見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
今日は週に二回の剣道の稽古の日。恭也さんとヤマトの激戦を間近で見ていた俺であります。
以前まではある程度時間が経過すると疲労で恭也さんに防戦一方となっていたヤマトでありますが、今はある程度時間が経っても恭也さんと打ち合えている。
魔法なしの剣術の腕前は美由希さんと同じレベルだったはずなのに、覚醒した事で恭也さんクラスになった様だ。
「ねぇねぇレオ君……」
「はいなんでしょう美由希さん?」
「ヤマト君、急にすっごい強くなってない?」
「あー、あいつ実戦とかで本当にピンチな局面になると覚醒する体質でしてね」
「え、と言う事は実戦で危ない目に遭ったって事!?」
「みたいですね。なのはちゃん、俺はあのときグラディウス作ってていなかったけど何があったん?」
流石に見ていない事は話せないため、美由希さんの隣に座ってたポニーテール姿の なのはちゃんに聞いてみる。
「えっとね、悪い男の子が大っきなロボットを操ってヤマト君に酷い事いっぱいしたの。そしてヤマト君を倒したらなのは達も倒すって言って……そしたらヤマト君が急にパワーアップしちゃったの」
「オッケー。教えてくれてありがとうなのは。そいつまだ本局にいるんだよね? 人の可愛い妹を虐めようとした報いは受けてもらおうかな。レオ君後で案内して?」
「捕まりますよ?」
それにあのガキンチョは次元震を直接浴びて全身ズタズタになって、二度と研究なんてできない身体にしたからもう大丈夫だと思いますよ?
あの手のやつは中途半端に捕まえても、いずれやり方を変えてちょっかい出してくるのは目に見えてるからね。
「そう言う意味では俺のあの行動は間違ってないと思うんだよ」
「何言ってんのよ。アンタが犯人を痛めつけるのは、半分以上がストレス発散じゃ無いの」
「心外だなぁ。犯人は犯人でも訳ありとかで情状酌量の余地がある人は痛めつけないよ? 痛めつけるのは救いようの無いクズだけ。そう言うやつは痛めつけても罪悪感が湧かないんだよ」
そう言いながら邪悪な笑みを浮かべると、「うわぁ」と漏らす美由希さん。
「えっと魔導師だっけ? それも職業なんでしょ? そう言うことばかりしてたらいつかクビになっても知らないよ?」
「クビでいいんですけどねぇ。あくまで俺の本業はデバイスマイスター……魔導師の武器とかサポートアイテムを作る職人ですし」
「て事はレオ君はクビになるためにわざと痛めつけてるってこと? 魔導師として働きたく無いなら、そんな事しなくてもお仕事を辞めたらいいんじゃ……」
それができたら苦労しないんですよ美由希さん。
なにせ10年は働かないといけないのでね。10年契約の後に「もうお前明日から来なくていいから」って言われるのが最高なのよな。
「訓練中に私語とは随分と余裕じゃ無いか。これなら鍛錬の量を増やしても問題ないな」
「「「「あ」」」」
いつの間にか試合が終了していたのか、俺たちの前に青筋を浮かべながらもいい笑顔をした恭也さんが立っていた。
◇
その後本当に今日のメニューの量を増やされて疲労困憊の俺たち。
てか溺愛してるなのはちゃんにも容赦なくやるんだな……。え? 大切にしてるけどそれとこれとは話しは別? あぁそう。
「にゃ〜……ちょっとの間動けないの……」
「これは数日は筋肉痛ね……」
「きっつ、マジできっつ! ……でもこれだけやったら筋力とか上がるよな……」
「ふぅ、ふぅ……恭ちゃん少しは手加減してあげなよ。なのは達本当に辛そうだよ?」
「ならみんなの分を美由希がやるか?」
「な、なんでもありませーん」
「つ、つかなんで試合してて私語してない俺まで? 恭也さん無茶はするべきじゃ無いって言ってましたよねぇ?」
「連帯責任。あと今日ほどの無茶なら一日くらいは問題はないさ。次の鍛錬は日を開けるからゆっくりの養生する様に」
ほんっと、ヤマトへのグーパンと言い体罰が得意な師範代だ事で。……なんて言ったらまたメチャクチャきつい訓練にやらされるのは目に見えてるしやめておこう。
あとヤマト、俺達が悪かった。だからそんな目で見ないでくれ頼むから。
「さてこれからの予定についてだが、二週間後にシグナムさんの所の道場と合同試合をする事になった。今回は剣道の団体戦という形で行うから、それぞれの立ち位置を決めていこうと思う」
合同試合かー。前回の合同試合は嘱託の呼び出しをくらったから参加できなかったけど、今回はどうかな〜。
そう思い手帳を確認っと……よし、今回はいけるな。なら二週間後の予定欄に合同試合っと。
「剣道の団体戦って事は五人でチームを組むの? て事は一人余っちゃうね、恭ちゃんどうする?」
「師範代の俺はシグナムさんと団体戦が終わった後に一勝負する予定だから、結局のところ全員参加だ」
「そっか。それじゃあ私達でポジションを決めないとね」
恭也さん以外というと門下生で組むって事。
そして剣道の団体戦は先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の5つの役割りがあるはずだから丁度5人だな。
「なら先鋒はこの中じゃ弱い私が行くの」
「恭也さんからは頑張れば神速使えるよ評価の君がなにを言ってるんだい? 最弱は神速の才能がないってハッキリ言われたこの俺だろ? 先鋒は任せろ」
「こーら! なのはもレオ君もそんな卑屈にならないの! そしてなにも弱い人を最初の方に持って来るって訳じゃないんだよ?」
美由希さん曰く、剣道の順番は弱い者順ではないらしく、先鋒は後に続く人の士気を上げる突撃隊長が務めるべきなのだという。
「なるほど、剣道も意外と奥が深いんだなぁ」
「にゃはは、レオ君にも知らない事があったんだね」
「まぁ人間ですから知らない事もありますよ。剣道を始めたのだってカリバーを使いこなすためだし、ぶっちゃけ剣術の腕が向上する以外にはあんまり関心はないし」
「やめなさいよ、恭也さんが凄い顔で見てるわよ? ……先鋒が突撃隊長って言うなら私が行くわ。相手を任せてしっかり流れを作ってやるから」
おっといっけね。これは後で恭也さんとO☆HA☆NA☆SHIする事になるパターンじゃないか? 解散したらすぐさまミッドに逃げるか。
「うん。先鋒はアリサちゃんが適任だと私も思うな。次に次鋒なんだけど、ここにはレオ君が入ってくれない?」
「え、俺っすか?」
美由希さん曰く次鋒は先鋒の勝ち負けで戦法を変えられる人が担当した方がいいのだと言う。
「確かにそう言う意味ではレオが適任だな。状況を見極める観察眼については俺以上だし」
「そうなんだ。確かに試合とかでもレオ君は神速も先読みして来るから防御面は鉄壁だし、攻めるところでは攻める事が出来ると思ってだけど、常にいろんな事態を想定してたんだね」
「そんな大した事じゃ無いんですがね。でもまぁ次鋒は任されました」
「次に中堅なんだけど、ここで求められるのは勝負強さ! なのは、頑張って!」
「にゃ、わ、私!? いくらなんでも責任重大すぎるよお姉ちゃん!?」
そして高町家のノリでかは知らないが、ナチュラルに中堅の役割りを押し付けられたなのはちゃんであったとさ。
さて残るは副将と大将だけど……。
「個人的にはヤマトを大将にして美由希さんを副将にした方がいいと思います」
「私もそう思うわ」
「私もなの」
「俺もだな。美由希、副将を頼む」
「私もそう思ってたし副将行かせてもらうよ」
「え、て事は俺が大将!? なのは以上に責任重大じゃ無いですか!!」
だってお前さっき恭也さんと引き分けたじゃん。美由希さんだってまだ恭也さんには勝ててないんだから実力的にも申し分ないだろ。それに大トリはオリ主の役割だ。頑張れ!!
と言う事で先鋒アリサちゃん、次鋒俺、中堅なのはちゃん、副将美由希さん、大将ヤマトで練習試合を挑む事になった。
「……さて、役割りも決まったし解散ですよね。それじゃちょいと用事があるんでアスカ、時空間転「逃がさないぞ。流石に剣道に興味がないと言う発言は見逃せない。少し向こうで話そうか?」…………終わった。ヤマトー! 俺はここで終わりだー!! この先更なる困難が降りかかるだろうが、お前なら大丈夫だぁああ! だから……だから負けるんじゃねぇぞぎゃぁああああああああああ!!!!」
「任せろレオー! お前の分まで生きるから安心して逝けー!!」
「なーにやってんのよアンタらは……」
「本当にヤマト君もレオ君も仲良しだよね。恭ちゃんもこんなことを話せる男友達作ればいいのに……」