見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
泳いだり砂のお城を作ったりしていたら、もうお昼のお時間だ。
早速荷物の中から複数の重箱を取り出して並べる。
「と言うわけで、朝の3時から起きて丹精込めて作った弁当だ。お上がりよ」
「さ、3時!? レオそれで眠くないの?」
小学生はまず起きていない時間帯。仮に起きている人がいたとしても、それは夜中にトイレで起きた子か、徹夜でゲームしてる奴くらいだ。
故にそんな時間から料理してたと知ったアリシアちゃんを始めた魔導師組や守護騎士の皆さんも驚いた表情でこちらを見る。
「だ、ダメですよレオさん! お弁当はありがたいし美味しそうですがそんなに無茶をしては……。ただでさえ研究で徹夜をしてるのでしょう?」
「はい。徹夜するから別に一日くらいいいかなと。それに9時には寝てるんで6時間は睡眠取れてるし、なんなら車の中では寝てたんで現在はすっかり目は覚めてますよ!」
俺がサムズアップで返す。
別に俺が寝てない件とか朝早くから作ったとかはどうでもいいんだ。
作った俺に報いたいなら食べてくれ。あ、だからと言って無理して完食しなくてもいいからね?
残ったら夕飯に回させていただくから。
さ、委員長のアリサちゃん。腹減ったからいただきますの音頭を取ってくれ。
「それじゃ、早起きしてくれたレオに感謝して……いただきます!」
『いただきます』
その後毎度のごとくヴィータちゃんから満面の笑みでテラウマ評価をいただいたのだった。
〜数十分後〜
「ま、まさかあの量を食い尽くすとは……あれ、今日ってスバルちゃんとかギンガちゃんっていたっけ?」
人数多いから重箱三つ持って来たんだぞ? しかも一つの重箱につき5段だぞ? つまりは15段分作って来たって言うのに一体みんなのどこに入ったと言うんだ?
「そりゃ3時から起きて作ったって言われたら完食しなければと思うだろ」
「なんてこったい」
し、しまった。
まさか何も考えずに起床時刻を口に出してしまったせいでプレッシャーを与えてしまったって言うのか?
お弁当は楽しんで食べて欲しかったのに俺のバカバカ!!
「アタシはそんなに完食を考えてなかったな。食べてたらいつの間にか無くなってた」
「そもそも私やテスタロッサ、それにアリサにヤマトも前衛だから食べなければならないしな」
食後のお茶を啜りながらそんな事を言ってくれるヴィータちゃんやシグナムさん。
そして巻き添えを食らったアリサちゃんとフェイトちゃんは急に慌て出す。
「え、私そんなに食べないわよ? ……ま、まぁ美味しかったから今日はついつい食べちゃったけど……今日だけ、今日だけなんだから!!」
「私も今日だけ特別! レオのお料理が美味しすぎるのがいけないと思います!!」
この二人は大食い=デブという刷り込みでもされてるのだろうか? 別にいいじゃん、食べてくれる方がおじさん嬉しいよ?
それに最近お弁当箱のサイズが大きくなったのは知ってるんですからね?
「まぁレオの料理が最高なのは同感、私も食べ過ぎちゃったよー。……でももう少し食べたいかなー?」
「にゃはは実は私も……」
まさか……いくら人数がいるとは言え、あの量を食べてもまだ満腹では無いと?
そうか今日はみんな海で泳いでるから腹ペコ状態だったのか? 重箱後一つ準備しておけばよかった……。
「なら近くに海の家とかあるし、焼きそばでも買うか?」
「その必要はないわ」
アリサちゃんはそう言うと荷物から大玉のスイカを三つ取り出す。
「デザートにスイカを用意したわ。やっぱり夏といえばスイカよn「スイカ割りするの!?」え、いや普通に切ろうと……」
普通にデザートにスイカを食べようと思っていたアリサちゃん。しかしわんぱくなひなちゃんはスイカを見た時点でスイカ割りをする気満々の様だ。
それに……チラリと本日全力で海を楽しんでるフェイトちゃんの方を見ると、「スイカ割り……」とキラキラした目を向けていた。
二人の視線にさらされたアリサちゃんは軽くため息をつく。
「しょうがない。スイカ割りしましょう!!」
という事で3チームに分かれてスイカ割りの始まりです。
「シャマルさーん、そこ右でーす」
「あ、ちょっと行き過ぎです。左を向いて……今度は左に行きすぎ!!」
こらこらなのはちゃん、アリサちゃん? そういう曖昧な指示じゃ行けるものもいけませんぜ?
どれ、おじさんがお手本というものを見せてやろう。
「シャマルさんゆっくり右に回って下さい。ゆっくりね? ……はいストップ。そこから大股で三歩まっすぐ進んだ所にスイカありますよー」
「ここから大股三歩ね?」
俺の指示通り三歩進んだシャマルさんの目の前にはスイカ。
フハハハハハ、これが適切な指示というものよ!
棒を思いっきり振り上げ、一思いに振り下ろす。様を見ながら得意げな表情を浮かべていると……
ヒュンッ
「あー、惜しい!」
「スイカまでは到着してたのに、スイカに棒を当てられなかったわね」
ま、まさかあそこからスイカを割れないだなんて……。
ぐぬぅ、どこに棒を振り下ろすかまでしっかり指定しておいた方が良かったか……?
目隠しをとったシャマルさんは残念そうな表情を浮かべると、なのはちゃんに目隠しと棒を渡す。
「はい、次はなのはちゃんね」
「はーい」
さてお次はなのはちゃんのターン。
なのはちゃんはイメージ的にはスイカ割りとか失敗しそうなイメージではあるけど、この子動体視力はいいし、距離感を掴むのに長けてるから微妙な所だな。
「それじゃあ行くよー?」
なのはちゃんはフラフラとブレながらも確実にスイカの下まで歩いていき、やがてスイカの前までピタリと立ち止まった。
「おぉ、なのはちゃんドンピシャ。目隠しってちゃんと巻いてたよね?」
「ええ、確認したわ。流石なのはね」
「そこ! にゃぁあああああ!!」
そして棒を振り上げて特徴的な掛け声とともに振り下ろす。
ポコ
……え?
「手応えあり! 割れた?」
「全然割れてないわよー! もうちょっと力入れて叩きなさい!!」
「にゃっ! にゃっ!!」
ポコポコ
「な、なのはちゃん、剣道を思い出して!! 剣道の振り下ろす動作を意識してやれば割れるはず!!」
「あ、そっか。うにゃああああ!!」
ポコ
「にゃぁあ……このスイカ硬すぎてなのはじゃ割れないの……」
「おいおい嘘だろ?アリサちゃん、やってみて」
「ええ。なのはー、目隠しと棒ちょうだい」
その後アリサちゃんのターンのため、目隠ししたアリサちゃんを俺がナビゲーションをしながらなんとかスイカの前まで誘導する。
「ここね?」
「うん。まっすぐ振り下ろせば当たるはず」
「了解。えい!」
ドシャ
「アリサちゃん凄いの。なのはじゃ割れなかったのに……」
「ねぇ、なのは。私そこまで力入れてないんだけど?」
「てかなのはちゃん? 君剣道に関しては俺と同レベルに強かった様な気がするんだけど? 打ち込みも重くて鋭い一閃を連続で打ち込んでくるじゃん?」
「えー、棒は竹刀じゃないからそんなに上手に出来ないよぉ」
こいつマジかよ。
剣道の才能には恵まれたのに、スイカを割ることが出来ないなのはちゃんなのであった。
因みにアリサちゃんが割ったスイカは切り分けて食べました。美味しかったです。