見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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やぁみんな久しぶり!……え、サッカーの助っ人?

「……くふふ、ようやく完成したぜ」

 

『お疲れ様でした。まさか最終調整で致命的な欠陥を見つけるだなんて災難でしたね。日頃の行いが悪いからそうなるんですよ』

 

「日頃の行いについてオメェにだけは言われたくねえよ」

 

 予想以上に制作が難航し、数日の間学校を休んでしまった。

 無断欠席したら後が面倒臭いから、先生にはしっかりと風邪ひいたって言ったよ?

 

「さて、早速アリサちゃんとすずかちゃんに渡しに行こうか。このバッテリー型デバイスをよぉ……!」

 

『二人とも喜んでくれるといいですが』

 

 そうこれこそが俺が今まで作っていたアレだ。

 一年の頃のお泊まり会で「私も魔法使ってみたいわ。ねぇレオ、アンタどうにかしなさいよ」と言ったアリサお嬢様の要望に従い、一から理論を立てて組み立てた代物だ。

 

「本来この世界に存在しない技術だから、作るのにかなりの時間をかけたけどな」

 

『というかこれをミッドチルダの学会で発表したら、一生遊んで暮らせるほどのお金をもらえると思うんですがね』

 

 俺もそう思う。

 魔法なんて才能のあるやつの特権だ。それを魔法の才能のないやつでも使えるようになったとなればそれは世紀の大発明だろう。

 

「まぁそれはまだ数年後でいいよ」

 

 ピルルルルル

 ピルルルルル

 ん、電話? ひなちゃんからだ。

 

「もしもーし、どうしたのひなちゃん?」

 

『今から士郎さんがコーチやってるサッカーチームのを練習試合を観に行くんだけど一緒に見ようよ! ヤマト君も出るんだよ! ……どうしたのなのちゃん? 変わって? 分かった、はい』

 

『あとねそれが終わったらお話ししたいことがあるんだけど大丈夫か……あ!』

 

『てか、アンタもいい加減家に引きこもってないで来なさいよ!』

 

『そうだよー、引きこもってばっかりだと身体に悪いよー?』

 

 なのはちゃんの話って多分ジュエルシードの事だろうな。てかそれ以外にないと思う。

 てかアリサちゃん電話で叫ばないで。耳元で大音量で叫ばれたら鼓膜が死ぬ。

 

「分かった行くわ」

 

 だがまぁナイスタイミングだ。

 せっかくだしこのデバイスをアリサちゃんとすずかちゃんに渡してしまおう。

 

 〜河川敷〜

 

「よっすよっす。みんな久しぶり」

 

「久しぶりじゃないわよ! アンタ三日も学校ズル休みして! そんなに休んで何やってるのよ!」

 

「え、アリサちゃん心配してくれてるの? あらやだおじさんうれし「死ね!」あべし!」

 

 ほっぺたをグーで殴られた。痛い。

 おやおやこれは相当怒ってらっしゃるな。もう勿体ぶる必要もないしさっさと言ったほうが身のためだ。

 

「いやー、これにはマリアナ海峡より深〜い事情がありましてな。というのもこれを……」

 

「あ、なのちゃん、すずちゃん、アリサちゃん! サッカーの試合始まるよ!」

 

「あ、ほんとだ。ごめんレオ君、事情には後で聞かせてね」

 

「解せぬ」

 

 どうやら優先順位は俺<<越えられない壁<<ヤマトのようだ。まぁ、ヤマトはオリ主で俺は踏み台だしそりゃそうか。

 まぁせっかく来たんだ。ヤマトの勇姿を目に焼き付けないのも失礼だよな。応援してやろう。

 

「がんばれヤマト君ー!!」

 

「ヤマト、後ろから追って来てるわよー!」

 

「あ、取られた。油断してるからだばっきゃろー!!」

 

「奪い返すのヤマトくーん!」

 

「そのままシュートだよー!」

 

 何故だろう。俺たちが応援すれば応援するほど、相手チームへのヤマトの妨害が苛烈になっていってる。そしてそれと反比例するように味方チームの動きが悪くなってる。

 あれれー?

 

「士郎さん。士郎さんとこのチームなんか調子悪くないっすか?」

 

「君たちのせいだと思うよ?」

 

 え、なんで……あぁ。

 まだ小学三年とは言え、美人なひなちゃん、なのはちゃん、アリサちゃん、すずかちゃんの四人組。そして踏み台の容姿が目立ちすぎて目立たないが、俺もときたま女の子に間違えられる顔つきだ。

 とどのつまり……

 

「爆ぜろリア充ってか。いやー、スポーツに私情を持ち込むだなんてアイツらにスポーツマンシップと言う概念はないのかね?」

 

 若干呆れながら試合の行方を眺めていると、ヤマトのチームメイトの顔面に敵チームが蹴ったボールが当たり倒れた。

 リア充に当てられてやる気を無くしやがったからバチが当たったのだ。ふはははは!

 ……あれ立ち上がらない。まさか今の一撃で気を失ったのか?

 

 〜数分後〜

 

「なんでこうなった?」

 

 気を失った子を近くの木陰で休ませてやったが起きる気配がなく、士郎さんは翠屋JFCの人数が減ってどうしたものかと頭を悩ませていた。

 そしたら何を思ったのかヤマトが士郎さんの下へ行き。

 

「レオは運動神経いいですよ!」

 

「そうか、なら安心だ。よろしく頼むよ麗央君!」

 

「ゑ?」

 

 ……盛大に巻き込まれた。

 マジでふざけんじゃねえぞオリ主ィ! ピキピキ

 

「……まぁ最近引きこもってて身体動かしてないし、リハビリと思えばいいか……」

 

「ほら行くぞレオ! 学校休んで蓄えた力を今こそ解放するんだ!」

 

「オメェは絶対許さないかんな!?」

 

 恨み言を吐きながらヤマトからパスされたサッカーボールを受け取る。

 ゴールへ向かう俺を当然のごとく迎え打ってくる敵チーム。

 だがヤマトほどじゃないにしても、地味に妨害が苛烈じゃないですか敵チーム?

 

「れお君がんばれー!! ゴール決めちゃえー!!」

 

 ……応援してくれてありがとひなちゃん。

 とりあえずこのままじゃ奪われそうなので、ヤマトにパスをしてから、敵も味方もいなくかつ敵のゴールからは近すぎず遠すぎずの絶妙な位置へ移動する。

 そしてヤマトにアイコンタクトをした。つい先ほど念話で打ち合わせをしておいたのだ。

 

「パスだレオ!」

 

 ヤマトは右足から放たれたボールはジェット機のごとく豪速球で迫ってくる。

 あまりの速さに誰もがボールについていけず一瞬で俺の下までやって来たサッカーボール。

 それを胸で受け止めるとパァンと大きな音がしてボールが垂直に飛んだ。

 

「く、クソ痛え……」

 

 神から与えられたこの強靭な肉体じゃなきゃ、俺は今頃肉塊に化していただろう。

 悶えたくなるような激痛を歯を食いしばって耐え、ボールが落ちてくるタイミングを見計らう。

 ……まだ。…………まだ。…………ここだ!!

 

「究極天技イカロスダイナマイト!!」

 

 自ら宙返りをして逆さまの身体でボールを蹴る。つまりはオーバーヘッドキックだ。

 相手側のキーパーは完全に虚をつかれたようで、サッカーボールはゴールのネットの中へ収まった。

 直後試合終了の笛が鳴り、この練習試合は翠屋JFCの勝利で幕を下ろした。

 

 思わぬタイミングだったとは言え、一度はやってみたい大技10選のうちの一つを実践できてその上成功したのはラッキーだったな。ゴフッ

 

「すごいよれお君! ……って血を吐いてる!? だ、誰かきゅーきゅーしゃー!!」

 

「あ、大丈夫回復魔法かけるから」

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