見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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一応この世界の両親に報告しておくか……

「それじゃお世話になりました」

 

「うん、また泊まりに来てね〜」

 

 その後ナカジマ宅で一泊した後時空間転移で帰宅しようと……いや、最高評議会も地獄へ送り出した事だし、お盆には少し遅いけどこの世界の両親に報告がてらお参りにでも行くかね。

 いつも通り花でも買って行くか。

 

 ……あ、そうだ。

 

「なぁチンク。これから報告がてら死んだ両親の墓にお参り行くんだけど一緒に来ない?」

 

「……そうだな。レオの母君は私に取っての実母と言ってもいいお方。せっかくだし付き合わせていただこう。母上、少し行ってくる」

 

「いってらっしゃい。しっかり祈ってくるんだよ?」

 

 一応チンクは俺の母親のクローンという事で、一度くらい顔を見せてやった方がいいだろう。

 彼女を連れて近場の花屋で花を包んでもらう。

 

「両親はこの花が好きだったのか?」

 

「物心ついた頃にはとっくに死んでたから両親の好きなものとかは何にも分からない。だから適当に選んでる」

 

「そうか。……親がいなくて寂しいと思った事はないか?」

 

「うーん……そもそも物心ついたときには親いなかったし一人が当たり前って感じ?」

 

 流石に前世でのトラウマで家族に対して良い感情を持っていないとは言えない為、適当に誤魔化しておく。

 さて、花も買った事だし早速お参りにレッツアンドゴーだな。

 

 

 ◇

 

 

 バスに乗ってミッドの墓地にやって来た俺とチンクは両親の眠っている墓に花を添える。

 

「……初めましてだな。無許可であなたの細胞から作られた私であるが、せめてあなたの代わりに彼の成長を見届けさせて頂くよ。だからどうか見守っていてほしい」

 

「お前は俺のなんなんだ?」

 

 変な事を呟くチンクにツッコミを入れながら、手を合わせて祈りを捧げる。

 ……お宅の息子さんは転生者ではありますが、だからこそあなた方がいなくても立派にやれてますよ。あなた方を殺めた最高評議会は地獄に叩き落としたし、これでちょっとは安心して眠れるでしょうか?

 

「……よし、帰るか」

 

「そうだな」

 

 俺とチンクが墓地を後にしようとすると、チンクがクイクイと俺の袖を引っ張って来る。

 

「あそこにいるのは、フェイトとアリシアでは無いか?」

 

「え? ……あ、ほんとだ」

 

 チンクの視線を追って見ると、少し離れたところでスーツ服姿のテスタロッサ家とハラオウン家が祈りを捧げているところだった。

 確かにリンディさんの夫は闇の書の一件で亡くなったって言ってたし彼のお墓なのかな?

 

「……ま、今行くのは野暮ってもんだし見つかる前に帰るよ」

 

「そうだな」

 

 こういう日に知り合いを見つけたからと、彼女らの方へ行くのは野暮ってもんだ。

 存分に亡くなった方への冥福を祈って貰うためにも、見なかった事にしてさっさと撤退するとしますか。

 

「……あれ? あそこにいるのはレオじゃないかい?」

 

「アルフぇ……」

 

 お参りに来たならしっかり祈るべきなのに、よそ見をするとはなんという駄犬だろうか?

 

「あ、本当だ。おーい!」

 

 …………。

 流石にこの状況で無視して帰ったら後で面倒臭いことになるため、彼女らの方へ向かう。

 

「コラコラ、アリシアちゃん? いくら知り合い見つけたからってこんな所で大声出したらダメじゃないか? 眠っている人達が起きてアリシアちゃんをあの世に引き摺り込んでも俺は知らないからね?」

 

「「ひぃ!?」」

 

「なんですって私の可愛いアリシアをあの世に連れて行くだなんて、死者の分際で随分と生意気な事をするじゃないの! いいわ。ここにいる奴ら全員消して「墓地でなんてこと言うのよ。この親バカは」ちょ、い、いはいいはい(痛い痛い)! りんふぃほっへはひっははないへ(リンディほっぺた引っ張らないで)!!」

 

「レオ君もプレシアがいる前でそう言う事を言うものじゃないわ。危うくここが更地になる所だったじゃないの」

 

「すみません。まさか死者に対してもそう言う対応をとるとは思ってもいなくって」

 

 やはりどんなに改心したとしてもプレシアさんはプレシアさんと言う事か。

 

 

 ◇

 

 

 その後チンクと別れてリンディさんらと共に海鳴市に帰還。

 リンディさんに誘われて、テスタロッサ家でお茶をいただいて行くことにした。

 

「それにしてもほとんど同じタイミングでお参りに来てたなんて偶然だったね」

 

「本当ね。お盆はとっくに過ぎてるけど、やっぱり最高評議会の件で?」

 

「そうですね。最高評議会の公開処刑があったから、お盆の予定をずらして死んだのを確認してから、仇を取ったって報告に行ってたんです。あぁ、この後ヤマトにも報告しておかないとか。面倒臭いな……」

 

 アイツは面倒臭いとか言って、結局見には来なかったからな。なのに滅っしたら連絡してほしいだなんて、他力本願なオリ主で困っちゃうよ。

 公開処刑だなんて趣味の悪いものを見る気はないと言う性格ではないし、面倒臭いと言うのはおそらく本心だろうからタチが悪い。

 

「そう言えばリンディさん達が遅れた理由って?」

 

「大した理由ではないわ。任務で呼び出されちゃったの。予定を立てた後にこれだからほんと困っちゃうわ」

 

 任務……あぁ。そう言えばリンディさんやクロノ君はミッドの公開処刑の防衛で呼び出されてたっぽいからな。

 

「まぁその任務のおかげで麗央君や大和君、ひなさんは狙われることが無くなったから良かったと言えば良かったんだけどね。普通こんな事を言うべきではないけれど、彼らの時代が終わって本当に良かったわ」

 

「そうだね。レオだけじゃなくてヤマトやひなも狙ってたんだもん……自業自得だよ」

 

「フェイト? ちょっと顔が怖いよ?」

 

「まぁフェイトちゃんにとっては、ヤマトは好きな人だし、ひなちゃんはリニスの妹弟子だからね。傷つけられたら怒るのは当たり前だよ」

 

 最高評議会は間違いなく怪物だった。

 圧倒的な権力で悪事は揉み消して、追求する奴らは裏で抹殺して、アイツらにとって管理世界の人間は全て奴隷という認識だったに違いない。

 そう考えると奴らはワンピースの天竜人と同等の存在だったのだろう。

 

「そう考えると奴らが最後に言った通り、転生者の俺に喧嘩を売ったのだけは間違いだったみたいだな」

 

「てんせいしゃ? 何それ?」

 

「あ、ごめん。何でもない」

 

 いっけね、口に出してたか。

 まぁ何はともあれ、今回の一件で管理局も膿を吐き出す事に成功したから、おっちゃんの新体制の件を含めて管理局はこれからさらに発展して行く事だろう。

 

「発展したらその分給料も増えたりして……」

 

「あら、それは素敵な話しね。お給料が増えたら長い休暇をとってバカンスにでも行きたいわねぇ」

 

「俺の場合は一生働かなくて良いほどにお金を貯めて、残りの余生はのんびりニート生活を満喫したい所ですわ」

 

「ごめん、リンディさん働き者だから、それはちょっと理解できないわ」

 

「レオって将来思いっきり怠けるために今を頑張ってる節があるよね?」

 

「それは不可能なんじゃないか? なんて言ったってレオはレジアス中将の後継者なんだからな」

 

「それおっちゃんが勝手に言ってるだけで俺はただの嘱託ですわ」

 

「だったらあのくま髭のおじさんに外堀とか埋められないように気をつけないとね」

 

「…………」

 

 あれ、何だかもう手遅れな気がする。

 いや、まだやる気のある人になんとか後継者押し付けられればなんとかなるはずだ。今のうちから少し対策をしておかねばな……。

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