見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
と言うわけでナカジマ家の面々と共にやって参りました。クラナガン一のショッピングモール!
「おー、どくたーとここの近くを通るたびに入ってみたいなって思ってたんすよ!! ノーヴェ、ディエチ、行くっすよ!!」
「「うん!」」
「あ、こらお前達! 迷子になるから少し落ち着け!」
テンションの高いスカ産三人娘と、それを諌めるチンク。
「相変わらずチンクは大人だねぇ……」
「いいや、こう見えてチンクも初めてここに来た時はすっごくテンション上がってたのよ?」
「え、そうなん?」
詳しく聞くと、今にも迷子になりそうなそこの三人娘よりは落ち着いていたが、百貨店に来た最初の数回はチンクもあちらこちらをキョロキョロしていたのだと言う。
へぇ、意外と年相応なところもあるじゃん?
「レオ姉は初めて来たときはどーだった?」
うーん、そうだねぇ。……あれ? 俺初めて来たときどんな反応したっけ?
「アスカ、俺ってどんな反応だった?」
『マスターはまずショッピングセンターの入り口のマップを見てデバイスショップを確認して、まっすぐそこに行きましたね。その後はその日のうちに百貨店を全部回って、何処に何があるかを頭に叩き込んでました』
あー、そうそう思い出した。
クラナガンで何かを揃えるのはまずはここって言う話を聞いて来たのが始まり。一番利用しそうなデバイスショップだけは真っ先に確認したら、あとは何階に何があるのかを把握して、必要なものがあればここに買い出しに来る様になったんだっけ?
『マスターは特に目なんかは輝かせずに、ここには家電……この階は服……なんて真面目そうな顔で呟いてましたね』
『まぁ、マスターらしいですね』
「えー。レオ姉夢がないな〜」
「今回ばかりはスバルに同感ね。ここは何度来ても楽しいのに……」
「アッハッハ、子供にとっちゃ、ショッピングモールなんかはテーマパークって言うしな!!」
「すまない父上、兄上も! 私一人で三人を押さえるのは大変だからちょっと手伝ってくれ!!」
〜数分後〜
あちこち回ろうとする三人を確保した俺たち。
このままでは迷子になるとして、ゲンヤさんが一番わんぱくなウェンディを、チンクがディエチちゃんを、スバルちゃんがノーヴェちゃんを、そしてギンガちゃんが何故か俺の手を繋ぐ。
「……いやいやおかしいでしょ? 普通俺とギンガちゃんでスバルちゃんとノーヴェちゃんの手を繋ぐべきなのに」
「えー、私もたまに迷子になっちゃうから手を繋いでくれたら安心するんだけどな〜」
ニマニマ笑いながらそんな事を宣うギンガちゃん。さては久しぶりに会ったから独り占めしたいとかそんなこと考えてんなお前!?
「大丈夫だよレオ姉、私がちゃんとノーヴェを見守ってるから!!」
スバルちゃん? お姉ちゃん的にはノーヴェちゃんと同じくらいスバルちゃんを警戒してるよ? 性格的に興味を持ったものに釣られちゃいそうだ。
「アスカ、スバルちゃん達が半径5メートル圏内を離れたらすぐさま俺に知らせて」
『はいはーい』
さて、一応これで大丈夫だろう。
「それでレオ坊は何処に行きたいんだ? おもちゃ売り場は6階だぜ?」
「あー、おもちゃは良いです。基本海鳴で揃えてますんで。ここに来たらデバイスショップですかね」
「おもちゃを買うときがあるんだ。ふふ、意外と年相応なところもあるのね」
「ロマンには勝てないものさ……」
普段おもちゃは買わないタイプの俺であるがマジレンジャーだけは話は別。
おもちゃのクオリティが高い為、ついつい買い揃えてしまったのだ。
基本は俺の部屋に飾っておいて、暇なときは何も考えず分離したり組み立てたりしてる。
買った後にひなちゃんとアリシアちゃんが遊びに来たら、「年相応な部分があって安心したよー!」なんて言われたくらいだ。
「だが兄上はロボットだけではなく、車のおもちゃなんかもあったぞ?」
「あれはミニ四駆。おもちゃではなく、紳士の嗜みだ」
ミニ四駆は意外と奥が深い。どんなシャーシを使うか、どんなモーターを使うか、なんならどんな電池を使うかなど、何回も走らせて至高の逸品を作るのに手間暇や金がとにかくかかる。いわばデバイスと同じなのだ。
故におもちゃなんて生ぬるい言葉で片付けることは出来ないのだ。
「最近ではデバイス技術を応用して、ミニ四駆にお手製のモーターなんかを搭載してる」
「へぇ、よく分からないけど凄いわね!」
「いいかウェンディ、これがガチ勢ってやつだ。あの手のやつに話題を振るとそりゃもう語って面倒臭いから気をつける様にな?」
「了解っす!」
取り敢えず後でゲンヤさんとはお話しします。
その後デバイスショップに到着。早速好きなものを一つ選ばせていただこう。
デバイスは材料費だけで数百万位するから、パーツを一つだけ買っていただき、残りは自腹を切ろうかな。
「うわぁ、よく分からないパーツとかがいっぱいだー!!」
「うん。これなにに使うんだろ?」
「これはデバイスと言う魔導師の杖を構成するパーツだ。スバルもノーヴェちゃんも今はまだ持ってないが、いつか管理局に入るなら今のうちから見ておくのも良いかもしれないな」
「私管理局には入らない! 喧嘩嫌いだもん!!」
「私も……戦うのはいや……」
どうやら戦うことに対して忌避感を持っているスバルちゃんとノーヴェちゃんであった。チラリとゲンヤさんを見ると、「嫌がってるのに無理に管理局に入れなくても良いだろう」と言っている。
なんと言うか流石である。
「それじゃあチンク、スバルちゃんとノーヴェちゃんをおもちゃ売り場に連れて行ってあげて?」
「了解だ。ディエチも行くか?」
「うん」
「あ、みんなしてずるいっす! パパリン私も〜!!」
「分かった。……悪いが欲しいのがあったら念話で呼んでくれ」
「あ、了解です」
こうして残ったのはギンガちゃんと俺の二人。
「もう、みんなも見れば良いのに」
「いやいや興味の無いものを見せられるのは小っちゃい子にとっては苦行だよ。ま、あんまり待たせても悪いしさっさと決めてしまおうか」
「そうね。本当はこのままデートしたいけど……あ、いやなんでもないからね!?」
「バッチリ聞こえたからね?」
「うぅ……///」
さて肝心のパーツ選びについてだけど……。
……困った。ミッドのおもちゃはあんまり良いのが無いから必然的にデバイスの方を見に来てしまったけど、よく考えたら今必要なデバイスとか無いんだよなぁ。
「うぅむ、どうしたものかな〜」
「どうしたの?」
「いやー、今必要なデバイスとかが無くって、どのパーツが必要とかが無いんだよねぇ……」
「そうなの? なら必要なデバイスを作っちゃえばいいんじゃないかな?」
「必要なデバイスを作るか……」
ならば無難にギンガちゃん専用のデバイスでも……いや、それは流石に却下だな。
せっかく誕生日プレゼントとして買ってくださるのに、それをギンガちゃんへのプレゼントに還元するのはなんだか申し訳ない。
それに現在進行形で魔導師のひなちゃんや、リンディさんから注文を受けたアリシアちゃんと違って、ギンガちゃんは魔導師ではないから、そんな子にデバイスを渡すのは不味いだろう。
どうせクイントさんから注文があるだろうし、ギンガちゃんがデバイスを欲しがるその時まで保留!!
ならそれ以外には……
「……思いつかないなぁ」
「なら今持ってるデバイスを改造するってのは?」
「改造かー。基本こんな機能いいよなってなったら改造を施してるし……あ」
よく考えたらあったわ。俺が持ってるデバイスの中で唯一俺が作ってない逸品。
「この際フラガラッハを更に使いやすいように改造しようかな……」
別に現行の機能でも充分役に立ってくれてるけど、こんな機能があればって言うのはあるのだ。
アリサちゃん達もフラガラッハを使いやすいように改造していいって言ってくれてるし、ここはフラガラッハ強化のためのパーツを探そうかな。
「ならば必要になるパーツはこれとこれとそれとあれと……」
「わ、すごい勢いでかごがいっぱいになっていく!」
その後一番高いパーツ以外は先にお会計を済ませた後で、ゲンヤさんを念話で呼び出したのだった。
「これお願いします」
「うぉ、こりゃまたいっぱい買い込んだなぁ……。パーツ一つにしてくれて正直助かったぜ。なにせこれから昼飯食いにいくからな」
「あー。スバルちゃんもギンガちゃんもよく食べますからねぇ」
「ノーヴェとウェンディも二人に負けず劣らずで食べるぞ」
「マジすか」
その後バイキングに連れて行ってもらったが、ギンガちゃんやスバルちゃんはもちろん、ノーヴェちゃんやウェンディの食いっぷりに軽く引く俺であった。
あ、夜は誕生パーティーだから食い溜めはしないで腹八分目で止めましたよ?
おまけ 〜なんで呼び捨て?〜
「そう言えばチンクのそっくりさんはどうしてノーヴェとディエチはちゃん付けなのに、私だけ呼び捨てなんすか?」
「なんとなく。なんだかウェンディはちゃん付けしようとは思えないんよな」
「なんとなく!?」