見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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ひなちゃんの覚醒フラグ回です。


どうしたのひなちゃん。え、強くなりたい?

「ひなもっと強くなりたい!」

 

 遊びに来たひなちゃんに茶菓子と翠屋のコーヒー豆を使った特製カフェオレを出していると、突如そんな事を言って来た。

 

「いきなりだね、ひなちゃん。……そっか、そう言えば昨日アリサちゃんに負けたんだっけ?」

 

「うん。この間なんてすずちゃんにもフェイちゃんにも負けちゃったし、大人気ないなって思っちゃうんだけど少し悔しいんだ」

 

 大人気ないって、ひなちゃんも俺もまだ小学五年生だよ? そもそも子供なんだからそんなふうに思うのは仕方ない事だよ。

 

「というかひなちゃんまだなのはちゃん達よりも全然強いじゃん? 粘られるようになったとは言えなのはちゃん達に対してはそれぞれ一回しか負けてないんでしょ?」

 

「うん。でもひなはれお君とかヤマト君と同じてんせー者なんだから、頑張ればもっと強くなれると思うの! お願いれお君、修行のお手伝いをして!!」

 

 ひなちゃんはまっすぐ俺を見据えてペコリと頭を下げる。

 

「ひなちゃん……そっか、そう言えばひなちゃんも転生者だったね」

 

「忘れてたの!?」

 

 ショックを受けたような表情をするひなちゃん。

 いや、ごめんね。精神年齢がなのはちゃんよりも低いから転生者だって事をド忘れしちゃってたよ。

 でも確かにそうだよなぁ。去年は俺もヤマトも強化フラグが立ったってのにひなちゃんだけ来なかったし、ミラクルホープ含めてひなちゃん自身の能力を大幅アップデートさせても良いかもしれないね。

 

「よし、そうと決まればオリ主も呼び出して色々と強化の方法を試してみようか」

 

「うん!」

 

 ひなちゃんの修行についてだが、絶対的強者であるオリ主とぶつけ合わせれば何を克服したら良いかなんかも見えてくると思いヤマトに念話をかけてみる。

 

(ヤマト、ちょっとオリ主としてオリヒロインのひなちゃんに力貸してあげてくれない?)

 

(つまり転生者としてか。分かった、アリサとの用事を切り上げてそっちに向かうな)

 

(あ、ごめん。やっぱ今のなし。アリサちゃんとのデートを続けてどうぞ。……アリサちゃんとのデートすっぽかして来やがったら、つい最近なんとなくで開発した小型アルカンシェルで消し飛ばすからな?)

 

(誘っておいてそれはないだろとか、なんてもん開発してんだとか、言いたいことは山ほどあるけど分かった。明日なら俺も空いてるから、何かあったらまた呼んでくれ)

 

 …………。

 

「ごめん、ヤマト今アリサちゃんとデート中だったから二人でやろっか」

 

「分かった!」

 

 と言うことでひなちゃんと二人きりで修行をする事にしました。

 

「あ、ごめん。お外行く前にお菓子とコーヒー牛乳食べちゃうね!」

 

「これコーヒー牛乳じゃなくてカフェオレ……ってそんなに急いで食べなくて良いよ! 時間はたくさんあるんだからゆっくり食べな!」

 

 ……ひなちゃんのおやつタイムが終わった後に改めて修行をするために外に出る事にした。

 

 

 〜五時間後〜

 

「ゼェ……ゼェ……、これは俺の修行にもちょうど良いかもな……」

 

「ハァ、ハァ……つ、疲れちゃったね……」

 

 と言うわけで動きの一つ一つを確認しながらひなちゃんと本気の魔法戦をしてみたけど、ぶっちゃけフォームは綺麗だし技の選び方も一流の魔導師顔負け。俺からしたら充分強いんだよなぁ。

 それに一緒にお風呂に入ったときに身体を見てしまってるけど、年齢にしては良い筋肉のつき方してるし、後はこのまま健やかに成長していけば成長した頃にはゼストさんくらいなら軽く捻れるくらいにはなると思うんだよね。

 

 ベンチに全体重を預けながらぼーっとそんな事を考えていると、羽鳥さんがやってくる。

 

「見てたわよ〜。二人とも頑張ってたわね〜」

 

「あ、ママだ!」

 

「あぁ、羽鳥さん。こんにちは」

 

 どうやら買い物帰りに俺が貼った結界の近くを通りかかったらしく、侵入して俺とひなちゃんの戦いを見ていたのだという。

 普通なら結界に侵入者がいたら気づくんだけど、ひなちゃんに集中しすぎていたようだ。俺もまだまだだなぁ……。

 

「ねぇねぇママ。ひなもっと強くなりたいんだけど、どこを直せば良いのかなぁ?」

 

「そうねぇ……」

 

 グゥウウ……。

 羽鳥さんが考える素振りを見せた瞬間、ひなちゃんのお腹が鳴る。

 そう言えばもう夕方だからなぁ。それにあれだけ動いていれば腹が減るのも当たり前だろう。

 

「取り敢えずご飯食べながらにしよっか。レオ君も今日は一緒に食べて行って」

 

「良いんですか? それではご馳走になります」

 

 疲れた身体で夕飯作るのは面倒臭いから今晩はカップ麺と思っていたがこれは渡りに船だ。ぜひご馳走になろう。

 

 

 ◇

 

 

「やっぱりママの唐揚げ美味しい!」

 

「本当? レオ君とどっちが美味しいかな?」

 

「……うーん、う〜ん。……選べないや」

 

「ひなはレオさんの料理大好きですからね」

 

「〜♪ ……ハッ! ママの料理が美味しすぎて忘れてた!! ねぇねぇ、もっと強くなるにはどうしたらいいの?」

 

 幸せそうな表情で夕飯を楽しんでいたひなちゃんは、思い出したかのように羽鳥さんに尋ねる。

 そんなひなちゃんに羽鳥さんは静かに解を返す。

 

「そうね。まずひなは自身のレアスキルをもっと知るべきかもしれないわね」

 

「ひなのレアスキル……エンジェルウイングとフェニックスウイングだね。でももっと知るってどういう事?」

 

「エンジェルウイングもフェニックスウイングも強力なレアスキル。でもね強力だからこそ適当に扱っても大体はなんとかなってしまうものなの」

 

 羽鳥さんの言い方はまるでひなちゃんがレアスキルに頼りきっていると言っているようなものだ。

 でもそれに関しては昔っから能力に振り回されないようにと俺が教えて来たはずなんだよな。

 

「俺の教え方にダメな所がありましたかね……?」

 

「いやいや、レオ君の教え方は問題ないわ。むしろひながここまでエンジェルウイングを使いこなせるように訓練してくれてありがたいくらい! ……私が言いたかったのはエンジェルウイングは防御や攻撃、加速以外にも出来ることがあるって言いたかったの」

 

 そもそもひなちゃんのエンジェルウイングは転生特典ではあるが、羽鳥さんから受け継いだレアスキルと言う設定がある。

 故に羽鳥さんもエンジェルウイングの使い手であり、管理局員時代にエンジェルウイングを発展させて色々やっていた様だ。

 

「なるほど。確かにヤマトも言霊について知ったことで強くなったから、使い方次第ってことなのか」

 

「エンジェルウイングの発展か〜。例えばママはどんなふうに使ってたの? 明日ちょっと見せて?」

 

「それはダメ。ママはもう魔法は捨てたんだから。ひなの力はひなが見つけるべきよ」

 

「ひなの力はひなが見つける……」

 

 ひなちゃんは「う〜ん……」と唸りながら首を傾げている。どうやら必死に考えている様だ。

 

「エンジェルウイングと同じく、フェニックスウイングもまだまだ出来ることがあるかもしれない。時間はまだまだ沢山あるんだからゆっくり悩みなさい。人は悩んで強くなっていくんだから」

 

「う〜、分かった〜」

 

 エンジェルウイングやフェニックスウイングについては、レアスキルの使い手ではない俺には分からない。……いやひなちゃんに色々やって貰えば調べることは出来るけど、羽鳥さんが昔自分が使っていたやり方を教えなかったのを鑑みると、他人の俺が答えを出しては意味がないだろう。

 

「……だとすると今回俺が手伝える事は無いかもしれないですね」

 

「そうね。レオ君、手伝わなくても良いからこの子を見守っててくれないかしら? 魔法に関してはレオ君が先生だからね」

 

「了解です」

 

 と言うわけでひなちゃんが答えを出すまでの間、彼女を見守る事にした俺であった。

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