見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
ヤマトからデバイスの修理と改良を頼まれた翌日。
「……なぁ妹よ。今回の大仕事……呼んだのは弟子であるすずかちゃんとアリサちゃんとはやてだけなんだよ」
「私も呼ばれたぞ?」
「チンクも弟子だし何なら助手だからね……」
「そう言えばドクターに技術提供をする代わりに助手として働く。そう言う約束だったな」
コイツ忘れてたんかい。
……まぁチンクを助手としてコキ使えるレベルにまで成長した最近ではデバイスマイスターとしての仕事も無かったし、週一でデバイスの勉強に来るか遊びに来るかでそれ以外は管理局勤めだからな。
「まぁそれはどうでも良いとして。……なんで呼んでもいないなのはちゃんやひなちゃん。それにテスタロッサ姉妹までもがいるのかを聞いても?」
「私に聞かないでくれ」
まぁチンクが来たときにはヤマト以外の魔導師組は全員揃っていたからな。聞くなと言うのも当たり前か。
それに対してすずかちゃんが苦笑いで頬をかく。
「ごめんね、レオ君の家に向かってる途中でなのはちゃんと会っちゃって……」
「ヤマト君のデバイスを修理と改良しようとしてるって聞いたから手伝おうと思ったの」
「アリサ達だけ抜け駆けはなし。簡単なお手伝いは出来ると思うから手伝わせて」
「ひなはなのちゃんが行くって言うからついて来たんだ〜」
「私も仲間外れで寂しかったからついて来た」
お前らなぁ……生半可な気持ちで触ったらデバイスなんてすぐにエラー起こして動かなくなるんだぞ? 弟子達を呼んだのは俺抜きでフラガラッハを作れた実力を買ったからなんだし、素人に来られても困るんだが……。
「でもまぁ9人で作れば作業効率も9倍かな……? それじゃあ素人4人組は俺や一番弟子のすずかちゃんの指示に従う事。そして余計な事はしない事。エラーが起きたらすぐに申告する事。その三つをしっかり守ってね?」
「「「「はーい」」」」
アリシアちゃんは少し怖いけど、基本みんな良い子ではあるから勝手な真似はしないで、簡単な手伝いに専念してくれると信じるよ。
ピンポーン
ん、お客さん? もしかしてヤマトかな?
直後アリサちゃん達が反応する。
「女子組作業中断! ヤマトに見つからない様に隠れなさい!!」
「「「「「「イエッサー!!」」」」」」
「え、ええ!?」
サプライズを狙っているのか作業を一時中断して素早く我が家に隠れてしまった女子組。そして急に隠れる物だから隠れるべきかとオロオロしているチンク。
おいおいそんなに素早く隠れるだなんて、なぜ我が家の隠れ場所を事前に熟知している? 後でO☆HA☆NA☆SHI聞かせてもらうかんな?
ピンポーン
おっと、早いところでなければ。
ドアを開けるとそこにいたのはひなちゃんの使い魔と緑色の髪の眼鏡をかけた女性だった。
「はーい。……あれ? マリエルさんにリニス。どうしてここに?」
「本局でヤマト君が撃墜しちゃったのは知ってたんだけど、デバイスを修理に出す気配が無かったからもしかしたらレオ君に修理を頼んだのかなと。……微弱ながら力になりに来ました!」
「私はひなと繋がっていますから、ひながレオさんの手伝いをしようと考えているのが分かりましてね。ならば使い魔としてデバイスの整備をした事のないひなのフォローをしなければと思ったわけです」
プロのメンテナンススタッフとバルディッシュの製作者が力を貸してくれるだなんて素直にありがたい。
だが流石に11人でやるとしたら我が家は手狭だな。仕方がない。本局でやるか。
「みんなー。本局に移動するよ〜」
「「「「「「「はーい」」」」」」」
「了解だ。……なぁすずか達はかくれんぼで負けた事ないんじゃ無いか?」
「私はかくれんぼは苦手かな?」
「私も苦手なの」
「あれだけ素早く隠れたのにそんなバカな!?」
魔導師組の非常識さに動揺するチンクであった。
◇
と言うわけで製作場所を本局に移してマリエルさん以外のメンテナンススタッフまでも仲間に入れた俺たち。
「ヤマトが俺個人に依頼して来たってのに、まさかグラディウスの強化改造プロジェクトチームが作られることになるとは……。言っておきますけどこれ修理したところで報酬なんて出ませんからね?」
「問題ありません! この作業自体が我々の報酬ですんで!!」
メンテナンススタッフ曰く、元々グラディウス自体が神特性のデバイスということもあり、すごぶる高性能のデバイスであったことから彼らの中ではグラディウスは重要な参考資料になりうる物だったようで、この修理と強化を通して中身を見てみたいのだという。
「まぁそれを言ったらレオ君のアスカロンやカリバーもそうなんだけど、その二つはレオ君が作った物ですから企業秘密の塊だろうし……」
「まぁそうですね。まだ特許を取ってない技術のアレやコレやが詰まってるから、俺のデバイスは渡したくないところではありますわ」
「ですよね〜……」
まぁ今回の改修でその企業秘密のアレやコレやをいくつか使う予定だし、参考にするならすればいいさ。
「そう言った意味なら私達も報酬をもらえるわね」
「やっぱりヤマト君の事? アリサちゃん達はヤマト君のこと好きだからね」
マリエルさんが苦笑ながらそう言うとアリサちゃんは頷く。
「えぇ、ヤマトの笑顔が見れるって最高の報酬よね!」
アリサちゃんのサムズアップしながらの言葉にヤマトラバーズの面々が頷いたのだった。
普通なら微笑ましい光景に見えるのだろうが、全員がヤマトとのゴールインを目指しているのを知っているマリエルさんからすれば、アリサちゃん達の行動は打算によるものため少し引いていた。
「ヤマトの笑顔はぶっちゃけどうでも良いけど、レオに楽させてあげられるよね」
「ね〜。それにひなは良くれお君にミラクルホープとかロイヤルホープとか修理してもらうけど、どう修理してるのか知る良い機会だよ」
ヤマトの事なんてどうでも良いアリシアちゃんのひなちゃんは俺を手伝うという何とも心優しい理由であった。でもこの二人は少し怖いでござる。
「うーん、アリシアはともかくひなは大丈夫だと思いますよ。私と知識を共有してるんで、デバイスについての知識は持ってるはずですし」
「ゑ?」
リニスの言葉に凍りつく。
おいおい、俺の転生特典の一つであるデバイスの知識。ひなちゃんはリニスと使い魔契約をする事で俺の転生特典の一つを手に入れていた。そう言いたいのか?
「……ひなちゃん。このプログラムは一箇所の間違いからエラーになっています。正常な状態に戻すにはどうすれば良いでしょう?」
「えっとねー……、あ、分かった! ここの変数を代入する所を間違えてる! これはこっちに入れないといけないんだよね?」
「……正解」
……マジじゃねえか。
なるほど使い魔を通した知識の共有で勉強しなくても知識を入手出来る研究……スカさんに薦めてみるか。
そんな事を考えているとチンクがガクリと膝から崩れ落ちる。
「な、なんと……私も知識を得るために勉強を頑張っていたんだが、まさかそう言う裏技があったとは……私の努力はなんだったんだ……?」
「あー、うん。チンクどんまい!」
ま、まぁこのメンツは少し不安があるけど、これだけの人数がいれば一週間で作れるはずだ。みんなで協力して劇的ビフォーアフターしてやろうじゃ無いか。