見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「ふぅ、やっと解放された……」
ヤマト覚醒から翌日。
いくら安全を考慮して周りに一切の悪影響を出さいようにしていたとはいえ、制裁に次元震を使うのは流石にあかんやろとお説教と始末書を書かされてようやく解放された俺。
「納得いかねえ。あの短パン野郎が次元震起こしたから起こし返してやっただけなのに……」
『当たり前でしょう。流石に昨日の一件は一線を越えすぎています。反省をなさって下さい』
『そうですか? やられたらやり返すを実践しただけだし、スカッとしたから別に問題ないでしょう』
『アスカロン!』
あのカリバーがここまで言うだなんてやっぱりやりすぎだったか。今回ばかりは反省した方が良さそうだな。
取り敢えず今回のところは魔心を没収されなかっただけ良しとしよう。そもそも俺の手元から離れないから没収出来ないのもあるんだろうが。
ピンポーン
「ん? お客さんかな……? はーい」
今回の一件を反省しながら少し遅い昼飯でも食べようかと思っていると、インターフォンがなったので玄関を開ける。
するとそこには魔女の姿をした桃髪の女の子と、吸血鬼の姿をした金髪の女の子だった。
「「トリック・オア・トリート!!」」
「……そう言えば今日ハロウィンじゃん!!」
やっべぇしまった!!
普通なら前日のうちにお菓子の用意はするけど、今日はリンディさんにお説教されてたから用意できてねぇ!!
なんで昨日のうちに解放してくれなかったんだリンディさんのアホォ!! (※自業自得)
「ごめん、お菓子準備できてないからすぐに作るよ!」
「フッフッフ……だと思ったよ! 昨日は次元震の件で本局に寝泊まりしてたから、用意できてないと思ったよ!!」
「もうシアちゃん、嘘はメッだよ? はーちゃんが今なら用意できてないだろうし、イタズラし放題やで? って言ってくれたから急いで来たんでしょ?」
「あんのタヌキがぁあああああああ!!」
なんて野郎だ! まさか俺がお菓子を作れない状況をアリシアちゃんとひなちゃんに教えてしまうなんて……!
これじゃあ二人に美味しいお菓子を食べさせてあげられないじゃないか!!
「と言うわけでれお君って今お菓子ないよね?」
「……一応糖分補給用のチョコレートとコーラならあるよ。……食べる?」
「レオの手作りじゃないからいらない! という訳でイタズラ実行だー!」
「おー!」
「おおう……」
やっぱり二人は俺の手作りが良かったのか。
くそぅ、こんな事なら本局の食堂を借りて作っておくんだった!! ……いや、「反省してねえなオメエ?」って言われて追加で怒られるのがオチか。
「それでシアちゃん。イタズラって何をするの?」
「フッフッフ、はやてから譲ってもらったこれをレオに飲んでもらいます!!」
そう言ってアリシアちゃんが取り出すはピンク色のハートが描かれたラベルが貼られたビン。
見れば分かる。バレンタインの時に盛ろうとしてた惚れ薬じゃ無いですかやだー!!
……ん? ラベルの裏に何か紙が仕込まれてる?
『楽しんで♡ Byはやて』
「(怒)」ピキピキ
「はーちゃんそれは? ジュース?」
「はやて曰く、飲むとドキドキするドリンクだって! ねぇねぇ私も飲むからみんなで飲んでみようよ!」
そんな危険な事を口走るアリシアちゃんからビンをひったくる。
おいおいまさかアリシアちゃんってば既成事実を作りに来たんじゃねえだろうな!? もしそうだとしたら当分の間距離を置くよマジで!!
「……アリシアちゃん。これ飲んだらどうなるか分かる?」
「え、飲むとドキドキして私達のことが好きになるんでしょ?そして素敵なこと起こるって言ってたよ?」
あ、この反応はとぼけてるとかじゃなくて、ただ純粋にはやてからもらった怪しいお薬を試してみたいって感じの顔だな。
……スゥ。
「これはR18。お酒と同じで子供は飲んじゃいけない飲み物の為却下」
「えー、バレなきゃ良いでしょ? ちょっとくらい良いじゃん試してみよ「それはダメだよ? ルールはちゃんと守れる子になりなさい。……ね?」……はい」
「れ、れお君怖いよ……?」
流石にこれはマズいから止めたけど、アリシアちゃんに持って帰らせたら色々と面倒な事になりそうだよな。クロノ君が間違えて飲んで居候中のエイミィさん襲うかもしれないし……。
取り敢えずコイツは俺が責任を持って処分してしまおう。
そしてあのタヌキには報復として、今はやてがモデリングしてるリインフォースⅡの巨乳を断崖絶壁にして変更出来ないようにしておいてやろう。
「うーん、私から飲ませようと思ってて他には考えてなかったなぁ……。思いつかないからひな先にやっても良いよ〜」
「分かった! それじゃあはい!」
ひなちゃんもイタズラの為に何か買ってきた様だ。アリシアちゃんの様に怪しい物じゃ無いよね……?
そう思いながらひなちゃんから渡された物を見ると、駄菓子屋で売られているお菓子、“すっぱいレモンにご用心”だった。
「……まぁひなちゃんはこうだよね」
「みゅ? どうしてれお君ひなを見て優しく微笑むの?」
なるほど、一つずつ食べて酸っぱいので悶絶すればいいんだね? そうそう。俺らは小学生だからこう言う微笑ましいイタズラでいいんだよ。流石ひなちゃんは分かってるね。
「ひ、ひな。可愛い顔してなんてエゲツないイタズラをするの……」
「えっへん。今日のひなは悪ーい魔女さんだからイタズラも悪ーいんだよ!」
いやいやアリシアちゃんがやろうとした……いや、知らずに渡してきたからはやてのイタズラか。アイツの方が数百倍もエゲツないイタズラだよ? 自分を律する自信はあるけど、最悪三人で仲良く朝チュン迎えるところだったからね?
「誰が酸っぱいの食べるか勝負だー! これはイタズラだかられお君は拒否権なしだよ!」
「えぇ!? 私もイタズラに入ってたの!?」
「え? でもそれじゃあひなちゃんが酸っぱいの食べちゃうかもしれないでしょ?」
「大丈夫だよ。ひな負けないもん!!」
そう? ひなちゃんが良いならいいか。
早速酸っぱいガムを開けてそれぞれ選ぶ。
「ひな真ん中!!」
「なら俺は右をいただこうかね……」
「あ、私が狙ってたの取られた! 左しか残ってない〜」
アリシアちゃんがおずおずと余ったガムを手に取ったのを確認した後、二人にアイコンタクトを取る。
「それじゃあせーの「へくち!」」
ガムを口に含んで噛み潰す。……お、俺は当たりだな。
「ひな当たりだー! れお君は?」
「ひなちゃんのイタズラ敗れたり」
「て事はハズレはシアちゃんだね。……あれ? シアちゃん食べなかったの?」
「ごめんくしゃみしてタイミング逃しちゃった……。え、これ私がハズレ? て事はこれ食べたら確定であの酸っぱい地獄に……?」
ありゃりゃ。一思いに食べてしまえれば良かったものの、タイミングを逃してしまったせいで酸っぱいって分かっている物を無理して食べなきゃいけなくなっちゃったね。
骨は拾ってあげるよアリシアちゃん!!
「さぁ食べるのですアリシアちゃん」
「大丈夫だよシアちゃん! 一思いにパクッと行けば大丈夫だから!!」
アリシアちゃんは過去にこのお菓子を食べたことがあるのか、口に入れようとしてその度にガムを口から遠ざける。
そしてそれを何回か繰り返すと、アリシアちゃんは目を瞑り俺にガムを差し出してきた。
「私のイタズラ……酸っぱいガムを食べて……」
「……ゑ?」
まさかここに来てイタズラを発動してくるとは……。
イタズラで始まったとは言えこれは正々堂々の勝負、それを不正しようだなんてなかなか大した根性では無いかアリシアちゃん!
でも見た感じ本当に食べるの嫌そうだし、一度アリシアちゃんのイタズラを拒否しているからこれ以上拒否はするべきではない。
「……あーん」
「あ、れお君が食べちゃった!」
「ごめんレオ……私が不甲斐ないばっかりに…………」
「いやいや気にせんといて。……あー酸っぱ……」
久しぶりに食べたけど本当にこれはキッツイなぁ。
顔を顰めながらもなんとか咀嚼する俺であったとさ。