見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「今日は儂の奢りだぁあああ! 貴様ら、目一杯飲めよ!?」
「よ、さっすがレジアスー! 太っ腹ー、男前ー!!」
「わはははは! では乾杯!!」
最高評議会を滅した事でおっちゃん、ゼスト隊、そして嘱託の俺で居酒屋を貸し切って飲みに行く事になりました。
目の上のタンコブがいなくなったことで途轍もなくご機嫌なおっちゃんの乾杯の音頭で乾杯する。
「ぐぬぅ……。成人してたら酒飲めたものを……。居酒屋で酒飲めないとか生殺しにも程があるって……」
ま、こればっかりは仕方がないか。ジュースで我慢しよ。
それにしてもゼストさんもキャラ崩壊レベルでテンション高くなってたなぁ。
ふと気になって、まだ離乳食を食べられる様になったルーテシアちゃんを連れて来ていたメガーヌさんに聞いてみると……。
「隊長はレジアス中将が裏と繋がっている事を心配していたからねー。今回の一件で完全に裏と決別できて嬉しいんだろうね」
との事だった。
なーるほど。ゼストさんとおっちゃんは昔から仲がいいみたいだから、そりゃ嬉しいわな。
「それにしてもごめんね。結局レオ君の所まで侵入を許しちゃうなんて……」
「いやー、流石にしょうがないですよ。それに本当は相当な数来てたんでしょ?」
チンクが言うには最高評議会の残党が百人以上来ていたらしいが俺の下に来たのはほんの6人。
つまり9割以上は頑張ってやっつけてくれたのだ。それだけ頑張ってくれたなら充分充分。
「それにしてもよく中将が狙われてるって気づいたわね? レオ君が気づけて無かったら多分中将は死んでたわよ?」
「わははは! そうだな、レオ、お前は儂の命の恩人なのだから、高い物を頼みなさい!! 今日は儂がなんでも食わせてやるぞ〜!!」
「おいみんな聞いたか!? レジアスが高いの頼んでいいらしいぞ! 頼め頼め!!」
「ちょっと待てゼストぉおおお!! レオにしか言って無いのになんで話を大きくするぅ!?」
すっかり出来上がったゼストさんが悪ノリでそんな事を叫ぶもんだから、同じく許可を取って子供を連れて来てたクイントさんが「え、ホント? それじゃあ早速……」と言って注文しようと……。
「ちょいストップクイントさん!? アンタの家はエンゲル係数の桁が違うでしょうが!? 流石に高いの爆食いしたらおっちゃんが破産するって!!」
「そうよ。流石に自重しなさい!!」
「えー……」
メガーヌさんと二人がかりで止めたのだった。
その後酔っ払いの相手は面倒臭いため、ある程度みんなにアルコールが回ったタイミングでコッソリと離脱して、少し離れた所で山盛りの食事を頬張りながらルーテシアちゃんの面倒を見ていたナカジマ姉妹とチンクの下へと移動する。
「や、入れておくれ」
「あ、やっと来た。チンクから聞いたけどすっごい大活躍だったらしいわね」
「お家から見てたけど、あのおっきな雷レオ姉が落としたんでしょ? すっごいねぇ!」
「スバル雷落ちたときは泣いてたくせに〜」
「あ、それはレオ姉に言わないでって言ったじゃんギン姉のイジワル!!」
姉妹でわちゃわちゃわちゃやってるのを見て微笑みながら近くに座ると、ルーテシアちゃんを抱いたチンクがやって来た。
「メガーヌが兄上がこちらに来たらルーテシアを抱っこさせてやって欲しいと頼んで来ていたからな」
「あぁ。そういえば旅行を邪魔されてブチギレてたときにメガーヌさんが抱かせてくれるって言ってたっけ? この子抱いて怖がらないかな。人見知りする方だった?」
「大丈夫だと思うぞ。私やスバル達は怖がらないし、兄上は私とほとんど同じ顔だから怖がることはないだろう」
「そっか。それじゃあ早速……」
「兄上、抱き方が違うぞ? これではルーテシアが嫌がるかもしれない。右手はここに手を通して……」
「なるほど……」
チンクに抱っこの仕方を教えてもらいながら、優しくルーテシアちゃんを抱かせてもらう。
ルーテシアちゃんはじっと俺の顔を見つめている。
いやーやっぱり小さい子供は可愛いね。施設ではよく赤ちゃんとかの面倒見てたけど、やっぱり幼い子特有の曇りのない瞳が綺麗なんだよ。
……あれ? この子目の端に涙浮かべてる。……まさか。
「あぁああああああ!!」
「え、俺ダメなの!?」
「兄上、私に任せてくれ!!」
すぐさまルーテシアちゃんをチンクの腕に写すと、ギャン泣きしていたルーテシアちゃんは泣き止むとやがてスヤスヤと寝息を立て始めた。
「ルーちゃん私やギン姉が抱っこしても泣かなかったのに」
「どうしてだろ? 男の人はダメなのかな?」
「だがゼスト隊長は大丈夫だったぞ?」
「納得いかねえ」
さっき泣いたのは抱っこの仕方が悪かったからって事にして、もう一度抱っこに再チャレンジしたいがやめておこう。
ルーテシアちゃんを起こしちゃ悪いし、チラチラと娘の様子を確認してたメガーヌさんがさっきの鳴き声で今ではガン見してるからな。あんまり泣かせると殺されるかもしれない。
「ま、赤ちゃんは繊細だからねー。もしかしたら嘱託のお仕事で犯人とかをサンドバッグにしてる俺のドス黒い本性を見抜いたのかもな」
「その理論で言ったら私は人殺してるからもっと嫌われると思うんだが……」
「ほーら、ルーちゃんの前でそんな恐ろしい会話をしないの! せっかくの外食なんだから食べよ?」
「そうだね」
確かにそうだ。せっかくのタダ飯なんだから食い溜めしなければ。大皿に盛られた料理を山盛りに取って俺の方に差し出してきたギンガちゃんに礼を言い早速いただこうと……
……あれ、箸がない。
「はいレオ、あーん」
「そう言う事ですか。……あーん」
ギンガちゃんはこれを狙っていたのかと思いつつも、断ったら面倒臭そうなため潔く差し出されたスプーンを口に含む。……うん、うまい。
「そういえば兄上、先ほどドゥーエに会ったんだが、兄上は粉を起爆させていたと言っていた。どう言うカラクリなんだ?」
「モグモグ……砂鉄と小麦粉を混ぜたものを目潰しの要領で投げるんだよ。砂鉄は小さいから爆破の威力は大した事は無いけど、砂鉄一粒一粒を爆発させて小麦粉に引火させて粉塵爆発を誘発すれば、割と威力の高い爆発を起こす事が出来るよ」
「なるほど、今度私も試してみよう」
「チンク姉、ルーちゃん抱っこしてて食べられないでしょ? あーん」
「助かる、あーん。……何に対しても応用なんだな。他にISの有効な活用方法はあるだろうか?」
「はい、レオあーん」
「あーん。……そうだねぇ、例えば……」
その後俺ら兄妹はナカジマ姉妹に口に料理を運んでもらいながら、ランブルデトネイターの活用方法について談義するのだった。
〜一時間後〜
「ぐぅうう……儂とした事が飲み過ぎた……」
「まぁ仕方がないよ。こんな大きな仕事片付けたら誰だって羽目を外したくなるでしょ」
飲み会が終わり解散後、見事に酔い潰れたおっちゃんを介抱していた俺。
一応おっちゃんの娘のオーリスさんに連絡したから暫くすれば来ると思うけど、こりゃお説教コースだろうね。
そんな事を考えていると、一台の車が俺の前に止まる。
「あー、もう父さんったらこんなに飲んで……。レオ君に介抱されて情けないと思わないの?」
「あはは、まぁ仕方ないと思いますけどね」
そう言いながら二人で協力しておっちゃんを車に入れる。
「それじゃあ。……レオ君、父さんを守ってくれてありがとうね」
「どういたしまして。それじゃおっちゃんバイバイ」
「……レオ、儂はやるぞ。……地上本部を……管理局を……変える。これからも……力を貸してくれ……」
うわ言のように呟くおっちゃんの乗った車を見送る。
「……ま、半ば無理やり嘱託やる羽目になったとは言え、乗り掛かった船だからね。あくまで嘱託の身でだけど手伝ってやるさ」
「あ、そっちもレジアス中将迎え来た? 今夜泊まって行く?」
おっと同じく酔い潰れたゼストさんを介抱していたクイントさんがコチラに来た。俺の独り言聞かれてないよね?
「え、今日レオ姉一緒なの? やったー!!」
「いいね。レオ今日は泊まって行ってよ! パジャマパーティーしよ?」
「帰ってIS会議の続きと行こう兄上?」
「……はいはいっと。それじゃ、今晩はお世話になります」