見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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取材?テレビなんて出たら街を歩きづらくなるでしょうが

「テレビの取材……? ど、どうして私たちに……?」

 

「ミッドには魔法体験! アングリーバボーっていうドキュメンタリー系バラエティー番組があるんだけどね。そこの人達が最後の闇の書の主と闇の書と戦った小さな英雄達って名目で番組を作りたいらしいの」

 

「闇の書についてですか……」

 

 なんでも闇の書は数十年に一度の世界を滅ぼす大厄災として有名であるらしく、それを管理外世界の小学生が中心になって止めたと言うのはバラエティーとしてこれ以上ないネタなんだと。

 

「っというかなんか日本のバラエティー番組で聞き覚えのある番組名だな」

 

 いやいや偶然だろ。なんだよアングリーバボーって怒ってんのか驚いてんのかハッキリしろよな。

 だがリンディさん曰く、日本のバラエティー番組を偶然見たミッドのテレビ局がパクった番組なんだとか。

 

「著作権の侵害じゃねえか。日本のテレビ局に土下座しろミッドのテレビ局。……因みにこれって断れるんですか?」

 

「えぇ、特にはやてさんや麗央君、ひなさんなんかは思い出したくない事もあるでしょうしね。みなさんが受けると言うなら取材に応じるけど……少し考えてみてちょうだいね。それじゃあ私は帰るからお泊まり会楽しんでね」

 

 そう言ってペコリと一例すると帰って行ってしまったリンディさん。

 その程度の内容なら別にここまで来なくても電話とか念話とかで良かったような気がするんだけど……まぁ割と重要な話ではあったし、電話とか念話で話すのは憚れたのかもしれないな。

 

「いや、取材を受けるかを決めておけって……そんな事言われてお泊まり会楽しめるか?」

 

「大丈夫だよヤマト君。今からみんなで話し合って決めちゃえば心置きなくお泊まり会できるの!」

 

「そうだね。それじゃあ早速話し合おうか? 取り敢えず取材に応じるか応じないかで分かれてディベートしよ?」

 

「でぃべーと?」

 

「何それ?」

 

 すずかちゃんの提案に目が点になってコテンと首を傾げるひなちゃんとアリシアちゃん。うん、ディベートって単語が出た時点でこの二人が首を傾げるのは予想通りだったな。

 説明してやった方がいいよな〜と思っていると、俺よりも先にフェイトちゃんが口を開く。

 

「お姉ちゃんもひなも分からない? えっとね、賛成派と否定派で賛成の理由とか否定の理由とかを話し合って、その内容を元に最終的にジャッジ担当の人がどっちにするかを選ぶんだよ」

 

「ほぇー、そんなのがあるんだねー」

 

「めんどくさそうな決め方だね」

 

 ひなちゃん。君半分くらいしか理解できてないでしょ? あとアリシアちゃんめんどくさいって……。

 でもまぁこの状況ではディベートで決めるわけにはいかないだろう。と言うのにも一個問題があり……

 

「仮にディベート形式でやるにしてもジャッジは誰がするの?」

 

「うーん、ジャッジはやっぱりはやてちゃんかな?」

 

「え、私普通に応じる派なんやけど?」

 

「え?」

 

 そう。本来ジャッジを決める立場である今回の被害者のはやては、今回のテレビの取材に応じる気満々なのだ。

 

「テレビに出るなんてこんな機会滅多に無いしなぁ。それに二代目の夜天の書が危険なものって誤解されることが最近増えてきたから、その誤解を解くいい機会でもあるんよね」

 

「そうなのね。って言うかはやてがこう言ってるなら、取材に応じても良いんじゃないの? 反対派な人は怒らないから手をあげてみなさいよ?」

 

 手を挙げたのは俺とヤマトとアリシアちゃん。

 あれ? 反対派は俺一人と思ったけどヤマトとアリシアちゃんも反対なの? 特にアリシアちゃんなんて「私の武勇伝? しょうがないなぁ、聞かせてあげる♪」って感じで一番に取材に応じるタイプのはずなのに。

 

「理由を聞いても良い?」

 

「まずは私からね! えっと……私が反対な理由はひなだよ」

 

「え、ひな?」

 

 アリシアちゃん曰く、闇の書事件をテレビ放送すると言うことは、ひなちゃんの祖父であるグレアムが事件の首謀者であると晒す事になる。そうなったらひなちゃんの身が危ないと言うのだ。

 

「えっと、ひな気にしないよ?」

 

「私が気にするの! ひなはライバル以前に親友で私を生き返らせてくれた恩人なんだからね!! そんな子が陰口を叩かれるのなんて私嫌だよ! レオも同じ理由でしょ?」

 

「え、テレビ出演したらミッドの街を歩きづらくなるからだけど?」

 

「この人でなしぃ!」

 

 いやだってリンディさんと共謀して、グレアムは龍帝院に洗脳されてた事にしたからな。

 だからこそひなちゃんは加害者の孫ではなく、お爺さんを助けるために立ち上がった小さな女の子って感じに放送されるはず。リンディさんも多分そこら辺は上手く手を回すはずだ。

 

「つまりひなちゃんの件は問題ないと思います」

 

「流石レオ! こうなる事も見越してリュウヤを嵌めたんだね? 人を陥れるのは本当はいけない事だけどリュウヤだからいいや。ナイスだよレオ!!」

 

 大した手のひら返しだねぇアリシアちゃん?

 てか前から思ってたけど、龍帝院に全ての罪を被せたけど、普通ド畜生行為はみんなが許すはずがない。なのに苦言を呈される程度でそこまで激しく批判されたかったんだよなぁ。

 ま、これも全ては相手が龍帝院だからか。やっぱり真の踏み台の好感度の低さには驚かされるね。(ゲス顔)

 

「アリシアはひなのため、レオは自分のためね。ヤマトはどうして反対なの?」

 

「闇の書事件は管理局の裏事情とか陰謀とか色々あったし、なんと言うか……うん。テレビで放送出来ないものじゃないか?」

 

 ヤマト曰く、そもそも二年前の闇の書事件は、半年前のジュエルシード事件で逮捕されたはずの龍帝院を管理局が釈放してしまったことで起きてしまったと言ってもいい。

 あいつがいなければ、ひなちゃんの爺ちゃんなんかもちょっかいは出せなかっただろうし、闇の書を修理してハッピーエンドにいけてたはずだしなぁ。

 

「た、確かにそう考えると管理局に批判が行っちゃうね」

 

「それにリュウヤの逮捕された理由からジュエルシード事件を聞かれちゃうかも。……フェイトの事とか説明して良いものなのかしら?」

 

「やめた方がいいだろうな。フェイトの件とか視聴者からメチャクチャツッコまれそう」

 

「うん。確かに説明しづらいの……」

 

「それにジュエルシード事件の結末って、俺がバッテリーデバイスの特許なんかを賄賂に司法取引したから渡したからプレシアさんほぼ無罪になったわけだし……。そもそもあれグレーじゃなくて普通にブラック案件だからバレたらどうなるか……」

 

「か、母さんが逮捕されちゃうの!?」

 

「えぇ!? それは嫌だよ!」

 

 ………………。

 

「やめましょうか」

 

「そうだね。じゃないとプレシアさんが捕まっちゃうの」

 

「我儘だけど母さんには捕まって欲しくないから……ごめん」

 

「いやいや気にせんで。逮捕されたらバッテリーデバイスを管理局に渡した意味がないし」

 

「それにいくらグレアムさんが洗脳された事にしても、批判する人はするだろうしね」

 

「尚更ダメだよ。取材なんてしたら傷つく人が増えちゃう!」

 

「そうだな。はやてには悪いけど取材は断ったほうがいいかも知れん」

 

「私は問題ないで〜、それによく考えたら夜天の書の誤解なんて私が頑張ればあっさり解けるやろうしな!」

 

 途中から夢の世界に旅立ってしまったマイペースなひなちゃん以外、満場一致で取材を断るという結論に至りました。

 いやマジで取材はあかん。

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