見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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暴風域を克服する?

 さて本日は魔導師組全員で模擬戦の日である。

 俺たち転生者組は原作勢に追いつかれないように、なのはちゃん達原作組は転生者勢に勝つために今までやって来ていたのだが……

 

「あ、捕まっちゃった……!!」

 

「受けてみてひなちゃん、私の全力全開!!」

 

「何をー! ひなだって全力で撃ち返しちゃうんだから!!」

 

 フェイトちゃんと並ぶ機動力でありながらも、翼による鉄壁の防御を誇り、受けたダメージも瞬時に癒して戦闘を継続する耐久力も持ち合わせたひなちゃんであるが、この日はなのはちゃんのバインドに拘束されて身動きが取れなくなっていた。

 なのはちゃんがこの拘束をするときはスターライトブレイカーをブッパするときだけ。

 流石のひなちゃんもスターライトブレイカーをモロに食らったら一撃で撃墜するのは目に見えている。

 ひなちゃんもそれが分かったのか、彼女もまた収束魔法でスターライトブレイカーを打ち消そうと魔力をチャージする。

 

「……ねぇ私達も巻き込まれないかな?」

 

「レオ、シールドお願い」

 

「はいよ、《パーフェクトプロテクション》。ヤマト、強化求む」

 

「おう。《強化》」

 

「……なぁ、これ私らは守られても結界が持たないんちゃう?」

 

「だ、大丈夫だよ。私も全力で結界維持するから」

 

 俺とヤマトが観戦エリアにシールドを張り、すずかちゃんが結界の補強を行ったタイミングで双方魔力のチャージが終わったようだ。

 

「いくよひなちゃん! 《スターライトー……」

 

「いくよなのちゃん! 《サンシャイニングー……」

 

「「《ブレイカー》!!!!」」

 

 直後凄まじい魔力の奔流が俺たちを襲う。観戦エリアを守っていたシールドもミシミシと嫌な音を立てている。おっとこれは魔力をもうちょい込めないとあかんヤツかな?

 

「う……くぅ……」

 

「ヤマト、すずかちゃんのサポート行け」

 

「わ、分かった! 手伝うすずか!!」

 

「あ、ありがとうヤマト君……///」

 

「なんか甘酸っぱい雰囲気を出してる二人と、それを羨ましそうに見てるみんなは放っておいて、この勝負はなのはとひな、どっちが勝つかなぁ……?」

 

「そうだなぁ。こうなってしまったらひなちゃんに勝ち目はないと思う」

 

 アリシアちゃんの問いに正直に答えると、アリシアちゃんは驚いたような表情を浮かべる。

 ひなちゃんは翼による高速機動とレアスキルによる回復での長期戦特化の魔導師。一方なのはちゃんは圧倒的火力でぶっ飛ばす火力特化の魔導師。

 そんな二人が撃ち合ったらどうなるかなんて目に見えているだろう。

 

「あのひなちゃんを相手に撃ち合いに持ち込むなんて、なのはちゃんも相当努力したみたいだね」

 

「てことは、ひなが負けちゃうかも?」

 

「……まぁひなちゃんの兄貴分としてはひなちゃんに勝ってほしい所ではあるけどね」

 

 シールドの向こうは桜色とピンクに染められて見えないため、今どうなっているかは分からない。

 この撃ち合いが終了するまで結果はお預けだ。

 しばらく待っていると、魔力も落ち着き前が見えるようになる。

 

 そこにはボロボロの姿で落下するひなちゃんと、なんとか彼女を救出しようと急降下するなのはちゃんの姿。

 

「な、なのはが勝ったみたいだよ!」

 

「おおぅ……流石の俺も驚いてる」

 

 っていけねえ。ひなちゃんの落下に疲労困憊のなのはちゃんの追いつけてないし、ひなちゃんを助けなければ。

 翼モードのファンメランを背中に取り付けて急加速し、ひなちゃんを受け止めた俺。

 

「あ、レオ君。ありがとう、ひなちゃんをキャッチしてくれて」

 

「まぁこれくらいはね」

 

 彼女をすぐさま地上のベンチに寝させると数分くらいして意識を取り戻す。

 

「あ、ひなちゃん大丈夫?」

 

「なのちゃん? ……あ、ひな負けちゃったんだ」

 

「うん。私の勝ちだよ」

 

 自らが負けたと悟ったひなちゃんはプルプルと震え出す。それを見たなのはちゃんは、ひなちゃんが悔しくて泣いてしまうのではないかと心配そうな表情をする。

 まぁなのはちゃんはひなちゃんを超えるべき目標にはしていたけど、優し過ぎてライバル視するのが辛いって言ってたもんね。

 だから勝てて嬉しい反面、勝ってしまって申し訳ないって気持ちがあるんだろうな。

 

「……す」

 

「す?」

 

「すっご〜い!! ひなに勝っちゃうなんて、なのちゃん頑張ったねぇ!!」

 

「ふえ?」

 

 泣いてしまうと思い込んでいたなのはちゃんの目が点になる。そんななのはちゃんに、満面の笑みのひなちゃんが詰め寄る。

 

「とうとう負けちゃったー! 本当に一年で追いついちゃうなんて、やっぱりなのちゃんは凄いなぁ、おめでとう!!」

 

「……えっと、ひなちゃん? 無理して笑ってるわけじゃないんだよね? 悔しかったりとか……」

 

「うん。負けてすっごい悔しいよ? でもねでもね、それ以上にあれだけ魔法の練習を頑張ってたなのちゃんが本気のひなに勝ったことが嬉しいんだ!!」

 

「そ、そうなの?」

 

「うん! あ、でもひなも悔しいから次は負けないからね? 油断してるとまたひなが追いついちゃうんだから!」

 

「…………」

 

 なのはちゃんは腰を抜かしたのかペタリと尻餅をつく。

 そして一言。

 

「こ、これはこれで心に来るの……。こんないい子にスターライトブレイカーを浴びせた私って……」

 

「ひな気にしてないよ?」

 

 今度は罪悪感に苛まれる事になったなのはちゃんなのであったとさ。

 ま、まぁ確かにあんなえげつない核砲撃の餌食にした子にこんな混じりっ気のない賞賛をされたら良心が痛みますわな。

 

 その数分後、ひなちゃんがフェニックスウイングで自分のダメージを回復させている間になのはちゃんが自己嫌悪から復活した。

 

「やったねなのは。とうとうひなに追いついたね」

 

「ありがとうフェイトちゃん。……でもやっぱり心が痛いの」

 

「そうね、この子を相手にするのは精神衛生上良くないわ」

 

「うん。私なんて途中で悲しくなって降参しちゃうもん」

 

 そりゃあひなちゃんは俺らのチームの中じゃ末っ子的立ち位置にいる子だからなぁ。

 一年前のように手も足も出ずにやられてるならいざ知らず、ある程度戦えるようになってくると彼女に攻撃を加える事に虐めてるような罪悪感が湧いてしまうのだ。

 しかも彼女は長期戦タイプだから身体的にも精神的にもジワジワとダメージを与える鬼畜仕様だ。

 遠い目をするなのはちゃん達を見かねたはやてが助け舟を出す。

 

「ま、まぁまぁ。それよりもなのはちゃんは私たちよりお先に次のレベルに行っちゃうんやね」

 

「あ、そうだよ。ひなちゃんに勝ったなら次はレオ君なの!!」

 

 はやての言葉にグルリとこちらを向くなのはちゃん。

 今までひなちゃんが防波堤になっていてくれたから忘れてたけど、次回からはなのはちゃんは今まで以上の殺意(※なのはちゃんはそんなものを込めていません)で襲ってくるやん。

 ……うわぁ。

 

「レオ君凄い嫌そうな顔してるね」

 

「だってスターライトブレイカーをまともに浴びたく無いんだもん。暴走状態だったリーン姉さんのスターライトブレイカーを喰らってからちょっとトラウマなんよ」

 

「ああ、闇の書が完成したときの……それについては私が謝るわ。ごめんなぁレオ君?」

 

「いや謝らなくていいよ。あれは仕方がないし。……ねぇなのはちゃん次回からは暴風域とかフラガラッハとか使って初っ端から殺しに行ってもいい?」

 

「え、ごめんそれだけは勘弁してほしいの……。飛べなくなったら何もできな……いや待って」

 

 直後なのはちゃんは考えるような素振りをする。

 そしてこちらを向いた。

 

「いいよ。それでやろ」

 

「え?」

 

「待ちなさいなのは。アンタあの自然災害に真っ向から抗うなんて死ぬつもり!?」

 

「そ、そうだよ。流石に危ないよ」

 

 アリサちゃんやフェイトちゃんが止めようとするが、なのはちゃんはフルフルと首を横に振る。

 

「ううん。本気のレオ君と戦うには自然災害級の風でも飛べるようにならないといけない。それにひなちゃんやヤマト君は暴風域内でも飛べるんでしょ?」

 

「う、うん。と言っても飛べるようになったのは最近だけど」

 

「まぁ俺は言霊で無効化してるからだけど」

 

「だから私やるよ!! レオ君の暴風を越えて見せる!!」

 

 そんな決意をした原作主人公。

 その姿を見たみんなは一度頷くと俺の方を向く。

 

「なら私らもやるわ!」

 

「そうだね。今まで暴風域は勝負にならないからって使わないで貰ってたけど、いい加減克服しないと!」

 

「風に乗れたら更に速く動けるかもしれないからね」

 

「そうやねぇ。それに私らが克服できれば嘱託のお仕事のときもレオ君は暴風域使えるもんなぁ」

 

「それじゃみんなで暴風域克服計画開始だー!」

 

「「「「「おー!!」」」」」

 

「……これどうしたらいい?」

 

「練習に付き合えばいいと思うぞ」

 

と言うわけで原作組暴風域克服計画が始動したのだった。

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