見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
アルカンシェルの試し撃ちも済んだので、約束通りシグナムさんと模擬戦を行なっている俺氏。
新型兵装のテストはいいのかと思ったが、遠隔通信のマリエルさん曰く色んな戦い方をする俺が相手ならば分かることも多いんだと。
正々堂々のシグナムさんと卑怯戦法が得意な俺では基本俺の方が有利なんだけど、この人ったら最近は搦手とか全部見抜いて来るんだよなぁ。
カリバーと剣型の次世代兵装で斬り合ってるけど、剣に限定したらシグナムさんが圧倒的有利。これ以上の斬り合いは俺が競り負けるな。
「……っチィ!」
「おっと、流石にそれをさせる訳にはいかないな!」
シールドを足場に距離を取って、Wファンメランを取り出した直後に距離を詰めて来たシグナムさん。暴風域を発動されるのを防ぐためだろうが、今回ファンメランを取り出したのはそれが理由ではない。
「今回は普通に投げるだけですよっと!!」
「もちろん対策はしているぞ!!」
ファンメランは奥義とブーメランの性質を持ったデバイス。故に今回は奥義としてではなくぶん投げてブーメランとして活用したというわけだ。
急に距離を詰めて来たシグナムさんの不意をつけると思ったが、どうやら投げる可能性を想定していたようで、レヴァンティンを展開したかと思うと腹の部分でファンメランを弾かれた。
「おいおい……ベルカの騎士は複数の武器を持たないんじゃ無かったか!?」
「ふ、お前を相手にするならば、騎士の誇りという贅沢は言ってられない。それだけだ」
「うぉ……なんてなぁ!!」
「っ!? ぐうぅ!!」
そのまま俺の懐に潜り込もうとして来たシグナムさんであるが、ファンメランは囮でございますよ。
本命はこの手に持っているMブラスター。ただしブラスターとしての使用ではなく、鈍器としての使用だがなぁ!!
「い、以前よりも重く……!?」
「アップデートして威力倍増と共に重量も二倍に膨れ上がってますよっと!!」
ブラスターを振りかぶった瞬間に俺の手口を知ってるシグナムさんは次世代兵装とレヴァンティンを重ねて受けようとしたが、最近100キロも辛いなぁと思って来てしまったから200キロに重量をアップさせていたのだ。しばらくは耐えていたがやがて殴り飛ばされて落下する。
受けるのは危険すぎたな。てか200キロでも片腕で振り回せる俺の筋力って……化け物だよなぁ。(遠い目)
「おっと、トドメトドメ……最後はアスカだな。《トールサンダー》!」
『はい。これにてチェックメイトでーす』
「ぐぁあああ!!」
体勢を立て直される前にアスカロンを展開して、魔力5Sの魔力をふんだんに使った雷魔法でシグナムさんを撃墜させた。
これにて模擬戦は終了。遠くでのんびりと模擬戦を眺めていたヴィータちゃんがこちらに来る。
「今日はシグナムが勝つと思ったんだけどなー」
「いやぁ、今日はちょっと危なかったかも……」
シグナムさんやヴィータちゃんと言った守護騎士は、数百年分の研鑽があるから初見殺しを用意しておかないと結構……いやかなりキツイんだよなぁ。
「よしシグナム拾ったら本局に帰って昼飯食おうぜ」
「いやいやヴィータちゃん。俺これから宝物庫探しするから一緒には行けないよ? ほら、昼飯とかも持って来てるのに」
「あ、本当だ。……ちょっと食べていい?」
「いや、やめて?」
今日は一人分しか作って来てないのにあげる訳にはいかんのだ。
ヴィータちゃんから弁当を死守しながら、湖に落下したシグナムさんを拾いにいこう。
水面にプカプカ浮いていたシグナムさんを手早く救出すると、スタンブリッツで強制的に叩き起こす。
と言うかスタンブリッツは相手を怯ませるための、あまり強くない電気魔法だけど気付けにしか使ってないよなぁ……。
「カハッ! ……そうか。今回も私の負けか。ブラスターの重量が従来のままなら勝てていたのだが……」
確かに、200キロのブラスターを思い切り叩きつけたのに、しばらくの間耐えられてしまったからな。今回ブラスターの重量を二倍にしてなければ押し負けてたかもしれん。
「ギガントシュラーク状態のグラーフアイゼンを軽々と振り回すヴィータなら、200キロくらい耐えられるだろうが……私も精進しなければ」
「確かに。あれ重さに換算したら何トンくらいだ? ヴィータちゃん、ちょっとこれ持ってみてよ」
「いやアイゼンを振り下ろすときだけ重量軽減の魔法かけてるだけで200キロなんて無理だよ。だからレオ、このブラスターハンマーをアタシに持たそうとすんな」
重量軽減か。確かにMブラスターが重くなったときにかけようか考えた事があったけど、軽量化に失敗した自分への戒めのためにあえて重くしたままにしてたんだっけ?
なのに改良化するどころか重くするとは当時の俺が見たら呆れるだろうなぁ。……ん?
「どうした?」
「いや、シグナムさんが落ちた湖だけどさ……よく見たらあそこに横穴がない?」
「え? ……あ、本当だ」
普段ならこのまま捨て置く俺であるが、これから魔王の宝物庫を探しに行く。
宝物庫は分かりずらい所とかに隠されているだろうし、こう言う些細なところも探す価値は大いにあるだろう。
「取り敢えずアタシらは新型兵装をマリエル達に返して来るからサーチャーで横穴調べておけよ」
「え? ヴィータちゃん達も来るの?」
「これで今日の仕事は終わりだし、気になるからな。でも2時くらいからアリサと遊ぶ約束もしてるからさっさとしてくれよ?」
「いや、遊ぶ時間になる前に切り上げて帰れよ? 遅れてアリサちゃんに揉みくちゃにされても知らないからな?」
ヴィータちゃんとシグナムが本局に帰還したのを確認すると、早速サーチャーを飛ばして横穴を調べてみる。
「るるるるる〜る〜る〜るる〜♪ ……ん? おぉ、横穴の奥は空洞になってて空気もあるっぽいな。これはワンチャン……でもここって魔心があった場所からわりかし近いからなぁ。むしろこう言うのは遠いところにある気が……」
『こう考えるんです。普通はここから離れたところにあると思い込む。その裏をついて敢えて近くに作られたと!!』
なるほど、確かにその通りだ!!
◇
その後本日の業務を終了させたヴィータちゃんとシグナムさんと合流すると、早速横穴に入ってみる。
バリアジャケット状態ならば水中でも少しの間呼吸は出来る。横穴はそこそこ長いから途中で息がもたなくなるだろうが……うん。気合いと根性だな。
〜数分後〜
「……ぶはぁ!! ゲホッ……ゲホッ……ゴホッ……フゥ、フゥ……し、死ぬかと思った」
普通に死にかけました。
次からここに来るときは酸素ボンベ持参だな。
「シグナムさんとヴィータちゃんは無事?」
「「問題ない(ねー)」」
肺活量は俺以上……いや、魔法生命体だから空気を必要としないのかコイツら……?
その後しばらく空洞の中を進んでみると……
「本当にあったよ……」
「確かにお前の持ってる玉がハマりそうな穴があるな」
「意外とラクだったな。つかいくら魔心が必要でも、こんなあっさり見つかるところに隠すかフツー?」
いやいや横穴も相当わかりづらい所にあったし、普通の人は無人世界の湖にある横穴なんて調べようとは思わないからな普通?
でも偶然とはいえこうもあっさり見つけられるなんて。やっぱり先祖に導かれてる可能性があるよな。いやマジで。
それじゃあ早速魔心を嵌めて……
「……む? 何も起きないな」
「えー、ここに来てこの扉壊れてるのかよ」
『いえ、マスター。もしかするとこの状態で前回のように魔力を流しながら扉を開くのではないでしょうか?』
「え? あぁ、確かにその可能性は大いにあるな。魔心を手に入れた人なら無条件で入れるとかだと条件ガバガバすぎるし」
早速魔力を流しながら扉を押し込む。さてどうだ……?
『魔力識別……魔王王家の魔力を確認。魔王の心臓の魔力を使用し、宝物庫のロックを全て解除します。お帰りなさいませ』
ゴゴゴゴゴゴゴ…………
「お、開いた。せっかくだ。アタシらを火炙りにしやがった王族の恥ずかしい過去とかが分かるなにかないかな〜」
「やめろヴィータ。子孫の前だぞ?」
「いや別にいいよ。俺気にしてないし。でも祟られても俺は責任取らないからね?」
「バカだな〜。お化けなんているわけないだろ〜? 「あ、鎧が動いてる」うわぁあああ!? い、行くぞアイゼン……あ」
「そっかー。お化けなんて怖くないんだね〜。ふーん」ニヤニヤ
「お前覚えとけよ……?」
覚えておきますよ。ヴィータちゃんのビビり具合をね。……ん?
「アスカ、カリバー。これって……」
『ロストロギアですね〜。それにしてもこりゃまた随分と特殊な様で……』
『まさか本当にあるとは……。マスター、ご丁寧にこれの前に文献がありますよ? シグナム様に読んでいただいてはいかがでしょう?』
「そうだね。シグナムさん。お願いしますね?」
「あぁ。えぇっと……」
シグナムさんからこのロストロギアの効果を聞いた俺は思わず笑みが溢れる。
ほーう? これはまたなかなかに便利なロストロギアではないか。安全性なんかを調べる必要があるけど、コイツならば劇場版の切り札になるかもしれない。
「なぁレオー、これヤバいやつじゃん。管理局に回収してもらおうぜ?」
「そうだね。一ヶ月後に回収してもらおう」
「なんで一ヶ月後なんだよ? この一ヶ月で何をするつもりだよ? おいレオ、こっち見ろ」