見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
突如として現れた赤髪の少女……アミタがこちらに歩いてくる。桃髪の少女……キリエとは違い、こちらに対して一切の敵意も感じられない。
「みなさんご無事で何よりです。お友達……はやてさんもちゃんと私が保護しましたので。……レオさんも撤退すると言ってました」
はやてとレオが襲撃を受けたときにどうやら助太刀をしたらしく、はやてが守護騎士と合流するまでは共に行動していたのだと言う。
一方のレオも本局に逃げると言っていたのだとか。……なんと言うかあいつらしいな。
「絶対に追いかけて来ないでって、私言ったよね!?」
「私は行っちゃダメだって言いました!」
「アミタまでこっちに来ちゃったら、ママのことはどうするのよ!? 何考えてるの!?」
「家出した妹を連れて帰る。それだけです!」
どうやらこのアミタと言う人はキリエのお姉さんらしい。
……え、割と妹さん爆破させてしまったけどお姉さんとしてはそれで良いのか? とりあえず後でひなにごめんなさいさせよう。
「言ったでしょ!? パパとエルトリアも助けるんだって!!」
「……帰りましょう」
「この……バカアミタ!!」
どうやらお姉さんの説得も彼女には通用しなかったようで、素早く銃を拾うと彼女に向けて引き金を引く。
おっとこれは……
とっさに姉妹の間に入り、銃弾をグラディウス(銃)で撃ち落とす。流石に変身してない人相手に実弾は不味いからな。
「ありがとうございます、ヤマトさん。ですが手出しは無用です。……これはタダの姉妹喧嘩ですので!!」
そう言ってキリエとは色違いの防護服に変身したアミタとキリエが斬り合いを始めてしまった。
「聞き分けてください。キリエ」
「永遠結晶を持って帰らないと、パパが死んじゃうのよ!!」
「苦しくて悲しいのは、私や母さんだって一緒です!! それにあなたを連れ出したあの子を……私は信用できません!!」
「この……!」
キリエが戦闘を継続しようとした次の瞬間、なのはとフェイト、ひなの三人がキリエを取り押さえようとする。
「キリエさん、落ち着いて下さい!!」
「ここはお姉さんの話を聞いて!」
「一回お話ししようよ! ね?」
「邪魔を……しないで!!」
お姉さんが来たことで余裕を無くしてしまったのか、先ほどよりも凄まじい力を発揮してなのは達を掴むと思い切り地面に叩きつけようとする。
だが叩きつけられる直前、アリサ達がなんとかなのは達を受け止めた。
「なのは、大丈夫!?」
「いたた……ありがとうアリサちゃん」
「ひなちゃん、怪我はない?」
「う、うん。大丈夫だのすずちゃん」
「こら、フェイト? 無茶しちゃダメだよ?」
「ご、ごめんなさい……」
アリサ達が無事を確かめ合う中、姉妹の戦闘は更に苛烈になる。
「永遠結晶があれば……みんなを助けられるのに……!!」
「父さんと母さんが……私達にくれた力は……強い身体とフォーミュラは……! 人と星々を守り、助けるための力です。人に危害を加えてまで目的を叶えるための力じゃない!!」
「だから迷惑をかけないように頑張ってる……! みんな、手伝って!!」
直後、先ほどアリサ達が破壊したロボ達の残骸が集まり、元のロボの姿を取り戻す。
くそ、再生機能を有していたか! でもそう言うことなら原子一つ残さず消し飛ばせば済む話だ。レオから貰った魔心レプリカを取り出してグラディウスにはめたその直後、突如ロボが雷弾に貫かれて爆発する。
「初弾命中……! お前らジッとしてろよ、今助けてやるから!」
「ヴィ、ヴィータ! 助けに来てくれたのね!!」
「アタシだけじゃねえぞ!!」
その後次々と守護騎士がロボを無力化していく。どうやら増援に来てくれたようだ。
そして急な増員に驚いた表情をしていたキリエの身体が急に凍り付き始める。これはアイスバインド?
「準備してたら遅くなってもうた。夜天の主とその守護騎士! 応援に駆けつけたよ〜!!」
どうやら守護騎士と合流してからは別行動を取っていたらしいはやてだが、守護騎士と共に奇襲の準備をしていたようだ。
だがここまでやればもうキリエは詰み。どうやってもここから突破することは出来ないだろう。
「さぁ、みなさんにちゃんと謝ってうちに帰りましょう。……まぁ、素直に返してくれるかは難しい所ですが……」
守護騎士の包囲網が徐々に迫る中、アミタがキリエを諭すようにそう言う。
だが……
「……まだ終わりじゃない。イリスがくれた最後の奥の手……!」
「っ!? みんな構えろ!! キリエは……まだ何か隠してるぞ!!」
「システムオルタ、バーストドライブ!!」
直後キリエから尋常じゃない力が溢れ出し、包囲網を展開していた守護騎士を吹き飛ばす。まさかドーピングか!?
そしてキリエはまだ見えないほどの速度で高速移動を始めると、次々と守護騎士達を……させるか!!
「《神速》!!」
「っ!? ま、まさかついてこれる子がいるなんて……!!」
咄嗟に神速を発動。神速は地上戦……って言うか屋内でこそ最も力を発揮するものだが、シールドを足場にすればその強みを存分に発揮できる!!
だが彼女も負けじと俺との斬り合いを展開する。
「ぐ……まさか神速と同等以上の力を……!」
「素の身体能力でついて来れる人がいるのはビックリしたけど……、私の方がまだ速いわよ!」
「がはっ!!」
更に速度を上げたキリエに殴り飛ばされて、地面に叩きつけられる。
……っ! 一瞬意識を失いかけた。レオがフェニックスカートリッジを用意してくれて無かったら完全に撃墜してたな。
「ヤマト君、大丈夫!?」
「っ、なんとかギリギリ……いやごめん嘘。ちょっとまずいかも」
だが撃墜しかけた事で包囲網が崩れてしまった。
パワーアップしたキリエにより守護騎士が赤子の手をひねるようにぶっ飛ばされると、そのままはやての方へ……
まずい、今の俺じゃ神速を使ったら少し時間を置かないと使えない上に、さっきの一撃で脳が揺れたのか身体に力が入らない。間に合わない!!
「フォーミュラドライブ……! アクセラレイター!!」
だがはやての元へキリエが到達するよりも前に彼女をアミタが守ってくれた。
「システムオルタ!? あなたのスーツにそんな機能はなかったはず……!! それに出力制御がメチャクチャです! みんなに怪我でもさせたら……!!」
「その本さえあれば良いの……! 少しの間だけ貸してくれればそれで良いの!! だから……そこを退いてってば!!」
距離をとって引き金を引くキリエ。だがアミタもキリエと同じ力で高速移動をすると、彼女を背後から羽交締めにして止めた。
「帰りましょう。……父さんと母さんが待ってます」
「……お姉ちゃんはそうやっていつも良い子なんだよね。分かんないでしょ? 私がどんな思いで……どんな覚悟でここにいるか!! パパの夢もママの幸せも! 全部私が守ってあげるの!!」
「キリエ、私は……」
「お姉ちゃんには分からない! 嫌いよお姉ちゃんなんて……大嫌い!!」
駄々っ子のようにそう言うキリエは自らの脇腹に銃口を突きつけて……。
「ま、マジか。まさか自分の脇腹ごと……撃ち抜きやがった。……っ! 来るぞ!!」
アミタを撃墜したキリエはそのまま俺たちの方に突っ込んで来た。
「あぁ!」
「あ、アリサちゃん!? ぐぅ……!!」
「すずか!? く……ダメ、速すぎるあぐっ!!」
俺の神速は恭也さんと同等の速度。それと同等以上の速度を誇るキリエの奥の手は、なのは達に防ぐ術は無く先ほどまでの健闘ぶりが嘘のようにあっさりと殴り飛ばされてしまった。
そして残るは、はやてただ一人。
「っ! ダメ、はーちゃん! あぐっ!!」
「ひなちゃん!? がっ……!」
殴り飛ばされながらもすぐさまフェニックスウイングで復帰したひなが彼女を守るが、彼女を裏拳で殴り飛ばしてはやての鳩尾に拳をめり込ませる。
はやては苦悶の表情を浮かべるとやがてかくりと身体から力が抜けた。
「本はこれね」
そしてキリエはわき腹を抑えながら、はやての手から滑り落ちた夜天の書を手に取る。だが、それと同時に意識を取り戻したはやてが夜天の書を掴み奪われないように抵抗する。
「……待ちい、あかん。この本はあかん」
「まだ起きてたのね。お願い、手を放して」
「ダメや、これ以上この本を悪用させん。それが最後の主の義務や」
「…………」
彼女は無言ではやてに銃口を突き付ける。
……これ以上させてたまるか。
そう考えた直後身体に力が戻る。いや先ほど以上の力が湧くのを感じた。この感じ……覚えがある。大切なものを守れるだけの力が覚醒したのだ。
「待てよ。……まだ俺はやられてないぞ……」
「えぇ、そうね……これ以上はさせないわよ」
「うん。事情はあるのは分かるけど見逃せないから……」
俺が立ち上がると同時にアリサやすずか等の魔導師組、それどころかヴィータやシグナムといった守護騎士も立ち上がる。
「嘘……確実に入ってたのに……!?」
「そうか、フェニックスカートリッジでダメージを相殺したんだな」
レオが劇場版対策にといろいろ用意していたのが功を奏したようだ。覚醒した俺に完全回復したなのは達。ここからは俺達のターンだろう。
「流石はれお君だね……ん? 口に何か……」
いざ反撃を! そういう空気になっていたが、ひなが突如口をもごもごさせ始める。そしてぺっと口から吐き出したものを見て俺たちは絶句する。
「ひな!? 歯が……!!」
「抜けちゃった。叩かれたからかな? でも乳歯だから生え変わるよn「ひなちゃん……?」あ、れお君も来たんだね!!」
あーあ、やってしまったな。
まさかこのタイミングで
次回 ジェノサイドモードレオ君VSわき腹を負傷したキリエ