見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
さて、途中で遠足を挟んでしまったが、グラディウス改修プロジェクトが立ち上がってから早二週間。予想よりもグラディウスのデバイス内部の作りが複雑すぎて、俺でないと作業できないところが多々あり、予定よりも遅れてしまったがグラディウスの修理と改造は完了し、後はパワードシステムや、周りからは良い顔をされないがとっておきの外部アクセサリをぶち込めば完成だ。
「さて早速作業するか……」
俺が家で作って来たパワードシステムの機構を組み込んで、プログラムを入力して……すずかちゃん達にはパワードシステムについて解説してるし、手伝いを頼もうかね……そんな事を考えているとマリエルさんがパンパンと手を叩く。
「それじゃあメンテナンススタッフは部屋から出ましょう。ここから先は企業秘密ですから」
「えー……」
「せっかくの新技術〜」
おやおや。マリエルさん以外のメンテナンススタッフの方々は新しい技術をその目に写したくて出て行きたく無いようだ。
それを諌めるマリエルさんも顔を見れば分かる。この人めっちゃ我慢してるやん。
そんな皆様に朗報だ。
「あ、大丈夫です。パワードシステムについてはとっくにミゼットさん経由で管理局に売りつけてますんで、局員のあなた方は知る権利がある」
「え、いつの間に譲ってたの!?」
実はパワードシステムについて、安全面についてもある程度は確立して、よほど無茶しない限りは安心安全で使えるレベルにまで改良する事が出来たため、ついこの間ミゼットさんに売っていたのだ。
そのときに年末ジャンボ宝くじで一等を取るレベルのお金を貰ったけど……これだけあればマジで一生遊んで生活できるんじゃ無いか?
……でもおっちゃんの改革は至近距離で見たいし、完成させてない研究もまだあるし……もう少し頑張るか。
「まぁ何はともあれ……さぁ、この新たなる新技術……とくとその目に焼き付けるのだぁあああああ!!」
『うぉぉおおおおおお!!!!』
俺の一声にテンションが爆上がりのメンテナンススタッフ。
ただし外部アクセサリの組み込みについては流石に見せるわけにはいかない。なんて言ったって今回グラディウスに組み込むアクセサリは中々にグレーであり、悪用されたら本当にヤバいため見せるわけにはいかないのだ。
パワードシステムを搭載させ終わったらメンテナンススタッフも退室させなければ…………。
(もしもし、みんな聞こえるかしら!?)
(り、リンディ母さん? どうしたのそんなに慌てて?)
かなり深刻そうな声調で念話をしてきたリンディさんに反応するアリシアちゃん。
あらあら母さんなんて呼んじゃって。プレシアさんはママ、リンディさんは母さんって感じなんだろうな。って今はそんな事言ってる場合じゃ無いか?
(ヤマト君が取り逃してしまった違法研究者たちが私達……レオ君にこんな要求をしてきたの!!)
我々の研究所を破壊した損害賠償に魔王の心臓を要求する。それが飲めないならば、あの嘱託を破った我等が研究成果で貴様らの故郷を滅ぼす。
…………ほーう? ピキピキ
「な、なんでれお君の魔心の事を知ってるの!?」
(おそらく奴らは最高評議会の残党なんだろうな)
クロノ君の言葉に納得する。
なるほど最高評議会から俺らの情報を貰っていたって所か? そして魔導師組の中で最強格のヤマトを敗走させた事で、魔導師組全員に勝てると踏んだのだろう。
そしてなぜ俺らの情報を最高評議会に共有されてたか……。もしかしてなのはちゃん達を最高評議会の人質に取っていたとき、コイツらに依頼するつもりだったのかねぇ……。
「なんとなく状況は分かった。……そいつら喧嘩を売ってるなぁ。マグレでヤマトを倒して気が大きくなってんのか? ならばテメェらのロストロギア、目の前でぶっ壊してやる…………いや、待てよ?」
いやいやちょいタンマ。一旦落ち着け。
確かに今フル武装で行ったら勝つことは出来るだろう。相手の手口が分かってるからこそそれを逆手に取って料理するのなんて楽勝なのだ。
でもそれは面白く無い。おそらくヤマトは危険を承知でグラディウス抜きで傀儡と戦うだろうし、一刻も早くグラディウスを完成させて届けてやろうでは無いか。
「……レオ、行くの?」
「うんにゃ、グラディウスを完成させる。悪いけどみんなはヤマトと合流して10分だけ時間を稼いでくれない?」
「な……レオ! ヤマトでも勝てない相手を私たちが……!!」
フェイトちゃんが弱音を吐くが俺は首を横に振る。
「いいや、君達は強くなってるよ。例え一人ではヤマトに届かなくても、みんなで協力すればヤマトを超えるくらいにはな」
「レオ……」
「さ、大切な人を助けに行ってやりな。10分負けなければ良いんだ。頑張れ!!」
俺がサムズアップしてそう言うと、なのはちゃん達は頷いてメンテナンスルームを飛び出して行った。
………………。
「ひなちゃんとアリシアちゃんも行きなさい」
「あ、ひな達もか」
「大切な人を助けるだからレオの手伝いすれば良いと思っちゃったよ」
ひなちゃんとアリシアちゃんはドジっ子のようにテヘペロをするとメンテナンスルームを後にする。すまんね、紛らわしい話し方をして。
そして残されたメンテナンススタッフのマリエルさんが心配そうな表情を浮かべる。
「ね、ねぇレオ君? まだ作業は残ってるんでしょ? 10分で終わるの?」
「大丈夫です。……すみませんけどパワードシステムの閲覧はまた今度でお願いします。…………………………《神創》」
集中力を極限のさらに向こうまで高めると視界がモノクロに変わる。
俺は恭也さんに御神流と言うものを習っているのだが、コイツはそれの奥義の歩法である神速を応用した技だ。
実は俺もヤマトと同様に恭也さんから神速を教えて貰っていたのだが、お恥ずかしい話ではあるが俺には神速の才能がなくて神速は使用できない。
本来神速とは集中力を極限まで高める事で知覚力と身体能力を限界以上に高める奥義なのだが、俺は知覚力は高める事が出来ても身体能力を少ししか高める事が出来ず、恭也さんや美由希さん、桃子さんほどの速度を出す事が出来ないのだ。
だから神速を実戦で使うのはすっぱりと諦めた。
その代わりにデバイス製作で使用する事にしたんだ。
神速の要領で極限まで強化された知覚力、そして少しだけ強化された身体能力と一切の無駄を削った動きでデバイスを組み立てる。
ま、簡単に言えばデバイスを組む時の時短術ってやつだ。
これなら本来数時間かかる工程もほんの10分で終わらせられると言う寸法だ。
ただ、これを使うと脳に過度な負荷がかかり、最悪気絶してしまうのだが……まぁ、気絶する前にヤマトにグラディウスを届けてやれば良いだろう。
「……ちょいと待ってなよ。ご注文の商品、すぐに完成させて届けてやるからな」
おまけ 神創を見たメンテナンススタッフの反応。
「………………え、これ見える?」
「み、見えない。でも凄い勢いでデバイスを組んでる。それにそれと同率並行でプログラムを……え、足でキーボード打ってやがる……」
「これが次元世界最高峰のデバイスマイスターの実力…………次元が違いすぎる」
「……化け物じゃんか」
「よしレオ君を化け物呼ばわりしたこの人はメンテナンスルームからつまみ出すよー」
「了解っすマリエルさん」
「あ、ちょっと待ってくれ! 言葉の綾ってやつで……やめろ、俺はこの神技を見るんだぁああああ!!!!」