見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「あー、ひなだけずるい!! 私も一緒に行く!!」
「うん。一緒に行こー」
……まぁうん、予想はしていた。予想はしていたさ。
ひなちゃんをデートに誘っても、アリシアちゃんがひなちゃんを羨ましがって一緒に着いて行こうとするのは。
そしてひなちゃんも二人きりより友達いっぱいの方が好きだから、アリシアちゃんの申し出を二つ返事で受け入れる事も。
「なのちゃん達はいつも通りヤマト君の方に行っちゃったし、三人で屋台デートだー!」
「……まぁ、ひなちゃんが良いなら俺は構わないんだけど」
「フフフ、レオはひなとデートしたかったのかもしれないけど、お邪魔させてもらうよ……! せっかくのデートチャンスを逃す気はないし、それにフェイト達がヤマトの方に行っちゃってレオ達にも置いていかれたら寂しいから!!」
かなり切実だった。
あー、確かにアリシアちゃんを差し置いて二人でデートしたら、ヤマトにフェイトちゃん取られたアリシアちゃんはぼっちで回る羽目になるからな。
え、守護騎士がいるじゃないか? ヴィータちゃんだけならいざ知らず、シグナムさん達は言ってしまえばはやての保護者みたいな立ち位置だし気まずいでしょうが?
と言うわけで三人で屋台を見て回ってるけど、ほんと色んな屋台が揃ってるなぁ。
「ほんと色んな屋台が揃ってるねぇ」
ひなちゃんも俺の地の文と同じ様なこと言ってるよ。
「うーん……あ! 屋台がいっぱいなのってこれじゃない?」
アリシアちゃんはそう言って近くの張り紙を指差す。
ええっと……第78回〇〇祭り?
「なーるほど今夜お祭りがあるのか」
お祭りがあるって言ったってここは観光名所でもあるんだから、少し早めに始めて少しでも収益を増やすっていう感じなんだろうな。
「お祭り! 今夜またここに来ないと!!」
「そうだね、後でアリサに頼んでみよ?」
「残念。夜はみんなで花火するって約束だったでしょ?」
「あ、そっか。うぅ……お祭り……」
「ぐ……花火とお祭り…………。どっちを取るべきか……!」
あらあら随分の残念そうな表情だことで。
我儘言ってお祭りに行きたいけれど、花火も楽しみだからどっちにしようか悩んでいる。そんな表情だね。
「そ、そうだ。今日はお祭り行って、花火は明日すれば……!」
「シアちゃん、明日には帰るんだよ? それに元々今日花火をやるってみんなで決めたんだから、我儘言っちゃダメだよ」
「そうだね。せっかく招待してくれたアリサに悪いもんね。我慢我慢……」
流石は良い子な二人組。
おじさんな俺としてはこの年齢は我儘を言ってナンボだとは思うけど、確かにアリサちゃん達に迷惑かけるわけにもいかないからね。
でも残念そうな末っ子ポジ二人。兄貴分としてはなんとかしてあげたいが……あ、そうだ。
「そう言えば二週間後に海鳴市の方でも夏祭りがあるし、今日は花火をやって海鳴市の方の祭りはみんなで行ってみる?」
「ほんと? 行く!」
「そうだね。海鳴市でもお祭りがあるなら今日は花火をしないと!!」
ひなちゃんもアリシアちゃんも今日を逃してもお祭りには行けるということを知り、すっかり花火モードになったのだった。
「それに祭りの本番は夜だろうけど、これだけ賑わってるなら立派な祭りだよ。お昼ご飯はここの出店で食べるって決めてるし三人で思いっきり遊ぼう」
「そうだね。夜じゃなくてもお祭りだー! それじゃえっと……輪投屋さん行こ?」
「甘いよひな。輪投げは子供のやる物「俺たち子供だよ?」大人は射的をやるべし!!」
「どちらも変わらないでしょ?」
「おー! シアちゃん大人!!」
「お、俺がおかしいのか……?」
まぁ回転を調整して放物線を意識して投げるよりは、狙って撃つだけの射的の方が簡単だから別に良いんだけどね?
ひなちゃんとアリシアちゃんに片腕ずつ掴まれた俺は射的屋に連行された。
「おじちゃん、弾ちょーだい?」
「お、可愛いお嬢ちゃん達が来たもんだ! ほれ、一発ずつサービスだ!」
すっかり女と勘違いされることにも慣れてしまったなぁと思いつつも、いちいち指摘するのが面倒だった為、弾を一発おまけしてもらって礼を言う。
「よーし、あのおっきなピンクのろいウサギ取っちゃうよー! ヴィーちゃんへのプレゼントだー!」
ひなちゃんはそう言ってピンク色ののろいウサギを狙う。
普段ひなちゃんの扱う遠距離武器は弓である為射的は難しいらしく、一発も当たらない。
「むむむ……最後の一発……」
「お嬢ちゃん、肩の力を抜くんだ。力を入れすぎると外しやすくなっちまうからな」
「そーなの? それじゃあ力を抜いて……」
ひなちゃんは射的屋のおっちゃんの言う通り肩の力を抜いて引き金を引く。
……お、当たった!
「……あれれ? 倒れない……」
「あー、残念。のろいウサギに当たりはしたけど、のろいウサギは大きいからねー」
「残念だったな。でもまぁ当てたしコイツは「待っておじさん」うん?」
射的屋のおっちゃんは当てたからと、のろいウサギのぬいぐるみをひなちゃんに譲ろうとしたがアリシアちゃんがそれに待ったをかけた。
「私がひなの仇を討つ! ガンナーのアリシアちゃんの力、見せてあげるよー!」
「お、なら嬢ちゃんがリベンジか!」
アリシアちゃんは俺と同様に色んなタイプを使い分けるタイプの魔導師だが、その一つに二丁拳銃が改めて射的は自信があるだろう。
彼女は自信満々の顔で引き金を引く。
「お、凄いな! 百発百中じゃねえか!!」
おっちゃんは感心した様な表情を浮かべる。……だが。
「グヌヌ……後一発」
「倒れないな」
流石に小さなコルク弾でのろいウサギは荷が重すぎた様だ。胸、頭、腕と色々な所に当てているが倒れる気配がない。
「し、シアちゃんどうしよう! 後一発しか……!!」
「大丈夫、私が絶対コイツを取るから!!」
…………よし。ならおじさんカッコいいところを見せちゃうぜ。
俺は無言でアリシアちゃんの隣に置かれたコルク銃を手に取るとそいつに弾を詰める。
「……なのはちゃんから聞いたんだけど、大型の傀儡と戦ったときフェイトちゃんはこう言ったんだって。大型で防御が固い。でも二人でなら」
「なるほど、二人で同時にやれば倒せる。そう言いたいんだ! なら外さないでね、レオ!!」
「俺を誰だと思ってんだ。ひなちゃんやアリシアちゃんの兄貴分だぜ?」
アリシアちゃんの最後の一発……アリシアちゃんの銃口はのろいウサギの頭。ならば俺はのろいウサギの左胸……心臓だ。
大丈夫。脳と心臓はコルク弾如きじゃ撃ち抜けないし、そもそもぬいぐるみだから内臓なんてないよ。
「「せーの!!」」
二発のコルク弾がのろいウサギへと襲いかかった。
「いや〜、いいもん見せて貰ったぜ! 友情っていいな。ほらコイツは景品だ!!」
「ありがと〜おじちゃん!」
結果は大成功。二人の力でのろいウサギは無事倒れた。
「それじゃ後でヴィータに渡さないとね?」
「うん! でも渡すまでの間……」ギュー
ひなちゃんは満面の笑みでぬいぐるみを抱きしめるのだった。
その後、出店を回ってお昼ご飯を済ませ、集合時間5分前に集合場所へ戻ってヴィータちゃんにぬいぐるみを渡すのだった。
「こ、これは……幻のピンクウサギ!? ネットでもプレミアがついてる激レアじゃねえか!? え、いいのこんなんもらって!?」
「え、そんなにレアなんだ」
「こりゃ惜しいことしたんじゃない?」
「いいの。ヴィーちゃん喜んでくれたんだから充分だよ。それにウサギさんもひなより大切にしてくれる人の子になった方が嬉しいだろうからね!」
「ひな、ありがとう! お前は本当に天使だよ!!」
テンション高くひなちゃんに抱きつくヴィータちゃん。
そしてその光景を見て「私のヴィータがひなに取られる!?」と宣うアリサちゃんをはやてが「アリサちゃんのじゃないやろ」とノリツッコミしましたとさ。
〜おまけ〜 なんで言っちゃうの!?
「……ご、ごめん。お姉ちゃんもう一回言ってくれない?」
「え、うん。フェイトが私の死んでるときになのはに、大型で防御が固い。でも二人でなら……。って言ってくれたんでしょ? おかげでのろいウサギが取れたよ! いやー、持つべきものはしっかり者の妹だね!!」
「は、恥ずかしいから誰にも言わないでってお願いしたのに!! な、なのはなんて大嫌い! うわぁああああん!!」
「あ、待ってフェイトちゃーん!! ……レオ君ちょっと向こうでO☆HA☆NA☆SHIしようか!?」
「え、いや。誰にも言わないでって言われたのになんで言うかな!? うっかり教えておいてそれはあんまりだ!! 弁護士を呼べぇええええ!!」