見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「初めまして。八神はやてさんと宮坂レオさんですよね?」
颯爽と現れて、盗まれた車両なんかを改造して作ったロボから俺たちを救ってくれたお姉さん。アミティエさんがこちらを向き直る。
「はい。八神はやてです」
「宮坂麗央です。助けていただきありがとうございます」
「良かったです、あなた達がご無事で。……まぁ見た感じ私が来なくてもなんとかなっていたかもしれませんが……」
そう言って穏やかに笑う。
戦っているときこそ容赦なくガトリングガンとかバズーカとか撃ちまくっていたけど、温厚な性格のお姉さんの様だ。
「いえ、なんとかしてくれて助かりました。うちの師匠アルカンシェルぶっ放そうとしてたんで、そうなったらどうなっていた事か……」
突如そんな失礼な事を宣う弟子2号。
「いやいやはやてちゃん? これ別に危険な代物ではないよ。撃ったら射線上にあるすべての物質を消し飛ばすだけだから」
「今の説明のどこが危険な代物ではないん?」
「レオは善寄りだから目立たないだけで、相当マッドだな」
「あはは……」
俺とはやて&リーン姉さんの会話を見て、頬をかきながら困った様に笑うアミティエさん。
ちょ、僕が研究で周りに迷惑をかけた事があるかい!? 発明品を実戦で使うときは使って大丈夫かの厳しい審査を行なっているんですからね!?
そう文句を言おうとした直後、アラームが鳴る。どうやら着信が来たっぽいな。
『はやて、レオ!』
『我が主!』
「アルフ、ザフィーラ!」
どうやら最近見ないなぁと思ったら背が縮んだフェイトちゃんの使い魔とザフィーラの兄貴からの様だ。
あと俺の存在忘れてるザフィーラニキよ……。まぁ主の方が大切だろうししょうがないと思うよ。だから文句は言わないでおこ。
『ご無事ですか?』
「うん。襲われたけど、制服のお姉さんに助けてもらったよ」
「あくまでトドメを刺しただけですが……」
『私もアルフも現在対象を追跡中です』
詳しく聞くと今回のあの赤髪の少女からの襲撃により、日本の警察が大騒ぎしているようだ。
首都高であれだけド派手にやればな。そりゃそうだ。
そして今回の襲撃を起こした犯人として、アミティエさんとそっくりの制服を着たバイクに乗った女子高生を追跡しているのだとか。
ヘルメットに隠れて見えないけど、おそらくさっきスマホで見たピンク色の髪の女子高生だろうな。
『ちょ、ヤバいよザフィーラ!!』
『ぐ……』
「アルフ、ザフィーラ。どうしたん!?」
どうやらモニターの向こうでは少々面倒くさいことになってる模様。
背景の建物の様子から察するに、今いる首都高を少し上ったところっぽいけど……。
アナライザーに搭載している望遠鏡機能で、結界の向こうのアルフとザフィーラの様子を確認してみると、なんと二人はミサイルに追いかけられていた。
「おいおいこれは……!」
「レオ君何が見えたん!?」
「見てみれば分かる! はいよ!!」
すぐさまアナライザーで見える光景を、はやてのモニターの方へ写す。
そこにはミサイルの餌食になり、先ほどのコードで縛り上げられた二人の姿があった。
「アルフ、ザフィーラ!!」
「まさか盾の守護獣であるザフィーラがこうもあっさり……」
「なんて事を……っ!? いけません、キリエ!!」
どうしたものかと考えていると、アミティエさんの悲痛な声が響き渡る。拘束された二人の上部から先ほど写し出されていた女子高生が踵落としをしようと、重力に従って落ちてきていたのだ。
『ごめんね。邪魔されると困るの』
「二人とも!!」
「おいおいマジか……いや。まだ救いはあったっぽいな」
「え?」
踵落としが二人に決まる直前、桃髪のお姉さんの踵が剣の腹で受け止められる。
「や、ヤマト君や!!」
「流石オリ主、ピンチな仲間を救うとはそこに痺れる憧れる!」
『っ!? あ、あなたは……』
『時空管理局本局武装隊準所属、豊田大和だ。あなたを傷害未遂で現行犯逮捕させていただく! あなたには違法渡航と窃盗の疑いもかかっている。これ以上罪を重ねようとすれば更に罪が重くなるぞ!?』
ヤマトの決めゼリフまで鑑賞してモニターを消す。
オリ主でこのメンバーの中では最強のヤマトが来たなら安心安全ではあるが、それでも非常に面倒くさいことになっているのは変わりない。
さっさとヤマトと合流してピンクの女子高生を捕まえねば!
「ヤマトと合流して数の暴力でぶっ叩くぞ!」
「了解や! ヤマト君、なんとか耐えてな……!」
「あ、待ってください!」
直後アミティエさんに手を掴まれた。
「ちょアミティエさん、俺ら今急いでるんで! あなたも違法渡航の疑いがあるけど今回は見逃すから手を離してく──」
「アミタと呼んで下さい。……ってそれどころじゃありませんでした! ……こほん、故あって私はさっきのピンクの子……私の妹を追いかけています。妹の目的は八神はやてさん、宮坂レオ君。あなたの持つ本と水晶なんです!」
俺は懐から魔心を取り出す。
俺が魔心を持っているってのは管理局の中では極秘情報のはずだ。知っているのは俺に親しい人と管理局のトップくらい。それに親しい人も緘口令が敷かれているのにどうしてバレたんだ?
まさか最高評議会から……いや、見た感じこの人もピンクの人も別の管理外世界からの違法渡航者っぽいからあり得ない。なんでだ?
どこから情報が漏れたかと頭を回転させている傍らで、アミティエさんは続ける。
「あなた達からはその本と水晶を。なのはさんとフェイトさん……アリサさんにすずかさん、ひなさんにアリシアさん、そしてヤマトさんからはその力を無断で借りようとしています」
「や、ヤマト君となのはちゃん達の力……?」
「私は妹を止めないといけません。という事で……乗ってください!」
どうやらアミティエさんはあの桃髪の女子高生を……彼女の妹を止めるのを手伝ってくれるらしい。先ほどの戦いぶりを見るに、これは渡りに船だろう。でも……
「この大きさ……乗れるのは一人やね」
「大丈夫です。つめて頂ければ……」
うん、お巡りさんに捕まるからね? タダでさえノーヘルなのに……。でも結界を出てしまったら流石に飛んで現場に向かうわけにはいかないか。
最悪忍さんに裏から警察に手を回して貰えばいいし、ここはなんとか三人乗りをすれば……っ。
……………………。
「レオ君?」
「……はやてが行きな? ツヴァイを待機モードにしてリーン姉さんとユニゾンすれば俺以外の全員で行けるはずだよ」
「え、でもレオ君は……?」
「魔心まで狙われてるなら俺は本局に隠れるよ。今日は一日中仕事してて疲れてるし、相手がピンク髪だと手を抜いてしまいそうだ」
「なんでピンク髪だと……あぁ、ひなちゃんやね。相変わらずひなちゃんにベタ惚れやなぁ。でも分かった。ならここは私に任せとき!」
はやてはツヴァイからリーン姉さんにユニゾンをし直すとアミティエさんのバイクの後ろに乗る。
「お願いします!!」
「分かりました。レオさんも、どうか安全な所で隠れていてください!」
「はい。アミティエさんも事故らないで下さいよ?」
「もちろんです。安全運転でぶっ飛ばしていきます!! あとアミタと呼んで下さい! では!!」
はやてを乗せたアミティエさんはヤマトのところへ向かう。
……はやても鍛えてだいぶ強くなってるし、奥の手もある。それに何かあれば王子様が助けてくれるはずだ。
大丈夫、万が一にも負ける可能性はないだろう。だから……
「──出てこいよ」
俺は俺に出来る事をしよう。
俺がロボの残骸に呼びかけると、その陰からバイザー型の仮面をつけた、先ほど襲撃してきた赤髪の少女と同じ髪色の大学生っぽい人が出てくる。
俺がここに残った理由、それはこいつが隠れていたから。
もし三人でバイクに乗っていたら襲撃をかけていたかもしれない。故に敢えて俺が残り注意を引いたと言うわけだ。
「単刀直入に言おう。魔王の血を引く者よ、魔王の心臓をこちらに。それは貴様が持つべき物ではない」
「……お前にそれを決める権利はないだろ?」
「いや、私にはそれを決める権利がある。……どうした? 渡す気がないなら無理に取って行くぞ」
「へぇ。やってみな!!」
そこまで言うと回れ右してダッシュ。俗に言う撤退だ。
……別に戦ってもいいが、魔心を取られるリスクを考慮したらここは逃げるべきだ。アミティエさんもバイクだからもう安全圏に出たはずだしな。
と言うわけで、ある程度距離を置いたところで時空間転移!! ……あれ?
「……お前の世界の言葉ではこう言うらしい。ボス戦からは逃げられない」
「マジか。まさか俺から結界の制御権を奪うとか……。でもそう言うことならやるしか無いか……」
俺から結界の制御権を奪えるほどの魔法への理解。見れば分かる、絶対に戦いたく無いタイプだ……。
さて、この半仮面の女の子は一体誰だろう?
ぜひ考察してみてください!