見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「うにゃぁあああああああ!!」
「あ、なのはが吹き飛ばされ……わ、あぁあああああ!!」
「あー、フェイトー! ……うわっと、私もやばいかも、わぁああああ!!」
さて暴風域を克服すると言う決意を固めたみんなの為に、翌日から克服の為に暴風域を使いまくっている俺ではありますが、暴風域内を自由に飛べる俺からしたらまぁ暇なものなんですよ。
「おぉ、みんな見事に落下してるねー」
「一度体勢が崩れたら復帰できないもんねー」
ひなちゃんもそう言いながらプルプルと暴風域の中でうまくバランスを取っている。
本来ならばひなちゃんに訓練を課す必要はないが、どうやら翼なしでも飛べるようになりたいようだ。
「……で、なんで俺までやってんだ?」
「そりゃ言霊のゴリ押しってのは卑怯だからだよ。みんなやってんだからお前も頑張りなさい」
「あ、ちょ、お前……肩小突くのは反則だろうがぁあああああああ!!」
上手くバランスを取っていたヤマトの肩を小突くと、バランスを崩し恨み言を吐きながら落ちていったヤマトであった。
「……ひなちゃん以外落ちたし一旦休憩挟もうか」
「うん。れお君は後でちゃんとヤマト君に謝ってね?」
暴風域を一旦解除してみんなの下へ行くと、全員肩で息をしている状況であった。
「や、やっぱり無理なんじゃないの? あの風の中動くって……」
「かろうじて暴風域の中でも浮かべる様になったとはいえ、飛び回るのは難しそうだよ……」
弱音を吐くアリサちゃんとすずかちゃん。
そりゃそうだろう。空戦魔導師の得意分野である飛ぶ事を封じた上で、俺だけ飛んで安全圏からスフィアとか砲撃とかで痛ぶるための技なんだから。
「しかもスフィアも風に煽られて見当違いの方向に飛んでいく鬼畜仕様。ぶっちゃけ空戦に対してはこれやっておけば無敵だから」
「うわ……レオの相手の苦手を突く戦法の集大成みたいな技なんだ……」
「レオ性格悪いぞー? 強いんだから正々堂々戦えー」
「フハハハハハ、なんとでもいえテスタロッサ姉妹。天才が努力した上で卑怯な戦法すらも使いこなすこと、すなわち最強なのだよ」
と言っても俺以上の天才であるヤマトをボコるには卑怯な手段しかないと察したからこの戦法を極めただけなんだけど……まぁこれは言わなくていい事だよな。
「と言うかどうしてレオ君はあの風圧の中で動けるん? やっぱり自分の技は効かないんか?」
「まぁ俺には影響ない様にバリアジャケットに細工をしてるからね。それに……」
俺は再び暴風域を発動させると、影響を受ける様に設定してから飛び回る。
空中で旋回とか四回転とかパフォーマンスを行いながら飛び回りやがて綺麗に着地すると一言。
「今は影響受ける様にしてたけど、普通に飛べる様に訓練はしてる。万が一バリアジャケットが異常起こしたときに暴風域使えなくなっても困るからね」
「な、なんと言うか流石なの。……てことはレオ君はあの風の中飛ぶコツが分かるの?」
「まぁね。ひなちゃんにもコツは伝授したし」
「教えて欲しいの!」
「考えるな、感じろ。以上!!」
「ここに来てブルース・リー理論なの!?」
これについては練習あるのみだ。俺なんかも何回も失敗して落ちてを繰り返して飛べるようになったからな。
「と言うわけで休憩はおしまい。ほら頑張れ頑張れー!!」
「うー、絶対にこんな風攻略するの!!」
「頑張ろうなのは!」
と言うわけで訓練はまだまだ続く。
◇
そして訓練の帰り道。
結論だが一日で克服することなんて出来なかった。そりゃそうだ。俺だってちゃんと飛べるようになるまでに半年はかかったんだからな。
だがあの暴風の環境下でも動けるようになれば空中移動の精度は非常に良くなるだろうし、何よりみんなが練習してる間に俺もスターライトブレイカー対策をすることが出来るため、ゆっくり克服して欲しいところだ。
「うー、汗びっしょりで気持ち悪〜い!!」
「いくら風が吹いてるとはいえこんなに暑いとね〜」
「次からは言霊で結界内は暑すぎず寒すぎずで調節するか」
「バッカお前、実戦では暑いのも寒いのも関係ないんだから条件は揃えるべきだろうが。全くこれだからゆとり世代は……」
「アンタもでしょうが?」
だがまぁヤマトの言ってることも分かる。いくらバリアジャケットで温度調節出来ているとはいえ、変身を解いたら火照った身体が夏の熱気に襲われてそれはもう辛いのなんのだしなぁ……。
でも暑い分汗かいて熱中症のリスクとかあるからなぁ。今日は塩飴とか水とか持って来てたけど、塩飴も金かかるし……。
「そうや。北半球が夏なら南半球は冬やし、オーストラリアまで涼みに行こか?」
「は、はーちゃん。そんな近所のスーパーに涼みに行こう見たいな感じで言われても……」
「それにパスポートの準備とか大変だし飛行機代もかかるよ?」
「え? いや飛んでいけばタダやん? パスポート? バレなければ怒られないやん?」
「いや魔法を悪用しての密入国かよ!」
「はやてお前天才か?」
「おいレオお前止める側だろうが、なに同調してんだよ!!」
「暑いなら部屋でエアコンつければいいと思うんだけど……」
いや一人でのんびりするならそれで充分だろうけど、みんなで遊びに行くときにこの暑さは辛いやん。
「オーストラリアとは言わないけど、せめて避暑地とかで涼しく過ごしたい」
「いいなぁそれ。それに避暑地って大体高原にあるもんだから近くに観光名所なんかもあるし、観光するのも乙なもんだ」
「分かる! エアコンの涼しさじゃなくて、自然の清涼感を感じながら静かに本を読みたいよ」
「私もやね。嘱託のお仕事だったり、学校だったりで忙しいし、のんびり羽を伸ばすのはアリだと思うで?」
「避暑地かー。でもひなは海行きたいなー」
コラコラひなちゃん?
この暑さをどうするかという趣旨から外れちゃってるよ?
……まぁ海も夏の貴重なイベントだから行ってみたい気持ちも分かるけどさ。俺も釣りしたいし。
「確かにみんなでは行った事ないからねぇ」
「海……砂遊び……スイカ割り……かき氷……」
「な、なんかフェイトが目をキラキラさせ始めたんだが?」
「あー、フェイトテレビでビーチを見てから海水浴するのに憧れてるからね」
インドア派な俺やヤマト、すずかちゃん、はやては避暑地で暑さを忘れてのんびり過ごしたい。
アウトドア派なひなちゃん、なのはちゃん、フェイトちゃん、アリシアちゃんは海で思いっきり遊びたい。
見事に分かれてしまったようだ。
「それじゃあどちらに行くかはアリサちゃんにかかってるって訳やね」
「アリサちゃんは避暑地で涼しく過ごしたいよね?」
「やっぱり海で思いっきり遊びたいよね?」
みんなが詰め寄る中でアリサちゃんが出した答えは……。
「私は両方を取るわ! 丁度避暑地に我が家の別荘があるし、そこから車で一時間のところには海があるわ。時間が取れたらみんなで行きましょう!!」
まさか両方を取るだなんて流石はアリサちゃんである。