見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「この扉はお前しか開けられないんだよな?」
「この扉に俺以外が魔力を流した瞬間、傀儡に襲われますぜ? ……まぁクロノ君が倒せた以上俺かヤマトならいけると思うけど」
「と言うかヤマトの言霊でこじ開けられるんじゃない?」
「やるか?」
「同調すんなヤマト。言霊で鍵こじ開けることは人ん家をピッキングで開けて侵入する行為と同じと知れい」
「そうだよ。それに言霊で無理やり開けたら何が起こるかも分からないよ? レオがいれば開けられるんだからリスクのある事はしないほうがいいよ……!」
いくらこの洞窟内部の宝物庫の物の所有権が俺にあるとしても、俺らがやってる事なんてただの遺跡荒らしだからな。
だからこそ無理やりこじ開けるなんて先祖への冒涜。故に先祖が用意した鍵……この場合は魔王の血族である俺の魔力を使って開けるべきなのだ。
「と言うわけで今開けるな」
以前もやった様に扉を押しながら魔力を流すと機械音声が流れる。
『魔力識別……魔王王家の魔力を確認。宝物庫のロックを全て解除します。お帰りなさいませ』
「よし、空いた」
「……お前、本当にベルカの王家の末裔なんだな」
「みたいだね」
ひなちゃんの時といい、ウチの所の邪神は血縁に関わり持たせやがるタイプだからな。
「うー、なんで滅びちゃったかな魔王家……もしかしたら一夫多妻制だったかも知れないのに……ひなに勝ち目はなくともせめて三人……いやギンガと含めて四人で結婚できたのに……」
なんて恐ろしいことを言っているのだろうかアリシアちゃんは?
てかアンタはそれで良いのか? 俺は無理だよ、目の前で堂々と浮気するだなんて。罪悪感で死ねるね。
「もし魔王家が残っててレオが王様だったら、もしかしたら一夫多妻制だったり? もしそうならヤマトとなのは達で……」
「ん、フェイトなんか言ったか?」
「な、なんでも無い!」
そして姉と似た様なことを考えてある妹と相変わらず鈍感度カンストのヤマトであった。
テスタロッサ姉妹と少しO☆HA☆NA☆SHIしたいところだけど、まぁそれは置いておこう。
「さてふしだらなこと考えてる姉妹も鈍感野郎も、今日は魔王についての手がかりを探しに来たんだからこっちに集中お願いしても良い?」
「「ふ、ふしだら!?」」
「鈍感? 俺お前より素早く動けますが? 喧嘩売ってるなら買うぞ?」
「……お前そういう所だぞ?」
「どういう所だ?」
本っ当にコイツ、言霊でもなんでも使って鈍感を治したほうが……いや、コイツの鈍感も含めてなのはちゃん達は均衡な状態を保ってるし、下手に突いて崩させる訳にもいかないからな。
突き崩すのは高校生くらいになってからで。
その後四人で最奥の宝物庫に入る。
そこはやはり広々とした空間で、魔王家の財宝なんかが綺麗に整理されていた。
うん。以前来たときと変わらない。リンディさんの言ったとおりここは誰も入れてないんだな?
「わぁ……凄い。これが魔心を見つけた宝物庫なんだ……!」
「お〜、まるで博物館みたいだね! ……これって触ってみても良いのかな?」
「別に良いけど自己責任でお願いね?」
「わかったー。それじゃあ早速……うわ、意外と重たい」
そう言いながらも宝物庫にあった置き物なんかを手に取り興味深そうに眺めるアリシアちゃんとフェイトちゃん。
玄関に飾るには丁度いいサイズだし、確認した感じロストロギアじゃなくて昔の装飾品って所だから一つくらいあげてもいいかな?
「……これって古代ベルカ文字って所か? おーいレオ、ちょっとこれ読んでくれない?」
「ごめん、俺も古代ベルカ文字は専門外」
「え? でもお前ベルカ式のプログラム組めるじゃん」
「たってアレは古代ベルカ式プログラミング言語だからね。古代ベルカ文字とは違うんよ」
「そう言うもんなのか」
まぁベルカ文字に関しては騎士カリムなら読めそうだし、一度持って帰ってカリムに読んで貰えば……いや、この際カリムに古代ベルカの言語を習ってもいいかも知れないな。
……待てよ? よく考えたらシグナムさん達って古代ベルカ読めるんじゃね? 取り敢えず帰ったら一冊本を持って行って読んで貰うか。
「取り敢えずこの中にベルカの文献だったり、魔心の取り扱い説明についてが書かれてあるかも知れないからこれは持って帰らせていただこう」
「でも結構な量だぞ?」
「問題ない。ヤマトの持ってる本を本棚に戻して……時空間転送!」
直後本が敷き詰められていた大きめの本棚が魔法陣に囲まれて姿を消した。
フハハハハハ、何も置いてない我が家の3階に転移してやったわ! この際3階は魔王関連で持ち帰った物を保存する倉庫にしてもいいかも知れないな。
「まさか別の世界から直接転移で移すとは……それ相当難易度高いんじゃないか?」
「まぁ俺魔力の運用が苦手だからアスカにサポートしてもらってなんとかね」
『全く、しょうがないマスターですよ』
「うるせぇ」
さて今回の目的はあくまで手がかり。一番肝心な本については回収できたし、その他は歴史的価値のある宝物しかないっぽいしこれらは回収しなくていいか。
後は魔心の安置されてた場所周辺を探して、少し早いが探索を切り上げてしまおうかと考えていると、一つの石板が目に入った。
「…………」
「どうしたの?」
気に入ったのか、綺麗な装飾の置き物を持ったアリシアちゃんとフェイトがコチラにやってくる。
そんなに気に入ったんならあげるよ。後でリンディさんに話通しておくな。
「ああアリシアちゃん。……この石板の下の方にある窪みに魔心が入りそうだなってね」
「ほんとだピッタリ入りそう。……はめてみない?」
「はめちゃう?」
「窪みにピッタリ収まる何かがあったらはめ込みたくなるのが人間のサガだよなぁ」
「ヤマトに同意。よしはめて見よう」
魔心を石板にはめてみると……魔心の魔力をエネルギーに石板に文字が浮かび出す。
なんだここでも古代ベルカ文字か。読めないから起動しても意味がないんだよな、せめて読み上げ機能を……あれ?
「これよくみたら古代ベルカ式プログラミング言語じゃん。これなら読めそうだな」
「ほう? なんて書いてあるんだ?」
「ふむふむ……うん。ああ、なるほど……。これはとある魔法を行使するための構成式見たいだな」
「構成式……つまり魔王家の魔法なのかな?」
「お、てことはレオは魔王家の秘術をその手に……?」
アリシアちゃんはそう言っているが、そんな都合のいい展開は流石に訪れないんだなぁって言うか、この構成式について見覚えがあるって言うか……。
「複雑そうな顔してるな? この魔法はお前じゃ使え無さそうなのか?」
「いや……なんと言うか……うん」
俺は無言で懐から10円玉を取り出すとそれをパチンと弾く。そして石板に書かれていた発動構成式を行使すると上空で爆発した。
「わ!? もうレオ、急にチンクの能力使わないでよ!! 崩れたらどうするの!?」
「ごめんごめん。……実はこれな、この石板の発動構成式を使ったんよね」
「え?」
「……そうか。そもそもランブルデトネイターだったっけ? その技はお前のお袋さんの能力だったんだしな」
「よく分からないんだけどつまりどう言うこと?」
頭にハテナマークを浮かべるアリシアちゃんに、複雑な顔で一言。
「この石板に書かれた魔法は既に習得済みだった」
「……あー。うん、ドンマイ!!」
ま、まぁ何もかもがそう上手くはいかないわな。ただこの発動構成式なら多少爆破の威力を高められるっぽいから収穫っちゃ収穫なんだけど……うん。予想の左斜め下だったわ。
その後これ以上宝物庫を調べても何も無かったため、時空間転移で帰宅。
それぞれ宝物庫の小さめの装飾品を一品ずつお土産に渡して解散し、戦利品の書物を一冊持ってはやての家へ向かうのだった。