて、まずは謝罪からかな。……ドゥーエさん、敵だと思い込んでいたとは言え蹴ってすいませんっした。いやマジで」
「あ、別に気にしなくていいのよ? 私ならあなたと同じ事したでしょうし。だから土下座はやめてくれると嬉しいな!?」
俺だったら普通に根に持つと言うのに流石はナンバーズの次女さん。大人だ。
それを見たセインはマーマレードをパクつきながら口を開く。
「いやー、私も流石にビックリだわー。ドゥーエ姉って基本姉妹には優しいけど、それ以外……敵に対してはすっごいドSじゃん普通ならレオの頭踏んづけてるからね?」
「セイン酷い! 私のことそんなふうに思ってたの!?」
「え、だってその通りじゃん。ねぇ、チンク姉?」
「ああ。敵には一切の容赦なく喉笛を掻き切り、命乞いは効かない。ドクターやメガネが言う通り究極の戦闘機人とはまさにドゥーエのことを指すんだろうな」
「わ、私ってそんなに酷いかなぁ……。究極なんかじゃなくて普通に言われたことを忠実にこなしてるだけなんだけど……」
妹二人からの攻撃に落ち込んでしまったドゥーエさん。
言われたことを忠実にこなしてる……さも自然にそんな事を言えてしまうのだから、今までの任務の成功率は非常に高い……いや、そもそも失敗した事は無いかもしれない。
そう考えると戦闘機人とかを抜きにしてもかなり優秀な人なんだろうけど……なんか目の前で落ち込んでるお姉さんみるとなんかそう言うふうには見えないなぁ。ポンコツ臭がする。
「と言うか私が敵に対して容赦しないのって、中途半端に生かしたらその悔しさをバネにまた襲ってくる可能性が高いからだし!!」
「あ、それは分かる。俺が相手にするのがクズばかりと言うのもあるんだろうけど、あの手の輩って下手に手心を加えると次は人質とか卑怯な手段で襲って来そうでなんか怖いんだよね」
「そう! いくら私たちが他の人よりも丈夫だからって、私達を作ったのは人間なんだから油断しないに越した事はないの!!」
「分かる分かる。だから二度と喧嘩を売る気力も起きなくなるほど、心をへし折っとく必要があるんだよね」
「…………」
「…………」
俺とドゥーエさんは無言で握手をする。
なんとこの人は俺と全く同じ思想の持ち主であったようだ。
周りからやり過ぎと言われて理解されなかった俺の心情を分かってくれる人がいるとは……感激物だ!!
「改めまして俺は宮坂麗央、敵に対して一切の容赦はしないが心情の嘱託魔導師兼フリーランスのデバイスマイスター。チンクとは血が繋がってる関係上兄妹ということになってます。どうかよろしく」
「私はドゥーエ。敵に対して一切の容赦はしないが心情のナンバーズの次女よ。チンクが認めた子だから良い子なんだろうとは思ってたけどあなたとは話が合いそう。チンクのお兄ちゃんなら私にとっては可愛い弟。私のことはどうかお姉ちゃんと呼んで頂戴?」
「分かったドゥーエお姉ちゃん」
「な、なんか通じ合っちゃったよこの二人」
「なるほど。なぜ兄妹と判明する前から兄上に親近感が湧いていたのか。血を分けた兄妹であった事の他にドゥーエと同じ匂いがしたからだったか」
ドゥーエお姉ちゃん。チンクからの愚痴のメールで一番優秀と手放しに褒めてたもんだからどんな冷徹な戦闘機人かと思ったら、普通に良いお姉ちゃんでは無いか。
ポンコツ臭がするって言ったやつ出てこいや!! (※踏み台その2、お前だよ)
「それでお姉ちゃんとセインはどうしてここに?」
「用事? 特に無いけど?」
「え?」
「チンクのお兄ちゃんって事でお話がしたかったから、チンクに我儘を言って連れて来て貰ったの」
なんでも以前からスカさんから俺のことは聞かされていたらしく、その繋がりで俺に興味を持ったのだと言う。
そして今まで潜入していた最高評議会も逮捕されて任務を達成し、晴れて自由に行動できるようになった為、ある程度落ち着いたタイミングでチンクに連絡をしたようだ。
「でも本当に来て良かった。まさかここまで話が合う子だったとは思わなかったわ」
「あたしもー。こんな美味しいお菓子食べられるならもっと早く来とけば良かったよ」
「嬉しいこと言ってくれるじゃん。せっかくだから今日は夕飯まで食べて行きなよ。チンクも今日は夕飯食べて帰るでしょ?」
「ああ、ご馳走になろう。後今回は私も兄上に相談があって来たんだが乗ってくれないだろうか?」
チンクが相談とは珍しい。
どうせ夕飯の準備もまだまだ時間があるし、ここは兄貴として乗ってやるのが筋ってもんだろう。
「どうした?」
「私が仕事の時に着ている服についてだ」
「あぁ。スカさんの所のラバースーツ?」
「アレは丈夫で機能性も充実してるから使い続けていたんだが、スバルにチンク姉ダサいと言われてしまってな。これを機に服装を変えてみようと思うんだがどんなのが良いか思い浮かばないんだ。一緒に考えて欲しい」