見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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さぁ、ひなちゃんちょっと勉強しようね。

「れお君、すずちゃん、見てた!? フェザークロス凄いよ!!」

 

「見てた見てた。最初はアリシアちゃんに押されてたけど、コツを掴んだらすぐ巻き返してたじゃん。流石だねぇ」

 

「もうちょっと練習して自分の戦い方に落とし込んだら、今まで以上に強くなれるよ! ……私達も負けてられないね」

 

「確かにそうだ。特に私なんてまだまだひなには勝ててなかったから、内心危機感でバクバクだよ。……ねぇひな、もうこの際八百長試合でも良いから一回勝たせて?」

 

 アリシアちゃん。君はそれで良いのか?

 まぁ確かに目標にしてた人にもう少しで届くと思ってたら、急に強くなってまた道のりが遠のく絶望感は分かるけどさ。俺も実際ヤマトが覚醒した時に内心穏やかじゃなかったし。

 

「ただそうなるとアリシアちゃんにこれから更なる絶望を叩きつけてしまう事になるかもな……」

 

「さ、更なる絶望? ……れ、レオは私に何をするつもりかな!? で、でもレオになら何をされても……いやんエッチ!!」

 

「うん違うからね?」

 

 全く。この子はすーぐそっち方面に行っちゃうんだから。生き返った直後の純粋なアリシアちゃんが恋しいよ……。

 まぁ何はともあれ

 

「ひなちゃん。俺の考えたエンジェルフェザーの発展系を試してみる気はない?」

 

「れお君の発展系? うん、やってみる!」

 

「よし来た。それじゃあみんなで呼ぼうか?」

 

「誰を?」

 

「せーの、リニスー!」

 

「聞いてないし……。ってリニス?」

 

「はーい。プレシアの元使い魔にして、ひなの現使い魔リニス、ただいま参上しました!」

 

「あ、リニスだー」

 

 普段はモモザキベーカリーの看板猫兼従業員として働いているリニス。

 この時間帯は自由時間であることは把握している為、ひなちゃんとアリシアちゃんが戦っている隙に念話で呼び出した次第でござる。

 

「ねぇねぇ、どうしてリニスがいるのー?」

 

「それはねひな。……これからお勉強の時間だからですよ」

 

「え!?」

 

 リニスに抱きついていた勉強嫌いのひなちゃんは、凄まじい反射神経で彼女から離れる。

 だがひなちゃんの避難した先に待っていたのはこの俺。彼女を捕まえると、魔法構成式がびっしりと書かれたA4用紙の紙を取り出す。

 

「それじゃあひなちゃん。今からこの魔法構成式を覚えよっか」

 

「えー! そんなに覚えられないよ〜! れお君離して〜!!」

 

「大丈夫です。ひなは地頭は良いから集中して頑張れば十五分で覚えられますよ! ……強く、なりたいんでしょう?」

 

「ハッ! これを覚えれば強くなれるの?」

 

「うん」

 

「……やっぱり宿題でもないのにお勉強はいや〜!」

 

 ひなちゃんもアリシアちゃんほどでは無いにしても勉強は嫌いな方だからそりゃそうなるわな。だからこそリニスを呼んだんだけど予想以上に抵抗が激しいな。

 仕方がない。最終兵器を使うか。

 

「翠屋の春限定のストロベリークリームチーズケーキ」

 

「頑張る!」

 

 俺の持っていた魔法構成式の書いた紙を手に取ると、早速「うむむむむ……」と唸りながらそれを読み出したひなちゃんであった。

 

「ひなちゃんったら……」

 

「ひなって私達の中じゃ一番食い意地張ってるよね」

 

「だよね。以前レオ君に告白した時も結婚してずっとご飯作ってだったし」

 

「実はレオじゃなくて、レオが作るご飯の方が好きだったりして……」

 

「いや、それはないと思うよ。一年の頃とかはなのはちゃんが恭也さんに向ける視線で見てたけど、三年に上がったタイミングですずかちゃん達がヤマトに向ける視線と同じような目で見られるようになってたし」

 

 でも当時はオリヒロインが踏み台を好きになるなんて思えなかったから、内心俺の目も鈍ったもんだ。って現実逃避してたんだよね。そう考えたから告白されるまでひなちゃんの好意をガン無視してた俺って何気に罪深いんじゃ……。

 

「ねぇ、どうして死んだ魚の目になってるの?」

 

「なんでもないよ。ただ、過去の行いを反省してただけ」

 

「アハハ……あ、そういえば発動構成式についてなんだけど、さっきのフェザークロスみたいにミラクルホープにプログラムを入力するんじゃダメなの?」

 

「まぁ別にそれでも良いんだけど、ミラクルホープを壊したら使えなくなっちゃうからね。まずはデバイス無しで使えるようになってから、ミラクルホープに構成式を登録した方が何かと安心なんだよ」

 

 俺自身デバイスを複数所持すると言う、ベルカの騎士に中指立てられそうな魔導師ではあるが、最終的に頼れるのは自分自身と思っているから、自身の使う魔法は全部頭に叩き込んでいるのだ。

 

「だからフェザークロスにフェザースレッドの構成式も近いうちにひなちゃんに覚えて貰わないと。……いや、いっそのことリニスに覚えてもらって知識の共有で……でもひなちゃんの為にならないし……」

 

「レオ君ってひなちゃんの歳の離れたお姉ちゃんみたいだよね」

 

「だからお姉ちゃん違うって。ってかいつもわざと言ってるでしょ?」

 

「覚えたよ!」

 

 この際いつも俺の性別を間違えるすずかちゃんとO☆HA☆NA☆SHIしようかとにじり寄っていたが、丁度プログラムを覚えてしまったようだ。命拾いしたなぁすずかちゃん?

 

「覚えたならエンジェルフェザーにこの構成式を付与して見て? 付与の仕方は分かるよね?」

 

「うん! 以前教えてもらったもん。……えぇっと……こうかな?」

 

「よし、それじゃあ、海にプロテクション張ったからそれに向かって投げて見て」

 

「うん」

 

 ひなちゃんが投げたエンジェルフェザーであるが、プロテクションに当たった瞬間、羽は爆発して爆風でプロテクションが砕け散った。

 

「……ほぇ〜、爆発しちゃった。れお君とチーちゃんのランブルデトネイターだ!」

 

「イエス。さっきの構成式はランブルデトネイターの金属を爆発物に変える性質を、エンジェルフェザーを爆発物に変える性質に書き換えて色々調整を施した物だったのさ」

 

 と言うのも今回の件で改めてひなちゃんの羽を詳しく解析して見た俺であるが、実はこの羽非常に魔法付与に対しての親和性が高い事に気がついた。

 そこで属性だったり魔法構成式を作ってそれを付与させれば色々できる事に気がついたと言うわけだ。

 

「因みに魔法付与に対しての親和性が高いって気づいたキッカケはフェニックスウイングでね。フェニックスウイングはエンジェルウイングとは別のレアスキルなんかじゃなくて、エンジェルウイングに無意識に別の癒しのレアスキルを付与させていた物だったって気がついたんだよ。だから俺の持ってたフェニックスカートリッジを調べ直して……」

 

 おっといけない。解説に集中しすぎてしまった。まだこの手の論理的な説明はひなちゃんには早いよね。

 

「うーん、よく分からないけど、てことはお勉強次第で、いろんな能力を使えるってこと!?」

 

「流石に限界はあるだろうけどね。属性を付与させたりとかは簡単だと思うよ? でも爆発系の付与しか俺は教える気は無いから、ここから先はひなちゃんが自分で勉強して習得していくんだよ?」

 

「うん。分かった! 教えてくれてありがとうね!」

 

「どういたしまして」

 

 その後隠されていた二つの力に大満足したひなちゃんはリニスと共にルンルンステップで帰って行ったのだった。

 

 

 〜その夜、ハラオウン家にて〜

 

 プルルルプルルル

 

「はい、もしもし羽鳥? どうしたのこんな時間に?」

 

『り、リンディ? もしかしてあなた今日ひなに過去の私の戦闘データ見せたりした!? ちょっと、やめてよね? 私の戦い方を真似して欲しくなかったから教えなかったのに……!!」

 

「ちょ、落ち着きなさい羽鳥! 私は戦闘データなんて見せてないわ! ……何かあったの?」

 

『実はうちのひなが強くなりたいって言ってたから、エンジェルウイングに更に先があるって教えたの。でも私の戦い方ってアレだったでしょ? だから教えなかったんだけど……』

 

「なるほど、大体分かったわ。さては同じ戦い方を見つけてしまったのね」

 

『うん。レーヴェ教官に昔見せてもらった起爆魔法を付与しての羽爆弾……。……なるほど、犯人はレオ君(教官の忘れ形見)か……。ど、どうしよう? このままじゃうちの娘も爆撃機なんて不名誉なあだ名を付けられちゃうわ……。私が管理局辞めた理由の三分の一は爆撃機ってあだ名が嫌だったからなのに……』

 

「だ、大丈夫よ。ひなさんはとっくに大天使ヒナリエルって渾名が管理局に広まってるから」

 

『全然だいじょうばないじゃない!? 確かに娘が天使なのは認めるけど……認めるけど! ヒナリエルって、エルつければ良いってもんじゃ無いのよ!』

 

「お、落ち着いて羽鳥。愚痴くらい聞いてあげるから! ……はぁ、なんで私の近くには親バカが多いのかしら……?」

 

「と言いつつ艦長もクロノ君が小さい頃は親バカで有名だったって聞きましたよ〜?」

 

「エイミィ、電話中だから静かにね?」ニコッ

 

「は、はい……」

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