見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
やぁやぁみなさん、レオですよ〜。
現在は胃潰瘍で学校を休んでおります。
魔導師組には無用な心配をかけたくないので、先生に俺が胃潰瘍なのは黙っててもらう事にしました。そしてみんなには現在俺は研究が大詰めだから学校をサボって完成させていると言っております。
「思うんだよアスカリバー」
『おい略すな。……何でしょう?』
「俺って踏み台のくせに割と雑魚いよな。普通踏み台はしぶといのが売りなのに夏風邪引くわ、燃え尽き症候群になるわ、胃潰瘍になるわ……どんだけ体調崩せば気が済むねん」
『マスターは無茶をしすぎなのです。いくらマスターが歴史に名を残す天才といえど今はまだ小学生。もう少しゆっくりなさるべきだと思います』
「俺もゆっくりしたいよ。でもさ……最高評議会の件だったり、魔王の件だったり、グラディウスの件だったりで忙しすぎるんだよなぁ」
『……心中お察し致します』
確かに去年ほどはズタボロになってはいないとはいえ、忙しさなんて去年の比じゃ無いからなぁ。
「はぁ。原作が始まる前ののんびりとした生活が恋しいよ……」
『ならば思い切って引っ越してみます? ここから少し行ったところに見滝原市がありますし、活動の場を変えてみてはいかがでしょう?』
「いやいや、流石に引っ越しは……え? 見滝原!? それまどマギの舞台やんけ! え、実在すんの!?」
『ありませんけど?』
「コイツ……スクラップにしてやろうか……?」
『こらアスカ! ただでさえマスターはストレスで胃を痛めてるのに、無用なストレスを与えるのはおやめなさい! それでもマスターのデバイスですか!?』
ま、まぁ見滝原がなかったのは安心だ。あんな救いもない世界は流石に嫌だわ。もし俺がまどマギに転生してたら、ほむらが引っ越して来たタイミングで一ヶ月くらい日本一周旅行に行ってる自信があるね。
『へぇへぇサーセンっした……おや、マスター。妹さんから連絡が来てますよ?』
「え、チンク? 一応繋げて」
『はいはーい。…………レオ、私だ』
「どうしたの? 俺今胃潰瘍でダウン中だから、明日の授業は中止にしたいんだけど……」
『胃潰瘍……確か、胃の粘膜がただれて、胃壁に傷がついた状態か。お大事にな……ってそれどころじゃない。胃潰瘍ならば辛いだろうがすぐに私のいるところに来てくれないか!』
「……なんか面倒ごとの匂い。一体何があったん?」
『私が所属するゼスト隊と姉妹達が一触即発の状態で睨み合っている!!』
「え?」
◇
その後チンクがアスカに送って来た座標の所まで移動すると、そこにあったのはやけにポップな装飾の建物。そして入り口前の立札には[おいでませ、スカリエッティ研究所]と書かれていた。
「…………なんだこれ?」
『スカさんの研究所みたいですねぇ。なるほど、この建物目立ちますし管理局に捕捉されて、ゼスト隊が侵入してしまったんでしょうね』
「……取り敢えず後でスカさんに往復ビンタ食らわせたろ。それじゃ、お邪魔しまーす」
インターフォンないな……まぁ、勝手に入らせていただくか……ん?
「鍵かかってる。防犯対策はバッチリですか。……カリバー」
『はい』
開かないのならば仕方がない。入り口の扉を開けてぶった斬って無理やり入る事にしました。
普段はもう少しお上品に入るけど、今日はいささかお腹が痛くて余裕がないから許せ。な?
乱暴な方法で研究所に侵入成功した俺は、周りにサーチャーを飛ばしてナンバーズやゼスト隊の皆様を探す。
「……うーん、いないな……ん? 《アルティメットプロテクション》」
殺気を感じたので、即座に右側の壁にシールドを張る。その直後研究所の壁が砕けたかと思うと、ゼストさんとラバースーツを着込んだ濃い紫色の短髪の女性が躍り出る。
「フハハハハハ!! プロテインをガブ飲みした事で得たこの肉体が痛みを感じるとは……いぃ、いいぞ騎士ゼストォ!! さぁ、もっとだ! もっとギアを上げていくぞぉおおお!!」
「ぐぬぅ……強い! だが負けるわけにはいかんのだぁあああああ!!」
「…………」
そして二人は俺の存在には気付かずに反対の壁を破壊して、どっかに行ってしまった。
あー、多分あれが三女だな。チンク曰く脳筋らしいし、プロテインという単語が出た時点で間違いないだろう。
「おーい! トーレ、研究所をぶっ壊すのはやめたまえ……おぉ、そこにいるのは我が息子じゃないか!」
「だーれが息子か。俺に親はいないよ」
これからどうやってチンク達と合流しようかと考えていると、壁だったところからスカさんが出てくる。
「まぁ取り敢えず……スカさん逮捕ね」
「ダニィ!? ま、待ちたまえ、私はまだ何も悪いことしていないだろう!?」
「じゃかましい、空気読めないタイミングで見つかったせいでこちとらゆっくり療養出来ないんじゃボケェ!! ほら、さっさと来る! スカさんを人質にして戦闘やめさせるぞ! さもないと何人死者が出るか……」
「ひ、人質だって!? 私は君を人質をとるような子に育てた覚えはないぞ!? ……と言うか死者? なぜ死者が出るんだい?」
「なぜと言われても、チンクから一触即発と言われて来たんだけど……?」
「ふむ? トーレとゼスト氏以外は皆仲良くやっているのだがね?」
「え?」
◇
「あなたうちのスバルにそっくりねぇ! ねぇ、もし良かったらウチに来ない!?」
「え、あの……そのぅ」
「ウチのノーヴェは人見知りだからあんまりいじめないで欲しいっす!!」
「いい? ウーノさんドゥーエさん? 赤ちゃんを寝かしつけるときはこうやって抱っこして優しく揺らしてあげれば……」
「本当だ。簡単に寝てくれました」
「良かったー! この子達最近夜泣きが激しくて寝てくれなかったから……」
「ドゥーエお姉様ぁ! 抱っこ、私も抱っこしてぇ!!」ハァハァ
「……ナニコレェ」
「ほら、みんな仲良くやっているだろう?」
スカさんに案内されて研究所の奥に足を運ぶと、クイントさんがスバルちゃんの2Pカラーの女の子を抱きしめようとして赤髪の小ちゃな女の子にそれを遮られている光景や、メガーヌさんが赤ちゃんの子育て指南をして、ウーノさんやドゥーエお姉ちゃんがそれを熱心に聞いており、メガネがバカなことほざいてるなど、一触即発とは程遠い光景が浮かんでいた。
…………。
「あ、レオ良かった。来てくれた「チ・ン・クー!!」な、
茶色の長髪の女の子を抱っこしてこちらに来たチンクの頬を引っ張る。
今胃に穴空いてんの! お腹痛いの! こんな微笑ましい光景を見られたのは収穫ではあるけど、こんな事なら呼び出さないで欲しかったなぁ!!
「いや、違うんだ! 確かにさっきまではすぐさま戦闘が始まろうとしてたけど、この部屋にノーヴェやディエチ、ウェンディが入って来てから母上が妹達を構いだして、気がついたらこんな事に……」
詳しく聞くと、脳筋の三女がゼストさんに襲いかかった事で戦闘が開始しようとしたらしいが、その瞬間にこの部屋に入って来てしまったチンクの妹であるノーヴェ、ディエチ、ウェンディの三人。そしてそれを見た子供大好きなクイントさんが三人を可愛がり始めてしまい、それを見た姉組は大丈夫だろうと判断を下したのだと言う。
「そしてメガーヌも奥の部屋で赤ちゃんの鳴き声が聞こえた事で戦闘体勢を止めてな」
「それで結局こうなったと。……はぁ、こんな事なら来なくて良かったかも」
もう帰ってしまおうかと考えていると、チンクの抱っこしていた女の子が俺の存在に気がついたらしくジーッと俺を見る。
「……ん? あれ、チンク姉が二人いる? どくたー、チンク姉のクローン作ったの?」
「いいや、彼はチンクのオリジナルの息子……いわば、チンクの兄のレオ君だ! ディエチ、お兄ちゃんって呼んであげるんだ!」
「おいスカさん。外堀埋めようとしてくんな」
「…………」
ディエチちゃんは俺をしばらくジーッと見ていたが、やがてチンクから降りるとテクテクとクイントさんに狙われていたノーヴェちゃんやウェンディちゃんの下へ。
しばらくすると三人がこちらにやって来た。
「ほら、チンク姉のクローン」
「本当だそっくりっす!」
「ほんとだね」
「……えっと、初めまして宮坂麗央です。チンクとは血を分けた兄をやらせてもらっています。どうぞよろしく」
「よろしく」
「よろしくっす!」
「……」
あら、スバルちゃんのそっくりさんはチンクの後ろに隠れてしまった。
随分と人見知りな子なんだねぇ。
そんな事を考えていると三人を追ってクイントさんもこちらにやって来た。
「あら、レオ君どうしてここに? ……ん? レオ君すごく顔色悪いわよ、一体どうしたの?」
「……あー、今胃潰瘍だったのに無茶して来たからですかね。……別に危険がないって分かって気が抜けたかも……」
俺がそう答えると、突如腹がまるでアイスピックで貫かれた様に痛み出す。
……ヤベェ、ここ来るときにかなり激しく動いたし悪化したかもしれん。
「……いっつつ。来てそうそうで悪いけどちょいと帰りますわ。帰ってもう一回病院行かない……と…………」
「レオ君!?」
そこで俺の意識は途切れたのだった。
胃潰瘍が悪化してぶっ倒れたレオ君。
今回誰が悪いのか。
目立つところに研究所を置いたスカさん? それともレオ君を呼んでしまったチンク?
……いいえ、とにかく間が悪かったのです。