見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
ある日の放課後、黒い亀の姿を模した化け物と戦闘していた。
まぁ流石亀というだけあって防御力はかなり高い。
「《エンジェルフェザー》! ……あ、防がれちゃった!」
「なら砲撃で……《ディバインバスター》! ……これも防がれちゃったの!」
「なら私が行くわ! 《バーニングスラッシュ》!!」
「アリサちゃんの攻撃で甲羅が熱くなってる……それなら、《ハーベストスノウ》!!」
アリサちゃんの炎の一閃で急激に熱された甲羅は、すずかちゃんの氷を纏った刺突で急激に冷やされ甲羅にヒビが入る。急激な温度変化は物質にかなりの負荷をかける。その特徴を上手くついたのだろう。
「行くぞグラディウス!」
ヤマトのデバイスは剣と片手銃であり、近距離遠距離両方に対応できるオールラウンダーだ。
そして今回は銃の方を使用して、ヒビとヒビと間を正確に撃ち抜き、ヒビが広がった。
……あ、俺の番ですか?
「デバイスチェンジ、纏うは氷! Iスティックセットアップ!」
Iスティックは氷の魔力を使う事に特化した棍棒だ。こいつに氷を纏う事で様々な長物の武器に姿を変えるという、これ一本で充分チートな性能のデバイスだ。
そして今回はスティックの先端に直方体の氷ブロックを纏わせてハンマーとして使う。
「せーの、どっせぇい!!」
ヒビが入ってるところに、さらに大きな衝撃が加わったら防御自慢の亀でもタダではすまんだろう!!
「なのはちゃん、ひなちゃん! これなら攻撃が通るよ!」
「ぶちかましてやりなさい!」
「分かった! なのちゃん、一緒にやろ?」
「分かったの! 《ディバインバスター》!!」
「《シャイニングバスター》!!」
二つのピンク色の砲撃が一つに合わさり、一本の太い光線となり亀を飲み込んだ。
明らかなるオーバーキルありがとうございます。
その後ジュエルシードと分離した甲羅が割れて弱りきった亀を、ひなちゃんが魔法で回復してやり逃す。
あれアカミミガメって外来種だから駆除した方がいいんだけど……まぁいいや。
「ふぅ、これで十個目。随分と集められたわね」
「後半分だよね?」
「いや、後十一個だから半分じゃないな」
「細けぇことはどうでもいいんだよ。大体半分だから半分だ」
「ししゃごにゅーだー!」
「ひなちゃん、それは意味合いが違うの」
役割分担して普段はみんなに分散するようにしてるとはいえ、流石に疲れたな。
どこかここらで休憩したいもんだ。
そんなことを考えているとすずかちゃんが思いついたかのように手を叩く。
「なら明日ウチでお茶会しようよ。半分集めたお疲れ様会も兼ねてね」
「え、でも遊んでる間にジュエルシードが発動したら……」
「なのは。手伝ってくれるのはありがたいけど、無茶ばかりして身体を壊したらそれこそ本末転倒だ。いつも頑張ってくれてるんだし明日一日くらい休むべきだ」
「ナイスだユーノ。特になのはは俺たち以上に気を張ってるし、休んだ方がいい」
ユーノ君とヤマトがなのはちゃんを説得する。これは明日はジュエルシードの捜索をしないことで確定しそうだ。
それなら……
「悪い、俺パス」
「え、なんで? ひなみんなでお茶会したいよ」
ひなちゃんが不満そうにそう言うが俺にはやることがある。
「こないだNロッドが故障して今日まで修理できてないから、明日の捜索を休みにするなら修理したいんだよ。あれが俺の基本装備だし」
「そう、ならしょうがないわね」
一応自動修復機能はつけていたのだが、俺の膨大な魔力で内側から壊れてしまっているし、Nロッド内部の部品を交換しないといけないのだ。
それにこの機会になのはちゃん達もヤマト君との仲を深めたいだろうしな。まぁあの朴念仁をどうにかできるとは思えないけど。
「う〜……」
目の端に涙を浮かべるひなちゃん。
…………。
「……ごめん、やっぱ行くわ」
(ちょっと、大丈夫なの?)
(徹夜すればワンチャン。……なんかすまんね、せっかくヤマトを奪い合えるチャンスだったのに)
(気にしないでレオ君。レオ君がいてもいなくても変わらないから)
(そう言ってくれると助かります)
よし今夜はオールナイトで一気に仕上げてしまおう。
〜帰宅後〜
「と言うわけで俺は今忙しいんだよ。なんでお前がここにいる?」
「悪いな。お前に相談したいことがあってな」
家に帰り早速作業に取り掛かろうとしたら、ヤマトが家を訪ねてきやがった。せっかく来たのに追い返すのも、相談を聞き流すのも悪いので今回は真面目に聞いてやる事にする。
「……前から思ってたけど俺、あんまり役に立ってないよな」
「そうだな。自覚あったんだ」
なのはちゃんが魔法少女になったときも金髪に気を取られて、影にぶっ飛ばされ。
ひなちゃんから聞いたが、ひなちゃんがなのはちゃんと一緒に戦ったときもヤマトは金髪に絡まれてその場にいなかったらしい。
そしてこないだの木も金髪が取り込まれてから、逆転されたし。
…………。
「やっぱりあの金髪殺した方がいいんでね? 街の人たちに迷惑しかかけてないし、別に殺してもあの神さん文句言わないと思うぞ?」
「流石にそれはダメだろう?」
「それが嫌ならそろそろ
「でもあれは……」
「危険すぎるってか? まぁ俺もあれで一度大怪我してるから、どんくらいヤバいやつかは知ってるけどよ」
以前模擬戦をしていたときに、ヤマトが転生特典を使ってきたことがあった。
情けない話だが、予想以上にあの力は強すぎて腹に穴が開くという大怪我してしまったのだ。
あのときはひなちゃんがいたから回復魔法かけてもらって事なきを得たけど、ひなちゃんがいなけりゃ死んでたね。
「……あ! そうかお前アレがトラウマになったんだな? あの程度でトラウマになるだなんて随分とよわよわなオリ主君だ事でプクク」
「あぁ、トラウマになったんだよ。だから使いたくないんだ」
普通なら殴っているところなのに、殴らずはっきりと肯定したあたりかなりトラウマになってんだな。
流石にここでふざけ倒すのもどうかと思ったから、少し真面目なトーンで話してやる。
「でも使えるもんは使うべきだ。あの大樹の一件でもアレ使えば拘束されることはなかったんだろうが。もしあの蔓がお前ら締め上げてたら、お前やエンジェルウイングで守られてるひなちゃんはどうにかなっても、少なくともなのはちゃんは死んでたぜ?」
「それは……そうだな。それを聞いて決心がついた。やっぱりお前に相談したのは正解だったようだ。また来る」
「次からは相談料持ってこいよー?」
俺の返答に納得したのか、ヤマトは帰って行った。
……さてNロッドの修理しよ。