見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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よしツヴァイの生誕パーティーの準備を……え、俺は準備するな?

 リインフォースⅡの身体を培養し始めてから早数日、ようやくツヴァイの身体が完成した。

 そして最後は人格プログラムを入力してその他微調整を加えたら完成なのだが、流石に生まれる瞬間には立ち会いたいのか、八神家の面々本局のメンテナンスルームに集まっていた。

 

「この子が夜天の書の次代の管制融合機……」

 

「アタシの妹か……。はやて、コイツまだ起きないの?」

 

「後はこのプログラムをこっちに移せば起きてくれるはずや。私にとっても子供見たいな子。この年齢でママになるのはちょいと気恥ずかしいけど楽しみやわ」

 

「はやてがママならきっと毒親になるな」

 

「おいレオ君? 戦争したいなら正直にそう言ってくれればええやん?」

 

 いやだって子供をあんな爆乳にしようとしてたって、どう考えてもヤバいだろ。

 デバイスは作る人の自由に作れば良いって考えてる俺ですら「いやこれはないわー」って思ってしまったくらいだし。

 

「レオに同感ね。流石にあれは良くないわ」

 

「うん。レオ君がモデリングを修正してなかったらどうなってたか……」

 

「私もドクターには貧乳に作られたから巨乳に対して憧れはある。……だが限度というものがあるだろう」

 

 俺の言葉に同調した弟子達もジト目を向けるとはやては気まずそうに視線を逸らす。

 後チンク? スカさん曰く貧乳に作ったんじゃなくて、母親のオリジナル……レーヴェさんが元々貧乳だったらしいから必然的にチンクは貧乳になっただけっぽいよ?

 

「ち、ちゃうねん。あの超乳は私がふざけて作っただけでちゃんと後から修正しようと思ってたんよ? あのときレオ君に襲いかかったんも、モデリングではアレだったのにいざ培養したら、あれ普通じゃん? っていうドッキリを仕掛けることが出来なくなったからで……。わ、私が悪かったからそんな目で見ないでください……」

 

 みんなの視線に耐えきれずに謝ってしまったはやてだが、彼女の目を見てみると……嘘はついてないっぽい。

 どうやら本当にあの超乳はモデリングと実物でのギャップでみんなを驚かせたかったから作った物だった様だな。だが今までが今までだから周りからは一切信用されてない。

 フハハハハハ! これからはもっと誠実に生きるが良いこのチビダヌキ!!

 

「ねぇはやてー。はやくツヴァイ起こしてやろうよー」

 

「そ、そうやね……。それじゃあ人格プログラムをこっちにコピーアンドペーストして……よし、後は微調整やね」

 

「あぁ、微調整はとっくに終わらせてるよ。後は起動すれば目を覚ますはず」

 

「……相変わらず師匠は手際がええなぁ。それじゃあ……ポチッと」

 

 はやてがエンターキーを軽く叩く。

 

 …………。

 

「……何も起きねえぞ? もしかして失敗したんじゃ」

 

「大丈夫やヴィータ。見てみい」

 

 ゲーム機やパソコンでもそうだが、電源を入れてからモニターが起動するまでにちょっとタイムラグがある。

 今回起動しても目を覚まさなかったのはそれと同じ理由であり、試験管の中で眠っていたツヴァイの身体がぴくんと動くとやがてうっすらと目を開ける?

 

「うゆ?」

 

 そしてゆっくりと目を開けると、キョロキョロと周りを確認していた。

 

「……どうやレオ君、マリエルさん?」

 

「……システムにエラーなし。その他のプログラムも正常に作動してる。マリエルさん、夜天の書とのリンクは?」

 

「夜天の書との連動を確認。……うん、大丈夫みたい。お疲れ様はやてちゃん、リインフォースⅡ。完成したよ」

 

「成功したんか! それじゃあ……!」

 

 はやては嬉々として試験管から培養液を抜くと、30センチくらいのちっちゃな融合機を優しく両手に乗せる。

 

「うわぁ本当に動いてる!!」

 

「あぁ、なんと言うか……感慨深いな!」

 

 大興奮のヴィータちゃんとリーン姉さん。

 特にこの二人は妹が生まれてくるのを楽しみにしてたからそりゃそうだろう。

 そんな二人の様子にはやてはクスリと微笑むと手のひらに載せていたツヴァイに優しく声をかける。

 

「初めまして。私は八神はやて、あなたのマイスターや」

 

 マイスターとはデバイスを作った人の称号。今回はやては俺含めた沢山の人の力を借りてリインフォースⅡを作り上げたが、それでも大部分を作ったのははやてだからその称号はピッタリと言えるだろう。

 

「……まいすたー?」

 

 リインフォースⅡはキョトンとした顔で首を傾げる。

 

「あれ? もしかして伝わってない? マイスターって言うのはあなたを作った人の事や」

 

「……つくった?」

 

 そりゃあまだ生まれたてですし。最低限の言語機能はあれど、マイスターはおろか作ると言う単語の意味すらも分かってはいないのだ。

 

「つまりしっかり教えてあげないといけないんだね」

 

「そう言う事。一から教えてやらないといけないのは学習用プログラムでAIを組む弊害とも言えるね。はやてがよければ一週間でこの子にいろんな情報叩き込んであげるけど……」

 

「なんかスパルタ教育になりそうだからやめておくわ。それに色んなことも一緒に生活していったら言葉の意味も覚えてくれるやろ」

 

 なぜスパルタ教育を施そうと考えていたのがバレたのだろう。

 え、悪い顔してたから? 俺って割と顔に出るんだよなぁ。

 

「……へくち!」

 

「お! ツヴァイがくしゃみしたぞ!!」

 

「そう言えばこの子今は素っ裸やん。急いで服を着せてあげなあかんね」

 

 はやての素っ裸という言葉に何故か俺の方に視線が飛ぶ。

 ……なるほど、そういうことか。

 

「一応言っておくけど、人間の見た目してるとはいえこいつデバイスだから欲情はしないよ?」

 

「それは分かってるわよ。あんたひなとアリシアしか異性として見てないし。でもいくらツヴァイも分かってないとは言え裸を見られたら嫌でしょ。ちょっと後ろ向いてなさい」

 

 アリサちゃんにやって強引に後ろを向かされた俺氏。

 首じゃなくて身体ごと後ろを任せた所にアリサちゃんの成長を感じるなぁ。アリサちゃんのゴリラ級の腕力で強引に首を曲げられたら首の骨折れるかもしれないからなぁ。

 

「なんか失礼なこと考えてない?」

 

「カンガエテナイヨ?」

 

「考えてるのね? こいつどうしてやろうかしら? このゴリラ級の腕力で殴り飛ばしてやろうか……」

 

「自分で言いやがったよ、バニングスお嬢様」

 

「ま、まぁまぁ。……はやてちゃん、お家からツヴァイちゃんに似合う服持って来たんだけどこれ着せてあげて?」

 

「ありがとなぁすずかちゃん。それじゃあツヴァイ? バンザイや」

 

「ばんざい?」

 

「あぁ、これも分からんか。両手を頭の上にあげて……こうや。……そうそう、上手やで。ちょっと動いたらあかんよ?」

 

 ……暇だなぁ。……そう言えばツヴァイが生まれたなら生誕記念パーティーしてやらなきゃな。それに今日はクリスマスだし、クリスマスパーティーも兼ねればいいや。普段はアリサちゃんか すずかちゃんがクリスマス会企画するけど、ツヴァイの件があるからか今年は忘れてるっぽいから俺が企画してしまおう。

 去年は結局クリスマスパーティーは出来ずじまいだったし、いつもより豪華なのを考えてやるか。

 

「……よし完成や! レオ君こっち向いてええで!」

 

 やっぱりクリスマスならターキーは欠かせないよな。後欠かせないといったらクリスマスケーキだけど……ま、翠屋でクリスマスケーキ買えば間違いはないか。

 なら俺が準備するのはターキーとグラタンとサラダと…………

 

「レオ君? おーい、もしもーし!?」

 

 とりまこの後ヤマトに飾り付けとか依頼して、あれがこうでこれがそうで……

 

「なぁツヴァイ、飛べるやろ? ちょっとあそこまで飛んでみてくれへん? 飛ぶ? こうやってふわりと……そうそう。上手やで、取り敢えずあの子の顔の方までいこか」

 

 直後俺の目に飛び込んできたのは、フリフリのドレスを着込んだミニリインフォース。

 

「うわっと!?」

 

 普通にびっくりした。

 この手の基本機能はツヴァイ本体に記憶させているから基礎理論教えなくても使えるとは言え、もう浮遊することが出来る様になったのか。成長が早いねぇ。

 

「どうや? 可愛いやろ?」

 

「そ、それは否定しないけど、考え事してるときに不意打ちするなよビックリするなぁ!!」

 

「考え事?」

 

「いや、今夜の生誕パーティーの献立とか役割分担についてな。あ、はやては気にしなくて良いからツヴァイと遊んでて」

 

「あぁ、それか。それなんやけどさ……レオ君は準備しないで夜までミッドに遊びに行っててくれへん?」

 

 ……は?

 いやいや、流石に俺だけ遊ぶのはダメだろ。働かざる者食うべからずって言うし。

 …………いや待てよ? ははーん、そう言うことか!!

 

「なるほど。惚れ薬テロを起こすなら最初からそう言ってくれよ! だが了解、完全に理解した! なら俺は今日はもう家から出ないから、明日結果聞かせておくれよ?」

 

「いやいや違うわよ! 惚れ薬テロって……そ、そんなものでヤマトを手に入れても意味ないじゃないの!!」

 

「そうだよ! それにそんな事したら関係ないひなちゃんやアリシアちゃんまで巻き込まれちゃうよ!!」

 

 なるほど確かにひなちゃんアリシアちゃんが参加する時点で惚れ薬テロはあり得ないか。そしてお嬢様達にとってヤマトは惚れ薬を盛られたら、理性を保てないと言う認識である件について。

 

「いいから行って来なさい!」

 

「もちろんクリスマス会には参加してもらうから、18時には帰って来てアリサちゃん家に来るんやで?」

 

「晩御飯も食べて来ちゃダメだからね?」

 

「はいはい。オリ主ゲッチュの為じゃないならなんだって仲間外れに……今日は別に何もないはずなの…………あ、よく考えたら()()()()()()()か」

 

「あぁ、レオ君ったら察しが良すぎるからバレちゃった。……でもバレちゃったら仕方がないか。それじゃあチンクちゃん、お願いね?」

 

「了解だ。さぁ兄上せっかくだからミッドへ遊びに行こう」

 

「分かった。それじゃあパーティー期待してるねー」

 

「ああもう! 驚かせてやるから覚悟してなさいよね!!」

 

 チンクに引きずられる様にメンテナンスルームを後にした俺であった。




レオの誕生日、12月25日
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