見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「そう言えば魔王についての手がかりが宝物庫に無いか探しにいくと言っていたが、その件はどうなったんだ?」
「あ」
模擬戦中のヤマトの言葉で魔王関係について思い出した俺氏。
最近の日常回ですっかりド忘れしていたが、そう言えば魔王の遺産が納められた第一宝物庫を探すために、魔心のあった場所を一度調べ直すって決めてたなそう言えば。
「旅行行った後とかは絶対また忘れてるだろうし、今のうちに行った方がいいかもな」
このままアリサちゃん家の別荘での旅行回に行っても良かったのだが、忘れては困るし少し寄り道させていただこう。
「あ、なら私も行く!」
「あ、お姉ちゃんが行くなら私も!!」
「……一応リンディさんに許可は取ってな?」
今までなら絶対に許可はしなかったが、調査隊があの洞窟を探索して地図を描いてくださった為、遭難しても以前よりは助けやすいだろうから許可をする事にした。
「それに万が一どちらかが遭難してもヤマトの言霊を上手く使えば大丈夫そうだしな」
「え? 俺今日はもう帰って空の軌跡を攻略するって言う大事な用事があるんだけど」
「言い出しっぺはお前だし強制的に参加じゃ。報酬はフェイトちゃんとのデートイベントの提供じゃ!」
後軌跡シリーズはこの先15年以上世界観ストーリー地続きで続編が出るシリーズだからやるなら覚悟決めてやれよ?
その後リンディさんから許可をとった二人が戻って来た。
「リンディさんから許可貰ったよー」
「でも条件と言ってはなんだけどって一個頼み事をされたんだ」
「頼み事とはなんぞ?」
なんでも俺が扉を閉めて帰ったことで、宝物庫の最奥が開かなかった様だ。
そこで最奥の調査をあの遺跡の所有者である俺に依頼して来た様だ。
「もし魔心以外のロストロギアがあったら持って来て欲しいんだって」
「まぁ、魔心は見つけてから一番奥の探索は切り上げたしロストロギアが眠ってる可能性は高いか。せっかくだしついでに古代ベルカの文献なんかも探して聖王教会に寄付するか」
魔王も聖王と敵対していたとは言え、ベルカの戦乱時代の王である。もし文献が残っていたとしても俺が保有してても宝の持ち腐れだし、騎士カリムでも渡して歴史の解明に貢献させていただこう。
「それじゃあ早速魔王の遺跡にレッツゴー!!」
「お、おー……」
「テンション高いなアリシア」
「ほら、時空間転移するから早くこっち来て」
なんともグダグダな感じで遺跡に行くのだった。
その後遺跡の外にある滝のすぐそばに転移した俺たち。
最奥まで直接行っても良かったが、冒険心が疼いているアリシアちゃんへの配慮である。
「滝の裏に遺跡があるんだよね?」
「うん。さてと《アルティメットプロテクション》」
俺が滝の水をシールドで塞ぐと奥に空洞が見えた。
「おー!! ほんとに滝の裏にあったんだ。隠された秘境って感じがするなぁ!!」
「確かに。それにしてもレオ、よくお前見つけられたな」
「いやー、散歩してるときに滝の奥に偶然何かが見えてな。冒険心が疼いたから入ってみたと言うわけ」
「ご先祖様に導かれたんだね」
俺が最奥に到達したときと同じ考察をするフェイトちゃんであったとさ。
まぁいつまでもここで話す必要はないしとっとと最奥まで行ってしまおう。
「あ、分かれ道だ。どっちに進めばいいんだろう?」
「任せて! こう言う時は棒を立てて倒れた方角に……」
「言霊使うか?」
「その必要はない。地図曰く右だね」
「…………」
「あれ? 岩で塞がっちゃってる」
「調査隊の人は最奥を開けられなかったって言ってたし、傀儡トラップが起動して暴れたんだろ。普通崩れたなら報告するだろうし、傀儡のせいで建造物にヒビが入ってしまって、調査隊が帰還した後に時間差で崩れたって考えるのが普通だ」
「え!? それって危ないんじゃないの? よく無事だったね調査隊の人達!?」
「護衛でAMF対策してたクロノ君がいたっぽいからね。蹴散らして事なきを得たんだろ」
「え、お兄ちゃんが傀儡をやっつけたの?」
「クロノも俺らと模擬戦して結構強くなってるし、数百年も放置されて風化した傀儡くらいなら楽勝だろ」
「そっか。……でもどうしようか? このままじゃ奥に行けないよ?」
「ならみんなで協力して新たな迂回ルートを開拓するしかないね!」
「えっとお姉ちゃん? ……地図見れば迂回ルート分かると思うよ?」
「てかそもそもこれくらいの岩ならぶっ壊して進めるし」
「言霊使うか?」
「よしやっちまえ」
「【魔王の遺跡よ、調査隊が来る前の状態まで戻れ】……よし元に戻ったな」
「…………」
カチッ
「カチ?」
「おいおいアリシア、なんかトラップ床でも踏んだんじゃ無いか?」
「お、てことは私に危険が降り注ぐってこと!? 矢が飛んで来るのかなぁ? 岩が転がって来るのかなぁ?」
「言ってる場合!? お、お姉ちゃんを守らないと……!! ……あれ? なんともない」
「いやいやトラップ床なんて作った人が事故る可能性があるしトラップに採用される事は実際には無いもんだよ。ほらカチッて言ったのはアリシアちゃんが踏んでる足場のブロック石がズレて隣のブロック石と接触した音だよ」
「そ、そうなんだ。よ、良かった……」
「…………」
調査隊の人に作ってもらった地図を元に小一時間くらい歩くとあっさりと最奥に到達できた。
だがあっさり到達できた事に不満を漏らす者一名。
「なんだか思ってたのと違う」
「そうかな? スムーズに進めて安心したけど」
「私が思ってたのは迫る敵をやっつけつつ、トラップに翻弄されて、予想外の事態が行く手を阻むも、それでも頑張ってみんなで力を合わせて一番奥まで到達するって展開だったのに……」
「予想外の事態ならあったじゃん。岩が道を塞いでた」
「でもそれだってヤマトの言霊で解決したし、ヤマトいなくてもレオはゴリ押そうとしてたじゃん。なんて言うかもうちょっとロマンが欲しかった!!」
頬を膨らませるアリシアちゃんに対して、呆れた表情のヤマトとフェイトちゃん。
多分俺も呆れた表情をしてるんじゃ無いかな?
「アリシア……お前ゲームのしすぎだよ」
「と言うかそんなに危ない遺跡だったらそもそも調査隊も地図なんて作らずにすぐに撤退してたと思うよ?」
「一度冒険心が疼いて探索したからこそ言える事だけど……現実だとなんも変わり映えもしない道を歩いて、進めてると思ったのに行き止まりだったらムカつくし、来た道戻らないとってなるからロマンよりもストレスが溜まると思う」
「や、やめて!! 私の冒険に対するロマンを崩さないでぇ!!」
現実を突きつけられて絶叫するアリシアちゃんであったとさ。